岸田國士氏は、昭和19年に飯田市に疎開し、飯田の郷土文化の隆盛に功績を残した。昭和23年に飯田に賛辞を送る詩「飯田の町に寄す」を残して帰京した。現在、この詩碑が飯田市中心部のりんご並木に建立されています。
岸田國士(きしだくにお)
(1890〜1954)
劇作家・小説家
飯田美しき町
山ちかく水にのぞみ
空あかるく風にほやかなる町

飯田静かなる町
人みな言葉やはらかに
物音ちまたにたたず
粛然として古城の如くたつ町

飯田ゆかしき町
家々みな奥深きものをつつみ
ひとびと礼にあつく
軒さぶ甍ふり
壁しろじろと小鳥の影をうつす町

飯田ゆたかなる町
財に貧富あれども
身に貴賎ありとおぼへず
一什一器かりそめになく
老若男女みなそれぞれの詩と哲学とをもつ町

飯田天龍と赤石の娘
おんみさかしくみめよく育ちたれど
いま新しき時代に生きんとす
よそほひはかたちにあらず

美しく静かに
ゆかしく豊かに
おんみの心をこそ新しくよそほひたまへ
「飯田の町に寄す」
「飯田の町に寄す」
お多福屋