つ・ぼ・み




 

仕様 評価
対応機種 WIN システム

6点

ブランド名 SiriuS シナリオ

5点

ジャンル いたいけちびっ子堪能ストーリー 萌え萌え

9点

    せつなさ

7点

    素薔薇さ

3点

 





 中古エロゲー屋でも普段なら無視して通り過ぎる中古同人ゲームゾーン。特価品セールの宣伝文句につられて、珍しくそこを見てみると、棚の中にありえない題名のゲームがあるのが目に入ってしまった。最初は単に題名が似ているだけかと思ったが、パッケージを棚から引っ張り出して絵を見てみても、アレであることに間違いはない。

 この時の感情は、開発が停止したはずの機械がなぜか運用されているのを見た開発者か、失われた古代帝国が現存しているのを発見した博士のそれと同じだと思う。まったくもって、そのゲームは、この世に存在していることが信じられなかった。

 その同人ゲームの名前は『つ・ぼ・み』。本来なら、ここで同人ゲームについて触れるのは避けていたのだが、これは由来が由来だけに、例外的に扱うことにしようと思う。

 それで、まず、この『つ・ぼ・み』に至るまで、エロゲーの歴史の1ページを紐解いていこうと思う。

 かつて、有限会社アレックス(分り易く言うと、「ScooP」)というメーカーがあった。「ScooP」さんは、DOS時代から続く老舗メーカーで、アニメーションで有名だった。

 しかし、一部の有名メーカーを除けば、ローコスト・ローリターンが基本のエロゲー業界の中で、時間と資金のかかるアニメーションというのは難しい選択肢だったのだろう。昔は、はっきり言ってGIFアニメーション程度動いていれば話題になったが、パソコンの性能があがり高品質の画像でグリグリ動くことを求められてくると、パンクしてしまった。

 その「ScooP」さんが、最末期に発表した作品の1つが、『つ・ぼ・み−美少女、愛玩日記 いたいけ、マイ・べいび〜−』だった。あまりにアレな名前だが、ここらしいと言えば、ここらしいセンスだろと思う。因みに、ジャンルの方もアレで『ちびっ娘を「躾け、我がモノにする」指導教育AVG』と予定されていた。

 自分も、この『つ・ぼ・み』(旧型)の新作発表を見た時には、原画家(あかふくまろ)さんのロリプニっぽい絵が良いと思ったものだ。アニメーション関係の仕事をしていると良い原画家を起用することができるなと思わせる絵だった。

 最初に発表されたこのゲームの発売予定日は2003年3月14日だったと思う。しかし、このゲーム、いくら待てど暮らせど発売されなかった。何せ、それから延期につく延期。OHPでの公式発表や、雑誌やゲームショップでの暫定的な報告を含めて情報が交錯していて何回発売延期したのか正確には分らないほど、発売延期が繰り返された。一説では、行われた発売延期の回数は20回! エロゲー業界、空前絶後の回数であろう。発売予定日は以下のように代わって行ったとされている。

 2003/03/14 → 03/28 → 04/18 → 05/02 → 05/30 → 06/27 → 07/11 → 08/29 → 09/26 → 10/17 → 10/24 → 11/14 → 11/28 → 12/19 →(ついに年越し)→2004/01/09 → 01/30 → 03/05 →(1周年記念)→ 03/19 → 03/26 → 05/28

 最初は発売延期の知らせを聞く度にガッカリしていたものだが、半年近く待たされている内にもうギャグにしか思えなくなってきた。なにせ、傍目から見ても、次々と訂正される発売予定日は発売できそうな日ではなく、発売しなければならない日で設定されているのが分ったし。発売されるのか、それとも会社自体が潰れてしまうのか、発売延期の知らせを聞く度にハラハラしながら経過をうかがっていたものだ。

 普通ならとっくに撃沈している所だろう。でも、未完成のゲームでは借金のカタにもならないだろうし、ソフ○ップの特典テレカのCGは発表されたり、デモCDやら体験版が配られたりして、発売されそうな気配もあり、毎日が「今夜が峠でしょう」状態だった。

 しかし、1年以上も今夜は峠が続いた挙句、20回目の発売延期で発売日が未定となり、その後、会社が倒産してしまった。会社が倒産したとしても開発中の『つ・ぼ・み』(旧型)の権利はどこかに動いただけのはずで開発を続けることは論理的には可能だ。しかし、他の人のプログラムを続けて書ける人は少ないし、途中で塗り師を変えたりしたら違和感が避けられない。普通は、こんな場合はお蔵入りが常識だ。よって『つ・ぼ・み』は永遠に蕾のままで終わったと思っていた。

 けれども、、実はそれで事件は終わりでなかったのだ。それから2年近くたった2006年3月に「SiriuS」という同人メーカーが『つ・ぼ・み』の発売を予告したのだ。そして、3月下旬の発売日が発表された。しかし、相変わらずの延期病は改善せず、ダウンロード販売は5月25日と発表され、最終的にダウンロードが開始されたのは6月2日になっていた(因みに自分が入手したのは7/2発売のパッケージ版)。

 これでやっと本題に入れることができる。同人の『つ・ぼ・み』(新版)は、副題なのかジャンルなのかが「いたいけちびっ子堪能ストーリー」となっている。それで、ゲーム内容だが、基本的にメインヒロインである「大和田ちか」ちゃんを追いかけてHシーンやらお馬鹿なイベントを楽しむものだ。

 一応、ちかちゃん以外にも他に2名の女性がいるが単なるオマケにしかなっていない。なにせ、主人公はちかちゃん以外は眼中にないのだ。はっきり言って、主人公は危ない人としか言いようがない。主人公はちかちゃんの叔父にあたる人物なのだが、ちかちゃんのことが好きで兄夫婦の代わりにちかちゃんの育児の手伝いをしてきた筋金入りの変態だ。それで、この度、ちかちゃんの通う鴻学園に臨時教諭として勤めるところから始まる。

 しかし、赴任早々、主人公は満員電車の中でたまらずに、ちかちゃんに痴漢行為をしてしまう。幸い肝心のちかちゃんに顔は見られなかったが、鴻学園の綺羅先生(因みにレズ)に不審人物として取り押さえられてしまう。それで即刻、犯罪者にされるのは免れたのだが、1週間の期限で真犯人を探し出すことになってしまう。

 真犯人を探し出すと言っても、本当に犯人は主人公だから突き出すわけにもいかない。そこで適当な痴漢を確保して冤罪で突き出すのかと思ったが、実際のプレイはちかちゃんとより多くのイベントをこなして、ちかちゃんにアレは単なる恋人同士のプレイだったと言ってもらうことになる。ただ、イベントと言っても、痴漢騒動の日にちかちゃんと主人公は結ばれるので、あとはもう単にHしまくりの展開が多い。

 そんな訳で、ゲームのほとんどを占める大和田ちかちゃんを解説しておく必要があるだろう。ちかちゃんは、大きさとしては超軽量級、それを生かして超活動的で運動神経抜群、性格も明るい。学園でもチアリーディング部のトップ(組をする時に一番上で演技する花形)を務めている。ただし、頭の方はかなり抜けている。まあ、よくいる子犬タイプのキャラクターだと思って欲しい。

 Hシーン以外のイベントも色々あるし、キャラの声もいいので全体としては悪くない。ただ、ゲーム自体は短いし色々な所でボリュームが足りない。CG枚数もHシーン以外も含めて47枚(+差分)、イベントシーンも25枠(ただしHは21枠)しかない。

 それ以上に問題なのは、CGの質だ。これが、どう見ても悪い。解像度を落としたためだろうと思うが、線の周りにゴミが見える(所謂モスキートノイズ)。これはダウンロードのために容量を落とすためになったのか、それとも「ScooP」から持ち出した時点で宣伝用等に使う劣化版しかなかったのか分らないが、はっきり言って残念だった。

 それに、イベントの繋がりにも一部疑問がある。ちかちゃんの親友のエリカちゃんが、主人公のことをライバル視しているのか、それとも応援しているのか、シーンによって違ってしまっているのだ。多分、本来ならイベントによって分岐するはずだったのだろうが、そのイベント自体が完成していなかったのだろう。この辺りは、所詮は定価2100円の同人ゲームと思ったほうが、ショックが少ないと思う。

 それで、実は私が一番気になったことは、本当にこれが権利関係をクリアしているのか確かめることだった。しかし、エンディング後にスタッフロール等は一切なし。給料未払いに怒った社員等が製作した海賊版なのか、それとも権利を買ったけど商業販売は諦めて同人販売したものかは分らなかった。しかし、ここで新情報が現れた。なんと、この『つ・ぼ・み』が「cyon」というメーカー名で12月にソフ倫デビューするとのこと。それなら権利関係はクリアしているのだろう。

 それにしても、未完成を集めただけでこの出来だったのだから、本当に完成したらどんなに良かったのだろうと思うと残念でならない。製品版では、主人公の立場を「おじさま」以外に「お兄ちゃん」、「パパ」、「先生」から選べたりとかアニメーションがあったりしたのだが、その欲張りがいけなかったのだろう。これは、人間、高望みはしてはいけないということなのだ。という事で、このゲーム、高望みせずに値段相応と思えば楽しめると思う。

(タコマロ)

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