ワンダーフォーゲル部勉強会

山での食事について

登山では食料をはじめとする山行に必要なものすべてをザックに詰め、自らの力で持 ち、行動するため下界よりはるかに多くのエネルギーが必要である。よってコンパクト な「高エネルギー食」が山の食事の基本である。 また自然を相手にする登山にでは自然の変化に対応できる食料計画が必要。 山での一日の消費エネルギーの目安は約3000kcal。山でこのエネルギーを補う のはなかなか大変である。エネルギー補給の目安量としては一日の3分の2の2000kcal 前後は食事でとり、残りは行動食としてとるとよい。

○ 三大栄養素について

糖質、脂肪、タンパク質は三大栄養素とよばれる。多くのエネルギーを使う山登りに とって効率よくエネルギー源となる糖質、脂肪、タンパク質をいかに適切にとるかは重 要。エネルギーは糖質が4kcal/g、脂肪が9kcal/g、タンパク質が4kcal/gで、脂肪 が最もエネルギー効率がよい。しかし、一般的な山行では消化吸収が早く、すみやかに エネルギー源となる糖質を中心にとった方が効果的。また糖質は脳の唯一の栄養源であ り、これが不足すると判断力、思考力が鈍り山での行動中に危険が起こる恐れがある。

〇ビタミン、ミネラルについて

三大栄養素のはたらきをスムーズにするはたらきがある。山の食事で注目すべきなの はビタミンB1である。これは糖質を分解してエネルギーを作るときに必要である。山 のエネルギー源は糖質が中心なのでビタミンB1を多く含む食品をとるとよい。例とし てはピーナッツ、ごま、胚芽米など。 その他の主なビタミン、ミネラルとしては次のものがあげられる。

・ビタミンC:疲労をすみやかに回復。ビタミンC入りのアメ、粉末ジュース、固形レ モンなど。 ・カルシウム:大量の汗をかくとカルシウム不足をまねき筋肉のけいれんが起きる可能 性あり。チーズ、粉ミルク、干しえび、小魚など。 ・鉄分:酸素を運ぶ。プルーン、ひじきなど。

○ 山での三食について

1  朝食 山では朝早く出発することが原則であるから、朝食はすぐに用意でき、食べやすくて 胃に負担をかけないことがポイント。朝食にはすみやかに体温を上昇させ、脳のはたら きを活発にする役目があり、必ずとるようにしたい。エネルギー源となるご飯や餅など の糖質が豊富な食品と、体温をすみやかに上昇させるのに有効な栄養素でチーズやベー コンに多く含めれるタンパク質をとるとよい。

2  昼食 すみやかにエネルギーになる糖質を中心とした食事が基本。スムーズな行動のために も簡単で時間のかからない食事が第一の条件。約1時間が目安である。コンロを使用す る場合には温かい飲み物とパンなどすぐに食べられるものがメニューの中心。コンロを 使用しない場合にはパンにチーズやサラミなど、火を加えなくてもそのまま食べられる ものが中心。

3  夕食 一日の疲れをいやし明日への活力を養うための疲労回復とパワーアップの食事。体を 中から温め、水分がたっぷりとれるような献立を中心に考えると無難。豚汁やカレー、 シチュー、ラーメンなどは山の定番メニューだが、いずれもこれれの条件を満たしてい るメニューである。朝や昼食で不足しがちな栄養素をとるためにも多種類の食材を使う とよう工夫するとよい。

○ 水分について

山の食料の中で最も大切である。 摂水は飲料水からと、ご飯や果物、野菜をはじめとする食物中の水など体の外から得 るもののほかに、三大栄養素が代謝するときにつくられる代謝水という水がある。排泄 される水は尿や汗など。 一般的に体重の2%の水分喪失で体温調節に悪影響。6%で運動能力が低下、10%で熱 射病、20%で死の危険。 これらの症状を防ぐには充分な水分を補うことが肝心。汗には塩分をはじめとして、 ミネラルが含まれているので粉末のジュースやスポーツドリンクを水に溶かして飲んだ り、水と一緒にアメやキャラメルなどを口に入れるようにする。水は飲みすぎると汗を たくさんかくことになり、ミネラルがどんどん排泄され体内のミネラルバランスが崩れ てしまい、疲れがでる。取りすぎに注意。

○ 行動食、非常食について

行動中に少量ずつえねるぎーを補給するためにのものが行動食。携行しやすくいつで も手軽に食べられるのが条件。(アメ、クッキー、小魚、ナッツなど)エネルギー補給 のためのアメやクッキーにタンパク質源となる小魚、チーズなどを加えるとよい。 非常食は3〜4種類そろえておくとよい。火や水を使わないですぐに食べられること、 消化吸収がよくてすみやかにエネルギーになること、保存がきくことが条件。代表的な 食品としては、チョコレートやハチミツ、コンデンスミルク、カロリーメイト、ビスコ などがある。すみやかにエネルギーを供給するには、サラミやチーズなど高脂肪のもの よりも、甘味のある糖質のほうが即効性があり、保存の点から適している。

○ その他

山では夏は腐敗、冬は凍結に注意する。 夏山では、山行が長期になり奥深い山域に入っている時は、怪しい食事は避け、熱を加えた料理法を取り入れるように心がける。体力が消耗している時は、いつもより胃 腸も疲れているので、雑菌がわずかに繁殖するだけでも腹痛や吐き気を引き起こすこと がある。ジャガイモやニンジン、タマネギなどが比較的いたみにくい野菜である。長期 の山行のときは乾燥野菜やフリーズドライ、レトルト食品などが便利である。 冬山では夏とは逆に、生野菜や果物は凍結してしまう。ひどい場合には、風味が落ち食べられなくなることもある。生の野菜を持っていくときは、新聞紙でくるんでビニ ―ルの袋にいれたり、発泡シートなどで包んで携帯する方法がある。