夕方、空が薄紫に染まり始めた頃目が覚める。聖カトリーナから帰ってそのまま、5時間ほど眠っていたらしい。
すでに足はどうしようもなくパンパンで頭もボーっとするが、下痢はピタリとおさまり再発の兆しもない。病み上がりにあんな激しい登山をし、山頂では雪こそないブリザードに吹かれてハナ垂れっ子と化した時には、間違いなくまた倒れるな、あわれ・・・と思ったものだが、今のところ足と頭、体の両末端以外はさして悪いところはない。それどころか、空腹すぎてこれ以上眠れそうにない。リゾートなのに、毎日ホテルの暗い部屋で昼寝ばかりも虚しいので外へ出る。明日のカイロへのバスもどうにかしなきゃならない。
レセプションでは谷村おやじが、今着いた白人バックパッカーのチェックインに対応している。掲示板のいちばん上には、もう1ヶ月くらい書き換えられていないと思われる、太いマジックで無造作に手書きされた両替レートが貼ってある。‘$100=620£E’ カイロ空港では614£E、考古学博物館の黒い巨塔マシーンでは609£E、ルクソールの両替所が612£Eだったからこれまででいちばんいいレート。ということで$50の両替を頼むと、谷村氏は鍵を開けて引き出しから札束を取り出す。アスワンのホテルではたった10£Eの現金もなかったのに、ここはお金持ち。
「それと明日カイロに戻りたいんだけど、バスの時間わかります?」
「ああ、う〜んと・・・8時半、12時半、・・・」
「あ〜、ちょっと待って」
メモを出して書きとめる。1日4本で8:30、12:30発は75£E(1500円)、14:00発が80£E(1600円)、22:00の夜行は85£E(1700円)と微妙に値段が変わる。夜行が高いのは人気があるからだろうか、ガイドブックにも‘夜行は人気なので早めに予約した方がいい’とある。
「で、何時間かかるの?」
「9時間だ。この他に23時発のミニバスがあるよ、それは55£E(1100円)さ」。
9時間・・・朝8時半に出発しても着くのは夕方5時半。夜行列車は平気だけど(というよりむしろ好き)夜行バスは大嫌いなので、8時半発を選択せざるをえない。夜行バスは学生時代、カナダのトロントから米国ワシントンDCまでのグレイハウンドに乗って懲りに懲りてしまった。混んでるわうるさいわ、真夜中でも構わず全員バスターミナルに放り出されて怖いわ・・・ととても眠れるようなシロモノではなかったし、そもそも、リクライニングがきいても、しょせんゴロリと横になれない座席で夜を明かすというのは、節約旅行派おかぽんでも飛行機以外は受け付けない弱点なのであります。日本や他の国の夜行バス事情がそこまで劣悪でないにしても。
「明日8時半の便、予約はしてもらえるの?今からでも間に合う?」
「大丈夫だ、明日8時半だね。電話は僕がしてチケットは明日朝渡すよ。明日は8時にここにいなさい、バスターミナルまで送るから。」
この国では、何かをしようとすると邪魔が入ったり、騙されたり、問題が起こったり・・・が当たり前で、順調に物事が進む方が珍しいと思い込んでしまっている私。実際はそんなことはなく、ルクソールで足止めくらいそうになったのと体調崩したこと以外滞りなく予定通りの旅ができているというのに、ここでもまだ疑ってしまう。
“んなこと言いながら電話してみたらいっぱいで、勝手に夜行便か明後日の便にかえられるんじゃないかなあ”
念を押す意味で、先に彼に75£Eを払っておく。頼んだよ!
「確かに」。
昨日パスタを食べた‘アラジン’のすぐ隣のビーチ・レストランでレモンジュースとチャーハンを注文する。メニューを見たとたん、速攻疲労回復のためにキューっとすっぱいレモンを摂取せよ、との戦慄的命令が脳に走る。チャーハンは普通に美味しいが、丸1日ぶりの食事に驚く胃にすんなり落ちていかない。加えて安食堂の特盛り級量にとても食べきれず。
◆ DINNER ◆
チャーハン ★★★
レモンジュース ★★
15£E(300円)
ジュースはジョッキ
チャーハンの盛り付けも
もうちょっと他にアイデアないものか |
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勧誘はされるが、一歩店に入って席についてしまうと、コーヒー1杯で何時間いようが店員はいっさい干渉してこないのがダハブ流。どのレストランもビーチ席の係は1人か多くても2人で、店内客への気配りより店の前を通りかかる旅行者のゲットに一生懸命だったりする。
食後、またフラフラとウィンドウショッピングにメインストリートを歩き、しかしもうここで買いたいものはなく、スーパーで明日のバス旅用食料、ジュースやクッキーを買って戻る。この旅の初め、えらい目に遭ってばかりだった心地いい記憶のないカイロに、明日夕方着いてから宿を探すのはやっぱり少し不安。そこで、アスワン空港で買ったテレホンカードでカイロのホテルに電話予約を試みたところが、狙ったベルリンホテルは、過去に泊まったことのある客でないと電話予約は受け付けないとやらの理不尽な理由で断られる。フンっ。そしてカイロのイメージがまたいちだんと下がり、他の宿に電話をする気も失せる。
Seven Heaven Hotelは毎日部屋掃除をしてくれない。言えばタオルくらいは取り替えてもらえるかもしれないが、かわりに?コインランドリーがある。私は覗かなかったが共同キッチンもあるようで、長期滞在向け。 |
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