● 京成AE100形「スカイライナー」
 ~ リトラクタブル伝説 ~

博士:私は最近とても憂いていることがある。
助手:なんですか、突然。
博士:男の夢についてとても大事なことなのだ。
助手:もっと具体的な事象からまず語って欲しいです。
博士:うむ。つまるところ、最近のクルマから「男の夢3点セット」のひとつである“リトラクタブル ヘッドライト(以下、リトラ)”が消えつつある現状を憂いておる。
助手:そういえば三菱・GTOも、マツダ・ミアータ(ロードスター)も、ホンダ・NS-Xもモデルチェンジでリトラを止めましたよね。
博士:昼夜に関わらず常時ライトオンを義務付ける国が多くなったのでな。意味のない機能になってしまったというのがあるだろう。
助手:逆に問います。あれに機能性なんてあったんですか?
博士:スラントノーズの維持、即ち空力性能を良くするために先端を傾斜させた形状を維持する目的があったのじゃよ。
助手:しかし、その空力向上のための努力もよっぽどの速度領域でないと生きてこないのでは?
博士:まぁそうじゃな。かなりの速度になるととても重要な要素になるのじゃがな。
助手:しかもリトラの装置で重量が増えるのでは?
博士:まぁそうじゃな。重くなる。
助手:すると普通の生活ではあまり意味のないどころか、走行性能でマイナスになるかもしれないギミックということになりますよね?
博士:まぁそうじゃな、そう言えないこともない。
助手:それでもそれが「男の夢」だと?
博士:いいかね、合理性だけが世の中に必要なことではない。多少の無駄、つまり遊びをセンスよくちりばめることもときには重要なのじゃ。
助手:正直申し上げますと、そんなものはカビの生えた幻想のように思われます。
博士:む、捨ておけん台詞じゃ!
助手:逆ギレですか、年寄りがみっともないですよ。
博士:言わせておけば、もう許さん! 80年代のホンダがどれだけ「リトラ&グリルレス」ラインナップに力を注いでいたのかを忘れたのか? よし、どれだけリトラが現代にも生きる「夢」であるのか、キサマにたっぷりと教えてやる!
助手:どうせ昔のスーパーカーブームのクルマとかでしょ。
博士:甘いな、これじゃ。


【写真:AE100形新「スカイライナー」】
目を閉じて待機中。正確には「リトラクタブルライト」より「コンシールドライト」の名称が正解なタイプです。
京成電鉄の誇る成田-上野間を結ぶフラッグシップカー。130km/hで走行可能。しかも地下鉄並の制動、加速能力を持つ高性能車。内装も豪華。おまけに運賃も安い。


助手:こ、これは・・・。
博士:どうだ、参ったか。これこそ生きるリトラの伝説なのじゃ。
助手:列車のリトラ!? なんという無意味!
博士:京成電鉄は自らのフラッグシップにリトラを与えたのじゃ。下町と下総の大地を駆け抜けるリトラクタブルヘッドライト・トレイン、京成スカイライナーの勇姿をとくと崇めよ。
助手:こんなダサいことやるの京成だけですよ。しかもこれでさえ走行中は常時点灯で開きっぱなしじゃないですか、無意味の極みですよ。
博士:ダサいいうなー!! 無意味いうなー!!



リトラクタブル伝説2もどうぞ!


注記:新スカイライナーは成田(新東京国際)空港と羽田空港を結ぶことを考慮して設計されました。写真にある車両前面の扉は都営浅草線を走るために運輸省の基準に合格するためのものです。
ところが、京成、東京都、京急、公団、北総による折り合いがつかず、それは実現されていません。
リトラクタブルヘッドライトも地下鉄区間と地上区間の外見上の違いを演出するギミックだったのだと思われます。
いまでは常時点灯のヘッドライトですが、昔、地上区間を走るときはヘッドライトを閉じたままだったんです。




on set : 13/NOV/2002
last modified : 5/MAY/2005