おすすめハイキングコース (3)

【アッペンツェル周辺】

ペータースアルプの牛たち
クローンベルク Kronberg 〜 シュヴェークアルプ Schwägalp
(約2時間)

クローンベルクへはアッペンツェルから電車で約10分のヤーコプスバートJakobsbad駅前からロープウェイが出ています。僅か8分で断崖の上に乗っかっているような標高1,663mのクローンベルク山頂駅へ。北側の眺望は牧草地が緑の絨毯のように遠くまで広がり、南側はなだらかな谷の向こうにセンティスの岩山が聳えています。眺望を楽しんだら、センティス山を正面に見ながら斜面を下りて行きましょう。傾斜はすぐに緩やかになり、道端の草花を楽しむうちに牛の放牧場(写真)に入っていきます。その先で小さな樹林帯を越えるとセンティスの北壁が次第に迫り、カムハルデン小屋Chammhaldenhütteに至ります。小屋の先の分岐で右手の道を選ぶと、行く手に終点のシュヴェークアルプのレストランが見えてきます。全般に起伏が少なく、道幅も概ね広いので、足慣らしに最適なコースです。途中の眺望は余りありませんが、ハイカーは比較的少なく、牛たちや草花との対話をのんびり楽しめます。シュヴェークアルプで休憩した後は、天気が良ければロープウェイでセンティス山頂へ。帰りはシュヴェークアルプからポストバスウルネッシュUrnäschの村まで出ています。ウルネッシュで電車の待ち時間があれば、是非とも村の民俗博物館へ。大晦日の伝統行事「シルヴェスタークロイゼSilvesterkläuse」に使われる大きな被り物や「なまはげ」風のお面等、迫力満点の展示品は一見の価値ありです。(1999年6月)

雲が垂れ込めたゼーアルプ湖
ヴァッサーラウエン Wasserauen 〜 ゼーアルプ湖 Seealpsee (往復約2時間)
アッペンツェルから上記ヤーコプスバートと反対方向行きの電車に乗って約10分の終点駅がヴァッサーラウエンです。本来なら駅前からロープウェイでエーベンアルプEbenalpに上り、そこからゼーアルプ湖へ下山ハイクを行うつもりでしたが、あいにく天候が今ひとつで眺望が望めそうになかったため、川沿いに直接ゼーアルプ湖を目指しました。谷に沿って上流へ遡る形だから比較的平坦な道だろうと高を括っていましたが、登りの傾斜は結構きついものでした。ただ道路は途中まで舗装されていて、その後も車の通れる幅が確保されているので、足元の悪いところはありません。斜面に放牧されている牛や、谷の対岸に見える滝を楽しみながら登っていくと、急に平地が開けてゼーアルプ湖が現れます(写真)。手前の湖岸が半島状になった付け根のところにレストランがあるので一息入れましょう。静かな湖面は神秘的な雰囲気があり、湖岸の草花も美しいです。天気が良ければ湖の向こうにセンティス山が望める筈です。湖の奥は広い放牧場になっていて牛が沢山います。一緒になった愛犬連れの地元ハイカーは、湖を左回りで半周して谷の反対側を下りる予定だと言い、「一緒に行くか?」と地図を見せてくれました。時間の都合で残念ながら遠慮し、来た道を戻ることにしましたが、逆に右回りのコースとして面白そうです。(1999年6月)

他に近くの展望台としてお勧めなのがホーアー・カステンHoher Kasten。ヴァッサーラウエンへ行く途中のヴァイスバートWeissbad駅前からポストバスで終点のブリュリザウBrülisauまで行き、ロープウェイに乗ります。標高1,795mの頂上駅からは、東側にライン川の広い谷を越えてリヒテンシュタイン・オーストリア方面が遠望でき、西側にはセンティス山とその周囲に点在する美しい湖が眺められます。ここから尾根伝いに湖畔まで下りていくハイキングコースが幾つかあり、少し距離は長くなりますが次の機会に是非挑戦してみたいところです。


シュパイヒャー Speicher 〜 ザンクト・アントン St.Anton 〜 ヴァルツェンハウゼン Walzenhausen (約5時間半)
アッペンツェル州北部の丘陵地帯を歩くコースです。シュパイヒャーはザンクト・ガレンの東に位置する村で、ザンクト・ガレン駅前からトローゲンTrogen行きのローカル電車に乗り換えて20分です。我が家はここから東へ歩き始め、ベントレーンBendlehnの集落から谷川を越えてトローゲン村に入りましたが、トローゲンまで電車で来てスタートしても良いでしょう。トローゲン村から北東へ下り、ゴルダッハ川沿いの道を東へ遡っていくとルッペン峠Ruppenpassに至ります。ここから草原の斜面(写真)を東へトラバースする道に入り、右手にアルトシュテッテンの町を見下ろしつつハッケンHaggenの集落を経て白い礼拝堂のあるザンクト・アントンに到着します。礼拝堂前の展望所からはセンティス山をはじめとするアルプシュタインの山々を一望でき、近くのレストランで食事休憩ができます。牧草地の中を北へ下ってオーベルエックObereggの村に入り、東隣のシャッヒェンSchachenの集落から再び牧草地の中を東へ辿るとレストランのあるブラッテンBlattenです。オーストリア方面の眺望を楽しんだら、北側のエッケンEggenの丘に登り、その東側のゲベルトGebert付近まで来ると北側にボーデン湖が見えてきます。シュタイクビュッヘSteigbücheの森を北へ抜けるとヴァルツェンハウゼン村に到着です。ここからは山岳鉄道でライン河畔のラインエックRheineck駅へ下れるほか、ハイデンHeiden村経由のバスでもザンクト・ガレン方面へ戻れます。ハイキングの途中で疲れたら、ザンクト・アントンやオーベルエック村等からバスに乗ることもできます。(2010年4月)


トローゲン Trogen 〜 ゲブリス山頂 Gäbris 〜 シュパイヒャー (約3時間)
上記トローゲン村から南へ続く草原の尾根上の道を辿ると、やがてレストランのあるサントSandで車道に出合います。右折して車道を進み、ヴィスエックWisseggで左折してブライテンエブネットBreitenebnetの牧畜農家前を通っていくのが近道ですが、サントで直進してニステルビュールNistelbüelのアルプを経由しても構いません。両方の道はモースMoosで合流し、南に見える丘の上へ登っていきます。丘の上は発電用の風車が建つアルプで、その先に見える森がゲブリス山です。山頂は森の中で何もありませんが、南へ少し下ると草原が開けて、その突端に山岳ホテル(写真)があり、テラスからアルプシュタインやオーストリア方面の山々の眺望を楽しめます。ここから眼下に見えるガイスGaisの村まで1時間ほどで下れ、そこから電車でアッペンツェルやザンクト・ガレン方面へ出られますが、我が家は来た道をヴィスエックまで戻り、西へ直進してレストランのあるホーエ・ブッヘHohe Bucheの丘に登りました。そこからアッペンツェルらしい草地の丘陵が続く風景を眺めつつ、牧草地の中の道を北へ歩いてシュパイヒャー村へ戻りました。(2010年5月)

マルブンのカール谷
サライザーヨッホ Sareiserjoch 〜 マルブン Malbun(約2時間)
(これはアッペンツェル周辺とは言えませんが…)リヒテンシュタインの首都ファドゥーツからポストバスで終点のマルブンへ行くと、停留所の前からサライザーヨッホ方面へのチェアリフトが出ています。チェアリフトから眺めると、マルブンの谷がお椀状のカールになっている様子がよく分かります(写真)。元々スキーゲレンデとして開発されているので夏の利用客は少ないですが、サライザーヨッホからは東側のオーストリアの山並みが眺められ、道端の草花の種類も多くて楽しめます。マルブンへは真っ直ぐに下りる道からカール谷の奥を巡るものまで幾つものコースがあるので、時間の都合に応じて選ぶことができます。(1999年6月)

≪ウィンター・ハイキング≫

ウルネッシュ Urnäsch 〜 ブラッテンデュレン Blattendürren (往復約2時間)
アッペンツェル地方は牧草に覆われた丘陵地帯が広がっているため、冬も手軽に散策を楽しむことができます。ウルネッシュ村からも各方向へコースが延びていますが、我が家は村の中心から教会脇の坂道を下り、ウルネッシュ川を渡って南へ歩いてみました。牧草地を緩やかに登るとクレークChrägの農家小屋群を抜けて樹林帯に入ります。そこを登り詰めるとオステルエックOstereggの丘の上に出て、クローンベルク等の眺望が広がります(少し西寄りにレストランもあります)。丘を南へ下り、正面に見える山ホッホ・ペータースアルプに向かって登り返した先にブラッテンデュレンのレストランがあります。我が家はここから引き返しましたが、直進してウルネッシュ〜シュヴェークアルプ間のバス道に下っても良いでしょう。(2012年12月)
※アッペンツェル地方では大晦日と1月13日(ユリウス暦の大晦日)に伝統行事「シルヴェスタークロイゼ」(写真)が行われます。「美Schöne」・「醜Wüeschte」・「森Wald」の3種類のクロイゼ(聖霊)に扮した村人がナトゥール・ヨーデルを奏でたり鈴やカウベルを鳴らしたりしながら家々を回る行事で、夜〜明け方に行われるのが本来の姿のようですが、ウルネッシュ村では日中に見られるので大勢の観光客で賑わいます。当日に北東スイスへいらっしゃる機会がありましたら、是非ともウルネッシュ村をお訪ねになってみてください。



【チューリッヒ湖周辺】



ラッパースヴィール Rapperswil 〜 フルデン Hurden (約30分)
ラッパースヴィールは三日月形をしたチューリッヒ湖の南端近くに位置する歴史ある町で、チューリッヒ中央駅から近郊電車に乗って約40分の距離。「薔薇の街」としても有名です。ハウプト広場を中心とする旧市街から城郭の建つリンデンホーフLindenhofの丘に上ると、チューリッヒ湖の眺めを楽しむことができます。旧市街の散策を終えたら、船着場の脇から鉄道線路の南側に出て、そこからスイス最長の木橋(写真)を渡ってチューリッヒ湖の対岸の村フルデンまで歩いてみましょう。フルデン村も湖に突き出た半島の先にあるので、ゆっくり歩いても30分足らずでチューリッヒ湖を横断することができます。フルデン村には質の高いレストランがあるので、食事休憩するのも良いでしょう。村内の駅から電車に乗ってラッパースヴィールへ戻れますが、更に先のプフェッフィコンPfäffikonの町まで歩くのも面白そうです。(2009年3月)


ケンプラーテン Kempraten 周辺散策 (約30分)
ケンプラーテンは上記ラッパースヴィールからチューリッヒ寄りに1駅戻った静かな湖畔の住宅街です。駅前から住宅地の中を北へ緩やかに上っていくと、草地や林の広がる高台に出ます。この高台の道(写真)からはラッパースヴィールの旧市街チューリッヒ湖を美しく眺めることができます。西へ歩いていくとヘックリシュタインHöcklisteinの葡萄畑に出て、公園状の広場に葡萄絞りの道具等が展示してあります。遊歩道は更に西のシュテーファStäfaの町まで延々と続いているようですが、我が家はここから折り返すように葡萄畑の中の道を下り、ケンプラーテンに戻りました。(2009年3月)


エーベルツヴィール Ebertswil 〜 アルビス峠 Albispasshöhe 〜 ユトリベルク山頂 Uetliberg (約5時間)
チューリッヒ湖の西側に南北に長く連なるアルビスAlbisの尾根を縦走するハイキングコースです。アルビスは大半が海抜700〜800m台の起伏の少ない尾根なので、1年を通して歩くことができます。出発地点のエーベルツヴィール村へ行くには、ツークZugの隣町バールBaarの駅前からハウゼン・アム・アルビスHausen am Albis行きのポストバスに乗ります。エーベルツヴィール村を北東方向へ抜けて小さなを越え、フーザータールHusertalの集落へ。律儀に縦走を目指すならここで右折してシュヴァイクホーフSchweikhof経由で登るべきですが、オーバーアルビスOberalbisの集落に向けて北へ登る方が近道です。オーバーアルビス村の背後がすぐ尾根で、林の中の尾根道を北へ進むと、眺望の良いレストランが建つアルビスホルンAlbishorn(写真)に至ります。更に北上して最高地点のビュルグレンBürglenシュナーベル峠Schnabellückenを過ぎ、シュナーベルブルクSchnabelburg城址の下を廻り込むと、ホッホヴァハトHochwachtの木造展望塔が現れて、その上から360度の眺望を楽しめます。北へ緩やかに下って右手に牧草地が開けてきたら、間もなく中間地点のアルビス峠です(バス停とレストランがあります)。アルビス峠から北は道幅も広がり、レストランが点在するネーフェンヒューザーNäfenhüserとブッヒェンエックBucheneggを経てフェルゼンエックFelseneggへ。ここはチューリッヒ湖を見下ろす展望台で、レストランの少し北からロープウェイに乗ってアドリスヴィールAdliswilの町へ下ることもできます。左手に広大な牧草地を眺めつつ更に北上すると、バルデルンBalderen峠を経て、次第にユトリベルクが近づいてきます。最後に岩場の階段を登るとユトリベルク山頂です。展望塔に上り、チューリッヒ市街アルビス尾根レピッシュ谷等の眺望をお楽しみください。お洒落な雰囲気のホテル・レストランもあります。山頂から北へ少し歩くと鉄道駅があり、ここから電車に乗ってチューリッヒ中央駅へ下れます。時間や体力の余裕に応じてアルビス峠やフェルゼンエックを起点(または終点)にしても良いでしょう。(2013年4月)



【ヴァーレン湖周辺】


ヴァーレンシュタットベルク Walenstadtberg 〜 アルプ・チングラ Alp Tschingla 周遊
(約4時間)

チューリッヒからクール方面行きの電車に乗り、チューリッヒ湖を過ぎて暫くすると、左手の車窓に急峻な岩壁に囲まれた美しい湖が現れますが、これがヴァーレン湖です。湖の北側に連なる岩峰がクールフィルステンで、その南麓を湖を見下ろしながら歩くのがこのコースです。
ヴァーレン湖の東端に位置する町ヴァーレンシュタットWalenstadtで電車を降り(急行電車は停まりませんので要注意)、ヴァーレンシュタットベルク行きのポストバスに乗り換えます。バスは湖の北側斜面をぐんぐん上り、ヴァーレンシュタットベルクの村を通り過ぎて終点の療養所Reha-Klinikの前まで連れて行ってくれます。ここから舗装道路の上り道を辿って西方向へ40分ほど歩くと、レストランのあるホッホルックHochruggアルプ・シュリーナAlp Schrina)です。その裏手の砂利道を折り返すように登っていくと、ヴァーレン湖の眺めが美しい牧草地(写真)を経て、奇怪な「平和祈念碑Paxmal」が忽然と現れます。更に牧草地の中を直進すると目の前に岩壁が立ちはだかりますが、手摺りとワイヤーを頼りにこれを登り切れば、美しいヴァーレン湖が一望できるポイントに出ます。この先はクールフィルステンの山並みを左手に眺めながらのなだらかな道で、カール状の谷をトラバースして牛の寝そべる牧草地を越えれば、目指すアルプ・チングラの小屋です。冷たい飲み物をもらって一息入れたら、小屋の東から分かれて下る急斜面の道に入り、大雪渓の残る谷を通ってヴァーレンシュタットベルク村に戻ります。この他にも時間と体力の余裕に応じて様々なハイキングルートが楽しめます。(2006年6月)


マシュゲンカム Maschgenkamm 〜 タンネンボーデン Tannenboden (約3時間)
ヴァーレン湖の南に広がる高原地帯フルムザーベルクFlumserbergのハイキングコースです。ヴァーレン湖南岸のウンターテルツェンUnterterzen駅からゴンドラリフトに乗り換えるか、サルガンスに通じるゼーツ谷の町フルムスFlumsからポストバスに乗り、フルムザーベルクのホテル群が集まるタンネンボーデンに上ります。この地区の上手から再度ゴンドラリフトに乗ると、標高2,000m余りの尾根マシュゲンカムに引き上げてもらえます。ここから各方面へハイキング道が延びていますが、西側に見える小山ツィーガー(写真)の左手(南斜面)へ続く「ハイジの花の小道Heidis Blumenpfad」に入っていきましょう(このテーマ遊歩道は東のプロートカムProdkammの方向にも続いています。プロートカムからチェアリフトで下山できますので、数十分程度のごく軽い散策をしたい方にはこちらもお薦めです)。左手にグラールス州境の山々を眺め、足許には色とりどりの草花を楽しみつつ歩ける、平坦で快適な遊歩道です。岩山ゼクスモールが正面に近づくとツィーガー峠Zigerfurgglenで、ここからゼクスモールの直下に向かう斜め右方向の道を進みます。クールフィルステン連山を遠望したり西側に聳え立つゼクスモールを仰ぎ見たりしながら広いアルプの中を大きくジグザグに下り、ゼーベン湖Seebenseenの畔に出ます。湖畔のホテルのテラスで休憩したら、明るい森の中の道を東方向へ。間もなく左手の視界が開けてクールフィルステンヴァーレン湖を眺めつつ歩けます。ゴンドラリフトのケーブル下で沢山の牛たちに出遭ったら、すぐ下にタンネンボーデンのホテル群が見えます。(2006年6月)



※ 各コースの標題末尾の括弧内は、歩行に要した時間です(施設の見学や休憩等に費やした時間を含んでいません)。

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