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住宅について考えたことをメモメモ。


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オール電化が最適な住宅エネルギーシステムだとお考えの方は、
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●エコキュートの高効率

オール電化の給湯器について、電熱式の給湯器はまったく評価に値しませんが、
二酸化炭素を冷媒に使うヒートポンプ式(以下「CO2HP」)給湯器、商品名「エコキュート」 については、
“原子力発電を環境によいものだとすれば、環境に優しくお財布にも優しい
以前のコラム(オール電化極端論)で結論付けました。

ヒートポンプ式給湯器の模式図
その核にはCO2HPの熱効率の良さがあり、投入したエネルギーの3倍以上の熱を得られることを根拠に
高い評価を与えたのです。発電というあまり効率の良くないエネルギー生産方法を跳ね返す
総合効率が期待できるからです。(ただし、原子力発電の問題は別問題)
比較項目CO2HPガス
エネルギー生産効率35-40%100%
熱変換効率300%〜95%
総合効率105%〜95%

結論として、ガスよりエコキュート(CO2HP)の方が給湯の効率は上としました。


●実際の効率

そのコラムを書いた時にはデータが得られなかったので、湯をためておく損失は無視して、
“お湯はため置きなので、保温ロスがあり”とさらりと流してしまいました。
そこでは、CO2HPの高効率のみに着目して「環境に良い」としたのですが、
それを覆す実験データが発表されています。それによるとエコキュートの実際の総合効率は、
保温損失が大きいので、なんとたったの40%〜80%しかないとの結果が出ています。
この実験でガス給湯器の総合効率は75%と出ていますが、5件の実験世帯のうちエコキュートの方が
ガスより効率が良かったのは1件だけで、あとの4件はガスの効率を下回りました。


●住環境計画研究所

株式会社住環境計画研究所という研究所があります。
ホームページは http://www.jyuri.co.jp/top_Frameset.htmにあり、
この研究所は地方自治体のエネルギー調査やマニュアル作成、エネルギー方針の決定などの業務を
していることがわかります。電力業界やガス業界の息がかかっているわけではなく、
国の原子力政策寄りのバイアスがかかっているわけでもないようです。
したがって頭から疑ってかかるべき研究所ではないように思えます。(私の個人的直感です)

このホームページにある論文集に、
「実使用状況下におけるCO2冷媒ヒートポンプ給湯器と従来型給湯器の性能評価」(PDF)という論文
が公表されています。http://www.jyuri.co.jp/main_Frame/05_Thesis/pdf/066.pdf

その論文によると、
“ガス給湯器の年間(一次エネルギー)総合効率は0.75である.
CO2ヒートポンプ給湯器の効率は湯使用量・パターンに大きく依存し,
(貯湯槽放熱損失が大きく)年間の一次エネルギー総合効率は約0.4〜0.8で ある.”

[( )内は私の補足]と結論づけています。

ガスが0.75でCO2HPが0.8なら、CO2HPの方が良いように見えないこともないのですが、
残念ながら結果をよく見るとそうは読めない結果が示されています。

実使用した5軒の家の効率を上記論文から引用すると:

表5 ガス給湯器とCO2HP給湯器の1次エネルギー総合効率
計測世帯A邸B邸C邸D邸E邸
CO2HP給湯器0.390.52 0.800.650.68
ガス給湯器0.740.73 0.780.770.77

と、かなりエコキュートは効率が悪いという結果になっています。

エコキュートを含む電気温水器は、ガスほどの火力がないので、今使うお湯をすぐに沸かす
能力はありません。そのため電気というトロ火でゆっくり時間をかけてお湯を沸かし、
そのお湯を貯湯槽(温水タンク)にためておくことになります。お湯を沸かすのはゆっくりしか
出来ないので、原子力発電で出来てしまう夜間の余剰電力を使うことにしています。
原子力発電は直接は二酸化炭素を出さないので見かけ上温暖化影響は少ないとされています。
また、余った電気なので電気料金は叩き売り価格となっていて、非常に安く設定されています。
実験の結果、この貯湯槽の放熱損失が大きいため、繰り返し湯を沸かしておかないと
高温を維持できないところに弱点があるという結果になっています。
ヒートポンプ式給湯器の模式図

エコキュートはCOPが3以上ということで高く評価していましたが、
この論文を見るとちょっと考え直さざるを得ません。


●深夜電力

深夜電力は原子力や自流式水力発電など、「発電量の調節が出来ない方式で発電した
余剰電力を使うから割安」
という前提で成り立っています。

また「原子力や自流式水力発電は二酸化炭素を出さないからクリーン」という
もう一方の前提があります。

そこで、深夜電力を簡単に調べてみました。ただし、ざっと調べた価格で、税込みかどうかなど
統一が取れていないので、傾向を見る参考価格です。最高価格と最低価格の比較です。
(個人がホームページなどから調べた数値なので、信用しないでください)
円/kWh深夜昼間
北海道電力6.22円28.98円
東北電力6.25円29.16円
東京電力6.05円29.80円
中部電力7.22円29.54円
北陸電力6.23円32.31円
関西電力6.80円29.35円
中国電力7.14円33.64円
四国電力7.18円27.70円
九州電力6.60円31.05円

深夜の電力は、割高な昼間の電力より五分の一〜四分の一程度の価格に設定されていることがわかります。

このうち中部電力を例にとって見ると、原子力発電への依存度は22%です。(1997年)
【ちなみに1997年のデータでは、九州電力(55.4%)、関西電力(53.9%)、四国電力(49.6%)、東京電力(46.5%)、
北海道電力(29.9%)、中部電力(22%)、中国電力(21.9%)、北陸電力(17.2%)、東北電力(14.4%)】

そして中部電力のホームページで、深夜の電力の発電対応がわかりますが、そこには驚くべきことが
書いてあります。 http://www.chuden.co.jp/torikumi/water/shikumi/water.html

[出展:中部電力ホームページ]
中部電力の一日の発電方法の推移グラフ
中部電力では、深夜に止まる発電は揚水発電と石油、一部のLNGだけで、
多くのLNGと石炭発電は深夜も稼動を続けています。

これは先の2点の前提条件に反するものであり、「深夜電力を安くする理由はなく、
深夜電力が(二酸化炭素排出面で)環境負荷が少ないというのは根拠がない」

ということを示します。(つまり余剰電力どころか、わざわざ化石燃料で発電をしている)

調べれば調べるほど、オール電化はエコライフといってもエコノミーという面だけに焦点が当たってしまいます。


●オール電化の利点

今回もオール電化に分が悪い内容になってしまいましたが、
これらの欠点を承知のうえでもオール電化を選ぶ理由はあります。

まず、都市ガスがない地域です。プロパンガスは輸送効率が悪いうえに、
非常に高価なエネルギーになっています。
したがってオール電化にすることは理にかなっています。

またランニングコストは現在非常に安く設定されている深夜電力を使うので、
今のところ家計費には優しくなります。

室内での燃焼もないので空気を汚さず、自分の家の内部環境的にも優しいものです。
モノを選ぶ基準は環境面だけではありません。コストや安全性なども重要なものです。

なお、私が主張したいのは、オール電化を採用した方個々を非難したいのでは断じてなく、
「電力業界が誤ったイメージでオール電化を売ろうとしていること」を指摘したいというところを
ご理解ください。そして例え余ったエネルギーでも、浪費しないように生活することが肝要であることを、
今の消費社会に訴えたいのがその目的です。


T's house!内の関連リンク(新しい窓で開きます)

●オール電化

●エコなんとか

●スウェーデンのエネルギー政策

●石油の世紀

●原子力についていろいろ

●原子力のゆくえ

●京都議定書

●スウェーデンハウス社への質問

●オール電化極端論