田植機の足まわり2

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クボタ田植機SPU650で、左旋回後ステアリングを真っ直ぐに戻しても左旋回のサイド・クラッチ・アームが戻りきりません。
この時、右旋回すればサイド・クラッチ・ロッドが強制的にサイド・クラッチ・アームを押し戻してくれるので、押し戻した分だけは戻ります。

しかし、完全に戻らない状態です。

サイド・クラッチは切れるので旋回は出来るし直進走行も問題ないのですが、戻りきらないのは明らかにおかしい状態だと思います。

気にせず使っていればそれまでですが…。

左の後車軸ケースを分解してみます。

ジャッキ・アップして後輪を外します。

頭部14㎜の固定ボルトを全て外します。

ケース接合面にスクレーパなどを入れ、後車軸ケースを2つに割ります。

ケース接合面には液体ガスケットが塗ってあります。

左写真では伝導軸も一緒に外れてきてます。

奥に見えるベアリングに伝導軸が収まります。

手前に見えるものはサイド・クラッチ・アーム(フォーク・ロッド)です。

サイド・クラッチ・アームを外してみると、押し当て部が摩耗して楕円形になっています。

サイド・クラッチ・アームは部品交換します。

これが原因!?と思い、手間でしたがサイド・クラッチ・アームだけ交換して試しました。
しかし、結果は同じだったので再び後車軸ケースを分離しました。

後車軸ケースの片割れ(外側)です。

伝導軸にサイド・クラッチが取り付いています。

左写真で伝導軸の端に12Tギヤがありますが、伝導軸と12Tギヤは一体ではなく噛み合ってもいません。
伝導軸は、12Tギヤの中央穴に差し込んであるだけです。

12Tギヤとクラッチ・ケースが互いの凹凸になっている部分同士で、次項写真のように常時噛み合っています。

サイド・クラッチが切れる仕組みを簡単に説明します。
サイド・クラッチは、左写真のような状態で組まれています。

ステアリングを切ると、サイド・クラッチ・アームの押し当て部(カム機構)がカラーを介してスプライン・ボスを右側へ押します。
この時スプライン・ボスの内側にあるスプリングを押し込むことで、クラッチ・ディスクとフリクション・プレートの間に隙間が生じ摩擦力が無くなります。

所謂、クラッチが切れる状態になります。





サイド・クラッチを取り外します。

伝導軸から引き抜くだけで簡単に外れます。

手で掴んでいる箇所はスプライン・ボスです。

穴用スナップ・リングが見えますが、これを外して分解します。

湿式クラッチにおいて、このスナップ・リングの脱着はやっかいです。

取り外しは無理矢理でも外れますが、取り付けには工夫がいります。

強力なスプリングでスプライン・ボス(奥に軸用スナップ・リングとプレートがあり)を手前(穴用スナップ・リング側)に押し付けているので、フリクション・プレートとクラッチ・ディスクが凄い圧力で手前に押されています。

したがって、穴用スナップ・リングを取り付けるにはスプリングを縮める必要があります。

その方法は、例えば大きめの万力で挟んで縮めたり、トラクタのフレームとジャッキで挟んで縮めたりできます。

クラッチ・ディスクとフリクション・プレートは交互に取り付いていますが、それをを1枚づつ順番に外してみても膠着もなく最初は問題があるようには思えませんでした。

しかし、よく見るとフリクション・プレートのガイド部(クラッチ・ケースとの合わせ部)が変に摩耗しています。

左写真のような摩耗痕が全てのフリクション・プレートにあります。

このバリがクラッチ・ケースのフリクション・プレート合わせ部に引っ掛かるのでしょうか…。

旋回後ステアリングを戻して直進状態になった時、スプライン・ボスをスプリングで押してるとはいえ、この部分が多少引っ掛かるとスプライン・ボスが戻りきらなくなるのかもしれません。
この程度で引っ掛かるのか疑問ですが…

しかし、戻りきらなかったとしたらサイド・クラッチ・アームも十分戻らないと思います。

どうもすっきりしませんが、正直原因がよく分からないのでサイド・クラッチをASSYで交換します。

新品のサイド・クラッチをASSYで交換します。

ASSYなのでスナップ・リングを苦労してはめる必要もありません。

このまま伝導軸に取り付けるだけです。

組み付け後、液体ガスケットが乾いてからギヤ・オイルを入れ動作確認をしたら、サイド・クラッチ・アームが戻るようになっていたので良しとします。





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