ジョルジュ・ビゼー Giorge Bizet
美しきパースの娘 Die Schöne von Perth (La jolie fille de Perth) 全四幕

原作 ウォルター・スコット(1771‐1832)作 ”The Fair Maid of Perth”
台本 ヴェルノワ・ドゥ・サン・ジョルジュ、ジュール・アドニス
ドイツ語上演
上演時間:約2時間45分(休憩含む)

登場人物
カトリーヌ・グロヴァー S …サイモン・グロヴァーの娘
ヘンリー・スミス    T …武器鍛冶屋
ロートセイ伯爵     Br
マブ           MS…ジプシーの女王
サイモン・グロヴァー  B …手袋職人
ラルフ          B …グロヴァーの徒弟

伯爵の城管理人     B
労働者           Br
男             T

あらすじ
第1幕
武器鍛冶屋、へンリー・スミスの鍛冶場 夕暮れ
労働者たちが、鍛冶屋で忙しく働いている。ヘンリーは、カーニバル(謝肉祭)を謳い、労働者たちに休暇を与える。
独り残ったヘンリーは、愛するカトリーヌのことを思い浮かべる。カトリーヌの父親に、婚約の許しを請うのだ。突如、外で争う音と女性の悲鳴が聞こえる。ならず者達が、ジプシーの女王マブを襲ったのだ。ヘンリーはマブを工場内へとかくまう。 マブはヘンリーの手を見て、かくまってくれたお礼に将来を占おうと申し出、嫉妬に気をつけるよう、忠告する。(マブのアリア)
そこへ、カトリーヌ、彼女の父で手袋職人のサイモン・グロヴァー、グロヴァーの弟子ラルフが訪ねてくるので、カトリーヌの嫉妬を恐れたヘンリーは、マブを隣室へ隠してしまう。3人は謝肉祭の喜びを歌い、ヘンリーの所で、共に晩餐を営もうとやってきたのだ。カトリーヌは冬と謝肉祭の喜びを歌い(カトリーヌのアリア)、グロヴァーとラルフは、恋人達を残し、食べ物を用意するために去る。
ヘンリーはカトリーヌに金のバラをヴァレンタイン前夜の贈り物として贈り、カトリーヌはそれを受け取る(ヘンリーとカトリーヌのデュエット)。しかし、すぐに、ヘンリーの嫉妬をあおる出来事が起こる。
見知らぬ男(ロートセイ伯爵)が、美しいカトリーヌを追って入って来たのだ。伯爵はヘンリーに、すぐさま自分の剣を鍛えなおすよう命令する。その間に、伯爵はカトリーヌに言い寄るつもりなのだ。彼女は恋人の気持ちを試すために、浮気しそうなそぶりを見せている。混乱したスミスは伯爵をライバルとおもいこみ、刺しそうな勢いである。もはや決闘か、との寸前、ヘンリーを助けようと、隠れていたマブが姿をあらわす。
カトリーヌはジプシー女性の登場に非常におどろき、マブを恋敵だとおもいこんで、おもわずヘンリーの恋人の座をゆずる、と宣言してしまう。グロヴァーが戻ってくるが、状況に気付かない。しかし、伯爵に謁見を申し出るいい機会だとよろこぶ。カトリーヌは怒りで我を忘れ、恋人の足元に金のバラを投げつける。マブはカトリーヌにあとで返そうと、そのバラを取り上げる。その混乱の内に幕は閉じる。

幕間(?) カトリーヌは恋人を夢に見て、美しい夢と恋人を失う痛みとを歌う。

第2幕
パースの旧市街の広場、晩
グロヴァーと数人の男たちが街を巡回している。最初に聞こえたあやしい物音で、彼らは逃げ出してしまうが、謝肉祭の酒に酔った集団が騒ぎ、仮面をつけた伯爵をカトリーヌの部屋の窓の下にみちびいてきたのだった。大きな杯が用意され、伯爵は仲間たちに酒を飲むようけしかける。マブは一群の中に紛れ込んでいるが、人々はマブに踊ってくれという。マブの踊りに感謝しながらも、伯爵はさらに、仮面をつけたカトリーヌを彼の城で今夜おこなわれる祝宴に連れてくるようマブに頼むのだった。腹立たしさをかくしながら、マブは伯爵の移り気を笑い、承諾するが、ひそかにこのシャレ男をあざむいてやろうと計画するのだった。
人々はばらばらに散っていき、そこへ運に見放されたヘンリーが登場し、遠くはなれた恋人に向けてセレナーデを歌う。(ヘンリーのセレナーデ)通りすがりの男がヘンリーをパブに誘うが、ヘンリーは夜明けまでカトリーヌの部屋の窓の下を動かないことにする。時計が真夜中を打つ。ひどく酔っ払ったラルフは、恋人のいない自分の孤独をなげく。(ラルフのアリア)そこへ伯爵の城管理人がやってきて、カトリーヌ・グロヴァーの家はどこか、と訊く。
カトリーヌによく似た一人の女性が輿に乗りこみ、正気に返ったラルフは、ヘンリーに「自分の師匠の娘が乗っているらしい」その輿を追跡するようにしむける。そのとき、カトリーヌが窓辺に現れ、ヘンリーのセレナーデにこたえるが、ヘンリーは輿を追って伯爵の城へ向かった後だった。

第3幕
伯爵の城における晩餐

伯爵は、今夜は賭け事にも恋の駆け引きにも勝つとおもいこみ、友人たちに新しい獲物の到着を宣言する。ひとりの女性が現れるが、彼女は一同の前では仮面をとろうとしない。伯爵と二人きりになったら仮面をとりましょう、というので、伯爵は皆を下がらせる。女性は、仮面をとる前に、明かりを消してくれるようたのみ、カトリーヌが投げ捨てた金のバラを胸から取り出し渡すが早いか、一目散に逃げ出す。(伯爵とマブのデュエット
ヘンリーが城に到着するが、広間はもぬけの殻である。ヘンリーはカトリーヌの不誠実を嘆く。(ヘンリーのアリア)夜は飛ぶように過ぎ去り、グロヴァーが伯爵に謁見する時間が近づく。娘を自慢におもう父親グロヴァーは、伯爵を娘カトリーヌの結婚式に招待したいと申し出、伯爵を驚かせる。隠れていたヘンリーは姿をあらわし、カトリーヌが自分を欺いたことを責めたてる。カトリーヌはヘンリーに自分を信じるよう訴え、その気持ちをヘンリーは信じかけるが、伯爵のベストからのぞいている金のバラに気付き、彼の疑いは正しかったと知る。

第4幕
第1場 あるうらぶれた場所、数時間後

職人たちの一群がヘンリーにカトリーヌの無実を訴えている。ラルフはヘンリーに伯爵と決闘をし、神の采配にまかせるようたきつけ、ツィード河の岸辺で決闘がおこなわれることになってしまう。ヘンリーは、悲しみに打ち沈むカトリーヌに、永遠に名誉の死をもって別れることを告げ決闘場に向かい、カトリーヌは気を失って倒れる。

間奏曲

第2場 街の広場 朝
皆が聖ヴァレンタインの祝日を祝っている。マブはカトリーヌに、決闘が伯爵によって回避され、ヘンリーが無事であることを告げようと探しにくる。マブはグロヴァーから、カトリーヌが正気を失ってしまったことを聞き、居あわせたものたちは、カトリーヌが完全に我を失い、狂ったようにバラードをうたっているのを目の当たりにする。(カトリーヌのバラード)ジプシーであるマブはそれを見て、つよい心理的ショックをあたえることでカトリーヌの正気を取り戻そうと、カトリーヌの服をきて窓辺に現れ、ヘンリーの歌う情熱的なセレナーデにこたえるふりをする。「カトリーヌとヘンリーが愛しあい応えあう」様子を見て、カトリーヌは正気を取り戻すが、再び、ヘンリーの腕の中で気を失ってしまう。しかしすぐにカトリーヌは意識を取り戻し、全ては夢のようなものだったと知るのだった。(幕)