・控えの歩

ここまで攻撃用の歩の使い方を見てきましたが、守りの歩の使い方も見てみましょう。

歩が守りの駒だなんて信じられない、って方もいるかもしれませんが、今まで見てきた矢倉囲い、美濃囲い、穴熊囲い、よく見てください。全部、歩に覆われているじゃありませんか。試しに、これらの囲いを盤に並べてから歩を全部取っ払ってみてください。ものすごく弱そうに見えるはずです。目立たないけれど、歩も大切な守備の駒になってくれているんですね。



歩の大切さを改めて実感したところで第37図を見てみましょう。

先手ピンチです。後手の8六歩が先手玉の喉につきつけられている格好で、このままだと△8七歩成でグサッとやられてしまいます。

こんなときは慌てず騒がず、▲8八歩(第38図)と打ってください。



こうしておけば、△8七歩成にも▲同歩とできて安全ですね。このような、主に「垂れ歩」を打たれたときなどに一歩控えて打つ歩を「控えの歩」と言います。



次はちょっと高度な技をご覧頂きましょう。

第39図。先ほどよりもさらにピンチです。黙っていれば△8七桂成▲7九玉△8八成桂で詰まされてしまいます。終盤編でもう少し詳しく触れますが、このように「黙っていると次に詰ましますよ」という状態や指し手のことを「詰めろ」と言います。

さあ、先手は8七の地点をどうやって受けましょう。これが難問です。歩が一枚しかありませんからね。▲8八歩!!!…は、もちろん打てません。 受けがないから泣く泣く▲7九金△8七桂成▲6九玉?それならすぐに詰まされることはなくても、食い破られたところから飛車も侵入してきて先手陣は大火事です。

本当に、本当に8七の地点は受からないのか。悩んで悩んで、それから魔法のような次の手順をご覧あれ。



第39図から▲8六歩△同飛▲8八歩(第40図)



▲8六歩!が気付きにくい一手。後手は当然「なんだこれ?取って意味ないだろ」と△同飛。そこで▲8八歩と「控えの歩」を打ってみるとあら不思議。8七の地点が受かってしまいました。
第39図の8七歩が一歩後ろに下がるという、まさに魔法のような手順。こんな歩の使い方ができたら楽しいですよね。


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