トラクターの電装まわり4

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クボタ・トラクタGL27で、自動耕深制御で誤作動が出るためコントローラを交換します。

1週間前、自動耕深で耕うん途中に突然ロータリが深く沈み込んでしまう症状になるという事で、現場に向かいそこで何度もテストしてみたのですが、その時は一度もその症状が出ず、また自己診断モード(後述)でセンサの異常が出ているか確認しても全く問題ありませんでした。

症状を自分の目で見ない事には確実な対処が出来ないため、その症状が出たらエンジンを切らずにすぐ連絡をしてもらう旨を伝えその日は帰りました。

それから数日後、やはり連絡がありすぐに現場に向かって確認してみると、確かにオート耕深調節ダイヤルは最浅位置なのにロータリは深く沈み込んでいました。

その沈み込んだ状態において、手で直接カバー・センサ・ワイヤを作動させてみるとロータリは上がり下がりするので、カバー・センサとそのカプラ配線に接触不良がない事が改めてはっきりし、油圧レバーを上げ下げしてもロータリは正常に上がり下がりするので、「ロータリが深く沈み込む」以外は、ECUが電気信号(電圧)を受けて制御出来ている事が分かりました。

(カバー・センサは、接触不良等で一瞬でも通電がなくなると手で直接ワイヤを作動させても上がり下がりしなくなるもので、仮にすぐ通電するようになったとしても、ポンパ・レバーか油圧レバーを1回操作してロータリを上げないと自動耕深制御が復旧しない仕組みになっている)

また、メータ・パネルには何ら異常を示すランプ(このトラクタは自己診断ランプのみ)は点灯点滅していません。

そして、自己診断モードにも正しく入れる事からECUは正常に働いていると考え、現状ではECUとセンサを繋ぐ信号線、またECUとコントローラを繋ぐ信号線に漏電やアース不良はないと考える事が出来ます。

コントローラの各スイッチ(このトラクタはバック・アップ・スイッチのみ)もメータ・パネル上で切り換わりを確認出来て、尚且つモンロを含む実際の動作も正常です。

このように整理していくと、オート耕深調節ダイヤル以外の制御は全て問題ない事が分かりました。


したがって、オート耕深調節ダイヤルを含むコントローラの故障を疑い、コントローラを交換するという事です。

皮肉にも自己診断モードで唯一確認出来ないのが自動耕深ダイヤルなんです。

また、これらの状況証拠でコントローラではなくECUに異常がある可能性を完全に否定する事は出来ませんが、今回のように部分的な異常がたまに出る場合は、センサやコントローラの故障、またはカプラ配線の接触不良など何れかに問題がある事が殆どなので、ECUはまず問題ないと考えています。


他にあり得るカバー・センサ(ポテンショ・メータ)の故障で、急にある角度だけ抵抗が高くなる症状がありますが、このトラクタはロータリ・カバーが上がった時に抵抗値が高い方に変化するので、仮にそうなった場合はロータリが上がってしまうはずなので、その可能性は無くなります。

コントローラを外します。

マイナス・ドライバでコントローラのツメの部分を押さえて少しずつ起こしていきます。

分かり難いですが、片側3ヵ所(両端、中央)のツメ部分を左中右の順番で少しずつ起こしていきます。

一気に起こすと割れる恐れがありますが、今回は交換なので割れても構いません。

ある程度起こしたら、後は手で外します。

当たり前ですが、配線が繋がっています。

モンロ手動SWのカプラ(コネクタ)を外します。

オス側カプラ(青色)の中央のツメを押さえて引き抜きます。

ちなみに、同形の白いオス側カプラが余っていますが、これは昇降用カプラで、このカプラに差し換えると緊急時にロータリを上げ下げ出来るようになります。

ECUに差し込んであるカプラを引き抜きます。

中央の金属ツメを押さえて引き抜きます。

左写真のようにコントローラは分解不能です。

カプラ差込口回り(ECU、モンロ手動SW)をエレクトロニック・クリーナで洗浄しておきます。





新品コントローラのカプラ配線をECUに取り付けます。

ほぼ屋外である場所(現場)で交換しているのですが、雨が降ってきたので少し急ぎます。

「カチッ」と音がする!?まで指で確実に押し込みます。

モンロ手動SWのカプラも接続します。

配線を噛み込まないように気を付けて、新品のコントローラを取り付けます。

全体を指で押さえてしっかりはめ込みます。

新品コントローラを取り付けたらECU(マイコン・ユニット)の微調整(書き換え)が必要になります。

微調整と言っても決して難しいものではなく、数分で終わる簡単な作業です。

コントローラには自動水平(モンロ角度)と高さ規制(リフト・アーム上限)のダイヤルがあるので、これらの制御の基準になる値(電圧)をECUに書き換えしなければいけません。

これをやらないと、モンロ角度ダイヤルは水平位置にしてあるにもかかわらずロータリが水平にならなかったり、油圧レバーを最上位置にしてあるにもかかわらず思ったよりロータリが上がらない可能性があります。

最初にトラクタを平坦(水平)な場所へ移動させ、コントローラの各設定を左写真のようにします。

モンロ/3P切換を「切」、オート切換を「切」、モンロ角度を「水平」、リフト・アーム上限を「高」の位置です。

ロータリ・カバーは完全に垂れた状態です。

次に、油圧(ポジション)レバーのガイド・ストッパを固定しているボルト(頭部12㎜)を緩め、ガイド・ストッパを横にずらします。

エンジンを始動し油圧レバーを最上位置にして、ロータリを上げ油圧をリリーフさせます。

油圧をリリーフさせる理由は、リフト・アーム・センサを確実に上端にするためです。

そして、この油圧がリリーフする状態(ロータリ最上位置)でモンロ手動SWを操作し、ロータリをトラクタ本体に合わせて水平にします。

最後にエンジンを停止し、油圧レバーのガイド・ストッパを元に戻し、油圧レバーを最上位置にします。

これらが微調整をするにあたってのトラクタとロータリの基準状態です。

ちなみにGL型の3桁シリーズからは、高さ規制ダイヤルを「油圧取出」位置にしてモンロ手動SWでリリーフさせる事が出来るので、さらに簡単です。

落下速度調整のグリップを引き抜き、頭部12㎜の固定ボルトを4本外しシート下の前面カバーを外します。

落下速度調整のグリップは差し込んであるだけです。





20年以上前の古いトラクタという事もあり、カプラ(ジャンパ)の抜き差しにてECUの微調整を行います。

白いカプラが微調整用で、黒いカプラが自己診断用です。

微調整なので、白いカプラを外してキーSWをON(エンジンは始動しない)にします。

メータ・パネル上で、ランプ切れチェックのため「自己診断ランプ」が1回(一瞬)点滅します。

白いカプラを接続すると「自己診断ランプ」が連続点灯します。

この連続点灯がECUの書き換え、つまり微調整が正しく完了したサインなのでキーSWを切ります。

後は、シート下の前面カバーを取り付け、落下速度調整のグリップを差し込んで修理完了です。

ちなみに連続点灯せずに点滅する場合は、点滅回数に応じた部品の不良が疑われます。


もう1つの自己診断モードは、トラクタとロータリが基準状態にて、ECUがセンサを経由した電圧を読み取り各センサの良否を判断する機能で、異常が出た場合は該当するセンサの確認と関係する配線の漏電、断線等をチェックするのに役立ちます。

しかし、これはあくまでトラクタとロータリが基準状態にてECUが読み取る(比較判断する)電圧なので、使用時のロータリが上下する状態などの変化する電圧を読み取り判断する訳ではなく、センサの良否を確実に判断出来るものではありません。

ちなみに、この後の型(KL)以降は、変化するセンサ電圧をメータ・パネルに表示出来る機能があり、これは本当に助かります。

自己診断モードに入るには、トラクタとロータリを微調整する時(前述)と同じ基準状態にして、黒いカプラ(ジャンパ)を外してキーSWをONにします。

メータ・パネル上で、微調整の時と同じように「自己診断ランプ」が1回点滅後に連続点灯すれば異常がなく、点滅すれば点滅回数によってどのセンサが不良なのか分かるようになっています。

4回点滅ならポジション・センサ、5回点滅ならカバー・センサなどといった具合に決まっているのです。





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