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薪ストーブについていろいろ

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●薪調達の危険性

薪ストーブはとても楽しいものですが、燃料の薪を調達しなくてはなりません。
薪を調達する過程そのものもたいへん楽しめるものですが、やはり特有の危険性があります。

薪の持つ危険性とは、
「薪は木であり木は硬くて重い
というところに尽きます。

積んであった薪が崩れたり、切った木が落下して人や物にあたったりするのが直接的な危険です。

反対に石油燃料のような化学的な危険性はほとんどありません。
その他加工するにあたってチェーンソー(チェンソーともチェインソーとも書きます)や斧など、
道具の使用に関する危険性がありますが、燃料を得るための危険性について考えてみました。


●チェーンソーの危険性

チェーンソーはカンナの原理で木を切りますが、死亡事故に至らないまでもやはり怪我の多い道具です。
国内でのチェーンソー事故の統計は見つからなかったので、海外の例で考えてみたいと思います。
まずチェーンソーではどこを怪我しているかを調べてみました。


アメリカ労働省(U.S. Department of Labor)http://www.dol.gov/にわかりやすい図がありました。

そのページによると“チェーンソーは最も効率的・生産的で危険な道具です”と書いてあります。
余計なことですが、アメリカの労働省のページなのに、なぜかスウェーデンのチェーンソー 「ハスクバーナ」の写真が多用されています。
怪我の発生部位の図

1994年のデータですが、8割の怪我が手・腕・脚部に起きていることがわかります。
頭部外傷34188%
上体21415%
手・腕1799442%
脚部1634838%
足部28857%
  合計42785100%

[出展:Chain Saw Injury Locations (a page of DOL)]
http://www.osha.gov/SLTC/etools/logging/manual/logger/chain_saw/body_parts/body_parts.html

またあるサイトでは、“平均的チェーンソー事故では、110針の縫合を要した”とあります。
平均で110針ですから、ほとんどが大怪我です。 [http://www.elvex.com/facts08.htm]


以上のようにチェーンソー作業では、 左手と左足に 怪我をしやすいことがわかります。
多くの方が右利きなので、右手でチェーンソー本体を持っています。
勢い余って自分の左足を切ったり、チェーンソーを支えているはずの左手が滑っているようです。

身体をチェーンソーで切ると大変悲惨なことになります。
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楽しいはずの薪ストーブライフをずっと続けるために、十分注意しましょう。

チェーンソーが他の道具と比べて危険かどうかのevidence(証拠)はありません。危険なイメージがあり、
使用者が注意するのでむしろ安全な道具かもしれません。一般的な丸ノコや電動カンナの方が実際は危ないかもしれません。
私の知っている人に丸ノコで手指を複数本切断した人がいますし、電動カンナで指を短くした人も知っています。
反対にチェーンソーで足や手を切った人は知っている範囲にいませんから、道具としての事故率を示すものではありません。
またチェーンソーを使う人の数はそう多くないので、単に事故例を聞かないだけかもしれません。



●振動病

チェーンソーや削岩機のような振動のある道具を長時間使用していると、振動病あるいは白蝋病と
呼ばれる「振動障害」になることがあります。振動障害とは手指等の抹消循環障害、末梢神経障害及び
運動器(骨、関節系)障害の3障害を総称します。

振動障害になると、手指や腕にしびれ、冷え、こわばりなどの症状が、間歇的、又は持続的に現れます。
さらに、レイノー現象(蒼白現象=いわゆる白蝋病)を主な症状とする抹消循環障害、末梢神経障害、
運動機能障害などが認められ、時には足など全身に症状が現れることがあります。多くの症状が
からみ合い複雑な疾病であるうえ、症状が重くなると回復が難しい、つまり「なおらない」
とされていますので、この病気になることは絶対に避けなくてはなりません。

(1)チェーンソーの選択
振動機構内蔵型で、かつ、振動及び騒音ができる限り小さいものを選ぶことが大切です。
チェーンソーについては、労働安全衛生法第42条の規定により昭和52年10月1日以降、新たに製造され
又は販売される排気量40cm3以上のチェーンソーは、
 1. 振動加速度の最大値が、29.4m/sec・sec(3G)以下のものであること。
 2. ハンドガードを備えていること
 3. キックバックによる危険防止装置を備えていること
 等の条件を満たしていなければならないことになっています。
しかし小型のチェーンソーや電動チェーンソーはこの規定の適用を受けないので、注意が必要です。
またチェーンソーは「全重量を手腕で支えるものであり、少しでも軽いほうが単に疲労の面ばかりでなく、
振動障害予防の面でも好ましい」とされている(林災防テキスト)ので、薪ストーブユーザーから
少し大きなチェーンソーをすすめるようなことを聞くことがありますが、大型機はやめた方が良さそうです。

(2)チェーンソーの整備
整備を怠り出力の低下したチェーンソーでは、それだけ長時間使用することになりますし、振動も
大きくなりがちです。また振動の大きさは、チェーンソーの整備状況と密接な関係があります。
特に、ネジ類のゆるみや脱落があれば、災害につながるばかりでなく、通常では起きない異常な振動が
加わることとなります。振動障害の予防の面からも安全面からも点検整備が重要です。
またソーチェーン(刃)の目立ても非常に大切です。切れるソーチェーンで快適に作業することが、
安全で効率的な作業に直結しています。

(3)チェーンソー作業
林災防によると、プロの林業従事者でもチェーンソー作業の上限を1日あたり2時間としています。
また一連続操作時間は、長くても10分以内と制限するよう求めています。薪ストーブユーザーが
週末に「目の前の原木を全部処理してしまおう」などとつい思うのは、結構危険と言うことになります。


●保護具

道具を安全に使用するには本人の注意に勝る方法はありませんが、チェーンソーにも各種の
保護具が用意されています。
頭から足に向かって主なものを羅列してみると、下記のようになります。

  • ヘルメット
  • 耳栓・イアーマフ
  • 防塵メガネ・フェイスガード
  • 防振手袋
  • 安全パンツ(チャップス)
  • 安全靴

防振手袋は握り部分に振動吸収剤を挟んだ手袋、安全靴は爪先部分などに鉄板や
硬質プラスチックを挟んだ靴です。
写真:防塵メガネとフェイスガード 写真:安全靴と手袋

特に耳慣れないのが安全パンツ(チャップス)だと思いますが、ガラス繊維などを挟んだ
ズボンで、チェーンソーがあたると刃に長い繊維が絡み回転を止めるようになっています。
写真:安全ズボン

写真を提供していただいたきこりんさんは、“肩くらいの高さで枝払いをしていました。
枝を伐り終わりチェーンソーを下ろしたその時・・・疲労のためか反動とその重さに耐えられず?
あっという間にバーが太ももに接触!”。ちなみにやはり左足のようです。
写真:刃が接触した安全ズボン

“チャプスの繊維によりあっという間にチェーンソーの回転は止まり大事には至りませんでした。”
とのことで、本当によかったのですが、チェーンソーを開けてみると一瞬の接触で
これだけ大量の繊維が絡み付いて回転を止めたことがわかる貴重な写真です
写真:繊維が絡みついたチェーンソー内部

ご本人曰く “高い位置での作業をしかも大きなチェーンソーで行うという
とても危険な作業は二度と止めようと心に誓ったのでした!(^^ゞ” と書かれていますが、
安全パンツは是非とも装備したい保護具だと言えるでしょう。

この項の写真提供:きこりんさん[http://www.geocities.jp/kikoriws/]


●薪割りの危険性

(1)斧
私は斧での薪割りを楽しんでいますが、斧での薪割り作業も腰に来る作業です。また強い振動が
腕に伝わりますので、前出の振動障害についての注意が必要です。もちろん斧は刃物であり、
それに重さと速度のエネルギーを与えて使うものなので、相応の危険性があります。
写真:斧やチェーンソー

(2)薪割り機
薪を油圧で割る薪割り機という機械があります。油圧シリンダーで原木をクサビのような刃に
押し付けて割るようになっています。これは小型プレス機ですので、手や身体を挟む危険性が
あります。特に木がずれた時などつい手で押さえてしまいがちですが、注意が必要です。
両手でスイッチを押さないと動作しないような安全装置を備えているものもありますが、
それを片手でも動作するような改造をすべきではありません。
写真:薪割り機


●伐木の危険性

一般の薪ストーブオーナーが山に行って木を伐るということはあまりないと思いますが、
林業は危険な職業であることは 別コラムで以前に触れました。
林業での死亡事故は「林業・木材製造業労働災害防止協会」のホームページ
http://www.rinsaibou.or.jp/を見るとわかりますが、
大部分が倒れてきた木の下敷きになったり、落ちた枝が当たったりして起きています。

代表的な死亡事故はこの絵の通りです。[出展:林業・木材製造業労働災害防止協会ホームページ]
林業災害のイラスト
意外に多いのが刈り払い機による事故です。
刈り払い機を持ったまま斜面を転落し腹部を切ったり、足を切ったりして出血多量で死亡しています。


●その他の危険性

その他の危険性として下記のようなものがあります。
斜面からの転落
高所からの墜落
ハチに刺されてショックを起こす
クマの襲来
交通事故
熱中症と脱水症状
腰痛(無理な作業姿勢や重量物の取扱)

特にハチ刺されでショック(アレルギー)をおこすと命にかかわります。
治療の第一選択はエピネフリンという薬を注射することですが、伐木作業は通常病院から遠く
離れたところで行われているのが普通ですから、病院に着いたときには手遅れという事態に
なりがちです。そこで、日本でも最近エピネフリンの自己注射が認可されるようになりました。

危険な作業に従事するのですから、救急処置の知識は不可欠です。
また、山に入る時はエピネフリンの自己注射器を持参するのが常識となって欲しいものです。

エピネフリンの自己注射については、メルク株式会社http://www.epipen.jp/をご参照ください。

(2005/10/8up)