CAIRO >>> 25 / NOV / 2003 *TUE*



8時半、朝食のオーダーにロビーに行くがやはり誰もいない。いつ外部の人間が入ってこようが誰も止める者はいない無用心さ。しかし歩き方には悪い投稿がなく、あたかも明るくていいホテルとして記載されているので、ワタクシ、帰国後そのへんのこと思いっきり辛口&シビアな投稿してしまいました。だってこのギャップは犯罪ですもの!(編集部からはお礼の返信が来ましたが、さて使われるかどうか・・・) キッチンらしきところを覗いて声をかけると、邦正でも謎の男でもない初めて目にする女性従業員(!)が出てきたので、部屋のキーの番号を見せる。

◆ BREAKFAST ◆

昨日の不味すぎる豆スープにかわって
今朝は卵焼き ★

チェックアウトの時には、例の謎の男がブースにいて、2泊分100£E(2000円)を払うと
「両替しない?」
「しないよー、もう帰るのに」。
やっぱり彼は(ホテルが?)ドルが欲しくてたまらないのだろうか。どうでもいいけど最後まで怪しくて謎の多いホテルだった。

トランクを持って下に降り、通りに出ると自動的にタクシーが、それもたて続けに停まる。が、3台くらい相手にしないまま見送ってみれば、その後走ってくるのはすでに客が乗っていたりする。ラマダンが明けても街は昨日やカイロに着いた日となんら変わらず、朝は人も車も少ない。いつもよりゴミがたくさん落ちていて路地は汚れているように見えるが、それも気のせいかもしれない。市内から空港までは20km、1km=1£Eと単純計算して20£E。これにバクシーシ加えて25£E(500円)が妥当かつ十分なところだろうと、勝手に自分で決める。あんまり思い出したくないけど、ウサマンとピラミッドに行った時、市内からギザまで13kmを10£Eで良かったんだもの。それに、交渉すれば安くても50£Eとか$10からスタートで、終わり値はせいぜい35£Eくらいか、粘って半値まで下げたとしても労力使いすぎてヘトヘトになるのが、だいたい想像つく。
しばらくして来た空車を停めると60過ぎてそうなおっさんドライバー。人相は悪くなく、言い争いもしなさそうなタイプだったから窓越しに
エアポート!
彼は頷いて内側からドアを開けてくれるが、荷物を押し込んで私が乗ると両手を飛行機の翼みたいに伸ばして
“マタール?”
と確認する。アラビア語で空港のこと‘マタール’って言うの? こっちが確認したいぞ。彼は車を走らせながらもなお
“プシューーゥッ”
なんてジェット機が飛んでく効果音を真似て片手を空にかざしてマタール?
マタール??としつこい。
「わかったよ、わかんないけどマタールね、ジャパニーズで
くーこーでしょ(ちょっとヤケクソ)、アエロポルト(Rを思いっきり‘ル’と読むエジプシャン・イングリッシュに近いと言えばローマ字読みのイタリア語? エジプシャン風に読めばアイル・ポールトかな、な〜んてとっさに綴りを思い浮かべてしまったりして) 
まあとにかくエアポートよ!」
私が‘マタール’を繰り返すとやっとおやじは納得して、(たぶん)空港へとアクセルを踏み込む。しかし、確かめておこうと開いた歩き方の巻末に載ってるアラビア語は挨拶と数字と食べものばっか・・・‘空港’がない。
使えねぇ。(持ってきたもう1冊のガイドブックにはちゃんと載っていました。でもこの時すでにトランクの中。) 地下鉄はできたばかりで、今でも市内の移動は大半の人がもっぱら車。だからカイロの道路はそこそこ整備されていて悪くない。休日の朝の埃っぽい片側4斜線を、車はボロいが90kmくらいでぶっ飛ばす。エジプトの英語通用度は明らかにスペインやフランス(や日本?)以上だったが、エアポートすら通じたか不安になるようなローカル派運転手もいることにはいるんだよね。観光客待ち伏せてる連中にそんな奴はいないけど。
通常30分、渋滞にかかれば1時間以上かかるってんで少し早めに出たが、車の流れは快調すぎて、20分くらい走ったところで飛行機マークの道路標識が目につくようになる。会話もなく(というより不可能)、彼は音楽をかけることもラジオを聴くこともなく、かすかに見覚えのあるような住宅街を抜け静かに、しかし間違いなくちゃんと空港に向かっている模様。

30分弱で、9時半すぎ、余裕で空港に着く。出発階前は、普通車1台が停まる隙間もないほどタクシーやバスでいっぱい。後ろから23£Eをさし出してみれば、やっぱり彼はアラビア語しか言わないけれど「もうちょっとないのか」ってなことを言い、出した手を引っ込めない。じゃあもうこれだけよと2£Eを追加して、考え通り25£Eを渡すが、まだ彼は不満のようで何かブツブツ言う。
だーめだめ、もうポンド持ってないんだから!」
要求されるまま払ってちゃキリがない。
おしまい!あ〜ばよ、って感じで荷物と共にりる。ほんとにもうこれで‘おしまい’にしたいんだよ、お金のことで言い争うのは。

感動ばかりじゃない、むしろ辛かったり悔しい場面の方が多い旅だった。素晴らしい体験で、エジプトに来て本当に良かった、なんてとても言えない。辛かったけどまたいつか来たい、と思う余裕さえないどころか、もう
一生エジプトには来ないかもしれない、というのが今の本音。見るもの全てに驚愕したけれど、これほど精神的にも肉体的にも滅入った旅ははじめてだ。こんなに辛いのはもうヤだ。騙されそうになり、からかわれてバカにもされ、思いっきり腹を立てる毎日。でもだからこそ、時間がたてばいい具合に熟して格好のネタになるのかもしれないと、客観的に思う自分もいる。ね、このHPもエジプト編がいちばん楽しめていただけたんでは・・・
??(苦笑) でもでも、笑い話・思い出になるにはかなりの時間がかかりそう。スペインで引ったくり未遂に遭い、その後さらにスリ未遂に遭った時。「一刻も早くこの国を脱出したい!」とバッグ抱えて一目散に地下鉄の駅を走ったことを思い出す。そう、あの時に似た気持ち。ここまで来ればもう何からも逃げる必要はなさそうだが、1時間でも早く日本に、家に帰りたい気分。
列に並んで大韓航空にチェックインし、混沌のこの国を出国する。パスポートに1つスタンプが増えただけで、同じ建物の中でも異次元の平和がやってくる。ほんのちょっと残っていたポンドは、ハガキとチョコレートを買って使い切る。免税店に並んでいるのは香水とタバコばかり、お菓子は不味そうなのがやたらと大袋。土産物屋にはスークにあったような物が並んでいるが、どれも5〜10倍の値段、でハガキとチョコレート以外には小銭で買えるような物が、はたまた大銭があっても買いたいものはない。
ゲート前で搭乗を待つ間、今の私がいちばん欲している、誰にもジロジロ見られない声もかけられない静かな時が流れる。

11時半、大韓航空機は一路西へ。私は前方通路側の席、窓側には日本人ではないアジア系の若い男が座っていて、行きよりは空席がある。
乗ってすぐの食事は迷わずピビンバを選び、なぜか行きほどの美味しさは感じられなかったものの、慣れた味のナムルと白ご飯にほっとする。よく眠っているはずだが、帰国後の連日徹夜かもしれない?!猛勉強に備えてさらに‘寝貯め’しておく。
引き際・帰り時を感じるのは上に書いた理由の他に、10日後にある試験を控えているからだったりもする。そんな時に放浪すんな、旅行してる場合か、と言われそうだが(後で数人に「なに、その余裕っぷり?!」と皮肉混じりに言われました・・・)、今思えば自分への挑戦的な意味合いもあったかも。10月の航空券が取れず延期したあと、旅行をやめるか試験のエントリーをやめるか、ほんの一瞬、二者択一を考えた。でもどちらも、今というタイミングを逃すと、もう二度とチャンスが巡ってこないかもしれないという点では同じ天秤だった。エジプトだって、以前に涙を飲んだ渡航チャンスは学生時代にさかのぼり、それからずっと、地球上でいちばん行きたい場所(大袈裟じゃなくって)でありながら実現せずにいた。何年もを経てやっと現実になった結果が、こんなに悪口・小言の嵐なのもなんだかなあ、と思うけど。とにかく、時差になんかボケてられないんですわ。部屋に帰って待っているのは、目を通さなければならない2000ページにも及ぶ専門書とン十冊の業界紙のうす高い山。いつもながら帰国翌朝から仕事もみっちり! でも、そんな試練を乗り越えれば次の週末は沖縄逃避行(粟国旅行記がそうです)も待ってくれてるんザマスのよ!! 我ながらちょっと暴れすぎな下半期、大丈夫かおかぽん!?こなせるのか? 行きと同じひとり突っ込みが入る。





>>> SEOUL >>> OSAKA 26 / NOV *WED*



機内に閉じ込められて10時間後、ソウル時間で夜明け前3時半頃、夜食とも朝飯ともつかない食事が配られる。これがこの旅最後の写真!(笑)

◆ INFLIGHT MEAL ◆

チキンのグリル、トマトソース ★★★
ペンネとツナのサラダ ×
チーズケーキ ★★
パン

写真はアナログ約140枚、デジタル約450枚。スライドショーにして40分くらい? 画質落として撮っていたから128MBのメモリースティック2枚で余りすぎるほどでした。もうちと大きいサイズで撮りゃ良かったかな。
早朝5時過ぎ、ソウルに降ろされる。2週間前と同じ仁川空港。広いし綺麗だけれど、さすがに店はまだ開いておらず、2時間ほど朝日のさす明るいベンチで横になる。

8時すぎるとレストランもショップも営業を開始し、急に人が増えにぎやかになる。ブランド、コスメ、アクセサリー、電気製品にメガネまで、韓国土産もキムチに海苔、レザー、おもちゃetc驚くほど充実していてアジア屈指の品揃え。売り上げも、アジアの空港で上位5位内には入ってそう。
「何をお探しですか〜」
すかさず寄ってくる女性店員に、見てるだけや!なんも困ってないわ!
ほっといてくれ!!と思わずエジプト男撃退モードのまま罵倒してしまいそうになり、いかんいかん・・・アジアなのよここは、と自分をなだめながらコスメやキムチ、ゴディバを買う。でも、態度はマイルドなふりして、日本人を見分ける目ざとさとつきまとう執拗さはエジプト男らと同レベルのような気もしてしまう。

9:50、日本人より韓国人を多く乗せた飛行機は大阪へ。カイロから同じフライトで戻ってきた日本人はほとんどが東京行きのゲートに消えてしまい、大阪線に乗り継いだ人はまばらで、他人の珍エジプト土産観察はならず。一時は瀕死の状態に陥ったもののすっかり復活し、11泊14日の旅から現実復帰する時間。


今、このエジプト記終盤編は旅を終えて半年以上たって書いています。でもいまだ熟してはいないのが現状で、何だかわからないけれど消化不良な感じがしています。一番の原因は、旅の前後があまりに忙しすぎたからと思いますが・・・;遺跡について、ファラオについてほとんど予備知識ないまま、ただこの目で見てやろうというだけで行ってしまったのもいけなかったし、怖いもの知らずでイスラムのど真ん中にのりこんでしまったのも。ま、5000年なんていう常識の範囲を超えた時の流れもあるのかもしれませんね。一方帰国後も例によって余韻に浸る暇なく、数ヶ月はジェットコースターな(?!)日々でした。頭の整理がつかないうちに新しいことを詰め込み、後始末も復習もできないうちに行動はどんどん次へ。なんだか上手く表せませんが、刺激や脳も過食気味という事態があるんだなぁ、なんて思う所存でございます。
でもって。個人的には、はっきり言って女性の1人旅は頑丈でタフで、人を疑う目をもお持ち合わせの方でない限りおすすめできません。
キケンがいっぱい! それだけでなく、ナイル川クルーズ船に宿泊したり、上エジプトの立ち入り規制地域エドフやコム・オンボへの観光は、1人では不可能ですから。

 教訓:私の旅行記を読んで不安になった方は、エジプトにはツアーで行きましょう。
     悪いエジプト人とやりあうことにより浪費する気力・体力を温存できることで
     エジプトという国に対する印象も良くなるはず?!


最後にまた裏を返しますが、それでもやっぱり、行ってよかった!! どんな形でこの国を旅しても、帰ってから『エジプトがすきだから』を読めば、誰もがそうそう、その通り〜!!と異常なまでに共感してしまうことは間違いありません!

                                                            
nd



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