トラクターの足まわり4

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クボタ・トラクタGL25で、フロント・アクスル・ケース中央部からのオイル漏れです。

左写真は洗車後ですが、ケース全体にオイルが付着した、漏れ出た跡があります。

普通に考えれば、フロント・アクスル・ケースのプロペラ・シャフトが取り付く軸部からのオイル漏れですが、このトラクタの場合は、まずミッション・ケース側のプロペラ・シァフトが取り付く軸部からのオイル漏れを疑います。

ミッション・オイルがプロペラ・シャフト・カバーの中を伝って、フロント・アクスル・ケース外側に漏れ出ている可能性があるという事です。

前後のプロペラ・シャフト・カバーを連結しているパイプ・ジョイントのホース・クランプのネジを緩めます。

ホース・クランプの締め付け固定が取れると、やはりオイルが漏れて出てきます。

プロペラ・シャフト・カバーを引き抜くと、更にオイルが漏れて出てきます。

フロント・アクスル・ケース側も同様にプロペラ・シャフト・カバーを引き抜きます。

カップリングのロール・ピンを外し、プロペラ・シャフトを外します。

カップリングは前後2つを外さないといけません。

左写真は、取り外したプロペラ・シャフトです。

プロペラ・シャフトとカップリングに向きはありません。

推進軸のスリーブが抜け出てきています。

これがオイル漏れの直接的な原因です。

スリーブを外す前に、ミッション・ケース内のミッション・オイルを抜いておきます。

スリーブを外します。

スリーブ内面ゴムと推進軸との密着性が失われているため、マイナス・ドライバで簡単に外せます。

オイル・シールを外しますが、この状態で外すのを止めます。

推進軸のスリーブ接合面を傷付ける可能性をなるべく排除しておきたいので、推進軸を引き抜いて位置をずらしてオイル・シールを外します。

最初に外したスリーブと同じスリーブが更に奥に付いているのですが、推進軸を割と簡単に引き抜く事が出来たので、これも同じく密着性が失われているようです。

仮にスリーブ接合面を傷付けてしまったとしても、組み付ける時に向きを変えれば問題ありませんが…。

推進軸を引き抜いて外します。

エンジン・フレーム前方でジャッキを効かせた後、フロント・アクスル・ケースの前後のホルダ固定ボルトを外してからジャッキ・アップし、フロント・アクスル・ケースを横ずらしないと推進軸は長いため外せません。

タイロッドは外さなくても出来ます。

カラー、ベアリングの順に外しますが、ベアリングが途中までしか抜けてきません。

推進軸を外す時に、推進軸に残った奥のスリーブを使いベアリングを一緒に外そうとしたのですが失敗です。

ベアリングを外す工具を適当に自作します。

自作の工具でベアリングを外します。

左写真のように工具を入れ、柄の部分をハンマで叩きます。

ミッド・ケース内に落ちているスリーブと推進軸のカップリングは、左写真のようにフレシキブル・マグネットを使って回収します。

そして、オイル・シール接合面回りの赤錆は、潤滑材を吹き付けた#1000の耐水ペーパで磨いてきれいにしてからウエスで拭き取り、コンプレッサでエア吹き掃除しておきます。

左写真は、取り外した推進軸です。

推進軸、つまりこの後側のプロペラ・シャフトは、最初に外したプロペラ・シャフトと同じで向きはないので、前後入れ換えて取り付けても問題ありません。

もちろんカップリングも同じです。





推進軸を取り付け、スリーブ、ベアリングの順に打ち込みます。

推進軸は、先端にカップリングを取り付けて落ちないようしてミッド・ケース奥の出力軸に入れますが、これは手応えでも入ったかどうか分かります。

推進軸が確実に取り付いたかどうかを確認するには、ギヤが前後進どちらかと4駆に入った状態では推進軸を手で回せないが、2駆にすれば手で回せる事です。

ベアリングの奥に入れるスリーブは、打ち込み過ぎて規定位置より奥まで入れないために、ある程度打ち込んだらベアリングを入れ、ベアリングを打ち込んでベアリングの内輪でスリーブを押し込んでいきます。

カラーを入れてから、スリーブとオイル・シールを少しずつ交互に打ち込みます。

スリーブとオイル・シールは、左写真のように密着(摺動)させて取り付けていくのがポイントです。

これは、スリーブを先に打ち込んでしまった後にオイル・シールを打ち込むと、シール・リップ部がスリーブに引っ掛かりバネが外れる恐れがあり、逆にオイル・シールを先に打ち込んでしまった後にスリーブを打ち込むと、スリーブでダスト・リップ部を押し込んでしまう恐れがあるからです。

オイル・シールを打ち込む時にあてがうパイプです。

予めグラインダで削って、オイル・シールの外径とほぼ同径(僅かに小さい)にしてあります。

オイル・シールにパイプをあてがって、その上をハンマで叩いてオイル・シールを打ち込みます。

同様にスリーブに合うパイプをあてがって、その上をハンマで叩いてスリーブを打ち込みます。

どちらかを一気に打ち込んでしまわず、少しずつこれを交互に繰り返すのです。

スリーブとオイル・シールを奥まで打ち込んだら、推進軸を軽く引いて遊びがないか確認します。

遊びが無ければOKですが、遊びがあった場合は最悪です。

奥のスリーブが入り過ぎているという事になるので、やり直しになります。

プロペラ・シャフトを取り付ける前に、フロント・アクスル・ケース中央部の前側まで付着したオイル跡が気になるので、フロント・アクスル・ケース中央部のオイル・シールとプラグを確認する事にします。

更にジャッキ・アップしてから、フロント・アクスル・ケースの前後のホルダ(前車軸ホルダ)を外します。

後側のホルダから外します。

手でホルダを掴んでグイグイと引き抜くだけです。

タイロッドは外さなくても出来ます。

やはり、ピニオン軸回りからのオイル漏れは無さそうです。

前側のホルダを外してみると、プラグが外れています。

何故こうなったか分かりませんが、これではフロント・アクスル・ケースのギヤ・オイルが漏れ出てしまいます。

つまり、推進軸とこのメクラ栓の2箇所からオイルが漏れていたという事です。

プラグを外します。

奥に見えるのは前輪デフのベベル・ギヤです。

フロント・アクスル・ケースのギヤ・オイルを抜かずに行ったので、この穴からギヤ・オイルが出てきています。

左右のベベル・ギヤ・ケース(前輪内側)にあるドレン・ボルトを外してギヤ・オイルを抜きます。

左写真は、取り外した前側のホルダとプラグです。

丸い金属板は、フロント・アクスル・ケースの遊び量を調整するために使用するスラスト・カラーです。

折角なので、後側のピニオン軸のオイル・シールも交換します。

左写真は、取り外したオイル・シールです。

オイル・シールの接合面をきれいにします。

潤滑材を吹き付けた#1000の耐水ペーパで磨いて赤錆など汚れを落としたら、ウエスで拭き取りコンプレッサでエア吹き掃除しておきます。






オイル・シールを取り付けます。

摺動部に薄くリチウム・グリースを塗付してから、オイル・シール大気側面の縁をハンマで打ち込みます。

対角線上にずらしながら打ち込むのがポイントです。

プラグを取り付けます。

こちらは、プラグ接合面の油分をパーツ・クリーナ等で完全に取り除き、液体ガスケットを塗付して取り付けます。

指で簡単に押し込めてしまうため、心配なので液体ガスケットを塗っています。

前後のホルダ内のブッシュ回りをきれいにしたら、前側のホルダの調整ボルトを外しておきます。

液体ガスケットが乾くまで1日待ちます。

前車軸ケース支持部の前面に、リチウム・グリースを塗付したスラスト・カラーを指で押さえ付けておきます。

ホルダのブッシュ回りには前もってリチウム・グリースを塗付しておき、スラスト・カラーを落とさないようにしてホルダを取り付けます。

左写真のように予め調整ボルトを外しておかないと、エアが抜けずホルダが嵌らなくなります。

調整ボルトを外さずしてホルダを無理に押し込むと、最悪はエアでプラグが奥に押し出され斜めになってしまいます。

前後のホルダを取り付けて固定ボルト6本を締め付けたら、ジャッキ・アップし直して前輪を浮かし、前車軸の揺動荷重の調整を行います。

ホルダ固定ボルトの取り付けに関しては、シノなどを使いネジ穴を合わせれば比較的簡単に出来ます。

下がっている方の前輪を手で軽く持ち上げ、再び緩やかに下がる感じに調整します。

正確には前輪を外した状態での前車軸の揺動荷重は5~12kgfですが、固着していなければOKで割りと適当です。

ナットでしっかりロックしておきます。

ジャッキを下げます。

スプラインにリチウム・グリースを薄く塗付してから、プロペラ・シャフトを取り付けます。

カップリングを入れてロール・ピンを打ち込みます。

前車軸側も確実にロール・ピンを打ち込みます。

Oリングにも薄くリチウム・グリースを塗付してから、プロペラ・シャフト・カバーを前後とも確実に入れます。

後は、ミッション・ケースとフロント・アクスル・ケースにそれぞれミッション・オイルを適量入れて完了です。





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