Updated: February 16, 2006

本で読むガリシアとスペイン

※このあたりのネタはこのへんのどこかでアップデートされてたりするかもしれません。

紀行とか

畠山重篤 / リアスの海辺から
三陸リアスで牡蠣やホタテの養殖に従事し、海を育てるのはそこに注ぎ込む川であり、その源の森であるという思想から植林活動を推進する 森は海の恋人 運動の提唱者である著者が、サンティアゴ巡礼路のシンボルであるホタテ、そして「リアス」という言葉など様々な符号に導かれ、ガリシアへと旅立つ。
ガリシアという土地とその自然の本質に鋭く迫る稀有な傑作。ガリシアに興味を抱くものにとって必読の名著。

武部好伸 / スペイン「ケルト」紀行 〜 ガリシア地方を歩く
ケルトマニアの著者の、○○「ケルト」紀行シリーズのガリシア編。ガリシアの歴史や文化のひと通りの紹介にかなりのページが割かれていて、色々な資料を読み漁る手間が省ける、お手軽な一冊。ただし著者の興味はあくまでケルトの、しかも遺跡巡りであり、しかしケルト遺跡≠ガリシアの一般的な観光名所ではないので、一般的な紀行文の類を期待しちゃうとアレかも。
なお、文中ラ・コルーニャにて、ぬるいギネスを出されたと書かれちゃってる Cova Céltica というパブは、ラ・コルーニャを拠点に活動する音楽グループ、ルアル・ナ・ルブレ のメンバーが経営する店のひとつで、ラ・コルーニャの伝統音楽の重要な拠点のひとつなのでございます。

スペインにおける国家と地域 〜 ナショナリズムの相克
スペインという国を理解する上で重要な、非カスティーリャ圏の地域主義、ナショナリズムの歴史と思想を、ガリシア及びカタルーニャ、バスク、アンダルシアの各地域ごとに詳説した貴重な一冊。地域的、民族的な多様性がその特徴のひとつであるスペインという国におけるサッカー文化の理解にも大いに役立つ筈。
編者のひとり 立石博高 さんのウェッブサイトに はしがき が掲載されているので、概要はそちらで。

サンティアゴ巡礼路関連

中谷光月子 / サンティアゴ巡礼へ行こう! 〜 歩いて楽しむスペイン
サンティアゴ巡礼についての出版物は数多あれど、これまでは巡礼の精神的側面を重んじた、読んでいてしんどくなるようなものが多かったのだけど、2004年末に出版されたこの本は、「もっと気軽に巡礼を始めてみませんか?巡礼の形は、人それぞれ。固定観念にとらわれず、さぁ、出発しよう」と呼びかける、従来のこの類のイメージを覆すもの。なによりCamino Francésの、とても実践的なガイドブックであり、巡礼路の旅を実際に検討しているひとには、他のあらゆる本を差し置いて読んで欲しいのだけど、旅行会社のスタッフとして何度もその地域を訪れ、自身でもカミーノを踏破し、スペインとフランスに留学経験を持つという著者は、この本のあちらこちらに、その周辺地域に関する様々な雑学を、ふんだんに散りばめていて、それだけでも一読の価値あり。

サンティアゴ巡礼の道
数多あるサンティアゴ巡礼本の中から、写真の美しさで他の追随を許さない新潮社の「とんぼの本」シリーズの一冊。下の「星の巡礼」の著者パウロ・コエーリョさんの案内で檀ふみさんが巡礼路を旅するとか、この版元らしい企画があれこれてんこもり。しかしてそれがあだになったか、全体の構成は散漫かも。あくまで写真集として眺めるが吉。

パウロ・コエーリョ Paulo Coelho / 星の巡礼
後に大ベストセラー アルケミスト で世界に名を馳せるブラジル人の著者が、自身のサンティアゴ巡礼の体験を元に書き上げたデビュー作。現代のサンティアゴ巡礼に多大な影響を及ぼした一冊。
著者のオフィシャルサイトは こちら

ガリシアの文学

マヌエル・リバス Manuel Rivas / 蝶の舌
映画 蝶の舌 が公開されたことで邦訳された、ラ・コルーニャ出身で、現代ガリシア文芸の革命児と言われる著者の、 映画の原作を含む短編集。装丁もステキで、訳者の 野谷文昭さん による解説もガリシア地方とその文学についてとても参考になります。こちらのページ に書評が掲載されていますが、こちらでも触れられている「ミステルとアイアン・メイデン」という作品は、デポルサポの親子のハナシ。

スペイン幻想小説傑作集
スペイン文学の主流はリアリズムなわけですが、これは幻想的要素を持った作品を集めた短編集。で、収録作品の半数近くがガリシア出身の作家によるもの。これはガリシアが、「雨の多い陰欝な気候と相俟って、この地方の神秘的幻想的雰囲気は、スペインの中では特に目立つ存在」であることと無関係ではなかろう、とは編者の東谷穎人さんの解説。なにはともあれガリシアの作家の作品がまとめて読めるという点で、貴重な一冊。

スペイン語 & ガリシア語

中西千夏 / 旅の指さし会話帳12 スペイン
現地に携行するならこれ。一見ガキンチョ向けに思えるイラストだらけの誌面は、なにより言葉の検索に威力を発揮。実用に充分の辞書と文法解説も付してあり、誌面のあちこちに実際の現場での活用を考慮したさまざまな工夫が見られる。何気に著者の人選もマニアック。
このシリーズのオフィシャルサイトは こちら。スペイン編の著者のサイトは こちら

松崎新三 / ケ・マンボ 〜 気軽なスペイン語の食べ方
著者自身が実際にスペインで暮らしながら言葉を身に付けていった体験を元に綴った、堅苦しいお勉強ではない、気楽な、しかし最低限の要点は押さえた実践的な入門書。読み物としても楽しい。スペイン語は習ってみたいけど、複雑怪奇な文法解説には辟易、というひとにお薦め。

東谷穎人 / はじめてのスペイン語
きちんと文法の基礎知識を身に付けたいひとにはこちら。とっつきやすい読み物形式 (そのためリファレンスには不向き)。
新書なので値段もお手頃。

今井健策 / サッカーを愛する人のスペイン語
サッカーの留学者や観戦者向けに、様々なサッカー用語のスペイン語を集め、基礎的な文法の解説も付す。スペインとアルゼンチンでのサッカー用語の比較が記載されている点は貴重。

ガリシア語・英語の簡易辞書
観光旅行でガリシア語が必要になる場面は皆無の筈なので、これはあくまでガリシアオタ向け。
約8,000語を600ページに収録。ガリシア語→英語と、英語→ガリシア語。訳語のみのシンプルな構成で、発音やら変化形やら用例やらといった、国産の一般的な辞書には標準装備されているような類は一切ナシ。表4の謳い文句によると初の英語とガリシア語の辞書らしい。
日本語とガリシア語の辞書には ガリシア語基礎語彙集 というのがあるのだけど、収録語が約2,600語と少なく、なにより庶民が気軽に買えるような値段じゃないわけで。なお、ガリシア語の文法書には 現代ガリシア語文法 など、基礎語彙集と同じ版元から高価な書物があれこれリリースされてますので、お近くの図書館でどーぞw

ガリシアのサッカー

月刊ゴール 2004年11月号 スーペル・デポルティーボの生きる道
毎回海外のサッカークラブをひとつ取り上げ詳細な特集を組んでいる、エスパルス発行の月刊誌の、デポルティーボ・ラ・コルーニャの特集号。現時点でデポルに関する日本の出版物としては最良のもの。ハポルーニャ のフルカラー見開きでの紹介もアリ。
一般書店ではあまり取り扱いが無いので注意。取り扱い店舗とバックナンバーの注文方法は こちら

Number PLUS April 2003 スペインを極める
小宮良之さんによる、短いけど非常に印象的なガリシアのサッカー事情のレポートあり。以下はその記事中、ガリシア沖重油タンカー沈没事故 の対策基金を募るチャリティーマッチでガリシア選抜チームを率いたマヌエル・オリベイラ監督のインタビューより。
「フットボールが何かを与えるなんて尊大だが、いやなことを忘れさせることはできる。一分一秒でもいい想いができれば人生は楽になるんだ。明日からまた頑張ろうという気になれる。スタジアムはそういう場所だ。リアソールでのチャリティマッチ。訪れたガジェゴたちははしゃいでいた。私はそれを見て、こいつらはまた明日から生きていけるな、と確信したんだ」