OSAKA >>> SEOUL >>> 13 / NOV / 2003 *THU*



いつからなんてわからないほどずっと以前から、行きたいと熱〜い思いを暖め続けていたエジプトに、まさに今日これから行こうとしているというのに、気分の方はこれまでにないほどどうしようもなく盛り下がっている。

早く着いてしまった関空、航空券を受け取るカウンターに行くと、
「まだ係の者が上がってきていないので、すぐお呼びします」。
近くで座って待っているとすぐ呼びに来てくれるが、受け取ったのは薄っぺらい航空券だけ。カイロまでの往復は約束されているが、エジプト国内線はキャンセル待ちのまま出発、ホテル・ツアー予約もいっさいなし。カイロ往復すら直前まで取れず一度は延期、にもかかわらずその後も延々キャンセル待ち(しかし乗ってみるとけっこう空席があって腹が立ってしまった・・・)、お陰で現地手配する時間すらないまま、予習する気にもならず、究極フリーでの渡航となってしまった。加えて旅行会社Hの、フライト時刻の最終確認や料金明細・請求書といった重要書類を発送したのかしないのか、結局届かず、昨日職場に急きょFAXさせてお金を振り込んだ
昨日まで旅行代金すら不明だった!という仕事の悪さも盛り下がりに一役買っている。
「ルクソールからシャルムエルシェイクへのキャンセル待ち、最後まで取れなかったらどうなるんですか?」
関空係員の携帯で、本社担当者につないでもらう。
「チケットを持って帰って郵送していただければ、手数料はかかるかもしれませんが銀行口座に払い戻し致します。」
まじエアーだけじゃん、大丈夫かおかぽん?!とひとり突っ込み入れながら大韓航空の手続きに進む。

大韓航空の預け荷物チェック前には、1個軽く30kgくらいはありそうなダンボールが向こうも見えないほど山積みになっている。持ち主は韓国の商売人風おばちゃんたち、中身はナゾ。カウンターの女の子は、チアリーダーかエアロビのインストラクターかっつうほど声が大きくハキハキしていて(最初声のデカさにちょっとびっくりしてしまった)愛想がいい。「かなりマイルたまりますよ」とスカイパスの入会を勧められるが、断るとミュージカル俳優ほどの七変化で、明日にも地球が滅亡するかのように悲しげな表情をする。
出国してからゲートまで、至る所にPCがあってHPが見られ、ハングル語にも対応している。暇で自分のBBSに書き込みしちゃったりなんかする。

17:20発ソウル行き、薄暗くなって搭乗が始まる。時間的に乗客は韓国人が7割、日本人2割、その他1割?といったところ。空席が目立ち私の隣は空いている。


シートのポケットに入ってたシートに貼るステッカー
「食事も要りません」
「食事の時だけ起こして」etc
ありそうでないアイデア

簡単なお弁当、いなり寿司、巻寿司、茶そば、卵焼き、焼きシャケetc.昼食をとっていないのでかなり空腹だが、あまり美味しくないし、カイロ行きでヘビーな夕食が出ると思われひかえめに。

19時、ソウル仁川空港。その昔の金浦空港とはまるで明るさが違うのにびっくり。
たいてい大きな空港では、乗り継ぎに建物内を15分以上も歩かされたり、ひどいところではターミナル間をバス移動しなきゃいけなかったりするが、飛行機を降りてから次のカイロ線へのゲートまでほんの50m、ものの5分で移動できてしまい、逆に2時間半を持て余す。



関空なんて完全に負け!
免税店はないブランドはない充実ぶりだし
フードコートもしっかりしている

“たこ焼きどんぶり”
という苦しいネーミングに立ち止まってしまうが
これ見る限りは鉄板焼き定食?
他“おでんうどん”なるものもあり
(うどんすきのようでした)



搭乗1時間前になってようやく人がパラパラ集まってきた。日本人ツアー客は中高年だらけだが、奴らは少しの時間も無駄にせずレストランに行き、免税店を見・・・と私なんかよりずっと活発。あ〜、旅の始まりというのに私は何でこんなに嬉しくないのか?どうしてこんなに疲れてるんだろう・・・?
ゲート前の椅子で横になっていてふと気がつくと、いつの間にやら人だかり。しかしざっと見渡しても
深夜2時などという時間にカイロに着く便でひとり旅をする者なんて他にいない様子。この便、先月まではさらにドバイだかインドのどこかを経由し朝6時にカイロに到着していたのだが、今月からスケジュールが変わってありがた迷惑なことに直行便になり、お陰でそんなものすごい時間に着いてしまうのだ。旅行会社に「夜中2時ですよ?!」と念を押されてもなんとかなるさとフライトを変える気のなかった私だが、本音を言えばここにきてちょっぴり不安。

21:30 週2本しかない大韓航空953便はカイロへと離陸。機内は搭乗してみると後方は8割方日本人団体で占められ、前方は韓5、日3、他2といったところ。延々キャンセル待ちさせられたにもかかわらずけっこう
空席がある! しかも中近東だぜ!!と主張しまくりの濃い顔の、ややふとめのオヤジの隣。彼はボルドーのシャツ+ネクタイに濃紺のスーツでビジネスマン風、しかし私が隣に座ったとたん、
「カイロまで何時間かかる?」(英語)
「12時間くらい」
するとややオーバーな驚き方で
「イッツ・マイ・ロンゲスト・フライト・・・!」
そうなの?・・・いったい何者で、何しに韓国に来てたのか。フライト時間くらい知っておけよと心でつぶやく疲れた私にかまわず、彼はぽつぽつと自分のことを話し始めた。エジプトを旅する中で、モハメドという名がめちゃくちゃ多いことがわかり、私が出会って会話した中にも少なくとも4人くらいはいたし、奴の本名は聞いたか聞かないか忘れてしまったのでとりあえず‘モハメド1’にしておく。あとで知ってものすごく驚いてしまったのだが、そんなモハメド1は28歳で私より年下なのだった!!(歳を当ててみろと言われ、40と言ったところ、モハメド1は
オーマイガッ!!
と両手で顔を覆い隠して黒い顔を赤らませていた・・・) でもほんと
オヤジにしか見えなかったんだもん!! オーマイゴッドはこっちのせりふ。

*モハメド1について*
・カイロ在住のエジプト人、コンピュータープログラマー、ムスリム(イスラム教徒)。
・ドバイに1年住んでた(1年半前)がそれ以前に海外には行ったことがなかった。
・ドバイで知り合った友人を訪ねての韓国旅4日間。
・行きはインド経由で来たからこんなに長いフライトは初めて。
・空手を習っている。


当初彼は私を韓国人だと思っていたようで、日本人と知るやいなや嬉しそうに空手の話を始め、まわし蹴りだの横蹴りだの‘イッポン’に‘ワザアリ’だの空手用語を連発し、もう7年もやってて黒帯、三段なんだぜと聞いてもない自慢をし、そうかと思えば韓国の悪口を言い始める。ちなみにカイロには無数の空手教室があるが、日本人は少なく先生は日本人ではないらしい。

*韓国の悪口*
・韓国は英語が通じなくてホトホト参った。(そういうあんたのエジプト訛りな英語も聞き取りにくいゼ。実際、機内で乗務員に何か言うたび、「何??」と毎回聞きなおされてた)
・韓国は犬を食べるのが信じられない、日本も食うか? (日本は食わないが、中国やベトナムでも食うゼ。)
・犬を食べるのには参ったし、僕はムスリムだから豚肉が食べられない、だからコリアンフードもあまり食べられない。4日間ずっとチーズだけのピザ食ってた。(そんなので面白かったのか?!
・韓国は物価が高い。(ドバイだって高いだろ?日本も高いぜ)

そんなこんなでモハメド1の相手をしてやっていると食事の時間。彼は、自分はムスリムだからポークはダメだ、
絶対にポークじゃないだろうな?!とパーサーに繰り返ししつこく聞き、ワインをすすめられても、
「ムスリムだ!」
と半ばイバリ口調ではね返す。ビーフかピビンバの機内食、彼は私の前にスタンバイされたピビンバを覗き込んで、
「何だそれ?」
ったくいちいちうるさいなあ・・・と思いながら、
「これがナムルってやつでこうやってご飯にかけて、チリソース(コチュジャンソース)とセサミオイル(胡麻油)かけてこーして思いっきり混ぜて食べるのさ、エジプトのクシャリみたいなもんじゃないの?」
説明してやる。すると今度は、
「おお、君、
クシャリ知ってるのかい?!
と喜ぶもんだから、私も調子にのって、
「当ったり前よ、あたしゃエジプトではクシャリにターメイヤ、タヒーナ、アエーシなんかにトライするよ、ケバブもいいね〜」
モハメド1はますます嬉しそうに、
「実はさっきソウルで友達に会った時、
空港でケバブ食ってきたんだ!
と興奮してツバを飛ばすのであった。

◆ INFLIGHT MEALS ◆

ピビンバ ★★★
わかめスープ ★★★
3色だんご ★

機内食にしては美味しめで実はけっこう好き。ややしつこい気もするがお腹すいてたんでしょう、完食。
モハメドの隣にいると眠れそうにないので席を移動したいと辺りを見回すが、ちまちま食事している間に空いていたシートはすでにゴロ寝組に占領されている。諦めてシートに体をうずめるが眠れない・・・ロクに目を通してもいない「地球の歩き方」を引っ張り出して、カイロのホテルに当たってみる順に印をつける。久々の12時間フライトはキツい。


                                
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