ハウルの動く城
チャプター7


えーっと えー…

(円盤が回る音)

ハウルさん お帰りなさい

王様から手紙が来てますよ

ジェンキンスにも ペンドラゴンにも

カルシファー

よく言うことを聞いてるね

おいらをいじめたんだ

誰にでも出来ることじゃないな

あんた 誰?

私はソフィーばあさんだよ

この城の新しい掃除婦さ

貸しなさい

ああっ…

あとベーコン2切れに卵6個ちょうだい

うまい

うまい

うまーい

掃除婦って 誰が決めたの?

そりゃあ 私さ

こんな汚い家はどこにもないからね

ふーん

マルクル 皿

みんなで おいらをいじめるんだ

(マルクル) ソフィーさんもどうぞ

こっちに座って

選んで

汚れてないの これしかないんだ

仕事は たくさんありそうね

マルクル

はい

ソフィーさん

ありがとう

諸君 いただこう うまし糧を

うまし糧!

久しぶりですね

ちゃんとした朝ご飯なんて

教えることも たくさんありそうね

で あなたのポケットの中のものは何?

え?

何かしら?

(ハウル) 貸して

焼きついた! ハウルさん これ…

とても古い魔法だよ しかも強力だ

荒地の魔女ですか?

“汝 流れ星を捕らえし者 心なき男”

“お前の心臓は私のものだ”

テーブルが台無しだね

すごい! 消えた

焼け焦げは消えても 呪いは消えないさ

諸君 食事を続けてくれたまえ

カルシファー

城を100キロほど動かしてくれ

うめえ うめえ

それに風呂に熱いお湯を送ってくれ

ええ それもかよ

ソフィーさんて荒地の魔女の手下なの?

バカを言うんじゃないよ

私こそ荒地の魔女に…

ほんとは 私は… わ…

もう!

荒地の魔女め

今度会ったら ただじゃおかないからね

さっさと食べちゃおう
 

チャプター8


虫ども

さっさと逃げないと掃き出しちゃうよ

どいつもこいつも人をバカにして

まじないを頼みたいんだが

後にして

中で魔女が暴れとるんじゃ

(カルシファー) ソフィー

消えちゃうよ

薪をくれなきゃ死んじゃうよ

何するんだ

落ちる 落ちる 危なーい

灰をかくのよ すぐだからね

やばい やばいよ

危ない

危ない…

消える

やばい 落ちる

落ちる…

落ちる… 危ない

ソフィー 早く…

うわーっ

友人をあまり いじめないでくれないか

ハウルさん お出かけですか?

マルクル 掃除もたいがいにするように

掃除婦さんに言っといて

ソフィー 何かやったの?

おいらをいじめたんだ

おいらが死んだら

ハウルだって死ぬんだぞ

私は掃除婦なの 掃除をするのが仕事なの

ダメ 二階はダメ!

私なら大事な物を

急いでしまっておくけど

僕んとこ 後回しにして

腹を立てたら元気が出たみたいね

へんな家ねえ

うん?

うわあ…

ああっ!

すごーい

カルシファー

この城あんたが動かしてるの?

うるさいなあ 当たり前じゃないか

すごいよ カルシファー

あんたの魔法は一流ね 見直したわ

そうかなあ…

そおかなあ!

まだダメだよ

よいしょっと

ああっ!

きれいだね

星の湖って言うんだよ

うん?

何か穴に はさまってるよ

あらあら マルクル 手を貸して

うん

よいしょっ よいしょっ うーん…

それ!

カカシだ!

カブ頭のカブって言うの

あんた 逆さになるのが好きだねえ

あっ!

妙なものに好かれちゃったねえ

私について来たんだよ

ソフィーって ほんとに魔女じゃないの?

そうさ

この国 一番のきれい好きな魔女さ

カブ 引っ張り過ぎだよ

洗濯物が気に入ったみたいだね

おかげで早く乾くでしょう

カブって悪魔の一族かな

カルシファーが怒らないもの

そうね 死神かもしれないわね

でも こんな所に来られたんだから

ソフィー 洗濯物しまったよ

ありがとう もう戻らなきゃね

不思議ねえ

こんなに穏やかな気持ちになれたの

初めて…
 

チャプター9


(円盤が回る音)

フーッ

くさい 生き物と鉄の焼ける匂いだ

うっ…

あんまり飛ぶと 戻れなくなるぜ

すごいだろう

ソフィーが置いてくれたんだ

ひどい戦争だ

南の海から北の国境まで火の海だった

おいら 火薬の火は嫌いだよ

やつらには礼儀がないからね

同業者に襲われたよ

荒地の魔女か?

いや 三下だが怪物に変身していた

そいつら あとで泣くことになるな

まず人間には戻れないよ

平気だろう 泣くことも忘れるさ

ハウルも国王に呼び出されてるんだろ?

まあね

風呂にお湯を送ってくれ

えっ? またかよ

ハウル?

そう お湯の使い過ぎだよ

ハウルさん 絶対食べないと思うよ

いいの

おはよう

おはよう

朝の市場なんてステキでしょ

私 海初めてなの

きれいね キラキラしてて

(マルクル) いつもと同じじゃよ

わしはイモは嫌いじゃ

払って

ありがとさん

まいど

どれも さっきあがった魚だよ

そいつはうめえぞ

わしは魚キライじゃ

艦隊が帰ってきたぞ

帰って来たぞ

うん?

もう ひと戦あったらしいんだ

ほんとかよ 奥さん 後にして

燃えてるらしいの

(町の人) 頑張れ〜っ 頑張れ〜っ

ソフィー もっと近くに行ってみようよ

いや 私こういうのダメ 戻ろう

最新式の軍艦が こんなになるとはな

マルクル ゴム人間がいる

えっ?

動かないで! 荒地の魔女の手下よ

行ったわ

あんなお化け

他の人には見えないのかしら

(爆弾の降下音)

あそこだ!

あいつが落としたんだ

あれ敵の飛行軍艦だよ

ソフィー ビラだよ

ビラを拾うな 敵のビラを拾うな

ソフィー 大丈夫?
 

チャプター10


お水を一杯 お願い

うん

(ハウル) ワーッ!

ソフィー 風呂場の棚いじった?

見て!

こんな変な色になったじゃないか

きれいな髪ね

よく見て!

ソフィーが棚をいじくって

まじないをメチャクチャにしたんだ

何もいじってないわ きれいにしただけよ

掃除 掃除 だから掃除も

たいがいにしろって言ったのに

絶望だ

何という屈辱

そんなにひどくないわよ

それはそれで きれいだと思うけど

もう終わりだ 美しくなかったら

生きていたってしかたがない

ええ…?

やめろ ハウル

闇の精霊を呼び出してる

前にも女の子にふられて

出したことがあるんです

ハウル もうやめましょ

髪なら染め直せばいいじゃない?

ひいっ!

ハウルは好きにすればいい

私なんて

美しかったことなんて一度もないわ

こんなとこ もうイヤ!

わあーん

あーん あーん

ありがとう カブ

あなたは優しいカカシね

ソフィー お願い戻って来て

ハウルさんが大変なんだ

ハウルやめろー 消えちゃうよ

ああ! ソフィー

早く来て

派手ねえ

死んじゃったかな

大丈夫よ

かんしゃくで死んだ人はいないわ

マルクル 手伝って

うん

マルクル お湯をたっぷりね

うん

ほら 自分の足で歩くのよ

マルクル あとお願いね

うん

またお掃除しなきゃ

沿岸部に上陸ですって 見て!
 

チャプター11


(ノックの音)

(ソフィー) 入りますよ

温かいミルクよ 飲みなさい

ここに置いておくから

冷めないうちに飲みなさいね

行かないで ソフィー

ミルク飲む?

荒地の魔女が僕の家を探しているんだ

えっ?

港で手下を見かけたわ

僕は本当は臆病者なんだ

このガラクタは

全部 魔女よけのまじないなんだよ

怖くて怖くて たまらない

ハウルはどうして

荒地の魔女に狙われてるの?

面白そうな人だなあと思って

僕から近付いたんだ それで逃げ出した

恐ろしい人だった

そしたら今度は

戦争で王様に呼び出された

ジェンキンスにも ペンドラゴンにも

ハウルって一体いくつ名前があるの?

自由に生きるのにいるだけ

ふうん

王様の話 断れないの?

あれ

魔法学校に入学する時

誓いをたてさせられてる

王様に会いに行きなさいよ

ええ?

はっきり言ってやればいいの

“くだらない戦争はやめなさい”

“私は手伝えません”って

ソフィーはあの人達を知らないんだ

だって王様でしょう

みんなのこと考えるのが王様でしょう?

そうか!

ソフィーが代わりに

行ってくれればいいんだ

えっ?

ペンドラゴンのお母さんということでさ

息子は役立たずの ろくでなしですって

言ってくれればいいんだ

マダム・サリマンも

あきらめてくれるかもしれない

マダム・サリマン?

その帽子かぶるの?

せっかく魔法で服をきれいにしたのに

行ってくるね

うん

(カルシファー) 行ってらっしゃーい

ああ… えっ?

お守り 無事に行って帰れるように

大丈夫 僕が姿を変えてついていくから

さあ! 行きたまえ

絶対うまくいかないって気がしてきた

見守るってまさか

カラスに化けてるんじゃないわよね

ハウルならもっと

派手なものに化けるわね

まさかね

王宮って遠いわねえ

ハウル?

あんた ハウルじゃないでしょうね?

ヒン!

もう…

年寄り犬に化けるなんて

年寄りが どんなに大変なのか

わかってるの?

お久しぶり

あの時の帽子屋さんでしょう?

荒地の魔女!

ハウルに手紙届けてくれてありがとう

ハウル 元気かしら?

震え上がっていたわ

おかげで私は掃除婦として働いてるけど

そりゃあ 良かったわねえ

ところで あんた

何で王様の所へ行くのよ

就職活動! ハウルの所はもうウンザリ

あんたこそ何なの?

私は王様に呼ばれているの

サリマンのバカもいよいよ

私の力が必要になったみたいよ

そんなことより

私にかけた呪いを解きなさいよ

あらダメよ 私は呪いは かけられるけど

解けない魔女なの

お先に失礼

ちょっと待ちなさい

待ちなさいってば!

もう あんたがいなければ

杖で殴ってやったのに

お前達 どうしたんだい!
 

チャプター12


奥様 これより先は禁じられております

どうかお歩き下さい

サリマンめ 魔法陣など仕掛けて

私に階段を上らせる気かい

ヘックション

追いついちゃうわ

知らん顔して行くのよ

ヒン!

もう…

どっこいしょっ…

重い… 何でこんなに重いのよ

ああっ… よいしょっ

ちょっと… 待ちなさいよ

呪いの解き方でも思い出したの?

だから それは…

知らないの

じゃあ 勉強するのね

おかしいわね…

何で あんな元気なの?

ハァ ハァ…

ちょっと下りて

今日は やめといたら? 無理だよ

あたしゃね ここを追い出されてから

50年もね 荒地でこの日が来るのを

ずーっと待ってたんだ

じゃあ 頑張りな

手を貸すほど親切じゃないんでね

おいで ハウル

薄情者

今度は もっとヨボヨボにしてやるから

どっこいしょっと

早くおいでー

奥様 ご案内します

それより あの人を助けてあげなさいよ

お手をお貸しすることは

禁じられております

何よ

来いって言ったのは王様じゃない

あんた 頑張りな

もうちょっとよ

それでも魔女なの?

うるさいわね ハァ ハァ ハァ…

あんた 急に老けてない?
 

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