南大東島 14 / JAN *TUE*



民宿の朝は早く、6時半頃から出かせぎ労働者たちが仕事に出て行く物音がする。
7時半に起きて顔を洗いに出ると常さんはすぐ気づいて、
「コーヒー飲みましょう。朝ご飯買ってくる?」

2軒隣のパン屋にメロンパンのおつかいを頼まれる
‘準備中’の札がかかっていたが
ちゃんとパンは並んでいて
特別変わったものはないが素朴でどれも美味そう

クロワッサンクリーム130円を買い、台所で常さんと2人食べていると、まだ薄暗いうちから日の出撮影に行っていたと思われるSさんが戻ってきて、
「今日(の船の入港は)は亀池(港)らしいですよ。」
と新情報を提供してくれる。
かくのごとく波と天候次第で船の予定はコロコロ変わるわけで、しかし週1本あるかないかわからない船の入港を見られるとは素晴らしくラッキーなこと!! 「だいとう」の入港をなぜそんなに見たいかと言えば、先にも述べたが360°断崖絶壁のこの島には船が接岸できる港が作れない。よって人間も荷物も積み下ろしは全てクレーン作業なのだ。

9時頃、Sさんのバイクに先導してもらって自転車で港へ出発。今日のマシンは常さんが気を利かせてあらかじめ隣のバイクショップから借りてくれていた立派なMTB、7段変則付き。サドルが高くて足が届かないが(なんでも数日前にやってきたブラジル人?旅行者に合わせてサドルを上げたまま・・・)、これまでの各島での自転車から比べると涙が出そうなマシン。南大東も北大東同様周囲が隆起していて内部は盆地状にくぼんでいるカルデラ風構造のため、港に行くには50m程度の上り坂を登り、その後急斜面を下らねばならず少々キツイが、なんたって与那国の嫌がらせとしか思えない悪夢のアップダウンをママチャリで1周した身にはまだまだ楽勝!である(この日、港への上り下りを4〜5回は繰り返しました)。亀池港までは1.5kmほど。

着いてみるとちょうど船が入航したところで
物資を受け取りに来たトラックや迎えの車も
7〜8台待機している
しかし作業関係車にトラック
フォークリフトが何台もせわしなく行き来するので
むやみにウロウロしたり船に近づくと怒られる
邪魔にならないところに自転車を停め
岩の斜面に登って作業を見守ることにする
ロープで船を固定したらクレーンの出動
一番はじめにまず人間が降ろされる

この光景、予想以上に面白くて
大コーフン!!!
たたみ2畳分くらいの鉄カゴの中に
満員のエレベーターみたく10人ほどの人間が詰め込まれ
ほとんどオリ状態なそれに
ロープを通してクレーンで吊り上げる
クレーンは180°回転しながら海上を舞い
地上に着地するが
その間なんとたったの
5秒!!
逆バンジーとまではいかないが
あれじゃ遠心力Gで海へ飛ばされるんじゃないかと
心配してしまうほどに乱暴で
ド迫力
絶対怖いよ!!
しかし、降りて来たのは当然地元人ばかりで
皆なにくわぬ顔
いやむしろ嬉しそうな表情なのがまた笑える

ひぃ〜、クレーンで吊られた方
ぜひぜひ感想をお寄せください
人間を降ろした後は
食料をはじめ荷物の入ったコンテナが降ろされる
コンテナは港で開けられ
中のダンボールには“JA南大東様”等
行き先が書かれてあり
受け取りに来た商店の人たちが
各自仕分けしてトラックに乗せ、集落に戻っていく

コンテナやガソリンタンクの積み降ろしはクレーン、トラック、フォークリフト等のチームワークだが、あ・うんの呼吸で実にスムーズに作業が行われ、その手際良さに感心する。正味1時間ほどクレーン作業を見学したら、島の南半分を半周する形でサイクリング。

金城さん、Sさんもおすすめの
‘日の丸山展望台’
海はあまり見えないが
島内部が一望できて気持ちいいところ

島の東海岸、海軍棒プールにいたトラクターのおじさん(歯が2本くらいしかなかった)に挨拶すると、
「内地の人? ご旅行ですか? おひとりで?」
程度の質問を受ける。

満潮時には消滅するこのプール
台風の後なんかは
大物が入ってることもあるとか
私は行かなかったけど、日の出スポットでもあります
(まだ真っ暗な早朝を
ここまで自転車で見に来るのはムリ)
空港

11時に那覇からの‘午前便’がやってくるのを思い出し
滑走路が見える敷地フェンスの横で待機
11時ジャストに静かに南の上空にDASH8が現れる
プロペラ機なうえ
着陸時であるからほんとに音は静か
危うく気づかず撮り逃がすところだったが
着陸寸前の撮影に成功

空港から集落に戻る途中、反対方向から走ってきた軽トラがクラクションを鳴らすので、見ると伊佐さん。全開の窓から親指立てて合図してくれる。
「後で行きますねー!!」

民宿に戻ると常さんが、「船見れた?」
「見ました! 
スゴォォォォく面白かったです!!

そして大東そばを食べるべく伊佐商店に歩いていると、Sさんもどこからか帰ってくる。
「伊佐商店に食べに行きますよ、先行ってますね!」
ガラガラと引き戸を開けるともう地元客が7、8人いて大繁盛(?)。厨房を覗くとU世氏がいたので、
「おねがいしま〜す」。(このひとことでわかってくれるところがいいでしょ!)
お客さんはほぼ全員ノーマルな大東そばを食べているようだったが、我々は例のそば小+大東寿司5カンセット900円。写真を撮っているところにSさんもやって来た。

◆ LUNCH ◆

そばは見た目うどんに近く
太く縮れていてスープは透明、あっさり塩味
具はカマボコとソーキ
Sさん曰く「支店よりあっさり薄味」
でも物足りなくはない
★★★★
大東寿司はサワラの醤油づけをにぎったもので
八丈の島寿司からきている
ご主人が「何もつけずにどうぞ」と言う通り
辛くも薄くもなくほど良い味付けで
そのままでちょうどいい、
美味!!
厳しく採点・批評させてもらうと
ちょっとシャリが大きかったかな
★★★

ここ南大東へは那覇から1泊2日のツアーも出ている
昨日の金城さんによると
昔に比べるとこれでも最近飛行機代は安くなり
座席も取りやすくなったそうで、ツアーだと週末発でも
那覇から往復の飛行機とホテル1泊に
島内の観光・ガイドまで付いて
34000円〜ってんだからかなりオトク
JAにも伊佐商店にも広告が貼ってありました

この日、我々より1日遅れで民宿金城にやって来たこれまた1人旅のMさんによると、
「那覇からの飛行機、近畿日本ツーリストの団体客でいっぱいでしたよ。でもその添乗員、ツアー客から何か質問されても、私も行ったことないんでどんなとこだかわかりません、な〜んて無責任なこと平気で言ってました(笑)」。

午後は島の北側を探訪。島いちばんの観光スポット‘星野洞’は1時間の昼休みがあり、午後は1時から。これも金城さんによると、
「昼休みは12時〜1時ですけど、正確に言うとおばちゃんは11時45分には家に帰って、開くのは1時15分頃です(苦笑)」。
というわけでSさんと1時半頃現地集合で一緒に見学しましょう、と約束。ところが、民宿を出発して北に向かったはいいが目印のない農道の途中にある星野洞は場所がややわかりにくく、行きすぎてしまい、15分ほど遅れてなんとか辿り着きちょっとムスッとして退屈そうに小屋に座っていたおばちゃんから入場券を買おうとすると、
「カレシ、探しに行ったヨ!」
と言われる。あらま・・・申し訳ない。まぁすぐ戻ってくるだろうとベンチに腰かけてお茶を飲んでいると案の定、Sさんはすぐ戻ってきた。
ごめんなさい!! ちょっと迷いました・・・」
やる気なさそうな、
暇じゃ!と顔中に書いてあるおばちゃんに聞くと、午前中の客はゼロでこの日の訪問者は我々がはじめて。入口の鍵を開けブレーカーをバチン!とあげて、
「中は暑いですからね。センサーで照明が点くようになってますが、センサーはおばあさんで反応が鈍いですから、ゆっくり歩いて下さいね」。

薄暗く、やたら長い地下への通路を
下りて行って
仰天!
期待以上の規模と迫力に息を呑む
すご〜〜〜い!!!
なんとなく天井が落ちてきそうな
インディージョーンズを
彷彿とさせるような雰囲気で
外とはまるで別世界

しかし洞窟の中は涼しいものというイメージに反して蒸し風呂状態、
暑い!

Sさんもえらく感動している模様で
2人して写真撮りまくるが
果たして写っているのか??
デジカメ使いのSさんはその場でわかるけれど
私はフィルムのムダ使いかも・・・と思いつつ
シャッターを押す手が止まらない

入口はひとつで奥は行き止まり。確かに照明センサーは反応が鈍く、見つけては手をかざしてやらないと点かなかったりする。こんな地底の洞窟の中にこんな階段をつけたっていうのも凄いよね〜、と感心する。ココを見るためだけに南大東にやって来る価値があるかもと思うほど素晴らしいが、1人だとちょっと怖かったかも。Sさん、誘ってくれてありがとう!

島の北西角で勢いよくまわる風力発電の
風車の下まで行き
南大東漁港から北大東島を仰ぐ
無駄にめっぽう立派な漁港が建設中でした
普通のガイドブックには載っていない?隠れた名所
‘バリバリ岩’
誰が何考えながら作ったんだろ??
って感じの看板

昨夜金城さんに教えてもらった通り、この看板の先、畑の中を入って行くと思いっきり
関係者以外立入禁止の表示があるが、無視して張られているロープをたどり薮の中をかき分けて入っていかなきゃいけない。こんなトコ、教えてもらわないとわかるわけない!

島は年間数cm、本島の方向に移動しており
その影響でできた亀裂がよくわかるという場所
巨大な岩が真っぷたつにバリバリ裂けてるからバリバリ岩って訳
ネーミングもまんま・・・
この写真はあまり良くありませんが
実際のスケールはかなりデカく雄大で
裂けた岩の割れ目から光が射しこむ具合が絶妙
Sさんも「星野洞の次に感動した!!」

島中央部にはかなりたくさん池がある。なんと
100個以上もだって!! ところが、普通に道を走っていたのではそんなにたくさん、しかも大きな池があるとはわからないし、実は沖縄で1番という大きさを誇る大池にしても展望台は何の案内表示もなく、この辺りかなぁ・・と見当をつけてさとうきび畑の間を入っていかなければならず、これまたちょっと迷ってしまった。

天然記念物のオヒルギ群落とやら
マングローブが生い茂って亜熱帯っぽい
予約すればカヌーツアーにも参加できる

大池に3ヶ所ある展望台のひとつから眺めていると、少し向こうでさとうきびの収穫をしている模様。これは見に行かなくては!!と急いで自転車を向かわせる途中でバイクのSさんとすれ違う。
「すぐ向こうでさとうきび収穫してますよ! 展望台から見えました!!」
これまた普通に道路を自転車や車で走っていても、なにせさとうきびの背丈が2m以上と高いもんだから全く見えない、気づかない。

常さん曰くオーストリア製とやらの
ごっつい刈り取り機で刈って
トラックの荷台に積まれていく
が、機械から落ちてくるさとうきびを
受けるべく並走するトラックが
機械の方向転換に間に合わず

い〜っぱいこぼれているのに
思わず吹き出してしまう
写真を撮りにすぐそばまで近寄ったSさんは
降ってきた(笑)

大小様々な池の間を走る農道(ほとんど畦道)を、常さんにもらった詳しい地図だけを頼りに散策しながら集落に戻る。南大東は北大東と比べて島の面積も周囲の大きさも人口も、何でも約3倍。天気に恵まれたお陰でまたも日焼け・・・年末のカンボジア、ベトナムでも焼けていたから、さすがに帰ると「スキー焼け?」なんて数名に指摘されちゃいました・・・。

民宿に戻ると、今日那覇から飛んできたという1人旅の同志が1名増員。長崎在住のMさんはなんとこの島でダイビングに挑戦するそう。潜り歴は99本だか100本だか。しかもこの島には船のスケジュールに合わせて宿泊し、船で北大東に渡り、そのまま同じ船で那覇に戻るつもりと言う。おお、ここに
クレーンに吊られる人が! しかしうらやましいと思う反面、船に弱い私は「よくやるなぁ〜、タフだなぁ〜」とも。後にMさんからもらった感想によると、北大東→那覇の17時間はけっこう揺れ、飲み食いせずひたすら寝た状態で相当辛かったとのこと。“もう、船旅はいいかも・・・(汗)” でもなんと、北からはその日船に乗る荷物がなく、乗客もMさん1人だけだったので、船は港につけず沖で待機しており、小型ボートに乗せられたMさんはボートごとクレーンに吊られて海に降ろされ沖で待つ船に向かい、荒れる海上で船に乗り移るというまか貴重体験をしたとのこと!! “私の道楽の為に・・・港湾業務の方に何だか申し訳ない気がしました(苦笑)”

夕方、民宿金城に宿泊中の1人旅トリオは塩屋海岸に夕日撮影に。Mさんにあてがわれた自転車がママチャリなのが可哀相になってしまうが、私が道案内する格好で一緒に走る。毎日日の出、日の入りをきっちり押さえている撮影熱心でマメで行動派なSさん(ほんと見てて感心しちゃった)は、「水平線からの日の出と日の入り両方が1日に見られるのは島じゃないと無理ですからね」。

昨日も水平線に雲があったそうだが
今日も同じで残念ながらいまひとつ
風が冷たくどうにも寒くなり
自転車にライトが付いていないことにも気づいて
真っ暗にならないうちにと帰り道を急ぐ

晩餐は民宿の3軒隣?の割烹‘喜作’で。『沖縄・離島情報』で紹介されていた販売禁止の深海魚「インガンダルマ」が食べたい!と常さんに話していたところ、電話で聞いてくれていた。
「あるってサ!」
ダイビングショップ(何の看板も出しておらず、全く普通の民家1Fの応接室・・・)に明日のダイビングの申し込みに行ったMさんを待って乾杯。1日自転車で走って喉が渇いていたのか、2人にも驚かれるペースで飲んでしまう。
骨身にしみるぅ


◆ DINNER ◆

でもってこれがおどろおどろしい名前の
インガンダルマ
体長2mもあるという深海魚
食べすぎると“体に
悩ましい現象が起きてしまう”
ってんで販売禁止ならしいが
捕れた時だけサービスで出してくれている
3人でこれだけ
見た目イカっぽいが
トロみたいに軟らかくて脂がのっている
特別変わった味ではなし
★★★★
おばちゃんにおすすめを聞くと
ナワキリ’も美味いってんで塩焼き(下)をいただき
さらに私は上にぎりを(上)
ナワキリ(これも深海魚)も脂がのっていて
確かに美味いが
一見普通の白身でクセもなく
食べたことありそうな味
★★★★

出された寿司たちに向かって「(近すぎて)シャッターが下りない!」と言いながら必死に一眼レフのレンズを伸ばす女2人を、面白がってSさんがデジカメで撮っていたりする。
上にぎりセットの中にも何の刺身だかわからないものがあり、おばちゃんに質問するが、おばちゃんも知らず、板前さんや隣で飲んでいた漁師さんに聞き、写真入りの資料を持ってきて「マチじゃないかなぁ・・・」って始末(マチってのも聞いたことないが鯛の一種のようです)。知らん魚出すなっつーの。ま、全て美味かったから許すとしよう。


昼に大東寿司を食ったにも関わらず
ここでしか食べられないものを
とSさんはMさんと共に大東寿司
でもさすが寿司屋
「昼に食べたのより美味しいかも」
★★★★

お酒も入って3人で9000円(安い!)

上にぎり1人前1200円、大東寿司1人前1000円、ダルマとナワキリの値段は不明だがとにかく大満足の晩餐でした。

そういえば北でも南でもポストの上のはく製にはお目にかかったが、ホンモノのコウモリを見ていない。伊佐さんに頼めば連れてってもらえるかも・・・と1人増えていちだんと図々しくなった我々、今夜もおそるおそる?閉店後の伊佐商店の引き戸を開ける。
「こんばんわ〜」。
図々しくも、ややモジモジするMさんに「本題を・・・」と押されてお願いする。
「あのぅ、コウモリ見に行きたいなぁ・・・なんて」。
今日もいた金城さんは「今はコウモリ見れない時期」(交尾の時期だそう)と言いながらU世氏と共に軽トラを出してくれる。貸してくれた懐中電灯は電池が切れかかっていたので、隣の売店で電池を買って寄付、そして我々3人は強制送還のごとく荷台に乗せられ大東神社に出発! 怪しいネオンの光る繁華街を抜けると辺りは真っ暗闇。肝試しに行く小学生みたいな気分。そして神社の境内、コウモリは呼ばないと来ないらしく、金城さんが発泡スチロールのかけらを車にこすりつけてキュウキュウと泣き声に真似た音を出す。と、しばらくしてバタバタと2匹ほどやってきた。多い時は20匹くらい集まってくるとのこと。高い木の枝の間をバダバタと行ったり来たりするだけで下までは降りてこないが、‘オオコウモリ’の名の通り、
「あれは1mくらいありますね」。
時期は悪いがそれでも見られたことに満足、金城さんU世さん、我々のわがままにお付き合いいただき、まことに
ありがとうございました!!! 常さんもそうだが、島の人々の面倒見の良さに頭が下がる。お世話になりっぱなし、甘えっぱなし。
商店のノートにそばを食した感想とお礼を書き記して帰る。ここの大東そばを食べるためにわざわざ
自家用飛行機で兵庫から2回もやってきたという男の書き込みに一同びっくり。

民宿に戻ると隣室から男のいびきが聞こえてくる。TVも部屋の明かりもつけたまま寝てしまっているようだ。あ〜あ、こうも頻繁に他人のいびきに悩まされるのって私だけでしょうか?? 実は一緒に旅した相棒のいびきに眠れないことも多々、これがいちばん辛い。いびきかく方、就寝前の飲酒は控えよ!


                                     
Continue...



NEXT  BACK / TOP