●たくさんあるんだけど、意外と知られていない?戦争漫画
水木作品を語っていく上で、避けては通れないものがあります。
『水木しげる戦記ドキュメンタリー・全4巻』〈講談社コミックス〉〔講談社〕
太平洋戦争開戦50周年特別企画として、1991年から1992年にかけて出版されました。
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【本の紹介】
●第1巻『総員玉砕せよ!』
1974年(昭和48年)に書き下ろしとして発表された、水木戦記漫画の集大成のような作品です。
この作品は、文庫本にもなっていたりと、水木氏の戦記漫画としては、一番手に入りやすい作品です。
あとがきで
『ぼくは戦記物をかくとわけのわからない怒りがこみ上げてきて仕方がない。多分戦死者の霊がそうさせるのではないかと思う。』
と書いています。
水木戦記漫画の総括ともいえるこの作品は、絶対に読まなくてはいけません!!!!!!
とにかく、手にとって読んでみて下さい。
●第2巻『敗走記』
| 収録作品: |
「敗走記」(1970・月刊別冊少年マガジン2月号・講談社) |
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「ダンピール海峡」(1970・文春漫画読本7月号・文藝春秋) |
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「レーモン河畔」(1980・ビックゴールドNo.6・小学館) |
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「KANDERE」(1979・カスタムコミックNo.1・日本文芸社) |
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「ごきぶり」(1970・サンデー毎日増刊これが劇画だ・毎日新聞社) |
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「幽霊艦長」(1967・月刊少年9月号付録・光文社) |
「ごきぶり」以外の作品は、全て『幽霊艦長』(ちくま文庫)に収録されているので、
もし読まれるのでしたら、手に入りやすさから、そちらをお勧めします。
●第3巻『白い旗』
| 収録作品: |
「白い旗」(1968・ガロ5月号・青林堂) |
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「ブーゲンビル上空涙あり」(1970・文春漫画読本7月号・文藝春秋) |
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「田中ョ三」(1960・少年戦記・兎月書房) |
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「特攻」(1961・壮絶!特攻・曙出版) |
表題作「白い旗」が最初に発表されたのは1964年で、その時のタイトルは「二人の中尉」(日の丸戦記増刊号)でした。
その後タイトルを変更し、ガロに掲載されました。
『白い旗』は、「最後まで戦え」という将校と「負けがわかっているのに無駄な死者を出すことはない」
という将校との戦地での葛藤を描いている作品で、そのラストはとても悲しいものです。
主人公は水木氏の兄の親友で、戦後何年かたった時にその戦死の様子が雑誌で紹介され、
それを見た水木氏の母が漫画にするように水木氏にすすめ、ノンフィクション戦記として出来上がった作品です。
他の3作品は貸本時代のものです。
●第4巻『姑娘』
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収録作品: |
「姑娘」(1973・リイドコミック増刊4月号・さいとうプロ) |
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「海の男」(1964・日の丸戦記2・東京日の丸文庫) |
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「此一戦」(1962・戦記日本第1集・兎月書房) |
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「奇襲ツラギ沖」(1964・日の丸戦記3・東京日の丸文庫) |
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「戦艦比叡の悲劇」(1961・大夜戦・兎月書房) |
表題作「姑娘」は、水木氏が中国に行っていた人から聞いた話で、よほど印象深かった話のようです。
このことについてあとがきで「やはり、日本人として、そういうことは反省しないといけないと思う。」と書いています。
「姑娘」はその内容のためかなかなか読める機会がなく、一番最近掲載されたのが、この本です。
「海の男」「奇襲ツラギ沖」「戦艦比叡の悲劇」は、ほとんど事実でフィクションはあまりないそうです。
ただ、このようなノンフィクション的戦記漫画はあまり売れなく、マニアくらいしか読まなかったそうです。
そのためか、原稿料も安かったようです。
「姑娘」以外の作品は貸本時代に描かれたもので、原稿は残っていません。だから当時の貸本からコピーして本にしたようです。
貸本の原稿は、今のように再版するということがなかったため、たいてい捨てられてしまったり、
読者プレゼント(有料で売っているところもあった)になってしまいました。
そのため、今現在もコマ単位で原稿が出てきたり(売られていたり)します。
実は、私も持っています。「ゴマスリ二等兵」の原稿を。
『総員玉砕せよ!』〈講談社文庫〉〔講談社〕
もともと「敗走記」に続き描き下ろしの戦記漫画を講談社に依頼されて作った作品です。
その時には副題が付いていて、「総員玉砕せよ!!聖ジョージ岬・哀歌」というタイトルでした。
水木氏の初年兵としての戦争体験が描かれていますが(水木という名前では出てこない)、
この作品は水木氏の体験だけでなく、人から聞いた話なども含めて1作品として出来上がっています。
あとがきは、上で紹介した戦記ドキュメンタリー第1巻のものが再録されています。
上で紹介した本が手に入らない場合は、こちらをお勧めします。
「総員玉砕せよ!」は他の出版社からも出されていますが、
ほるぷ出版から出されてものは一部内容が削除されているので(30ページ程)、購入される時は注意して下さい。
『水木しげるのラバウル戦記』〈ちくま文庫〉〔筑摩書房〕
これは「戦記漫画」とはちょっと違う内容なのです。
終戦後、水木氏が日本に戻ってからどこに発表するというわけでもなく描いた「ラバウル戦記」という「絵」が収録されています。
簡単にいえば、絵日記のような感じでしょうか。
途中、後年描いたものも含まれていますが(絵が全然違います)、ペンで描かれた水木漫画とはまた違った味わいがあります。
これを見ていると、戦地での様子が分かるということはもちろんなのですが、
絵が大変素晴らしいです。
収録されている「トーマの日々」は、必見です。
あまり目にする機会が少ない戦記漫画ですが、
機会がありましたら、ぜひ手にとって見て下さい。
妖怪だけじゃない水木氏の魅力をもっと感じることが出来ると思います。