ちょっと植物学
 植物の3名命法天は二物を与え兼ねず

植物の三命名法(亜種、変種、品種、園芸品種)
 植物の場合は、種小名(種=Species)より下位に、亜種(subspecies)、変種(variety)、品種(forma)(これは園芸品種とは概念を異にする)というランクによって細分化されています。 これらは自然界にあって、その植物の地理的な起源や、花の大きさや色、習性というような性質上の多様性による分類で、この下位のランクを分類するために三命名法があります。
 これらのランクは、3番目の表記として、それぞれの「小名」と正式にはその命名者名を、種名の後に続けます。 この際、そのランクを明確に示すためにSedum aizoon var. floribundumとか、Sedum.uniflorum subsp.oryzifoliumとか、Sedum spectabile f. variegataのように、種小名の後ろにssp.、var.、f.のランク名の略号を間に置きます。これらも全てイタリック体で表されます。
 

亜種(Subspecies)
 略号は、subsp.またはssp.
1)若い種あるいは小規模の種で、明白な種よりも小さく重要でない形態形質で区別されます。
2)種と形態的に違う変異を持ち、同種内の他の亜種と違う自身の地理分布を持ちます。
3)主として地理的、生態的に違う性質を示しecotypeの一員と思われるもの。
ふつうは2)意味で用いることが多いです。
例 Sedum uniflorum subsp.oryzifolium タイトゴメ(コゴメマンネングサ Sedum.uniflorum の東北地方~九州の太平洋沿岸及び京都府以南の日本海側に分布する亜種)。
他の亜種にメノマンネングサ(Sedum uniflorum subsp.japonicum)がありこれは、日本海側の京都府以北に分布する、基準種コゴメマンネングサは九州南部~琉球諸島に分布し、各々の亜種は住み分け、分布が重なるのはその境界線付近だけです。
また、Sedum uniflorum subsp.oryzifolium  = Sedum oryzifolium  というように種小名に格上げされ、亜種ではなく独立した種として扱われる亜種もあります。
 
変種(varietas/英語ではvariety)
 略号は、var.
1)分布に関係ない形態的変異体
2)自身の地理的分布を持つ形態的変異体
3)他の変異体と共通分布する形態的変異
4)単に色や習性の相違を持つ変異体
ふつうは1)、3)の意味で用います。亜種は独自の地理分布を持つ変異体、変異は他の変異体と地理的に一緒に生育している意味で使います。
例 Sedum aizoon var floribundum
 また、Sedum ussurience ver.tsugaruense = Sedum.tsugaruenseというように種小名に格上げされ、変種ではなく独立した種として扱われる変種もあります。
 
品種(forma/英語ではform))
 略号は、f.
個体群のうちの個体に現れる些細な変異に用いられます。たとえば葉の斑(ふ)入りなど。
園芸方面で変種とされる者の大部分はこの品種とされるものである。
例 Sedum makinoi f.variegatum
 
園芸品種(cultivar) →栽培育種の命名法
 略号は、cv.
例 Sedum telephium cv Autumn Joy 
園芸目的などで人工的に作り出されたものに用いられます。分類学では用いません。命名規約も違うものがあるようです(ICNCPやUPOV、イギリスに事務局がある模様)。
'fancy name in modern language'で書かれることになっています。
たまにラテン語のものがあるそうですが、学名と混乱するので、これからはラテン語で命名してはいけないことになっています。
また、園芸品種名の登録機関というものもあります。これは分類群ごと(ランとか)に、個別の機関があるようです。
 
植物の分類群の階級
 ミヤママンネングサ、Sedum uniflorum ssp japonicum ver senanense を例に挙げます。
階級 英語 語尾 学名 和名
界(かい) kingdom   Plantae 植物界
亜界(あかい) subkingdom -bionta Embryobionta 有胚植物亜界
門(もん) phylum,
植物はdivision
-phyta Magnoliophyta 被子植物(モクレン)門
亜門(あもん) phylum,
subdivision
-phytina    
綱(こう) class -opsida Magnoliopside 双子葉植物(モクレン)綱
亜綱(あこう) subclass -idae Rosidae バラ亜綱
目(もく) order -ales Rosales バラ目
亜目(あもく) suborder -inese    
科(か) family -aceae
少数の例外あり
Crassulaceae ベンケイソウ科
亜科(あか) subfamily -oideae    
<連(れん) tribe -eae    
亜連(あれん) subtribe -inae    
属(ぞく) genus   Sedum マンネングサ属
亜属(あぞく) subgenus   Sedum マンネングサ亜属
節(せつ) section      
亜節(あせつ) subsection      
列(れつ) series      
亜列(あれつ) subseries      
種(しゅ) specis   uniflorum コゴメマンネングサ
亜種(あしゅ) subspecies(ssp.またはsubsp.)   ssp japonicum メノマンネングサ(コゴメマンネングサの亜種)
変種(へんしゅ) variety(var.)   ver senanense ミヤママンネングサ(メノマンネングサの変種)
亜変種(あへんしゅ) subvariety(subvar.)      
品種(ひんしゅ) form(f.)      
亜品種(あひんしゅ) subforma(subf.)      
*一般的には太字の部分ぐらいしか使いません。