展覧会について
日本画山脈展のみどころ


山本丘人《夕焼け山水》公益財団法人平木浮世絵財団

新見会場、八幡浜会場のみの展示

文明開化を迎えた明治期、西欧から移入された「西洋の絵画」に対して、我が国の伝統的な絵画表現を受け継ぐものとして、「日本画」という言葉が生まれました。時代のうねりの中で日本画家たちは互いに関係し合い、伝統的な技法や独自の美意識を受け継ぎ、あるいは西洋絵画の影響も受けながら常に新しい日本画の創造を模索してきました。

太平洋戦争を経て、社会構造や価値観の大きな変革の中で、危機的な状況に晒されながらも新しい日本画の模索は続き、現在に至っても時代に即した新しい表現、次世代へと続く新しい日本画の創造をめざし多彩な挑戦が続けられています。
本展では、「戦後日本画の再生」に挑んだ七人の巨山を中心に、戦後の流れを受けて花開いた現在の巨匠たちの「不動の日本画表現」、そして具象の系統に連なる新世代の作家たちの「越境する表現」を通し、戦後から現在まで続く日本画壇の流れを俯瞰するとともに、日本画表現の現在地点を紹介します。

伝統と革新が山脈のように連綿と織り成す日本画の系譜。この機会にどうぞご堪能ください。

第1章
〈「七山」に見る「戦後日本画の再生」〉

「日展三山」と称されてきた東山魁夷、杉山寧、山辰雄らとともに、山本丘人、横山操、加山又造、平山郁夫を加えた七人の作家をこの時代を代表する作家としてとらえ、その代表作を一堂に展示し、危機的状況を克服するため「戦後日本画の再生」に挑んだ七人の巨山が、時代の中で希求した日本画の新たな境地を改めて見つめます。


東山魁夷《道(試作)》1950年 
市川市東山魁夷記念館

出品作家
山本丘人、東山魁夷、杉山寧、山辰雄、横山操、加山又造、平山郁夫


2
〈現代の巨匠たちによる「不動の日本画表現」〉

経済成長に伴う社会の成熟、価値観の多様化に呼応するかのように、下田義寛、滝沢具幸、田渕俊夫、竹内浩一、平松礼二、中島千波、土屋禮一、村居正之、宮廻正明、西田俊英ら戦前・戦後生まれの作家たちは、七山をはじめとする先輩画家たちに薫陶や影響を受けながら、日本画の伝統を受け継ぎながらも、独自の日本画表現の確立をめざし、果敢な活動を展開、「不動の日本画表現」を獲得していきました。 

■出品作家
下田義寛、滝沢具幸、田渕俊夫、竹内浩一、平松礼二、中島千波、土屋禮一、村居正之、宮廻正明、西田俊英

下田義寛《寒明》

3
〈新世代日本画の「逆襲」−越境する表現〉

1980年代末、「日本画」とは一体何なのかという「日本画の枠組」をめぐる議論が取沙汰される中で、2章作家から日本画を学んだ新世代の作家たちが1980年代から現代まで多様な技法を用い、自身の表現を確立していきます。
本章では、1章から続く山のような大きな繋がりや、またその「日本画」を超越する絵画表現を「日本画」に対する逆襲として捉え、新進作家の作品を通し、日本画の現在地点を紹介します。

■出品作家
平山英樹、森山知己、岡村桂三郎、間島秀徳、新恵美佐子、加藤良造、マツダジュンイチ、神戸智行、島圭史、梶岡百江、岩田壮平、田中武


田中武《十六恥漢図シリーズ「trick」》
2014年 西治コレクション