海外の不便な地で生活している方々のための家電修理のヒント

第10章 冷蔵庫の修理のヒント

うちの冷蔵庫よりも、町の発電機の方を先に治してほしいな

冷蔵庫(英: refrigerator ; 仏: réfrigérateur)には残念ながら、自分で修理できる部分は、あまりありません。修理も出張料あるいは搬送料を含むことがあって、高めにつきがちです。

しかし、それでも「自分の手で、もうちょっと何とかしてみたい」と思う日本人が海外にはけっこういらっしゃるようです。ご自分で修理しなければ捨てるしかない、という環境にある方もいらっしゃるでしょう。暑い(というより熱い)国で冷蔵庫がダウンしたら、きついですね。

今日では節電と食品の鮮度維持のため、電子回路で細やかに各部を制御する機種が多くなりました。しかしここで取り上げるのは、シンプルな構成の機種です。一番上に冷凍室、まん中に冷蔵室、一番下に野菜室がある、2ドアか3ドアのタイプです。

たいていの冷蔵庫には、回路図が張り付けてあります。配線の色分けを示すためです。テスターの使える方なら、電気系統のトラブルシューティングもできるでしょう。ただし、手足が濡れることが多いので、感電には十分な注意が必要です。


[主な症状]

  1. 冷えない。
    (英: It doesn't get cold. 仏: Il ne fait pas froid.)
  2. 冷えが悪い。
    (英: It doesn't get cold enough. 仏: Il ne fait froid que faiblement.)
  3. 冷凍室はよく冷えるが、冷蔵室が全く冷えない。
    (英: It's frozen enough in the freezer, but it's not cold at all in the main storeroom.
    仏: Il congèle bien dans le congélateur, mais il ne fait pas du tout froid dans le cabinet principal.)
  4. 上手な使い方のヒント


[冷えない場合の対処法]

以下の順を追って点検を試みてください。

1. ドアを開いた時、庫内ランプが点灯しますか?

点灯しなければ、ランプの弛みやフィラメント切れが無いことを確認し、電源コードの断線がないか調べます。プラグの首の部分と冷蔵庫本体への接続部が、最も切れやすい箇所です。

点灯するようなら、ドアを閉じて2.へ進んでください。

2. コンプレッサーは動いていますか?

コンプレッサー(英: compressor ; 仏: compresseur)は、気化した低圧の冷媒(英: refrigerant ; 仏: réfrigérant)を圧縮して高温、高圧の気体にする装置です。冷蔵庫の振動の源泉でもあり、背面の最も下にあります。モーターを内蔵しているので重く、普通、黒くて円筒形です。動いていれば、ブ−ンと唸りますし、手で触れば、はっきり振動を感じます。

コンプレッサーが動いていれば、3.へ進んでください。

電源プラグをコンセントから抜いた場合など、一旦電源が切れると、5〜10分ほど時間を置かないと、コンプレッサーの始動コイルに電流が流れないようになっています。電源再接続までしばらくお待ちください。

電源を接続するとコンプレッサーが一瞬だけ唸り、カチッと音がして停止することがあります。これはコンプレッサーの内部に過大な電流が流れて、オーバーロード(過負荷)リレーが作動し、電路を遮断した音です。原因は、コンプレッサー内の巻線等の短絡(ショート)で、エナメルなどの絶縁物が焼けたり老朽化したりして起こります。冷蔵庫の周囲の通風が悪い状態で長期間使用したり、熱いものをしばしば庫内に入れて冷やすなどして酷使したのかも知れません。メーカーのサービス店に修理を依頼しましょう。

コンプレッサーが全く動かないままに、カチッという音が、数分〜十数分おきに繰り返すことがあります。これは、ほぼスタータースイッチの故障です。電源プラグを抜き、コンプレッサーの電線接続部にあるコの字形のピンかスプリング板を外すとスタータースイッチが取り外せます。これは、PTCリレーとかPリレーとか呼ばれ、半導体製です。テスターで抵抗値を測り、常温で1キロオーム以上もあるようでしたら壊れています。正確な数値はメーカーに問い合わせてください。故障していれば交換するしかありません。

コンプレッサーが全く動かず、カチッという音も全くしないようなら、オーバーロードリレーとサーモスタットを調べてみます。テスターか導通ブザーがあれば、端子間の導通を調べます。抵抗値がゼロならOKです。もちろん電源プラグを抜いてから調べます。導通が無ければ純正部品と交換します。

サーモスタットを左右に回したり、掌やヘアドライヤーで暖めたり、叩いたりするとコンプレッサーが回り始めることがあります。これらの場合も、サーモスタットを交換します。

サーモスタットの代わりに温度センサーを用いた電子制御回路でコンプレッサーを駆動している機種では、このように簡単には調べられません。

サーモスタットとオーバーロードリレーに問題がなければ、霜取りタイマーを調べてみます。霜取りタイマー内の接点が不良だと、霜取り終了後にコンプレッサーに通電できなくなります。

3. コンプレッサーに、手を触れていることができますか?

熱いでしょうが、掌(てのひら)で触れて約3秒以上我慢できれば問題ありません。1秒も触っていれないほど熱かったり、エンジンのような轟音を上げるような場合は、コンプレッサーの異常です。直ちにプラグを抜いてください。修理は、メーカーのサービス店と相談して決めます。

コンプレッサーが熱すぎず、静かに、安定して動いていれば、4.へ進んでください。

4.冷凍室内に霜が着きますか?

冷凍室内が全く冷えていなければ、霜は着いていないでしょう。冷媒漏れ(ガス抜けとも言う)(英: leak ; 仏: fuite)、パイプ詰まりなどが考えられます。冷媒の充填、パイプの掃除、交換等は、メーカーの認めた修理店と相談します。

冷凍室内がわずかしか冷えず、配管に沿って霜(英: frost ; 仏: gelée)が一部分だけに偏って着くようなら、冷媒の一部が抜けて不足しています。この場合も冷媒の補填は、メーカーの認めた修理店と相談します。

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[冷えが悪い場合の対処法]

冷凍室も冷蔵室も多少冷えるが、十分に冷えないというケースです。「多少」とか「十分」という感覚は個人差もありますので、他人の冷蔵庫を調べる場合は、温度計を使って、冷え具合を客観的に確認するといいかもしれません。透明なコップに2/3ほど水を入れて棒状の温度計を差し、冷蔵室の左右中央、下から1/3程度の所に置きます。3〜4時間のちに温度計をコップの水に浸けたまま見て、1〜5℃なら「十分」に冷えたと言えます。

特に古い年式の機種では、電源を入れてから24時間くらい経過しないと冷却サイクルが安定しないものもあります。じっくり待ってから判断しましょう。冷凍室、冷蔵室ともに、温度設定を最低温度(または「強」)の位置にして、電源接続から24時間以上経っても十分に冷えなければ、故障です。

故障の原因は、冷媒漏れ(ガス抜け)、コンプレッサーの圧縮不良、パイプ詰まり、などです。これらは日曜大工用の工具で簡単に治すことはできません。肝心の所まで来て突き放すようですが、冷却サイクルのトラブルは、専門の技能者に任せましょう。症状の確認がとれているので、修理ををめぐるトラブルも少なくて済むでしょう。

もし冷却器に手が届き、十分に冷えていることが確認できれば、冷却器のファンに問題があります。次の項目を参考にして原因を調べてください。

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[冷凍室はよく冷えるが、冷蔵室が全く冷えない場合の対処法]

この症状の場合、冷凍室の奥に冷却器があり、そこから直接冷気を受ける冷凍室はよく冷え、氷皿に入れた水もカチカチに凍ります。しかし冷却器からの冷気が冷蔵室に届かないので冷蔵室はほとんど冷えず、室温より心持ち低い程度です。

冷気を冷蔵室に送る方式に、ファンの力だけによる強制循環式と、ダンパを開閉するダンパ式とがあります。日本製の冷蔵庫のように規格が表示されているとは限りません。

強制循環式では、すべての扉を閉じると冷凍室の奥にあるファンが回転するようになっています。冷凍室の扉だけを開き、冷凍室のドアスイッチのボタンを手で押してみてください。ファンが回転すれば、冷気が顔に吹き付けて来るでしょう。電源プラグを抜き、冷凍室の奥のパネルを取り外して、冷気が冷蔵室内に下って行く通り道を調べてください。ゴミが詰まっていませんか?しばらく使っていなかった冷蔵庫では、ここが虫の巣になっていることもあります。きれいに掃除しましょう。確認のため、冷凍室を閉じ、冷蔵室の奥の上方の吹き出し口に手を当てると、ほんのり冷たさを感じればOKです。

ファンが回転しない場合は、ファンモータ軸の潤滑不良、モータの温度ヒューズ溶断、モータの断線などをチェックします。これをするには、やはり電源コードを抜いてから、冷凍室の奥のパネルをていねいに取り外します。ファンモータは指一本で、抵抗なく滑らかに回転しなくてはなりません。もし動きが悪ければ、微量のミシンオイルかCRCなどを注入します。温度ヒューズはモータに密着するように取り付けてあります。テスタで簡単に導通を調べられます。

ドアスイッチの故障でもファンが回らなくなります。冷凍室と冷蔵室のドアスイッチボタンが折れたり砕けるなどして接点が切り替わらないと、ドアを閉じてもファンに電流が流れません。冷蔵室の場合は、ドアを閉じた時に庫内灯が消えなければドアスイッチが故障しています。

ダンパ式では、ダンパ、またはダンパサーモスタットを調べます。この点検、修理もしくは交換は、腕におぼえのある方だけにお薦めします。

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[上手な使い方のヒント]

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[注意] 修理は、皆様個人の責任において実行して下さい。修理作業を試みた結果、物的または人的にいかなる損失が生じても、私は一切責任を負わないものといたします。特に感電事故を防ぐ為に、作業対象の電気製品の電源コードは、原則としてまず始めに抜いて下さい。金属の腕時計、指輪、ペンダントなどの装身具も外しておきましょう。(小田)

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