チリから鮭が




サーモンと云えば北海道やアラスカのイメージが私達には強く感じられます。
所が今やサーモンと云えば、ノルウェー、チリ産のサーモンがスーパーに圧倒的に多く並んでいるのです。
ノルウェーは北半球の北緯60度から65度に対してチリの南端は南緯55度位です。
北でも南でも同じ様な緯度ならサーモンの養殖が出来るのです。
私がチリ産のサーモンと出会ったのは、今から数年前に東京の築地にあるY家の朝の定食を食べてから、N冷の本社を
訪問した時に、N冷の冷凍部長から、「朝食はどちらでとられました」と聞かれたので、「そこのY家の鮭定食ですよ」
と答えたら「チリ産のトラウト・サーモンですね」とさらりと云われました。
「えっ、チリ産ですか」「最近、チリからトラウト・サーモンが入って来ているのですよ」と冷凍部長が云っていたのが最初でした。

今チリ産のトラウト・サーモンには、マラカイトグリーンと言う、抗ミズカビ剤が使用され問題となっています。
受精卵や稚魚をこれで処理し、2年近く養殖すると、数グラムから4〜5キロになり水揚げされるのです。
昭和56年、米国食品医薬品局は、マラカイトグリーンの発がん性を確認し、食品関連の使用を禁止した。
それにならって、日本の水産庁は次のような長官通達を出した。
食品として使用する魚(養殖魚)のミズカビ予防・治療にマラカイトグリーンを使わない事となっているのです。
サーモンにマラカイトグリーンを使用してはいけないのに、使用しているチリ産が輸入されるのはどうしてでしょう。

そして、そのチリ産のトラウト・サーモンのお陰でノルウェーのサーモン業者が破綻しようとしています。
ノルウェイ鮭のミニマム価格、それ以下では販売しないと云う規制ががなくなり、現在欧州サーモン市況は大暴落しているのです。
半数近くのノルウェーの鮭養殖業者がチリ産のトウト・サーモンのせいで、つぶれるかもと云われています。
トラウト・サーモンとは、つい最近までチリ産銀鮭と称していた魚です。PS法により今はチリ産銀鮭ではなくも、
トラウト・サーモン即ち鮭ではなく鱒なのです。

アトランティック・サーモンは大西洋にいる鮭で、産卵期が最も美味しく、身はオレンジ色で背部に黒い斑点があるのが特徴で、
脂がのりフライ、ムニエル、塩焼きなど、いろいろ使えます。天然種は一度川に上ると餌を食べず、
産卵後、海に戻る時には体重が激減し、味落ちが著しい、ため食用には向きません。
北海道でも川に遡上して産卵後の鮭をほっちゃれと呼びます、味落ちが著しくただ同様の価格となります。 

カナダ南西部に位置するケベックのガスペー半島のガスペーとはミックマック・インディアンが大地の果てと呼んだ。
私はこのガスペー半島の中ほどにあるパスペビアックと云う小さな町にいたのです。
セント・ローレンス川河口に沿って突き出たこの半島は、九州と同等の広さを持ち、今世紀初頭までは陸の孤島だった。
現在でも大地のほとんどが深い森と湖に覆われ、フランスのブルターニュ地方から入植した住民たちが古い伝統にのっとった生活を営んで
います。
12月から4月までの氷に閉ざされた長い冬が終わると、ガスぺ半島はメープルの目の覚めるような新緑に覆われるのです。
そして6月に入ると大西洋の荒波を乗り越えたアトランティックサーモンが故郷の川に遡上を開始する。
サーモンは産卵すると死んでしまうと云うイメージを持っていると思いますが、このアトランティック・サーモンは産卵後も海に戻り死ぬ事は
ありません、勿論寿命がくれば死ぬのですが。
大きくなります、キング・サーモンの様に1m30とか20キロとかになるのです。
私のいた会社の副社長はサーモンが遡上する川のライセンスを所有していました。
彼専用の川なのです、云わば個人でサーモンが遡上する川を持っているのです。
サーモンが遡上する時は、私の仕事が一番忙しい時で、カナダと日本を毎月行ったり来たりですから、サーモンを釣る機会はありませんでした。
一度釣ってみたいものです。