今日はアテネから長距離バスで6時間、ギリシャ本土中部の世界遺産メテオラに行く。メテオラで1泊し、明日再びアテネに戻るが、アテネに戻ってくるのは間違いなく夜。そこからまたホテルを探すのも大変なので、トム君に明日空きがあるか聞いてみる。彼は宿泊帳を指でなぞり、
「うん、空いているけど3万Drs(1万円)の部屋しかないよ。それでもよかったら」。
一瞬考えてしまうが、3万Drsったって2人で割れば5000円。この2日間泊まった部屋は1泊21000Drs(7000円)、さてどう違うんでしょう? チェックアウト時、トム君は
“See you tomorrow!”
と元気に送り出してくれる。
朝からじりじり暑い中、荷物を持って近くのバス停へ。アテネには長距離バスのターミナルが2つあり、メテオラ行きは‘リオシオン・バスターミナル’というところから出る。ターミナルまでは24番の市バスで150Drs(50円)。しかしこのバスターミナルの場所のわかりにくさといったらとんでもなかった!!
『地球の歩き方』には“24番のバスで行く”というだけで、降りるバス停の名前も、バスを降りてからの行き方も載っておらず、ただ、“非常にわかりにくいのでバスに乗ったら運転手か乗客に聞くこと” “バスを降りてからも近くの人に聞くこと”という注意書きと、‘リオシオン・バスターミナルへの行き方を教えてください’という意味のギリシャ語訳が書かれおり、“英語が通じない人には直接これを見せよう”などという、親切だか不親切だかわからない説明があるだけ。『地球の迷い方』じゃん・・・・。それでも書かれていた通り、我々はバスに乗る前に運転手に「バスターミナルに行くか?」と聞き、乗り込むとすぐさま「着いたら教えろ」と念を押しておいたのだが・・・・。
乗ってしばらくすると、後ろに座っていた歯の抜けたおじいさんが何やらギリシャ語で話しかけてきた。当然何言ってんだか全くわからない。そのうち、おじいさんとその隣に座っていたおばさんが何やら会話し、2人して我々に何かを必死で聞いてくる。彼らは、我々がバスターミナルに行こうとしていることがすぐわかったようで、どうやら最寄りのバス停を教えてくれているよう。しかし、バス停でとまるたび何か言ってくれるのが、ジェスチャーもあいまいで、「ここだ!」なのか「まだだ!」なのかわからず、降りようとすると大声で止められるもんだから恥ずかしいわ怖いわ。親切なんだが、特におじいさんは歯が抜けているから(3、4本しかない)どうも人相が怖すぎる。そうこうしているうちにおばさんが座席を立ち、「次で降りるわよ」って感じのことを言い、歯抜けのじいさんも頷いておとなしくなったので、ようやく状況が飲み込めた。
おばさんに手招きされるままバスを降りてついて行く。が、細い路地に入って何度か角を曲がるものだから、
「おばさん、ほんとにバスターミナルに行くの? 家に帰るんじゃないの?」
と少々不安になってしまう。早足でさっそうと歩いていくおばさんのあと、荷物をゴロゴロ引きずりながらモタモタと、それでも信じてついて行くと、いきなりターミナル出現!! 思わず
「こんなとこ旅行者にわかるわけない!」
と顔を見合わせ驚き、あきれる我々なのだった・・・・。そして彼女は驚いている我々にかまわずさっさとチケットを買い、礼を言おうとした時にはもう目的のバスに乗ってしまったのであった。おばさん、ありがとう!!
とにかく、バスターミナルの行き方は『歩き方』に投稿しようにも、絶対に一度では覚えられない難易度。もう一度行けと言われてもムリ。
さて、メテオラ観光は、ふもとのカランバカという町が拠点になる。アテネからカランバカまでは直通バスがなく、途中トリカラという町で乗り換えなくてはならない。ターミナル内のチケット売り場を見まわし‘TPIKAΛA’(これで‘トリカラ’と読む!)という表示を発見。
「トリカラまで2枚」。
窓口のおばちゃんは非常に手際よく、ほんの数秒の間に、カランバカまで行くのか、往復なら安くなる、バスは2番ホームから出る、トリカラではバスが到着した同じところからカランバカ行きが出る、といったことを早口の英語でまくしたてた。おかげでカランバカまでの往復チケットと、それだけで必要十分な情報をゲットして無事バスに乗り込む。ちなみに、ギリシャ国内の長距離バス路線とおよその時刻表はHPで入手できます。本数や時間には変更が多いらしいが、それでも調べておけばだいたいの見当はつく。トリカラへのバスは1日8本程度で、チケットを見ると我々の乗るバスは9時半発。
9:30 アテネ出発。座席は指定制でほぼ満席。古いが乗り心地はそう悪くない。
アテネ市内を抜け丘陵を越え、南欧らしいオリーブ畑や低木の荒地の間を走る。バスは平地を走っているぶんにはさほどノロくないのだが、上り坂になると急激にスピードが落ち(たぶん時速40km以下)、ほとんど全ての乗用車に追い越される。2時間ほど走って途中11時半頃、ドライブインのようなところでトイレ休憩。道中、何もない大平原のど真ん中で突然車掌が乗り込んできて検札を始めるのに驚く。バスごときで車掌と運転手が別というのがよくわからないし、あまりに何もないところで降りて行くのも謎。MDを聴こうとするも、ドライバーはギリシャ音楽を車内に大音量で流す。さすがに妙なラテン音楽とHMちゃんおすすめ‘LOVE PHYCHEDELICO’の二重奏は頭おかしくなりそうで、1曲で断念。
アテネから5時間弱、2:20 トリカラ着。小さな田舎町で、バスターミナルは道端。チケット売り場は道を隔てて反対側の古びたマンションの1F。アテネからのバスは40分早く着いたが、カランバカ行きは3時半までないという接続の悪さ。しかも日曜とあって両替所も店も全て閉まっている。昼食をとってないため、HMちゃんはお腹が空いたとその辺の人に開いている店を聞き、かなり遠くまで歩いて行ってジュースとピタサンド(クレープみたいな薄い皮に野菜、肉などを挟んだもの)を買って道端で食べていた。
カランバカへのバスを待つ間、『歩き方』を読むと、ここトリカラからアテネへ帰る日と時間が決まっている場合、“帰りのバスの座席を予約しておいた方がいい”とある。窓口に行ってみると、アテネ行きの便の時刻表が貼ってある。
「おじさん、明日3時半のアテネ行きを予約したいんだけど」。
すると窓口のおじさんは英語がわからないのか、紙とペンを出してきて「ここに数字を書け」と指す。‘15:30’と書くと、彼は何やら言いながらその数字を上から2本線で消して‘16:00’と書き直した。「3時半のに乗りたいの」と訴えてみるが、奴はギリシャ語しか話さない。どうやら3時半の便がすでに満席らしいことを理解し、仕方なく4時の便を押さえてもらう。が、チケットに書き込まれた座席番号は35・36番で、翌日乗ってみてわかったことだが、かなり後ろの方、つまり4時の便も危うく満席になる直前だったというわけだ。4時をのがせば次は6時まで便がない。6時のバスで帰っていたらアテネ到着は深夜であった。今度は『歩き方』の情報に少しばかり感謝。
3:30 トリカラ発。
アテネからのバスとはうってかわってギリシャ音楽が流されることもなく、車内はいたって静か。ドライバーはいい人そうなオーラがあふれている穏やかなおじさん。20分ほど走ったところで、前方にメテオラの修道院を抱える奇岩が見えてきた。
「わ、あれや!」
遠くから見ても、その迫力とロケーションの面白さに、自力ではるばるやってきた甲斐あったな、と嬉しくなる。辺鄙さはかなりのもんだが、なんとかやって来れましたよ。
トリカラから40分でカランバカ到着。
広場でバスを降り、すぐ目についたホテルに飛び込む。朝食付き1泊2人で14000Drs(4600円)、1人2300円、安すぎる。部屋はこの値段なら仕方ないのかな、という古さだが汚くはない。
バスを降りた広場からメテオラの修道院に行くバスが毎朝出ている(はず)。バスの時間を聞くべく広場の角の土産物店に入るが、店のおやじも時間を知らない。こっちが聞いているのに、
「あんたは知ってるのかね?」
と逆に聞かれる始末。しかもこのおやじ、絵ハガキを買おうと何枚か渡すと、
「何枚だ?」
と自分で数えようとしない。枚数自己申告制。アテネの店でもそういうことがあり、なんだか平和な国だなぁと、何気ないことかもしれないがその感覚に少し驚いてしまった私。ついでに明日、トリカラに戻るバスの時間も聞いてみたところ、
「トリカラへのバスはここからじゃない、この通りを2ブロック降りたところにある、あの建物から出るんだよ」
と教えられ、HMちゃんが場所と時刻を確認に行った。
カランバカのメインストリートは10分で端から端まで歩けてしまうほど小さいが、それでも世界遺産を抱える観光地だけあって、トリカラとは違い日曜の夕方にもかかわらず店は開いている。フラフラ歩いていると土産物屋の姉ちゃんやレストランのおやじどもに呼び込みされる。
長い移動で疲れたせいか
夕食をしっかり食べる気にはならず
‘ギロ・ピタ’というギリシャ版ファースト・フードですませる
逆三角形に巻きつけられた大きな肉のかたまりを
ナイフでそぎ切り |
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ピタと呼ばれる
ナンみたいな薄いパンにはさんだもの
肉はチキンや豚肉で
香ばしく焼けていて美味い!
ポテト、玉ねぎ、トマトなど具はお好みで
見た目以上のボリュームで
これだけでけっこうお腹いっぱいに
450Drs(150円)也 |
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更にアイスクリーム屋でピスタチオアイスとキャラメルアイスを買って食べました。各250Drs(80円)。
肝心のメテオラへのバスの時間はわからないままホテルに戻ったが、よく見るとフロント横に薄汚れたコピーが貼ってある。それによると朝9時。
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ホテルの屋上からは
メテオラの奇岩群がよく見え
夜にはライトアップされて幻想的 |
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ところがっ!部屋にはエアコンがなく、窓を全開にしていたところ、網戸がないため蚊の襲撃に!! 夜中、あまりのかゆさに目が覚め、用意のよいHMちゃんが持ってきていたウナ・コーワに助けを求めるハメに。彼女は以前旅行中に蚊の襲撃でひどいめに遭い、それからというもの欠かさず虫さされを持ってくるようになったんだとか。
外は12時頃まで人の声がうるさく、朝は朝でバタバタとハトの音がうるさく、旅を終えて思えばこの日の宿は安かったものの、環境は旅行中最悪でした。ふぅ。
明日はこの奇岩の上の修道院観光!
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