サイト名 くりぃむゲリオン
作品名 @ 作者名 Sky Lovers (全10話) @ けんけんZ
 学園設定に特化したエヴァの二次創作モノは、一応原作の中でも学園特化版のシナリオがちょっとだけとはいえ挟み込まれていたお陰もあってもか、さほど違和感を感じる事はないのだが、なぜか原作から全く乖離した設定であってもエヴァのキャラたちを使って物語が描かれる事がある。それは、いわゆるキャラクター置き換えモノや、独自設定モノなどと呼ばれるモノであり、それらは一部だけエヴァ原作の設定を引き継いだりした上で独自設定をかぶせてあったりする場合が多い。中には全くエヴァと関係ない設定になっている場合もあったりするのだが、本作は後者……完全な独自設定による物語である。

 時は第二次世界大戦末期。ポツダム宣言による無条件降伏という形で戦争の終結を迎える頃を舞台にしたエヴァのキャラクター達によるいわゆるオリジナル設定による空戦モノである。それは未だレシプロ機が全盛で戦争の主役だった時代。日本製レシプロ機の最終型『震電』と米国製レシプロ機の頂点を極めたとされる『P51ムスタング』の最終型H型。それら戦争末期に生み出された最後の徒花達を駆るのは、因縁の天才戦闘機乗り達……。そんな彼と彼女達による空の上で繰り広げられる、とある恋の物語である。

 これがエヴァなのか?と問われれば多分違うとしか言い様がない。どこにも原作に準ずる設定がないし、ただキャラを独自設定のお話に当てはめただけの、まるで別物としか言い様がないのは確かなのだろう。しかし、これがつまらないか?と問われれば答えはいささか異なる。……これが不思議と面白いのだ。
 その時代において頂点を極めるために。相手を殺す事だけを目的に生み出されたにも関わらず、結局歴史の表舞台に立つ事無く退場していく運命に置かれる事になったレシプロ機の最終形態。そんな徒花達が、最後の最後に殺し合いではなく模擬戦によって決着をつける事で、自らがそこに存在していたという証を歴史に刻みこむという展開には、正直燃えてくるモノがあるだろうし、色々と感じるモノだってあるだろう。あるいは、こういうこともあって欲しかったという願望、願いと呼ばれるモノでもあったのかも知れない。

 無論、設定そのものがぶっ飛んでいるありえない物語ではあるし、どこにもエヴァらしさはないのだが、それでも面白ければ何でも読んでみたい。そんな人にこそオススメな作品である。

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