LUXOR 18 / NOV / 2003 *TUE*



ルクソール神殿の近くで声をかけてきたタクシードライバーが、カルナック神殿まで片道10£E(200円)で承諾したので乗る。悪く言えばTAKE6(ヴォーカルグループ)のいちばん太ってるメンバー(名前わかりません)、良く言えばあか抜けないジョン・トラボルタ、でも決して爽やかではないおじさん。神殿までは4kmほどだから少し高い気もするが、ガイドブックの相場(7〜10£E)内だったからよいとする。ところが乗ってからの彼の押しがあまりに強くしつこいのと、最近乗せた日本人が残したらしき感謝感激読んだ方が驚くほどの“彼は本当に信頼できるドライバーです”から始まるベタ褒めの日本語メッセージを見せられて、ルクソール神殿からカルナックまでの往復と1時間半の遺跡待機で20£E(400円)の契約をしてしまう。その先客日本人が残したメモとは、小さな字でびっしり以下のような熱い思いが書かれたものだった。
 ・西岸を$10で1日回ってもらった
 ・(回ったポイントも列挙してあり)思う通り、行きたいところ全てに行けて大満足
 ・ツアーと違って自分のペースで見て回れ、彼のお陰でとても充実した観光ができた
 ・最初は怪しいかと疑ったがそう思ったことが恥ずかしくなるほどいい人だった
 ・彼のすすめで訪れたスークは、観光客がよく行くスークとは違って地元人用だが、
  そのぶん面白いものがたくさんあり、何より安かった。特にエジプト綿でいいものがたくさんあった
 ・パピルスやアラバスターも安い店を紹介してくれた
 ・家にまで招待してもてなしてくれた
 ・初めてのエジプト旅行、ルクソールでこんないい人に出会えるなんて思ってもみなかった
   →感動した&ほっとした etc・・・
最後には名前と日付もきっちり入っている。実はそのメモ帳は、そんな熱い日本人の投稿だけにとどまらない、多国籍な感謝寄せ書きノートなのであった。英・独・仏・伊・蘭などのありがとうメッセージが高密度で綴られている。こんなに寄せ書きを集めてしまうドライバーの見た目とのギャップにもやや戸惑うが、いくら親切さや人間性に心を打たれたといっても、後に訪れる日本人や彼の為にそこまで書くか?とも思ってしまう。くどいほど褒めちぎった感激の涙を流さんばかりの素直な文章に、嬉しさも伝わってくると同時に読んでる方がなんだか照れくさくなる。私はこんな風に書けないなぁ。しまいにはヤラセだったりして?!な〜んて思ってしまう私、素直じゃありません。いろいろ考えてるうちに気がつけばカルナック。
「4時にここに迎えに来るよ、僕の名はマラドーナだ」。
マラドーナって顔でもないし、エジプト人にマラドーナという名前も似合わない気がしてちょっぴり意外。腕時計を見れば2時半。


エジプトでも最大規模の遺跡
カルナック神殿

入口から見るスフィンクス参道は
わりと地味で
凄さをもったいぶってる
カモフラージュしてるかのよう
ガイドブックには事前に
必見
はなまる印
をつけてあっただけ
予習不足のせいで
実はそんなに期待していなかったが・・・

この第2塔門までやって来て
やっとわかる
この迫力は
ただごとじゃないかも!!

そして第2塔門の石の壁の先には、ほんとにただごとじゃない圧倒的建造物!!が待っていました。


20m以上、7階建てくらい?の高さの柱が134本!!も並ぶ大列柱室
うお〜〜っホッホッ (意味不明な雄叫び)
柱が作る影でこの空間だけはひんやり、ガンガンに暑い参道とは異次元・別世界


ピラミッド、アブシンベルに続いて立ちすくむこと3か所目。カルナックだけは外からその全貌が見えない仕組みになっていて、入口から一見しただけでは内部にこんなものがあるとは、こんな風になってるとはとても想像つかない。ヤラレタ〜!!って感じの演出。デカすぎるし近すぎるしで全然ファインダーにおさまらない、どうアングルをかえてもサマにならない。迫力、スケール、立体感、奥行き・・・3次元のものはとうてい2次元には映しきれないと、わかっていながらもどかしさを感じる。時の流れも考えれば4次元、目と脳裏と心にしっかり焼きつけてもそれはしょせん断片だし・・・は〜、ちっぽけだねぇ。
ここまで見てきたエジプトの遺跡は、どれもいい意味の裏切りがある。5000年というあまりに桁違いな時間に最初はピンとこないが、じっと眺めていると、あとからフツフツと嬉しさや感動が沸いてくる。ピラミッドやカルナックはコンクリートあふれる街の中にあって意表をつくが、いったん遺跡に入りこめば、街中にあるのが不自然に思えるどえらい規模で2度驚かされる。かと思えばアブシンベルやフィラエの神殿は辺鄙で決してアクセスも良くない‘らしい’場所にあり、ジらされてるような歯がゆさみたいなものも感じるが、やっと着いて目の前にした時のドラマチックさは格別。どれも石の塊、巨石を積み上げたものだが、構造や表情はまるっきり違ってバラエティ豊か。飽きることはない。古代人の技術と同時にレパートリー豊富さにも驚く。そしてローマやギリシャ時代、もっと新しい仏教遺跡などと比べても、数千年単位で古いとは思えないほどに状態が良い。それゆえ紀元前2000年なんて言われてもピンとこないのだ。でもってありふれた表現だけど、自分や自分が生きてる世界のちっぽけさ、今という時代のはかなさなんてものも感じるわけです。ひしひしと。


高さ太さ多さ広さ
どれをとっても呆れる規模
加えて1本1本下から上まで
隙間ないレリーフで埋められてる

‘デロリアン’が現実なら
未来より、この時代を覗きに行きたい
どんな服着た人たちが
どんな事・儀式行ってたんだろう?
ここまで派手にしたのはなぜ?
よくもまあこんな巨石を積み上げたもんだ
見上げ続けて首痛くなる

大列柱室での注意事項
上ばっか見るあまり
人とぶつからないように
つまずかない&コケないように
そして口開きっ放しにならないように

太古のロマンにどっぷり浸りたいところ、腹部の嵐が無残に打ち砕いてくれる。午後のアザーンと共に始まる大腸菌の氾濫と、我に返れば溶けそうなほどの暑さが私を再び窮地におとし入れる。お腹痛いよ〜ぅ。これよりおかぽんの体調不良指数グラフを表示いたします。11月18日午後3時半現在、

普通■■■■■不良■■■■■悪い■■■■−最低−−−−−瀕死−−−−−死亡

そろそろ見飽きてきた壁画や
ヒエログリフの中で
注意をひいた3つの短パン
パンツにしか見えません、よね??

カルナックのチケット売り場前に、夜のライトショーのスケジュールが掲げられている。ガイドブックにもちゃんとあったが、ここではじめて、今日火曜の1回目(6時半〜)は週1度しかない日本語のショーなことを知る。カルナックのライトショーは英・仏・独・西・伊・アラビア・日のなんと7ヶ国語、日替わりで1日3〜4回、1時間15分毎(実質1時間)に、ピラミッドはさらにロシア語を加えた8ヶ国語で行われている。海外で日本語の催し物に参加するのはあまり気がすすまないが、週1回の日本語の日に当たったのだからわざわざ外すこともない。それより2回目以降、遅い時間の公演になると一転して寒く(昼と夜は恐ろしい気温差!!)、体調を考えてもよろしくない。死んでいなければ、6時半にまた来るとしよう。

1時間強見学し、タクシーを降りた場所に戻るがマラドーナの姿はない。約束の4時までまだ30分ある。ドライバーがたむろする駐車場に足を向ければ当然客引きの嵐に巻かれるが、
「マラドーナ探してんのよ!」
と言うと、ターバン・ガラベイヤ・ヒゲ・ギョロ目と怖い系エジプシャンのオーラをかもし出すアイテム全部揃ったじいさんが一緒に探してくれたりする。乗せてきた客が見学を終えるまで、木陰に停めた車内でシートを倒して昼寝してる奴が多い。じいさんは起きてる奴1人1人にマラドーナ見なかったか?ってなことを聞いてくれるが、見つからず情報も得られず。1時間の間も無駄にせず、ルクソールの町を走り回って小銭かせいでるのだろうか。
「彼、まだ来てないみたいだな」。
他のドライバーに浮気して次へ行ってしまおうかと一瞬思うが、それではこっちが詐欺師になってしまう。エジプトを安全に旅するには、嘘をついた方がいい場面も多いが、ついていい嘘といけない嘘を混同しちゃぁいけない。とは言っても、この国ではその境目なんて、あってないようなものかも知れないけれど。
駐車場そばの木陰のベンチで日記を書く。太陽の強さと遺跡の暑さは暴力的だが、湿度が低いからか一歩陰に入ると涼しく、長くいると肌寒いほど。ペンを走らせる間も誰も1人にはしてくれない。暇そうに数人でたむろっていた若い警察官、その中のひとりが停めた自慢の?バイクにまたがりながら
「マイフレンド!」
絶対話しかけてくるなと思えばいきなり友達かよ。ひょろ長い20代前半に見える彼はマイフレンドを連発するくせに英語を上手くあやつれず、話したいことが言葉にならない様子で相手にしてる方がもどかしい。バイクを降りて、行きの機内でのモハメド1同様、私が書いているノートを興味深そうに覗いてくる。彼がどもりながら発する英単語はマイフレンドの他にはアイとミーとユー(代名詞ばっか・・・)とグッドくらいで、腹痛とともに熱っぽさと倦怠感にむしばまれつつある私に、それを理解する気力や気分的余裕はない。「何?わかんないやゴメンね、ハハ〜」と苦笑いすると、彼もナンパ?を諦めて同僚の元へ帰って行った。すると今度はヌビア村でもウロウロしていた、縮れ毛で薄汚れていてみすぼらしいヤギたちが「餌くれ〜」って感じに寄ってくる。

4時少し前にやっと、しかし約束通りちゃんとマラドーナは戻ってきた。彼は再度、この先の市内・東岸観光や明日の西岸観光など、日本人の感涙メッセージにあったのと同じ内容を勧誘するが、何も言わずに全て断る。というより、カルナックの興奮が落ち着いてみれば、ただ首を振ることしかできないほどに弱っていたと言った方が正しい。朝食も何ひとつ吸収されず、昼食も取っていないというのにやまぬ腸内洪水。こうも強烈だと、不安よりも、な・何なのよ?!何の怨みが?!ど・ど・どうしちゃったの?!!っつう驚きの方が先。午後4時10分現在

普通■■■■■不良■■■■■悪い■■■■■最低■■−−−瀕死−−−−−死亡

ルクソール神殿前で20£Eを払って降りる。

ホテルの目の前、町のど真ん中にあるルクソール神殿。カルナックに続いて訪れると見劣りしてしまうが、それでももちろん訪れる価値は充分!

夜はライトアップされてムード満点
幻想的
党門左にそびえるオベリスク
右にあったはずのもう1本は
現在、パリのコンコルド広場に立ってます

見た記憶、かすかにありますが
まさかこれのカタワレとは思いませんでしょ?!
どうせコンクリートの模造やろ・・・
くらいに斜め見しただけのような気が

というわけでおフランスさん、やっぱり
この場所に戻していただきたいと
個人的に思うんですけど〜(笑)
実はカルナックの
副神殿として建てられ
当時はカルナックまで
参道でつながってたそう
今は200mほどの
スフィンクス参道が残るのみ
カルナックの前に見学すればもっと感動したはず
こちらの大列柱室は15m×14本で
カルナックよりかなりおとなしめ

ここまでエジプトを歩いて
荘厳で雄大な風景・ブツは多く目にしたが
ここルクソール神殿は、それよりも
情緒の方が勝っているように思えました

遺跡の持つ
もの悲しさとか寂しさみたいな、ね

ルクソール神殿も1時間ほど、当時の栄華にのみ込まれたように夢遊病者状態でほっつき歩く。日が傾いてしのぎやすい気温になるが、お腹が痛いだけでなく武者震いがきたり冷や汗が出るほど具合は悪い。それでも、神殿の中に立てば凛々しい座像・立像たちがほんの少しだけ病身を忘れさせ、他のことを考えさせてくれる。

いったん立ち止まってしまうと動けなくなりそう、凄いもの見て気を紛らわせていた方がよさそうな気がして、神殿からルクソール博物館まで、ナイル川沿いを歩く。ルクソール博物館の開館時間は、日中3時間ほどの一時閉館をはさんで通常午前と夕方の2回。夕方は4時から夜9時まで開いている(夏季は5〜10時)。1.5km程度、気力だけが重い体を引っ張るように20分くらい歩いただろうか、しかし博物館門前のチケット売り場で恐れていた張り紙を目にし、ついに半泣きでその場にへたりこんでしまう。
“注意! ラマダン中につき午後3時にて閉館 チケット販売・最終入場は2時半まで”
一気に40℃の熱が出たような、三半規管が狂って目が回る苦しさ。
限界がきてしまったのか?
エジプト旅、
これにてギブアップ?!
座り込み門の柵にもたれかかって、景色が回り止むまで水を飲んで待つ。熱があるのは間違いなく、軽い熱中症も併発していたかもしれない。目を回して頭を抱えていようがおかまいなく、馬車やタクシーの客引きはやってくるからシャラーーップ!!!である。しかしそうわめく力も追い払う力もなく、なのに無視するだけも悔しくてただガンを飛ばすばかり。死にそうなんだよ10人いたら1人くらい気づけっ!! 午後5時30分、瀕死を超えて冥土に一歩近づく。

普通■■■■■不良■■■■■悪い■■■■■最低■■■■■瀕死■−−−−死亡

目まいが止まると、相変わらずモウロウとした頭で地図を片手に、2kmほど離れたホテルまで急いで戻る。こういう時、熱をはかって自分の重症度を知ってしまうとますますしんどくなってしまうもの。ホテルに戻ったものの、あまりに血の気のないやつれた自分の顔に危機を覚え、すぐ夕食に出かけることにする。下痢と熱で倒れそうなのに食えるのか?!と突っ込まれそうだが、振り返るとエジプトに降り立って今日まで5日のうち、昼食を取ったのは1日だけ、それもファストフード。消化されないのがわかっていても、だからとあまりに食べないのもヤバい。点滴があればいちばんいいが、栄養剤の細粒持参で旅行する人はいても、まさか旅行に点滴を持ってくる奴もいないだろう。断食は体力を低下させるのみ、適度に食事摂取していないと治るものも治らない!・・・なーんて言い聞かせて無理矢理レストランに行こうとする自分に再三呆れながら、
どうにも止まらない〜♪ いよいよ頭おかしくなってきたぞ!

ホテルから500m、徒歩15分くらいだろうがものすごく遠く感じた、歩き方に絶賛投稿のあったレストラン。外にも席があり、ちょうど食事解禁の日没時で例によって地元人が餓死すまいと必死の形相で皿と格闘している。加えて店内は照明が薄く、店員は忙しそうで呼び込みもされない。が、私だって餓死するわけにはいかんのだ。雰囲気に跳ね返されることも後ずさりすることもなく、
「奥の席いい?」
やはりしばらくは地元客へのサーブに追われ、注文を取りにすらなかなか来ない。テーブルに置いてあった英語メニューは、裏を返せばアラビア語。英語メニューの値段が違うのはエジプトのみならず他の国でもままあるようだが、この店はそんなことはない。スープ、各種串焼き(ケバブ)、魚料理、ピザ、パスタ、オーブン料理、エジプト料理、そしてデザートとドリンク。メニューの多さに、雰囲気から感じるよりはちゃんとしたレストランなんだと認識する。ところが、やっと注文をとりにきた小太りな兄ちゃんにレモンジュースをオーダーするとグアバしかできないと言われ、モロヘイヤスープはないかと聞いても「ないよ、ベジタブルスープにしなよ」と言われる。‘SPECIAL DISHES’のところにあった‘ムサカ’(御存知?ギリシャ料理です)ともうひとつ、聞きなれないメニューが気になって聞いてみる。
「ムサカとシャクシューカってどう違うの?」
「ムサカは茄子とひき肉にトマトソースをかけてオーブンで焼いたの、シャクシューカはその上に卵がのってるんだ。」
へえ!美味そうじゃない!というわけで‘シャクシューカ’もオーダー。


◆ DINNER ◆
ベジタブルスープ ★★


シャクシューカ(左) ★★★★
アエーシ(右) ★
とグアバジュース ★★★
全部で9£E(180円)


ズッキーニ、にんじん、玉ねぎなどが入ったベジタブルスープは鶏ガラっぽいごく普通の味。シャクシューカはオーブンで焼くため、グラタン同様時間がかかる。これまた30分ほど待たされやっと出てきたところが熱い!! 迫る6時半のカルナック・ライトショー開演、時計を気にしながら急いで食べる。美味いが熱すぎる!! で、上あごを火傷する(この日の火傷でその後3日くらい、ビスケットなんか食べたらけっこう痛うございました・・・トホホ)。しかし思えば、熱があって味覚もおかしくなっているはずなのに、どれも美味しく食べられてしまったんだからお見事! 完食とまではいかないものの、そんな体でシャクシューカ3分の2くらいは食っちゃった私もすごい。体調よければもっと美味かったろうなぁ。全部で9£という安さもあっぱれ!(値段に関しては謎。メニューにはシャクシューカだけで6£E、スープ3£E、ジュース2.5£Eとかだったはずで、どう考えても計算違い?!)
美味いものを食べてあっという間に元気になってしまう単純明快さ。午後6時20分現在

普通■■■■■不良■■−−−悪い−−−−−最低−−−−−瀕死−−−−−死亡

レストランを出てタクシーを拾おうにも通らない。大急ぎ、ほとんど小走りでルクソール駅まで行き、たむろしていた悪質な野郎どもと交渉する。カルナック神殿のライトショー、往復30£Eが最初の言い値。
「往復で20£Eじゃないとイヤ!」
「いいか、行き15、帰り15払え! こっちは
1時間待ってやるんだぞ
「わかってらぁ、でも30£Eでは乗らない。」
するとすぐ25£Eに下がるが、それ以上はなかなか下がらないからいつもの手段。
「もういいよ、
あんたには頼まない! 他のドライバー探すよ。さぁ誰か、20£Eで行く奴いない〜?!
「オーケー!ゲットオン!」
交渉は案外簡単に終了するが、白い普通車ワゴンの助手席にはドライバーの友人らしき苦手な系統のじいさんも乗ってきて、このまま
どこかに連れてかれるんじゃないかとちょっぴり怖い。彼らは車中ずっと2人で話に夢中で、後ろの私などには何の関心も見せないままカルナックに到着。
「8時にここで。僕の名前は○△×□だ、車のナンバーは384だぞ」。
そしてタクシーを降りると、そこには数時間前マイフレンドを連発したポリスの兄ちゃん。
オ〜〜!マイフレンド!! ウェルカムバック!!」

ライトショーのチケットも日中の見学と同じ窓口で買うが、通常の入場は20£E(400円)なのに対して33£E(660円)と高い。先に窓口にいたドイツ人老夫婦が(ほんまドイツ人の個人旅行者って多いわ・・・日本人に負けずどこにでもいる)ライトショーのスケジュールを聞いている。今夜は1回目(6時半〜)日本語、2回目(7時45分〜)英語、3回目(9時〜)はフランス語でドイツ語公演はない。英語もわからず、しかも明日にはルクソールを離れるとかで窓口前で優柔不断になっている。たまりかねた窓口のおやじに「いっそのこと日本語にすれば?!」と笑われながら、しかし結局日本語に参加してました・・・。
すでに第1塔門手前のスフィンクス参道には大勢の日本人がつめかけており、さらに後からも数団体が押し寄せ、開演時間には200人ほどにふくれ上がる。99%日本人、そのうちの99.9%はツアー客。毎日こんなに日本人来てるなんてすごいなぁ。
こらエジプト!実はボロ儲けしてんじゃん?!

係員によって先導され
少しずつ神殿奥に移動しながら
光と音と物語の展開を楽しむ

夜の方が、より神殿の大きさを感じるかも

随所に設置されたスピーカーから大音量で声優の声が流れる。ストーリーと台詞を誰が翻訳して、声優は誰が出演してるのだろう?? ストーリーは日本語でも何だかあまりよくわからなかった(つうか内容は真剣に聞いてなかった)が、迫力は充分。日本語だからといって盛り下がることはない、臨場感あふれる語りかけと抑揚に効果音。一方ライトアップは控えめで、音量からすると光量は足りてない感じ。
ライトアップを見ながら、声優の声を聞きながらじわじわ、ゾロゾロと神殿奥に進み、後半30分は‘聖なる池’のすぐ後ろに作られた階段席で見る。しかしここで現れた、バクシーシ目当てのにわか席案内ジジイには参った。私の前にいた数人が階段前で待ち構えていたジジイに
「さあこっちに来なさい、ここがいいよ、この席がベストだ!」
と先導され、言われるままに一番上の段に上がり、中央付近に腰をおろす。そして私もそんな数人の間、前の方に陣取る団体客から離れて上の方に座る。
ちょっと寒いし、池をはさんで照明に浮かび上がる神殿の壁を見るにも遠すぎ、迫力だけであんまり面白くないストーリーは病身の頭の引き出しに入ってくることもなく退屈しはじめていた時、不意にジジイが後ろから、肩越しに
ぬうっと近づき耳元で不気味にささやく。
「よく見えるだろう?!
素晴らしいだろう?!満足したか?
バクシーシくれってか? 私あんたに案内してもらったわけじゃないんだけど。無視すると隣の2人組、若い女の子2人のそばに移動し、同じ手でバクシーシをせびっている。そして彼女らは暗闇で財布を出し、小銭を渡した様子。気持ちいいサービスを受けたなら気持ちよく払うし、払ってきたつもりだが、こういうどさくさまぎれなキタナくて露骨なのはイヤだ。案の定、ショーが終わる寸前にジジイはすかさず戻ってくる。闇で財布を照らす用に懐中電灯を持っているところがまた頭にきて、
小銭持ってないの!
とわざとちょっとデカイ声で怒ると同時に、公演終了でみんな立ち上がる。私も拍手をしながら階段を駆け下り、早足で駐車場に戻る。最後にショーを見ていたのは遺跡のいちばん奥で、ドライバーを待たせている駐車場からは1km近く離れている。

寒さとお腹の苦しさをこらえながら、待機していた何台ものタクシーに向かって
「ナンバー384!」
すると何人ものドライバーが連呼する。
お〜い、384番、呼んでるぞー!」
闇の中で1人が手をあげ車へ誘導してくれる。先ほどのドライバーと違いはないが、今度は助手席にじいさんの姿はない。ホテルまで10分。
スークに面したホテルの前に並ぶ屋台を覗き込む。何か揚げているのが気になり、「何が入ってるの?」「豆だよ」。しかしアスワンよりルクソールのスークの方が意外に庶民向けで、観光客が買いたくなるものはほとんどない。狭くごちゃごちゃしていて人も多く、そこに容赦なく馬車や車が突っ込んでくる。香辛料や乾物のにおいと馬糞やゴミの臭いが一緒になって鼻をつく。人にぶつかるわ馬車の車輪にひかれそうになるわ、スリもいそう、治安もよくなさそう。寒いし徐々に夕食のツケも襲来しそうでいいかげん部屋に落ち着くことにする。

部屋のシャワーはぬるま湯しか出ず、病身をさらにイジメてくれる。
さぶすぎ!!! 午後9時

普通■■■■■不良■■■■■悪い■■■■■最低■■■■−瀕死−−−−−死亡

目覚ましをセットし、クローゼットから毛布を引っ張り出して耳栓突っ込む。倒れる。

                                 
     Continue...


NEXT / BACK / TOP