独り言などなど…


 私が初めてヘルマン・ブロッホを知ったのは、学生時代のことでした。
 随分昔のことになります。十年一昔と言いますが、その3倍以上になるのですから。
 そんな昔の思い出話になってしまいますが…
 当時まだ電気冷蔵庫が普及しきれず、横須賀辺りではまだ木製の氷を入れる冷蔵庫が使われていました。そんな地区で大学一年の夏休みに氷屋さんでアルバイトをしていました。氷屋さんでのアルバイトは大学2年の夏まで続けていました。最初の年の夏祭りの日にお店のおかみさんから御祝儀をもらったのです。千円でした。その日の帰り道、本屋さんに早速寄って、何か買える本はないかと、探していたところ、新刊として集英社の世界の文学という全集のうちの一冊で「ウエルギリウスの死」が発売され、書店に並んでいました。その帯に左上の写真が掲載されていたのです。もっと写真は暗かったように思います。この写真はすこし明るく加工しました。この哲学的な顔にまさに惚れた…のです。その日から読み始めました。しかしギョッとしました。余りにも難しく…とても太刀打ちできそうにもない。そんな気持でした。せっかく買った本だしと思い、毎日数頁ずつ蟻がはい回るような感じでトボトボと読み続けました。それでも難解さは変わらないのですが、段々と読めるようになってきたのです。私自身まだ若く言葉の知識も豊富ではなく、無理が相当あったのだと思います。結局最後まで読み通しました。そして私は無謀にも決心しました。卒業論文に取り上げよう、と…。それは全く無謀な計画でした。それというのも当時に至るまで「罪なき人々」という長編一冊しか翻訳がなかったからです。しかもすでに絶版となっていたのです。その事実を知ったとき、ううっ…と考え込んでしまいました。
 少なくとも卒論にするには、全体像は当然としてかなり詳しいところまで知っていなくてはならないはずで、愕然としてしまったのです。
 結局卒論を書き上げるまで新しい翻訳は出版されませんでした。
 やむなく、rowohlts monographien "Hermann Broch" という伝記(通称RoRoRoといいます)を買い込み部分的に翻訳?(体裁はいいが…)をし始め、資料としました。この伝記は久しく版は絶えていましたが、最近再度出版されて、当時の表紙はモノクロでしたが今はカラー印刷になっています。写真と実証による伝記という事でした。新しい版は写真が少し減ってしまいました。これはつい最近手に入れました。当時使ったものは今でもありますが、もうバラバラになってしまい、クリップで束ねた状態になっています。自分で苦労して訳したので、捨てられないのです。
 研究の第一歩はそんな風に始まりました。中間で、学部祭などのおりに研究発表などをしましたが、その時にはたいしたレベルでもないのに学科の主任教授以下、お歴々が席の一番前を陣取っているのを見てギョッとしたものです。(はずかしかった〜)
後で聞いた話なのですが、当時ヘルマン・ブロッホについての論文を書いた学生は一人もいず、私が初めてだったそうです。そのために先生方が喜んでいたようです。翻訳をした学生は一人だけいたそうです。
それから三十数年いまだにヘルマン・ブロッホは私にとって重要な位置を占めています。しかし、その間には随分浮気をしていて、ヘルマン・ブロッホ一筋というわけではなかったのです。日本の古代史に凝ってしまったりして
長期間ご無沙汰してしまいました。
ここ数年になって、年のせいでしょうか、文学というものに改めて魅力を感じて再び始めた次第です。
 まだこのホームページも作り始めたばかりなので内容はほとんど有りませんが、蟻のごとくにチョボチョボと少しずつ完成に近づけていきたいと思っています。
 
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