那国島 13 / APR *SAT*



「おはようございまぁす」。
食堂に行くとオバアはすぐ朝食を用意してくれる。昨日の夕食がまだ内臓につっかかってるというのに、朝からこんなに食べるのは1年ぶりってくらいの量・・・。ゴーヤの卵とじ(さすが沖縄!)、焼き魚、みそ汁、生卵、漬物、海苔にまたも山盛りのご飯。美味しいけれどある意味拷問。このままでは確実に太りそうなので(その前に胃がパンクしそうだけど)、
「今日は夕食、外で済ませてきますね。」
「ええ、ええ、自由にしてください」。

今日は自転車を借りて島1周サイクリング! オバアがすぐ近くの‘与那国ホンダ’まで案内してくれる、徒歩3分。営業時間はよくわからないが1日1000円。ところが、マウンテンバイクを貸してくれるんだろうと思いきや、
「はいどうぞ〜」
とおっさんが裏から乗ってきたのは前かご付き変則なしの
ママチャリ・・・。そして、ここで自転車を借りて同じく島1周したというYちゃんからの情報に、楽勝だろうと甘くみていたのだが実際はとんでもなかった!! 島は1周30km、しかもかなり起伏が激しく平坦な道路は空港周辺のみ。上り坂はとてもこいで上がれず、そして下り坂は前に転倒しそうなほどの急勾配。気温は23℃くらいと涼しく、離島ゆえ風が強いので(向かい風だとなお辛いんだけど)体感温度はもっと低いはずだが、それでも5分で汗がにじんでくる。
まず祖納集落のはずれにある浦野墓地群。

沖縄特有の‘亀甲墓’という
3〜4mもありそうな巨大な墓石
(大きさが家の権力を象徴するんだって)
が海岸沿いの斜面に並んでいて
不思議な迫力
ダイナミックで異国情緒を感じる

墓地から東へ走ること3km、島東端の東崎(あがりさき)。太陽が上る方角なので、沖縄では東のことを‘あがり’と言います。灯台があって馬が草をついばんでいる以外には何もないし、荒波の向こうにも何も見えやしないが(空気が澄んでれば西表島が見えることもあるとか)、海の深い青と芝生の緑のコントラストがきれい。風力発電用の風車が強風にあおられてびゅんびゅん回っている。

島の南端に沿って
もう頭にくるほど上ったり下りたりの道路

‘軍艦岩’のところでタクシーをチャーターしてまわっているおばさん3人組に話しかけられる。
「まぁ、自転車だなんて
若いわねぇ!!
いや、こんなに起伏が激しいと知ってたらバイク借りてました・・・(レンタバイクは原付だと1日3000円です)。大河ドラマ『琉球の風』のロケが行われた記念碑があったりする。

島の南東海岸‘立神岩’
比川という集落まで
たらたら自転車を押して歩く私を
動物たちが見物してくれる

この島、‘ヨナグニサン’という世界一大きな蝶が生息しており、亜熱帯の森の道路を歩いているだけでハタハタ(というよりバサバサって感じ)と飛ぶそれらしき巨大な蝶が目につく。羽根広げると20cmはありそうで、蝶とわかってるからいいものの蛾だったら怖すぎる。この蝶の観察にやってくる昆虫マニアも多いらしい。

比川集落まで走れば、島の東半分走破!
走行距離すでに10km以上


比川で遠浅のビーチに座ってぼんやりするが
さすがにまだ寒く風も強く、泳げそうにない

この時点で昼前、一度民宿に戻って水分補給する

「どこ行ってきた?」
「東崎と立神岩の方と比川、東半分周ってきました」。
オバアのところには近所のおばさんが世間話にやってきていて、
「まぁ、こんなきれいな人がひとり?」
ここに来て急にそうきれいだの美人だの言われると、沖縄の美人の基準というものが本土とちょっと違うんじゃないかと思ってしまう。

今度は島西端の西崎(いりざき)。東をあがりと呼ぶのに対して西は‘いり’。

ここがほんとの日本最西端!
といっても何もありません
碑と蝶の形の展望台
(木造で壊れそうで立入り禁止に・・・)
があるのみ

ここからも空気が澄んでいれば110km先の台湾が見えるらしいが、本日不可能。期待していたが、中たけオバアも言っていたが、そう簡単には見られないらしい。後から聞いた話では、昨日は少し見えたとか。ちなみに与那国から石垣までは117km、台湾の方が近いんです!

島の西側には久部良(くぶら)という集落がある。どの本にも載っていてYちゃんにも「絶対行け!」と一押しされたカレー屋‘ユキさんち’で日替わりのカレーをいただく。ログハウス風で開放的、海が見えるテラス席、あぁ南国

「ちょっと多かったかな・・・?」
と言いながらユキさんが持ってきてくれた
ピーマンと豆腐のカレー
確かにすんごいボリューム!
でも
美味!! 

すでに20km以上自転車で走っている私、消化しきれていなかった昨日の夕食と今日の朝食もいつしか完全燃焼されており、最後はやや苦しかったものの特盛りカレー完食。
そして昨日深澤さんのお店で買ったハガキを書いていると、中で数人で食事をしていたおじさんの1人がテラスに出てきた。
「おや、ひとりですか?」
40代前半くらい、背が高くかなり日焼けしているのでダイバーかと思うが、富山から数人のグループで釣りにきているという。
「2日前に着いてね、今朝も船で沖に出たんだけど、なかなか難しいよ」。
与那国は大物が釣れるので釣り師にとっては憧れの地。潮の関係で海の透明度が高いうえ海底遺跡まであるので、ダイビングの聖地でもある。彼は、1人旅と聞いて多くの人が言うように、強い、すごい、俺にはできない、(海外の場合)言葉できないと無理だよな?ってなことも言うが、なかなか面白くてとにかく
よく喋る!
「自転車で? タフだなぁ〜! でも逆にバイクや車だとさ、30分もあれば周れてしまうからつまんないぜ。でもこの島、面白いよなぁ、南の島って感じで開放的でいいよなー、暖かいし。あ、あの店が‘日本最西端の店’らしいよ」。
約20分間でその達者な口とペースにすっかりまるめられ、しまいには、
「今日夕方、バーベキューするかもしれないんだ、よかったらおいでよ。」
と口説かれ携帯の番号まで聞かれ、仲間とともに店を去って行った。
お見事!!

私はそんな釣り師御一行様が去った後も
しばらくぼんやり海を眺めながらハガキを書き
さとうきびのアイスクリームを食べ、猫と戯れる
ユキさんにお礼を言って店を後に
与那国を自転車やバイクで走る際に
気をつけなければならないのが
‘テキサスゲート’という
快適な舗装道路に突如現れる溝
馬や牛が渡れないように作られたもので
幅20cm弱、深さもあり
バイクでスピードを出していると
確実に転倒します
自転車のタイヤもはまる!

サイクリングの締めくくりは祖納を見下ろすように立ちはだかる断崖、標高100mの‘ティンダハナタ’登頂。ひたすら自転車を押してのプチトレッキング。

よっぽど途中で自転車を
捨ててしまおうかと思うが
帰りのことを思い我慢して連れて行き
天然の展望台から
祖納と空港と海を望みました
牛たちにも振り返られながら

午前中20km、午後も15kmほど走行。明日私の足はどうなっているのか・・・?? 気をつけてはいたが、かなり日焼けもしてしまった模様。
自転車を返してハガキを投函し、スーパーに寄ってから民宿に戻ると宿泊客が増えている。といっても男ひとり。シャワーを浴びて食堂を覗くとひとり夕食中だったので挨拶する。
横浜から那覇経由、同じく飛行機の安いチケットを手に入れ与那国のみ週末2泊3日旅という強引さでやって来た彼、ちょっと小太りで暑苦しく、さっそく持ち込んだ泡盛りで一杯やっていてすでに
酒臭い。歳は35、6といった感じで、ただいま奥さんは臨月、なんとこの1週間以内にも生まれそうなんだとか(放っておいてよく1人でこんなとこに来るよな・・・)。
彼と話をしているとユキさんちで口説かれた釣り師、Mさんから電話がかかってくる。
「これからバーベキューするんだけど、来ませんか?」

ビーチに集合していそいそと準備をしていたのは富山・釣り軍団3人、彼等と同じ旅館に宿泊しているという私と同世代くらいのダイバー2人に地元の漁師さん2人の計7人。今朝揚がったタコ、イカはもちろんカジキマグロ、タカセ貝にロース、撮りの手羽先、玉ねぎ、ジャガ芋、かぼちゃetc。さすが男だらけ、何もかもが大きくて豪快で適当。コンテナに腰掛けて泡盛あおりながら焼けたはしから
食うわ食うわ。そうそう、島に3軒ある泡盛工場はどこも営業時間中なら見学可能なので行ってみると面白いかも。しかし、日本酒ダメな私は泡盛も飲んでみたところがやっぱりダメで、結局ビール。
曇り空で満天の星空の下というわけにはいかなかったものの、夜更けまで南国浜辺でのささやかな宴会で盛りあがる妙な組み合わせの旅人達なのでした。

                                              
Continue...



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