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クラッチワイヤーの交換

「滅多に切れない」はずだったクラッチワイヤーが切れてしまった。正確に言うと切断寸前の状態に。長年乗ってるバイクが壊れたので、ビートルに乗ってパーツを注文しに行った帰りでのこと。つまりバイクと車が揃って壊れてしまったわけで、マズいことになった。しばらく車の下に潜れない日が続いたので、残る足は自転車だけになってしまったのだ。

どういう状況だったかというと…

信号が青に変わりそうなのでクラッチを踏んだところ、足下から微かに「カチンっ」という音が。気になりながらもそのまま発進。2速に変速しようとクラッチを踏むと、これが恐ろしく軽くなっていた。僕のビートルは他のと比べてクラッチが重いのが悩みだったので(3本爪の旧式プレッシャープレート仕様のためだと思っている)、クラッチが軽くなったのは良かったと言えなくもない。他には、クラッチが繋がるのがかなり踏み込んだところに変わったこと、そしてペダルの戻りが非常に悪くなっていた。クラッチ自体は切れるし繋がるしで、走る分には特に問題はなかった。

足下から音が聞こえたのとペダルの戻りが悪くなったので、最初はクラッチペダルのリターンスプリングが折れたのかと思った。信号待ちでペダル付近を覗きながらクラッチを踏み込んでみると、隣についてるスプリングがまったく反応していないじゃないか。なるほど、やっぱりスプリングが切れたんだ、と。でもしばらくして気が付いた。クラッチペダルの隣にあるスプリングはブレーキ用じゃねぇか…。クラッチを踏んでも伸びたり縮んだりするわけはハナからなかったのだ。のんびり止まれる場所が思いつかないし、問題の特定は後回しにして、動けるうちに少しでも自宅に近づこうと走り続けたら、何とか駐車場までたどり着いてくれたのだった。


torned clutch wire

到着後左後輪側からミッションの上あたりを見てみると、クラッチアームのリターンスプリングは健在で、その代わりクラッチワイヤーがボロボロになっていた。数本が切れてヘロヘロにほつれているし、何本かのかたまりがワイヤーエンドのところからスパっと切れてしまっている。残っていたのは細いのが7本。最後の数キロはこの数本だけでクラッチ操作をしてきたというわけだ。しかしまぁ、最初に状態を確認しなくてよかった。こんなのを見ちゃったら怖くてクラッチなんて踏めなかったな。

クラッチワイヤーが短期間で切れる場合は何か問題があるからだ、と言ってた割には、クラッチワイヤーのスペアはきちんとトランクに積んでいたし、僕もビートルのクラッチワイヤーは切れるかも知れない、と心配してたのが本心だったのだろう。前回ワイヤーを交換してから3年ちょっと。これは持った方とは言えないでしょう。つまり前回何かミスをしていたということなのか…

マニュアルでもクラッチワイヤーの交換はさらっと書かれているんだけど、実は結構めんどくさい。ペダルクラスターを丸ごと外さなくちゃいけないのは頭の痛い作業だけど、何よりも、たわみが付いたボーデンチューブにワイヤーを通すのが厄介なのだ。ボーデンチューブはエンジン+ミッションがぷるぷる動いた時、クラッチに影響が出ないようにしている柔軟性のあるチューブ。スペックでは25〜45mmのたわみを持たせることになっていて、ボーデンチューブを先にブラケットにはめると、一番小さい25mmのたわみだったとしても、ネジ山がついてるワイヤーエンドが通りにくくなる。というかたぶん通らない。前回やった時もワイヤーはガンとして動いてはくれず、仕方がないので最初にワイヤーを通してからチューブをブラケットにはめることにした。これがちょっと失敗。ボーデンチューブは結構固くてなかなかブラケットに入らない。エイヤ!とはめ込もうとしたら、ワイヤーをブラケットとチューブの間に挟んでZ字型に折ってしまったのだ。一度折れたワイヤーは強度が猛烈に落ちるので、一番やっちゃいけない事だ。とは言えスペアパーツのスペアまでは流石に持っていないので、そのまま組んでしまった。次に切れるのはきっとこの部分だと思っていたけど、今回切れたのはそことは別のところでした。

wire end 問題のクラッチワイヤーのリアエンド。ネジが切ってある部分が80mmくらいある。この部分はしならないので、ボーデンチューブがたわんでいるとすり抜けられない。それに、ボーデンチューブを先にはめてしまうとワイヤーはペダル側から押し込むしか手がなくなり、ほとんど力が入らない。フリクションが少しでもあるとワイヤーが動かなくなってしまうのだ。

bowdentube tip out 前回の反省を踏まえ今回はワイヤーを完全には通さないで、ボーデンチューブからワイヤーエンドを少し出した状態で止めておき、ボーデンチューブをブラケットにはめ込んでからワイヤーを引っ張り出すことにした。相変わらずボーデンチューブは固く簡単にはしなってくれないし、ワイヤーエンドが出てる分さらに大きくしならせないとブラケットにはめられなくなって一層の根性が必要になった。無事チューブをブラケットにはめこみ、最後にワイヤーを引っ張る時も、ワイヤーエンドが入っているあたりをなるべく真っ直ぐになるように調整してやらないとワイヤーは動いてくれなかったほどだ。

こんなに苦労しているようでは、路上でワイヤー交換なんてできないんじゃないだろうか。今回も作業を楽にするため左後輪を外して馬を掛けたけど、馬なんていつも車に積んで持ち歩いてはいない。ジャッキアップしただけで車の下には潜りたくはないし…。今後のためにも、やりにくいのを承知でタイヤを外さない状態で作業をしてみるべきだったな。

pedal cluster cluster cover off wire into the tunnel 作業が前後するけど、ベダルクラスターの取り付けは位置が結構神経質なので、意外と時間がかかる。右ハンドル仕様だとトンネルの両側にボルトが4本、アクセルペダル側に2本のボルトがあって、なかなか全部のボルトが入ってくれず結構イライラする。どれかが入らなかったら全部のボルトを抜いて一からやり直した方が結局近道かも知れない。

うまくボルトが全部入ったらペダルクラスターは仮留めにしておき、クラッチペダルが後に倒れないように重いものを乗せて後の作業に入る。というのは途中でクラッチペダルがうしろに倒れると、ワイヤーのリングがペダルの爪から外れてしまうことがあるからだ。前回の作業では押さえに使っていたものが軽すぎて、後からワイヤーを引っ張った時にペダルがドン!と倒れて、作業がやり直しになった。やり直すということは、せっかく格闘の末位置合わせできたペダルクラスターからもう一度ボルトを外すということで、けっこう凹む。失敗した時のことを考えて、ペダルクラスターの本締めは、クラッチワイヤーにウイングナットを填めるまで待った方が良いと思う。

クラッチワイヤーが通るチューブはトンネルの左側に付いていて、ペダルを外した穴から5cmくらい後輪側に入り口がある。指で触ったような記憶があるのは気のせいかな?チューブを見たような気さえする。よく覚えてないや。実際に手で触れなかったとしても、トンネルの中にワイヤーを入れてしばらく探っていれば、筒のようなところに入った感覚があるので、チューブにワイヤーが通ったかどうかは分かる。その後はグリスをまぶしながらワイヤーを後に送っていく。クラッチペダルの爪は長年乗っていくとすり減って最悪折れる場合もあるらしいので、そうならないように、ワイヤーの先端、クラッチペダルの爪に引っ掛ける部分にもグリスを絡ませておいた。今のところペダルの爪はまぁ、大丈夫だけど、右ハンドル仕様はパーツは出てなかったような気がするので、すり減っちゃった場合は溶接とかして直すしかないんだろう。

前回ワイヤーを交換した時に失敗したかもと思うのは、作業の最後、クラッチの遊びの調整をする時に、ワイヤー側を固定しないでウィングナットを回したこと。ワイヤーを固定しないとウィングナットを回した時にワイヤーごとぐるぐる回ってしまう可能性があって、こちらもワイヤーの寿命に影響が出るはずだ。今回はワイヤー側にバイスグリップを咬ませて回転しないようにしておいた。

クラッチワイヤーの交換の際、トンネル左側のカバーを外してアクセルワイヤーも一度外すことになるので、ついでにアクセルワイヤーも交換した方がお利口なのかも知れない。今回はアクセルワイヤーには手は付けず、そのまま組んでしまいましたが。

ところで、クラッチペダルが倒れるとクラッチワイヤーが爪から外れるということは、ペダルクラスターを外さなくても、クラッチワイヤーの交換は実は出来るということではあるまいか?例えば、トンネルの前に空いている点検窓(シフトロッドを抜く時とかに外す穴)からワイヤーを通して、狭いところにパーツを落とした時に使うパーツ掴み器?を使ったらうまくいかないかな。せっかく付けたクラッチワイヤーをもう一度外してテストするのは気が進まないので、今度ワイヤーが切れた時に試してみることにしよう。というか、しばらくはクラッチワイヤーの交換はするつもりはないのだが…。

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