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核のゴミ

使用済み核燃料などの高レベル放射性廃棄物は、最終的には地層処分、 つまり地下深部に埋めて廃棄するしかない。 しかし日本のように火山や地震が多い国では、安全性に不安が残る。 また住民や自治体の不安を説得しきれないので、問題を先送りしたまま 建設を推進した。建設推進派には、「何十年かするうちに廃棄技術も 進歩するだろう」、あるいは「原子力アレルギーも薄まるだろう」 などの無責任な予断があったことは否めない。

これが「トイレなきマンション理論」である。 使用済み核燃料などの、原発からの放射性廃棄物をどう処理するかということを 決めないまま、原発を建設してしまったため、原発を揶揄して言われる 言葉である。つまりマンションでいえば、トイレをつくらないまま、 建ててしまった状態である。

原発の使用済み核燃料には、再処理をする方法(核燃料サイクル)と しない方法(直接処分)の二つの方法がある。日本は2004年現在再処理をする 方法を選択したことになっているが、この根拠がにわかに揺らいで いる。

日下一正・前資源エネルギー庁長官(現経済産業審議官)は今年3月の参議院予算委員会で、 「(再処理と直接処分の)コスト試算による比較はない」と答弁した。しかし、10年前 (1994年ごろ)に旧通産省(現経済産業省)が試算をしていながら、公表して いなかったことが明らかになっている。この試算でも再処理はコスト高との 結果となっていた。

一方、国の原子力委員会も同時期(1994年)に再処理と直接処分のコスト比較の 分析を行っていたことが明らかになった。原子力委員会の試算でも、使用済み 核燃料を再処理・再利用する費用は直接処分より10-14%割高との結果であった という。これは経済協力開発機構(OECD)の報告書を元に計算し、日本で 再処理した場合には国際水準より3-5倍割高であるとの試算結果である。

つまりコスト的にまったく見合わない再処理(核燃料サイクル)を10年前に 知りながら、それを推進していたわけである。都合の悪いことは公表しない 隠蔽体質も露呈し、原子力政策に対する不信感が一段と強まることは必至である。 (2004/7/7up)

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核燃料サイクルとは

使用済み核燃料の大半はウラン238で、他に核分裂生成物などが 含まれる。それに加えて、核分裂を起こさなかったウラン235や、 ウラン238からできた元素番号94の「プルトニウム239」など、 有用な放射性元素も含まれている。 これらを有機溶媒で分離・抽出して、資源の有効利用を 図ることを「再処理」という。同時に、再利用できない 高レベル放射性廃棄物はガラス固化されて地下深くに 保管(廃棄)する。つまり地層処分する。

核のゴミの組成図
プルトニウムも核分裂を起こす物質で、 ウラン235よりはるかに大きな熱エネルギーを放出する。 原発というのはある意味ではプルトニウム製造装置であるので、 世界中でこのプルトニウムの行方に関心を持っている。 すなわち核爆弾の原料だからである。

まずウランを核分裂させて熱エネルギーを得て、 出来たプルトニウムも核分裂させてウラン以上の熱エネルギーを 得るのが、「核燃料サイクル」と言う意味である。

発電しながら消費した以上の燃料を生み出す発電炉を 「高速増殖炉」と言う。つまり核燃料を増殖するという意味だ。 「高速」は、速いスピードの中性子を当てて核分裂を頻発させる ことからくる。これが実際に可能なら、化石燃料が発電に必要 なくなる位のエネルギーが得られる。この際二酸化炭素や窒素酸化物など、 化石燃料の燃焼で必ず出る有害有毒物質は皆無である。また水力発電などで 起こる、大きな土地に対する環境破壊も少ないため、開発当初は 「夢のエネルギー」と言われた。「鉄腕アトム」も原子(atom=アトム)の力に 夢馳せて生まれたヒーローなのである。

高速増殖炉の開発は、フランスと日本だけが継続していて、 多くの国では以前から事実上断念している。 一方の雄フランスはスーパーフェニックスという実証炉段階まで 漕ぎ着けたが、事故を起こして運転中止になり、ついに撤退まで 追い詰められた。 日本では、実験炉「常陽」が1977年に初臨界を達成し、 開発段階の次のステップである原型炉「もんじゅ」でも 1994年に初臨界を達成したが、これも事故を起こし、 自治体や住民が猛反対し、実験再開の見通しは立っていない。 日本でも高速増殖炉は事実上棚上げになっている。

この核燃料サイクルの要となる高速増殖炉が実用化するまでの つなぎとして考えられていたのがプルサーマルであるが、 2004年現在では高速増殖炉の滞りから、プルサーマルの方が 現実性を帯びている。プルサーマルとはプルトニウムを サーマルリアクター(熱中性子炉;一般的には「軽水炉」をさす) で燃やすことから来ている。 プルサーマルでは、ウランを燃やす原子炉で使用済み核燃料を 混ぜて燃やす手法で、従来の原子炉の設定変更だけで済む利点が ある。(2004/7/7up)

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原子力とは

すべての物質は原子から出来ている。原子には、 陽子と中性子が結びついた「原子核」があり、その周りを マイナスの電荷を持った陽子と同じ数の電子が回って、 原子を構成している。 電子の質量は無視できるほど軽い。 従って、陽子と、電荷を持たない陽子とほぼ同じ質量の中性子 の質量が原子の質量となる。

原始の模式図

ウランは元素番号92で天然界で存するもっとも元素番号の大きい、 つまり質量の大きいものである。 元素番号92なので、92個の陽子を持つ。 ウランのほとんどは92個の陽子と146個の中性子を持つ、原子の 質量が238の「ウラン238」である(92+146)。陽子と中性子が結びついた 「原子核」の周りを、マイナスの電荷を持った電子92個が 回って、原子を構成している。

天然に産出されるウラン鉱石中のウランには、 約0.7%の「ウラン235」が含まれいる。 ウラン235は他のウランとは質量が違い、陽子は92個だが 中性子は143個ある。こうした同じ原子でありながら、 質量の違う原子を「同位体」と呼び、ウラン235は「ウランの同位体」 と言う。

ウラン235に中性子をぶつけると、二つに分裂して中性子を いくつか放出する。放出された中性子が他のウラン235に当たると、 次次分裂が起こる。これを連鎖反応と言い、核分裂の連鎖反応が 一定の割合で持続する状態を「臨界」という。 ウラン235が分裂する時、熱とガンマ線など電磁波を出す。 電磁波には放射線と呼ばれるものが含まれる。

核反応の模式図

ウラン235を3〜4%ぐらいに濃縮し、これに中性子のスピードを 減速して当てると、緩いスピードで核分裂の連鎖反応すなわち 臨界が起こる。 ウラン235を高濃度に濃縮し臨界状態にさせると、一瞬のうちに 連鎖反応が終了し、一気に大量のエネルギーを放出する。 これが原子爆弾である。

ウランを連鎖反応させたあとには、「使用済み核燃料」と呼ばれる 物質ができる。使用済み核燃料には「プルトニウム」が含まれ、 プルトニウムもウラン同様に臨界状態に置くと、ウランの臨界状態以上に エネルギーを発する物質である。

ウランは先述の通り最も重い物質なので、弾頭としても使われる。アメリカ軍が 対戦車砲などに使用する「劣化ウラン弾」がそれである。劣化ウラン弾を使用した アメリカ軍の兵士にも、使用されたイランやイラクの一般市民にも健康被害が 発生している。(2004/7/7up)

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エネルギー政策

原子力委員会とは、「原子力の研究、開発及び利用に関する国の施策を計画的に遂行し、 原子力行政の民主的運営を図る目的」をもって、内閣府に設置されている国の機関である。 国の機関なので、どちらかと言うと政策肯定的な色彩が強くなるのは止むを得ない。
http://aec.jst.go.jp/

その原子力委員会が、使用済み核燃料の処分費用の試算結果を2004年10月に発表した。 それによると、使用済み核燃料を再処理する場合、そのまま地中に埋設処分するのに比べて 約八割コストが高くなるとの試算になっている。

核燃料サイクルコストの比較
処理方法/金額全量再処理部分再処理埋設処分当面貯蔵
コスト(円/kwh)1.61.4〜1.50.9〜1.11.1〜1.2
年間負担増(円/世帯)600〜840360〜72000〜360
負担増は埋設処分を基準に日本経済新聞社の算出。
(世帯あたりの原発供給電力を年1200kwhと仮定)

上にも書いたように原子力発電所でウランを燃やすと、 プルトニウムを含む使用済み核燃料が出る。このプルトニウムを取り出して燃やせば、 さらに多くのエネルギーを得ることができるはず である。 ただし、多くのエネルギーを取り出せると言うことは、兵器にもなり、 ウランもプルトニウムも軍事転用すれば原子爆弾または核爆弾の原料となる。 そのため世界中の国がそれらのあり方に重大な関心を持っているし、関心を持っているのは テロリストにもいる。もちろん放射能を発するので、爆弾にせずとも大変危険なものである。

世帯あたりの負担額はそう多くないように見えるが、この試算は想定している事業が順調に 進んだはずの場合である。 核燃料サイクルに商業的に成功している国はまだ一つもない。技術的にも未知の領域で、 予想外のコストや問題が発生する可能性が高いが、それらは考慮されていない。

経済産業省の試算では、一世帯の実質負担額は年1660円となっている。 上記の日本経済新聞社の試算と倍以上も違うが、つまりこれは変動要素が多すぎて、 計算できないことを示唆する。

全国の現在稼動中の原発に貯蔵されている使用済み核燃料は、11110トンと貯蔵能力の 66%に達している。[日経2004/10/6報道]特に東京電力の福島第二原発はすでに貯蔵能力の 92%と満杯に近い。トイレなきマンションの仮設トイレが溢れそうな 状態である。 なぜなら埋設処分をしようにも、用地のめどがまったくついていないからである。

青森県六ヶ所村の再処理工場はすでに着工済みで、多額の投資が行われている。 この工場でプルトニウムを生産しても、燃やす場所がない。余剰のプルトニウムを 持つのは安全保障上大きな問題がある。現在の原発でプルトニウムを燃やすプルサーマル 発電を実施する計画があるが、JOCでのバケツ臨界事故や東京電力の検査データ隠し、 関西電力の美浜原発での配管破裂事故などの影響で、実現性は不透明のままだ。 しかし、現在3割を超えている原発の発電を止めれば、それは代替の化石燃料の使用を 意味する。化石燃料の使用は二酸化炭素の排出に直結する。また化石燃料はやがて枯渇する。

国のエネルギー政策には高度の判断を要するが、今の日本の判断は以前の方針を追認する ばかりで、社会変化に応じた修正が乏しい。すでに環境重視と言われる他の国では、 脱原発をすすめている。その根幹にあるのは、今の大きな発電所を田舎に作って 都会に送電する仕組みを見直し、都会に小さな発電所をたくさん作る方式への変換である。 そして発電で活用しきれなかった温熱を、地域のエネルギーとして供給してさらに 電力消費を減らすような、多重のエネルギー利用である。 原子力発電は二酸化炭素を出さない利点はあるが、広大な用地を必要とする。 そして蒸気の温度は原子力では約300℃(火力発電は約600℃)で、熱効率は30%程度 (火力は約40%)しかないが、廃熱をわざわざ海(川)に捨てている。(だから原発は必ず 海(川)沿いにある)遠くの原発は長大な送電線を必要として、送電ロスで多くの電気を 失っている。

2004/11/2の朝日新聞の報道によると、原子力委員会で「原子力開発利用長期計画」 策定会議の委員30余名のうち、直接処分する路線を支持したのは1人であることを 確認したとある。そして、近藤委員長は「今後は再処理路線の精査をしていく」との 方針を決めたとある。つまり再処理路線で行くと言うことだ。総合資源エネルギー 調査会(経産相の諮問機関)の電気事業分科会が2004年6月、後処理費用総額 18.8兆円の負担枠組みを決めた。これも使用済み核燃料の約半分を40年間 再処理してかかるはずの計算だ。 原発自体にもトラブルが続出しているが、再処理の舞台となる六ヶ所村に建築中の 再処理工場では、2002年に不正工事が発覚しているし、高速増殖炉(ただし原型炉) 「もんじゅ」はナトリウム漏れで長期に渡って停止をしたままである。

私が死んだ後に、日本が核のゴミで埋もれていないことを願うばかりだ。 今の私にできることは、なるべく電気を使わないようにすることだ。(2004/11/6)

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