はじめに

歌入れに熱心な皆さんごきげんよう、全然全く禿てない oneofvipper です。

ここではアドバイスという名目で私が思いつくボーカル収録からミックスまでの作業を全てフリーウェアで行う工程を説明していこうと思います。

この通りにやる必要はまったくありませんし、あなたの今のままの方法でももちろん構いません。もしあなたが作業に詰まった時、思い出して読んでみて頂ければ幸いです。

KRISTAL を使うワケ

日本語で使える SoundEngine Free や、あなたが既に使い方を知っているかも知れない Audacity では無くてなぜ KRISTAL を選んだのかというと、私の好みもちょっと入っていますがそれ以上に「これほどこの作業に向いているソフトは無いだろう」と思うからなのです。

単純に音声を合成するだけなら他のソフトでもいいと思うのですが、やるからにはそれなりにいいものが作りたい、とは思いませんか! 思わない奴は糞してこのページ閉じて寝ろ! そう思う日もあります。うそですよ。

DTM で作曲する人に対してこのページを作るなら KRISTAL ではなく Music Studio Producer をオススメするところなんですが、楽曲にボーカルをミックスという用途に関しては KRISTAL がフリーウェアでは最強だと今のところ思っています。

  • 余計な機能がほとんどついていない
  • エフェクトをリアルタイムにかけて、本格的なミックス作業が出来る

シンプルでありながら、とんでもない可能性を秘めた夢のようなソフトじゃないかと!


準備

実際の作業にあたり必要な前作業がいくつかあります。

KRISTAL のインストール

まずはミックスに使う KRISTAL をダウンロードし、インストールしましょう。

こちらのサイトの上部の DOWNLOAD をクリックするとダウンロードに関するページが表示されます。

ページの中央あたりにある「PUBLIC DOWNLOADS」の中に

「Download KRISTAL 1.0.1 (06/01/2004) for Windows (3.51MB)」

というものがあると思うので、それをクリックしましょう。

クリックすると「KRISTAL Audio Engine 1.0」と書いたページが表示され、「Worldwide Content Distribution Network」と書いているリンクが出てきます。

これを左クリックすると、KRISTALをダウンロードするためのソフトがダウンロードできます。

リンクが見つけられなかった人はこちらのアドレスをコピーしてアドレス欄に入力して下さい(直リンク対策されているため)。

ダウンロードしたファイルを実行すると KRISTAL のインストーラを自動的にダウンロードしてそのまま KRISTAL のセットアップが起動します。

ホイホイと「Next」を押していればすぐにインストールが完了するでしょう。

おい! 利用規約とかちゃんと読んどけよ! 俺知らねえからな!

※日本語化パッチを探している方がよく居らっしゃいますが、残念ながら KRISTAL には日本語化パッチは現状ないと思います。 ただ、基本的な使い方を覚えてしまうと日本語化する必要が全くないことに気付くと思います。

KRISTAL の設定

この作業は環境によってマチマチなので非常に説明が難しいです。

早速 KRISTAL を起動しましょう。

起動するとなにやら色々と出てくるとは思いますが、「Audio Input 1 - KRISTAL Waver」という縦に Waver というものがずらっと並んだウィンドウが出ているはずなので、Waver 1 の横のグレーの部分に wav ファイル(OggVorbisやFLAC、aiffは大丈夫だけどmp3ファイルは駄目だよ!)をドラッグして投入しましょう。

成功すれば以下のような画面になるでしょう。

読み込んだ瞬間の画面

この状態でスペースキーを押したり「Transport」ウィンドウの再生ボタンを押すと再生が始まります。

投げ込んだファイルのところをバーが通過しても音が出ないようなら設定が上手く出来ていません。 メニューの「Engine」から「Perferences」を選択するとウィンドウが出てきますので、ここで音が鳴るまで試行錯誤して戦って下さい。

ちなみに色々調べていると ASIO という名前を見かけることもあると思いますが、 ASIO に対応したオーディオインターフェイス があると、再生ボタンを押してから再生が始まるまでの微妙な間が縮まったりするし、 いいマイクが接続できるようになったりするので綺麗な音で録音できるようになったりします。

もう少しコストを掛ける気になれば編集用ソフトが付いてきたりして夢が広がると思います。 ステップアップしたいと思ったときは、ASIO のことを思い出してみてください。

エフェクタの準備

「僕は一発勝負だから」とか、「私は小松未歩みたいな声にしたくないから」とか言わずに! メイクにもナチュラルメイクなんてものがあるように、上手く使えばもっとイイ感じになるはずなんです。

もちろん元のデータが良いに越した事はないのですが、多少悪いデータがよく聴こえ、良いデータがもっと良く聞こえるなら「そんな嬉しい話に食いつかなくてどうする!」などと思うわけです、私としては。

エフェクタについて

広い世の中エフェクタにも良し悪しがあるのですが、初心者でも比較的弄りやすそうなところを私の独断と偏見で紹介しておきます。 もっと詳しく知りたくなったら「VSTエフェクト」などで検索してみるといいかも知れません。

なお、KRISTAL にもリバーブやコーラス、コンプレッサーやディレイなどは付属していますが、 それらについてはここでは解説しません(私自身があまり使い込んでいないため)。

EffectChainer
EffectChainer のスクリーンショット
使えるエフェクタの数を増やすためのエフェクタです。何のこっちゃ、と思うかも知れませんが KRISTAL は1つのトラックにエフェクタを2つまでしか使えず、また順番を入れ替えたりする事も出来ないためその不便さを解消するために使います。
TLs MASTERING MAXIMIZER
TLs MASTERING MAXIMIZER のスクリーンショット
TLsmaximizer_1-1.zip が目的のものです。市販 CD に比べると自分が歌った曲は全体的に音量が小さい……そんな時にこれを使ってみるとイイ感じになっちゃったりする事もあります。
BLOCKFISH / SPITFISH
BLOCKFISH と SPITFISH のスクリーンショット
BLOCKFISH はいわゆるコンプレッサーで、音量の小さいところと大きいところのバランスを取ってくれます。何も考えずにかけてしまうと声が出ていない時のノイズなども大きくなってしまうので注意が必要。
SPITFISH はディエッサーというエフェクタです。「サシスセソ」などを発音した時、高音のノイズが多く乗ってしまい耳が痛い音になってしまう事があり、それを抑制してくれます。かけすぎ注意。
Kjaerhus Audio Classic シリーズ ※消滅してしまった模様
Kjaerhus Audio Classic シリーズの一部のスクリーンショット
残響効果を加える Reverb やゴワゴワした感じの音になる Chorus、輪唱みたいになる Deley あたりを入れておくと良いかと思います。 選ぶの面倒なら全部入れちゃうというのもひとつの手です。

こちらのURLからまだダウンロードできるようです。
ただしそのまま進めていくとツールバーのインストーラが立ち上がったりするので注意。ファイル自体はここにあるみたいです。









なお acoustica.com というところでも勝手に再配布しているようですが、こちらは本来ないはずのインストーラが付いている上に Mixcraft 3 というのが勝手にインストールされてしまうようです。

エフェクタのインストール

諸注意:エフェクタは DLL ファイルなので Windows の設定によっては表示されない場合があります。設定を変更してすべてのファイルが表示されるようにして下さい。拡張子も表示するようにしておくと、あなたのパソコンライフの役に立つこともあるかも知れません。

インストールを始める前に、KRISTAL は終了しておきましょう。

それではエフェクタをインストールして行きましょう。エフェクタによってインストーラが付いているものと付いていないものがあります。

EffectChainer のインストール

EffectChainer にはインストーラが付いています。

Next > を押してライセンスをよく読み I accept を選んで次へ、インストール先は特別な理由がなければ変更せず次へ進み、次に出てきた入力欄へ

を入力します(※KRISTAL のインストール先を変更している場合は適宜変更して下さい)。後はポポンと進めていけばインストールが完了するはずです。

TLs MASTERING MAXIMIZER のインストール

上記紹介にあるリンク先から TLsmaximizer_1-1.zip をダウンロードし解凍すると、TLs_Maximizer.dll と readme.txt が入っています。

TLs_Maximizer.dll を C:\Program Files\Kreatives.org\KRISTAL Audio Engine\Plugins\ へコピーして下さい(マイコンピュータ → C: → Program Files -> ... と辿っていく)。

BLOCKFISH / SPITFISH のインストール

上記紹介にあるリンク先から the fish fillets PC (Win) version 1.1 のところにある download ボタンを押しダウンロードして解凍すると、3つの DLL ファイルと pdf ファイルが入っています。

3つの DLL ファイルを TLs MASTERING MAXIMIZER をコピーした場所と同じ所へコピーして下さい。上では FLOORFISH については説明していませんが、一緒に突っ込んでも問題ないでしょう。

Kjaerhus Audio Classic シリーズのインストール

上記紹介から必要なものを落として下さい。導入方法は他と一緒で、DLL ファイルをコピーするだけで完了です。

全てのインストール作業が終わると、コピー先のフォルダは概ねこのような感じになるでしょう。

ファイルコピー後

エフェクタの設定

普通のエフェクタの場合特別な設定は必要ありませんが、EffectChainer は用途が特殊なため予め設定が必要です。

KRISTAL を起動し、Mixer ウィンドウの一番右側の MASTER FX1No FX をクリックして、EffectChainer を選ぶと EffectChainer が起動します。

EffectChainer で右クリックする位置

この黄色い枠で囲った内部(薄い水色の部分)を右クリックするとメニューが現れるので「Manage VST Folders...」を選んで下さい。

押すべきボタン

出てきたウィンドウで Add Folder ボタンを押すとフォルダ選択ウィンドウが表示されるので、C:\Program Files\Kreatives.org\KRISTAL Audio Engine\Plugins を選んで下さい。

選ぶと何か質問されますが、これは「このフォルダの中身チェックしておくかい?」って聞いているのでチェックしてもらうために「はい」を選びましょう。

今後エフェクタを追加/削除した時は、このウィンドウにある Rescan Selected(選択した項目を再チェック)を選んでチェックしなければいけないので注意して下さい。

やっとエフェクタの準備が完了しましたよ!

準備を終えて

クソ真面目に説明すると、単純な作業も随分長くなってしまうものです。

「千里の道も一歩から」「ローマは一日にして成らず」等という言葉があるように、良いものを作るためにはそれなりの工程が必要だという事がわかりましたね!


KRISTAL を使う

ここからが本番です。気合を入れていきましょう。

なお、日本語マニュアルも見ながら読み進めると理解度がより増すでしょう。

作業の主な流れ

大抵の場合以下のステップで完成まで辿っていきます。

  1. 新規プロジェクトを開く
  2. 曲データを読み込む
  3. 歌のレコーディング
  4. データの編集
  5. エフェクトを付ける
  6. 書き出す

では早速始めましょう!

新規プロジェクトを開く

KRISTAL を立ち上げた状態と一緒なので、起動した直後なら何もやる事はないです。

メニューの File から New Project を選ぶと新規プロジェクトを開く事ができます。

曲データを読み込む

歌いたい曲データを読み込みます。

読み込みかたは KRISTAL の設定のところと同じ手順でOKです。

多くの場合ガイドメロや仮歌の入ったバージョンと、カラオケ版の2種類ぐらいがあると思います。今回は両方を違う Waver へ読み込みましょう(例えば Waver1 と Waver2 へ)。

ここでは拙作 kai のガイドメロディ版とカラオケ版を読み込みました。

読み込んだ瞬間の画面

トラックコントロール

さて、ここで各 Waver の左側についているボタンなどについて覚えておきましょう。

以下の部分をトラックコントロールと呼びます(マニュアルへのリンク)。

トラックコントロール

さて、Wave ファイルを読み込んだ直後では両方再生されてしまって爆音になるので、Mixer からカラオケ版をミュートしておきましょう。

ミュートを有効にした状態

該当トラックの「 M 」ボタンを押してミュートしました。なお、トラック名を変更するとこのように Mixer の下部の表示も変更されるため若干わかりやすくなります。

なお、トラックコントロールで接続を切っておくとミキサー上には表示されません。ご注意ください。

チャンネルストリップ

ミキサーの一部であるチャンネルストリップについても機能を把握しておきましょう。

以下の部分をチャンネルストリップと呼びます(マニュアルへのリンク)。

チャンネルストリップ

各チャンネルにはエフェクタを入れるための場所が2箇所用意されています(今回はこの2箇所の制限を突破するために EffectChainer を導入しています)。

チャンネルストリップについては見た目で大体がわかると思いますが、音量スライダーを右クリックすることで音量がリセットが出来る事を覚えておいて下さい。これは地味ながら重要な機能です。

チャンネルストリップ以外については後ほど説明しますのでここでは省きます。

歌のレコーディング

では実際に歌を録音して行きましょう。

トラックコントロール上で録音するトラックの録音ボタンを押します(この時点ではまだ録音は開始されません)。すると録音ボタンが点灯状態になり、録音に使用するデバイスが自動的に選択されるでしょう。

レコーディングを有効にした状態

マイクテストをしてみて、上の画像のように右側にあるレベルメーターがちゃんと動いているようなら設定も問題ないようです。

歌いたいところまで再生位置を移動して、テンキーの「 * 」を押すか、「Transport」ウィンドウ内の録音ボタンを押す事で再生と同時に録音が開始されます。

録音中はトラックコントロール上の録音ボタンが点滅します。再生を停止すると録音も終了し、録音したトラック上にデータが現れます。

録音後

音割れ対策

さて、再生して歌ったデータがどんな感じが聞いてみて下さい。

もしかしたら、妙にプチプチと酷い音が聞こえるかも知れません。曲データと声を混ぜ合わせた時、波形の限界を突破しようとした結果ノイズが乗ってしまうケースがよくあります。

細かい解説は後回しにして、ひとまず以下のようにして対策して下さい。

まず最初に、Mixer の一番右側、下に MASTER と書いているところの音量フェーダーの左右どれか片方を右クリックして音量を 0db から -0.0 にして下さい。

次に、MASTER FX3 の下の No FX をクリックし、「TLs_Maximizer」を選んで下さい(選んだ後に出てきたウィンドウは閉じて構いません)。

対策後

もし音割れしていたなら、これでひとまず解消されるはずです。これで直らない場合は他の原因が考えられますので色々と探ってみて下さい。

(なお、この作業の目的は MME デバイスを使用中の場合に起こる、ピークを超えたデータを再生した場合に波形が飽和せずにオーバーフローする現象を回避することを目的としたものです)

データの編集

さて、録音したデータを見てみると歌が始まる前の無音部分が結構長いことがわかります(波形が小さい部分のこと)。ここにはノイズしか乗っていないので削ってしまった方が綺麗なデータに仕上がります。

では編集方法について簡単に説明します。

オーディオの簡単な編集方法

この3つの操作が可能です。データの頭だけでなく、後ろでも同じ操作が可能です。

普段私が心掛けていることも書いておきます。

ノイズだけの部分はなるべくカットする
綺麗なデータ作りのために無駄な部分は残さないようにしましょう。
フェードイン/アウトをきちんと使う
フェードイン/アウトを使わずにいきなり声が始まるちょっと前から発音すると、プチッとノイズが乗ってしまう事がしばしばあります。これを避けるために小さい範囲でもいいのでフェードインを入れましょう。
音割れしない程度になるべく大きな音で録音する
後から音量は大きくできますが、それを使うとノイズまで大きくなってしまいます。できれば最初から大きめの音量で録音して、ノイズが小さくなるように心掛けましょう。

それらを踏まえた上で編集すると概ねこのような感じになります。

編集後

さて、同じ様に頭と尻だけではなく、間奏部分などの無音部分もカットしておきましょう。Waver の上部にはハサミツールがあり、これを使うと任意のポイントで録音したデータを切断する事ができます。

間奏部分編集後

こんな感じに声の部分だけを使うように編集しました(間違って後半音量やたらでかくしちゃってますが気にしないで下さい)。

エフェクトを付ける

皆さんは、魔法が使えたらと思った事はありませんか? チンカラホイ☆

ここでは私がよくやる手法について語っていきます。

まずは作業する上で注意しなければならない事です。

エフェクトはかけすぎるとショボくなる
編集作業に没頭してると酷いデータになっているのに気付かない事があるので、適宜プロの曲を聞いたりして感覚をリフレッシュさせながら作業してください。バニラエッセンスのようなものです。
エフェクトをかける時は曲と混ぜた状態での確認を怠らない
ソロ再生時エフェクトがいい具合に聴こえても、曲と混ざると主張が強すぎるというのは非常によくあるパターンです。ソロでのチェックは必要ないと言いたいぐらい、混ぜた状態でのチェックは重要です。
ヘッドホンでの聴こえ方とスピーカでの聴こえ方は違う
片方だけを基準に作業すると、もう片方で非常にバランスが悪くなる事があります。出来る限り色々な環境でチェックして、平均的に良いバランスを目指しましょう。
エフェクタを伸び伸び使えるかどうかはパソコンの能力次第
ベタベタとエフェクタを付けていくとわかりますが結構重くなります。必要なエフェクタは何か、険しい目で見極めないとパソコンが重くて大変になります。

これらは常に頭の片隅に入れておいて下さい。完成品質に大きく影響するはずです。

エフェクトの付け方

Mixer 上で付けたいトラックの FX1 か FX2 の下にある「NoFX」をクリックする事でエフェクタを選択できます。

エフェクタ

エフェクトをかける順番は重要です。例えば FX1 にリバーブを使い FX2 にコンプレッサーを入れてしまうと、残響に対してもコンプレッサーが有効になり自然にフェードアウトするはずの残響が不自然な響きになってしまう事があります。

またチラッと話題に挙げましたがKRISTAL では標準で2つまでしかエフェクタを使えません。更にエフェクタを一度付けてしまうと順番の入れ替えが出来ず、一度外して再設定しなければならなくなってしまいます。そのため EffectChainer を FX1 に割り当て、そこからエフェクト付けをしていくといいと思います。

EffectChainer の使い方

エフェクタリストから EffectChainer を選ぶと青いウィンドウが登場します。

角の丸い枠の中で左クリックするとポップアップメニューが出るので、その中から VST -> Plugins -> と辿っていくとインストールしたエフェクトの一覧が登場します。その中から使いたいエフェクトを選ぶと読み込まれ操作用のウィンドウが出てきます。

EffectChainer にエフェクタを読み込んだところ

このようにエフェクタを読み込むたびに下に枠が追加されていくので、CPU の能力の限界までどんどんエフェクタを追加していくことが出来ます。

またエフェクタのタイトルの左側のVSTと書かれている部分をドラッグすると順番の入れ替えが出来ますので、リバーブだけ付けようと思っていて途中でコンプレッサーを使おうと思った場合など、順番を入れ替えたい時にもすぐ入れ替え可能です。

エフェクタの右側にある3つのボタンは左からそれぞれ「有効/無効切り替え」「ソロ」「設定ウィンドウ表示」の機能が割り当てられています。

どんなエフェクトを使うか

ボーカルの場合

私がよくボーカルにかけるエフェクトは、コンプレッサー(BLOCKFISH)とディエッサー(SPITFISH)とリバーブ(Classic Reverb)あるいはディレイ(Classic Deley)で、その他にイコライザで低音を少し削ぎ落とします。

ボーカル自体に特殊な効果を与えたい場合などにはもっと色々使う事もありますが、基本的にはこれらで済ませています。

マスターチャンネルの場合

マスターチャンネルのエフェクトについて詳しくは後ほど語りますが、今回のように曲が既に完成されている場合はマキシマイザーイコライザ(TLs MASTERING MAXIMIZER)で間に合うでしょう。曲を作る時にはもっと色々使う事がありますがそれについてはまた今度の機会に……。

コンプレッサー

ボーカルにコンプレッサーをかける場合は結構きつめにかけても問題ない場合が多いです。

エフェクタを紹介するところで「何も考えずにかけてしまうと声が出ていない時のノイズなども大きくなってしまう」と書きましたが、無音部のデータは先ほど切り落としたのでそこまで酷いことにはならないでしょう。

BLOCKFISH の設定例

私の設定例です。compression を強めにして response は速く、Saturation は無しで low cat を有効にしています。

ちなみに vca と opto の切り替えで内部処理が切り替わりますが、opto にすると CPU 負荷が若干増える代わりに聴覚上の音の変化が少ないまま音量を上げたり出来るようになります(opto はどちらかというとリミッター的な使い方に適していると思います)。

ディエッサー

ディエッサーは常に使うものではありません。耳障りな音が気になった時にだけ入れます。

設定は状況に応じて様々だとは思いますが、基本的には気になる箇所が気にならなくなるまで弄り倒すしかないでしょう。

リバーブ

リバーブのかけ方に失敗する人は非常に多いのですが、リバーブは曲によって様々なので比較的難しくもあります。

実は Classic Reverb には「Vocal Ambient」というプリセットが最初から用意されていて、これがまた上手い具合に設定されているので結構これだけで済ませられちゃったりします。

穏やかな曲調の曲などにはもう少し暖かみのあるリバーブが欲しくなると思うので、そういう場合は減衰が長めのリバーブを非常に薄めにかけると雰囲気が出ていい感じになります。これは例えばプリセットの「Vocal Hall 1」の MIX を「Vocal Ambient」の MIX ぐらい DRY 寄りにした感じです。

ディレイ

リバーブで大抵事足りるためディレイはあまり出番はありません。

リバーブを使うと曲がなんだか濁って聞こえてしまう場合などに、ディレイにするとスッキリする事があります。

イコライザ

オーディオ機器などにもイコライザが付いてるのは珍しくないと思うので機能の説明は省きます。

ただし、KRISTAL のイコライザは3バンドパラメトリックイコライザですので、普通のオーディオ機器などのイコライザに慣れている人にはちょっと扱いにくいかも知れません。その場合 Kjaerhus Audio Classic シリーズの Classic EQ を使ってみるともっと馴染みやすいでしょう。

イコライザは Mixer の FX1 と FX2 の更に下にさり気なく存在しています。

イコライザ

「 e 」ボタンを押すと操作用のウィンドウが表示され、その右側のボタンを押せばイコライザが有効になります。

イコライザ操作用ウィンドウ

ボーカル用のイコライザの設定は声質によって違うので何とも言えませんが、基本的には低音を削って整えます。私の場合は恐らくこんな感じです。

マスター用エフェクト

音割れ対策の時にちょっとだけ弄ったところですが、これをマスターチャンネルと呼びます(マニュアルへのリンク)。

マスターチャンネル

チャンネルストリップとほぼ一緒ですが、FX3 がある、音量フェーダーが2つあるなどの違いがあります。音量フェーダーは Alt キーを押しながらドラッグすると片方だけ動かす事が出来ますが、使う事はそんなにないでしょう。

下部にある MASTER の上の入力欄は再生に利用するデバイス名です。

この音量フェーダーは特別な理由がない限り -0.0 にしておいて下さい

Waver やチャンネルストリップ、マスターチャンネルなどは以下のように処理が流れていきます。

データの流れ

このように、マスターチャンネルの音量フェーダーは流れの一番最後にあり、これを -0.0 以外に設定すると音割れしたり、どんなに大きな音量にしても Wave ファイルの限界まで波形がのびなかったりといい事がありません。

マスターチャンネルにかけるエフェクトは今回は TLs MASTERING MAXIMIZER だけです。大抵の場合曲側は作曲者がそれなりにいい感じのバランスに仕上げてくれていると思うので、これだけあれば充分のはずです。

TLs MASTERING MAXIMIZER

TLs MASTERING MAXIMIZER の起動直後は下部のイコライザが表示されていませんが、左下の「 EQ 」をクリックすれば表示されます。

上部のバーを右に動かす事で音量をある程度上げる事が出来ます。市販のCDなどと比べて音量が小さい場合などにはここで増量して下さい。ただし上げた分だけ波形は歪んでいきますので程々に。

音が暗かったら低音を少し削ってみたり高音を少し増やしてみたりするなどして、好みの音質に弄ってください。ヘッドホンだけではなくスピーカーなどでもチェックしてください。ヘッドホンで低音が丁度いいと思っても、スピーカーで聴くとかなり弱く聴こえたりする事がよくあります。

Wave ファイルへ書き出し

データが完成したら書き出して Wave ファイルにします。

が、その前に最終チェックをしましょう。

データの最終チェック

書き出す前に一応最終チェックをしましょう。

いらないトラックは正しくミュートされているか
せっかく頑張って作ったデータにゴミが入っていたら台無しです。
エフェクトはかけすぎていないか
しつこく言いますが既存曲などとよく比べてください。ソロ再生でのバランスに満足してはいけません。
バランスは取れているか
音楽が小さすぎたり、声が小さすぎたりしないかチェックしましょう。このバランスひとつで完成度がグッと変わってきます。
音量は適切か
音が小さいだけでショボく聴こえてしまうこともあるので気をつけましょう。

書き出す範囲を指定する

最終チェックが終わったら、Wave ファイルとして書き出す範囲を指定しましょう。

Waver 上にはタイムルーラーと呼ばれる箇所があり、ここを Ctrl を押しながら左クリックすると始点を、Ctrl を押しながら右クリックすると終点を指定できます(この指定しているものをロケーターと呼びます)。

タイムルーラー

この赤で囲まれた部分がタイムルーラーです。この例ではボーカルが始まる前までを範囲に指定しています。

書き出す

書き出すにはメニューから File -> Export Mixdown... を選択すると、馴染みのある名前を付けて保存ダイアログに、下にチャンネル数の選択とビット深度の選択があります。

通常の場合は Stereo / 16Bit で構いません。

ファイル名を決めて保存ボタンを押すと書き出しが始まり、終わればファイルの完成です。

書き出し中...

望み通りのファイルは出来上がりましたか?

全ての作業を終えて

文章を書いている側としては結構大変だったんですが、作業してみると恐らくややこしい事はあっても難しい事自体はそれ程なかったのではないかと思います。

エフェクト付けなどは試行錯誤の繰り返しで納得の行くものが出来上がるまで戦うしかありません。この辺はあなたにとってベストな方法を自力で見つけ出してください。

「千里の道も一歩から」「ローマは一日にして成らず」等という言葉があるように、良いものを作るためにはそれなりの工程が……しつこいよ!


その他アドバイス

今思いついた分だけ書いておきます。

フェードアウトで終わる曲

フェードアウトで終わる曲を歌う場合、KRISTAL 上ではフェードアウトさせない方が綺麗に仕上げられる事があります。

コンプレッサーやリバーブを使っている場合に Waver でフェードアウトを設定してしまうと、コンプレッサーが変に掛かってしまったりリバーブだけフェードアウトせずに強調されてしまったりします。

元データのカラオケ版自体がフェードアウトしている場合にはどうしようもないですが、そうでなければ書き出した後の Wave ファイルを別なソフトでフェードアウト処理するようにしましょう。

また、作曲者はフェードアウトで終了する曲データのカラオケ版を出す場合はフェードアウトさせてない状態のデータを出した方が親切です。

細かい事ですが心掛けておくと出来るヤツに見えるかも知れませんよ。