博士: | 私は最近とても憂いていることがある。 |
助手: | なんですか、突然。 |
博士: | 男の夢についてとても大事なことなのだ。 |
助手: | もっと具体的な事象からまず語って欲しいです。 |
博士: | うむ。つまるところ、最近のクルマから「男の夢3点セット」のひとつである“リトラクタブル ヘッドライト(以下、リトラ)”が消えつつある現状を憂いておる。 |
助手: | そういえば三菱・GTOも、マツダ・ミアータ(ロードスター)も、ホンダ・NS-Xもモデルチェンジでリトラを止めましたよね。 |
博士: | 昼夜に関わらず常時ライトオンを義務付ける国が多くなったのでな。意味のない機能になってしまったというのがあるだろう。 |
助手: | 逆に問います。あれに機能性なんてあったんですか? |
博士: | スラントノーズの維持、即ち空力性能を良くするために先端を傾斜させた形状を維持する目的があったのじゃよ。 |
助手: | しかし、その空力向上のための努力もよっぽどの速度領域でないと生きてこないのでは? |
博士: | まぁそうじゃな。かなりの速度になるととても重要な要素になるのじゃがな。 |
助手: | しかもリトラの装置で重量が増えるのでは? |
博士: | まぁそうじゃな。重くなる。 |
助手: | すると普通の生活ではあまり意味のないどころか、走行性能でマイナスになるかもしれないギミックということになりますよね? |
博士: | まぁそうじゃな、そう言えないこともない。 |
助手: | それでもそれが「男の夢」だと? |
博士: | いいかね、合理性だけが世の中に必要なことではない。多少の無駄、つまり遊びをセンスよくちりばめることもときには重要なのじゃ。 |
助手: | 正直申し上げますと、そんなものはカビの生えた幻想のように思われます。 |
博士: | む、捨ておけん台詞じゃ! |
助手: | 逆ギレですか、年寄りがみっともないですよ。 |
博士: | 言わせておけば、もう許さん! 80年代のホンダがどれだけ「リトラ&グリルレス」ラインナップに力を注いでいたのかを忘れたのか? よし、どれだけリトラが現代にも生きる「夢」であるのか、キサマにたっぷりと教えてやる! |
助手: | どうせ昔のスーパーカーブームのクルマとかでしょ。 |
博士: | 甘いな、これじゃ。 |