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  21. 活用・活用形

           21.1 動詞の活用     21.2 イ形容詞の活用    21.3 ナ形容詞と名詞述語            21.4 デス・マスの活用            21.5 デアルの活用             付録 動詞リスト                補説§21    21.1 動詞の活用 21.1.1 動詞の活用の型 21.1.2 活用形   .泪昂 中立形 4靄楫 ぅ淵し ゥ瞳  Ε新 Д織蠏 ┘織薹 バ形 命令形 意志形 受身形 使役形 可能形 21.1.3 活用表        21.1.4 普通形・丁寧形     21.1.5 活用の例外   〃標貽飴 ▲瞳 〜スル 21.2 イ形容詞の活用   21.3 ナ形容詞と名詞述語の活用 21.4 デス・マスの活用 21.5 デアルの活用    <付録>[イル動詞・-iru/-eruで終わる五段動詞・同音異活用の動詞リスト]  補説§21   §21.1 学校文法の活用表の問題点 §21.2 寺村の活用表 §21.3 「〜ナイデス」について  活用とは、述語が、文の中での働き方の違いによって形を変えることです。 それを使う側から言えば、一つの述語をいろいろな場合に合わせて「活かして 用いる」わけです。「文の中での働き方」とは、一つにはその形自身がどんな 意味を表わすかということで、もう一つはその後の要素にどうつながるかとい うことです。そこで文が終わるのか、後のどんな要素に(それがある意味を表 わします)つながるのか、ということです。  具体的な例で言うと、動詞「話す」の活用形「話す・話した・話せ・話そう」 はそれだけで述語になり、文の終りに来ることができ、それぞれある意味を表 わします。それに対して、「話さ・話し」は後に要素が続いて、「話させる・ 話したい」などの形になって一つの意味を表わします。この場合、接続すると きの形は決まっていて、「×話しせる・話さたい」などは間違いです。このよ うに、述語が「話−す・した・せ・そう・さ・し」のように、表す意味と接続 のし方によって形を変えることを「活用」と言います。  活用する語の、変化しない部分を「語幹」、変化する部分を「語尾」と言い ます。これは、活用形の一覧表を作る中で取り出すことができます。「話す」 の場合は、語幹は「hanas−」までなので、ローマ字を使わないと書けま せん。語尾は「−u,−e,−oo」などになります。  動詞の「読む」を例にしましたが、他の述語(形容詞・名詞述語)および助 動詞などでも基本的な考え方は同じです。  述語が変化するという文法現象は多くの言語にあるので、学習者にとって特 に珍しいことではないでしょうが、一つ一つの活用形が身に付くまでには相当 の練習が必要です。  日本語の述語の活用は、基本的にはそんなに複雑なものではありません。特 に動詞の活用は、例えば英独仏語などと比べると、ずっと規則的で覚えやすい ものです。ただ、学習者によけいな負担をかけないために、教師はその提出順 と練習に工夫をしなければいけません。  ここでは、どう教えるかには触れられませんが、活用の体系をできるだけ整 理して述べたいと思います。その際、理論的な体系性を重視するよりも、日本 語教科書の提出順を考慮して説明していきます。また、できるだけ実際にそれ らの活用形を覚え、使っていく立場から考えてみたいと思います。

21.1 動詞の活用

 まず、動詞の活用について考えます。これまでの動詞文の例文の文末はすべ て「−ます/ません/ました/ませんでした」でした。いわゆる「丁寧体」の 現在と過去の肯定・否定の形です。(「丁寧体・普通体」については「22.文 体について」で説明します)          これらは事実の表現として最も基本的なものですが、実際の言語表現にはも っとさまざまの表現があります。  例えば、話し手が自分の希望を述べる時は、「−たい(です)」という形に なります。聞き手に対して何かの動作を勧める時には、「−ましょう」という 形を使いますし、何か動作を頼む時には「−てください」などの形を使うでし ょう。  また、「複文」の所で述べるように、文の後にさらに文をつなげて行くよう な場合は、「〜て、〜」などの形になります。  このように、文末や文中で、さまざまな意味を表すための表現に応じて、動 詞は形を変えます。動詞「見る」「話す」のいくつかの表現を並べてみましょ う。      見ます             話します 見たいです           話したいです 見るでしょう          話すでしょう 見て下さい           話して下さい 見なくてもいいです       話さなくてもいいです 見られました          話されました 見ようと思います        話そうと思います 見て、〜            話して、〜 見、〜             話し、〜 見た後で、〜          話した後で、〜 見れば、〜           話せば、〜    これらは動詞を使ったさまざまな表現のほんの一部です。ここに現れている 「見る・見て・見よう・見た」「話す・話して・話そう・話した」などが、動 詞「見る」「話す」(この形は「基本形」です)の活用した形です。  最初にあげた「−ます/ません/ました/ませんでした」も「ます」がさら に「現在・過去」「肯定・否定」という意味に応じて活用したものです。(こ の本では「ます」は助動詞ではなくて「接辞」と考えます。

21.1.1 動詞の活用の型 

 動詞の活用には3種類の型があります。いろいろな呼び方がありますが、こ こでは「五段・一段・不規則」活用と呼んでおきます。そして、それぞれの動 詞を「五段動詞」のように呼びます。一段動詞は、その基本形の語幹の母音の 違いによって大きく二つに分けられます。  それぞれ「イル動詞・エル動詞」と呼ばれることがあります(国語の学校文 法で「上一段活用・下一段活用」というのはこれです)。以下でも、必要な時 にはそう呼ぶことにします。  それぞれいくつか例を挙げておきましょう。 五段動詞   書く・話す・立つ・死ぬ・読む・取る・会う・泳ぐ・飛ぶ 一段動詞   いる・落ちる・着る・見る(イル動詞) あげる・寝る・食べる(エル動詞) 不規則動詞  する・勉強する・びっくりする  来る・持ってくる  一段動詞の基本形(辞書に出ている形を「基本形」と呼ぶことは「0.はじめ に」で述べました)は、上の例からも予測できるように、すべて「−る」で終 ります。そしてその前の母音が「−iる、−eる」のように「i」か「e」の どちらかです。  i、eのところは、具体的には「い、き、ち、に、・・・」「え、け、せ、 て、ね、・・・」になります。一段動詞の変化は単純で、学習者にとって覚え やすいものです。  五段動詞は、上の例に出した「−く、す、つ、ぬ、む、る、う、ぐ、ぶ」の 9種類の終り方だけです。それ以外のものを見つけたら新発見です。  五段活用は、後で見るように変化が複雑ですが、日常よく使われる基本的な 動詞が多いので、学習者によく覚えてもらわなければなりません。  不規則動詞は「する・来る」の二つと、それを要素にした動詞(勉強する・ 持ってくる、など)だけです。    これらの活用の型のいろいろな呼び方の対応表を掲げておきます。教科書で の呼び方はさまざまですが、特徴的なものを代表として出しておきました。  「米教科書」というのは、アメリカのある教科書です。 ┌───────┬────┬──────┬─────┬─────┐  │ この本   │国文法 │ 教科書など│米教科書 │ 言語学 │ ├───────┼────┼──────┼─────┼─────┤  │ 五段動詞  │五段  │ 砧燹  ;強変化動詞│子音幹動詞│  │       │    │(汽哀襦璽)│     │     │ ├───────┼────┼──────┼─────┼─────┤  │ 一段動詞  │一段  │ 粁燹  ;⊆緤儔銃飴讎∧豌惨監飴讎  │  イル動詞 │ 上一段│(競哀襦璽)│     │     │  │  エル動詞 │ 下一段│      │     │     │  ├───────┼────┼──────┼─────┼─────┤  │ 不規則動詞 │変則  │ 稽燹  ;∈合変化 │     │  │ (する)  │ サ変 │(轡哀襦璽)│     │     │  │ (くる)  │ カ変 │      │     │     │  └───────┴────┴──────┴─────┴─────┘

21.1.2 活用形

 動詞が活用した一つ一つの形を活用形と言います。活用形の呼び方もいろい ろありますが、ここではできるだけ日本語教育で広く使われているものを使い ます。例として「話す」の活用形を、後で取り上げる順に並べてみましょう。
   .泪昂繊話します  Д織蠏繊話したり  受身形:話される    中立形:話し    ┘織薹繊話したら  使役形:話させる    4靄楫繊話す    バ形 :話せば   可能形:話せる     ぅ淵し繊話さない  命令形:話せ                 ゥ瞳繊 話して   意志形:話そう                Ε新繊 話した                       
 左に並べた六つが最も基本的なものです。これらなしでは、まったくやさし い会話すらできません。ただし、この中で「マス形」と「ナイ形」は厳密には 活用形とは言いにくいものです。活用形というのは、動詞が変化した一つの形 で、それ自身は変化しない、決まった形でなければなりません。けれども「話 します」は、それ自身が、      話します・話しません・話しました・話しましたら などと変化してしまいます。「ナイ形」も同様です。      話さない・話さなかった・話さなければ              この二つと、いちばん右に並べた「受身形・使役形・可能形」の三つは、活 用形というより「派生形」と言うべきものです。しかし、日本語教育では活用 形と派生形を区別せずに、ともに「動詞の変化した形」として一緒に扱うこと が多いですし、学習者にとってもそれでいいようなので、以下ではこの区別に あまりこだわらないことにします。

[学校文法の活用表]

 日本語教育の活用形を具体的に見て行く前に、学校文法の活用表を参考にあ げておきます。この表に対しては、いろいろな立場・観点から数多くの批判が なされていて、現代語の活用表として不適当なことははっきりしていると言っ ていいでしょう。ですから、とりあげる必要もないのですが、活用形・活用の 型の呼び方にいまだに影響しているので、いちおう見ておきます。 学校文法の動詞活用表 ┌─┬─┬───┬──┬──────────────────────┐ │型│行│ 例  │語幹│      語      尾        │ ├─┼─┼───┼──┼────┬──┬──┬──┬──┬─────┤ │ │ │   │  │未 然 │連用│終止│連体│仮定│ 命 令 │ ├─┼─┼───┼──┼────┼──┼──┼──┼──┼─────┤ │ │ │   │  │1234│12│  │  │  │ 1  2 │ ├─┼─┼───┼──┼────┼──┼──┼──┼──┼─────┤ │五│サ│読む │ よ │まままも│みん│ む │ む │ め │ め    │ │段│ラ│切る │ き │らららろ│りっ│ る │ る │ れ │ れ    │ ├─┼─┼───┼──┼────┼──┼──┼──┼──┼─────┤ │上│ア│居る │(い)│ い  │ い │いる│いる│いれ│いろ いよ│ │一│ラ│降りる│ お │ り  │ り │りる│りる│りれ│りろ りよ│ ├─┼─┼───┼──┼────┼──┼──┼──┼──┼─────┤ │下│ア│得る │(え)│ え  │ え │える│える│えれ│えろ えよ│ │一│サ│見せる│ み │ せ  │ せ │せる│せる│せれ│せろ せよ│ ├─┼─┼───┼──┼────┼──┼──┼──┼──┼─────┤ │カ│カ│来る │(く)│ こ  │ き │くる│くる│くれ│こい   │ │変│ │   │  │    │  │  │  │  │     │ ├─┼─┼───┼──┼────┼──┼──┼──┼──┼─────┤ │サ│サ│する │(す)│せしせし│ し │する│する│すれ│しろ せよ│ │変│サ│信ずる│しん│ぜじぜじ│ じ │ずる│ずる│ずれ│じろ ぜよ│ └─┴─┴───┴──┴────┴──┴──┴──┴──┴─────┘  この表は『岩波国語辞典』の付録にあったものの一部です。これの説明をく わしく述べるのは、あまり意味のないことですから、後の議論に必要な点だけ 述べておきましょう。  未然形が4つもあるのは、「−ぬ、−ない、−(ら)れる、−(よ)う」に 続く形をそれぞれ別に立てているからです。「−ぬ」は別としても、「ナイ形 ・受身形・意志形」をまとめて一つの活用形にする理由は、現代語に関しては ありません。連用形の二つの形は、それぞれ「−ます、−て」に続く形です。  この表の大きな問題点は、単語の切り方です。「読めば」や「読もう」を二 つに分けて、語尾の後ろに付く「ば」を接続助詞、「う」を助動詞としたり、 「読んだ」を連用形と助動詞「た」に分けたりする必要はありません。これら は現代語では一つの語と考えた方がいいのです。また、「語幹」の立て方がこ れでは何だかわかりません。他にも問題がいろいろありますが、この表にあま りかかずらうことは止めにしましょう。  さて、それでは一つ一つの形の作り方・用法を見て行くことにしましょう。 まずは活用形の元になる「語幹」の形を示しておきます。  

語幹の形

   五段動詞   子音で終わる   −k・s・t・n・m・r・w・g・b    一段動詞   母音で終わる 「イル動詞」  −i (いる・見る)    「エル動詞」  −e (える・寝る)    不規則動詞  語幹を取り出しにくい   −s(する・愛する) −k(来る・持ってくる)  では、各活用形を見ていきます。まず、「マス形」から。以下では、「読む」 を代表例にします。

 離泪昂繊読みます]

 「−ます」で終る形で、丁寧体の「現在・肯定」の形です。日本語教育にと っては最も基本的な活用形です。国語教育では「連用形」として「読み」まで で一つの活用形とします(そしてなぜか「読ん」も同じ連用形とされます)が、 日本語教育では「読みます」全体を一つのまとまりとして扱います。この全体 が一つの意味をもち、働きを持っているわけですから。  この形自体が変化をし、「−ません・ました・ませんでした」となるという ことを考えると、一つの「活用形」というより「派生形」とするべきなのでし ょうが、その問題にはこだわらないことにします。  ここでちょっと「−ます」の前の母音について考えてみましょう。すべての 動詞が、「i」か「e」のどちらかです。

マス形の形

(「−ます」の前の母音)    五段動詞  みな「i」です      読みます:yom−iます  書きます:kak−iます    一段動詞    「イル動詞」 「i」です      見ます:mi−ます   います:i−ます    「エル動詞」 「e」です      寝ます:ne−ます   食べます:tabe−ます    不規則動詞   「i」です      します:si−ます   来ます:ki−ます  以上のように、一段動詞の「エル動詞」のほかはみな「−iます」になりま す。逆に言うと、「−eます」であれば「エル動詞」だということで、他の活 用形を作ることができます。例えば、「かけます」という形の動詞は一段動詞 で、基本形は「かける」だということが、活用形の作り方を知っていれば、わ かります。      kake−masu → kake−ru  しかし、例えば「おきます」という動詞の基本形は、マス形だけでは確定で きません。一段動詞か五段動詞かわからないからです。事実、この場合は両方 あります。      oki−masu   oki−ru(起きる)      ok−imasu   ok−u(置く)  「付録」に主な一段動詞(イル動詞)の表をのせておきました。これら以外 の「−imasu」は五段動詞である可能性が高いことになります。参考にし てください。  この「ある活用形から他の活用形がわかるかどうか」は、日本語教育の観点 からは重要なことです。

◆涼耄形:読み]

 この「読み−」のような、「−ます」へ続く形は、他の用法が多いです。      読みたい(希望)  読みそうだ(推量) 読みに行く(目的)      読みながら(並行動作)  読み、〜(並列)       読み始める(複合動詞)  お読みになる(敬語)   このような文型の中の「読み」をどう呼ぶかで、ちょっと困ります。「マス 形のマスを取った形」というのも変ですし。「マス形」という用語は広く使わ れていますし、「テ形」と共に、古い活用形の呼び方に対する新しい呼び方の 代表的なものです。ある教科書では「読み−」自体を「マス形」と読んでいま すが、そうすると、「読みます」は「マス形にマスを付けた形」ということに なります。それもどうも・・・。  別のある教科書では「読みます」は「マス形」と呼び、「読み」を連用形と しています。ただし、「読んで」は「テ形」とします。これも一つの行き方だ と思います。国語教育では「連用形」は「読み・読んで」の両方を言うので、 ちょっと誤解を招きやすいのが欠点ですが。  理論的な文法研究では、「読んで」を「テ形」と呼ぶような新しい名付けを した場合、「読み」は「中止形」と呼ぶことが多いようです。「中止」という のは適当でない(「途中で止める」という意味?)と考えてか、「中立形」と 呼ぶ人もいます。私としてはこれがいいのではと思っています。「読み−」ま では、後がどうなるか決まっていない中立的な形ですから。「読みます」は全 体で一つの形「マス形」と呼び、「読みたい」「読みながら」などは「中立形 +たい・ながら」とするのです。  ただ、この「中立形」という名称は日本語教育の中で一般的なものではあり ません。上に述べたように、それぞれの呼び方でやっている、というのが実情 です。  なお、一段動詞では中立形は語幹と同じ形です。しかし、そのさまざまな用 法を「語幹の用法」とするのは、無理な話です。五段動詞と違った分析になっ てしまいますから。

[基本形:読む]

 日本語教科書では「辞書形」と呼ぶことが多いです。学習者にもわかりやす いのでいい名前だとは思いますが、ここでは「基本的な形」だからこそ辞書の 見出しに使われるのだ、と考えて「基本形」と呼ぶことにします。  いろいろと用法の多い、まさに基本的な形です。      読む。(普通体の現在・肯定)   読むと思う(間接引用)      読むと(条件) 読むから・読むので(理由)      読むのに(目的・逆接)   読むために(目的・理由)      読むが・けれども(逆接)   読むし(並列)      読むのが好きだ(形式名詞ノ・コトを付けて名詞節となる)      読むとき・まえ・あと・あいだ・うち(時の連用節)      読むN(連体修飾)  読むところ・だけ(形式名詞・副助詞に)  基本形はみな「−u」で終ります。前に述べたように、一段動詞はみな「る」 で終り、五段動詞は「−く、す、つ、ぬ、む、る、う、ぐ、ぶ」で終ります。 ということは、基本形が「る」以外で終るものはみな五段動詞だ、ということ です。学習者にとって、ある動詞が五段動詞か一段動詞かがわからないと、動 詞を正しく活用させることができませんから、このことは重要なことです。  さて、「る」で終わるものは、五段動詞か一段動詞になるわけですが、一段 動詞は「−iる」か「−eる」かのどちらかですから、「−aる・−uる・− oる」で終るものは五段動詞だとわかります。実際の例は「なる・つる・とる」 などです。もちろん、不規則動詞の「する・来る」は別です。

基本形の形

  みな「−u」で終わる 五段動詞 語幹にuが付いた形 −ku(書く) −tu(立つ) −mu(読む) −gu(泳ぐ) −nu(死ぬ) −ru(取る) −su(話す) −bu(飛ぶ) −(w)u(会う) 一段動詞 語幹にruが付いた形 −iru(いる・着る・落ちる)      −eru(得る・変える・寝る) 不規則動詞 −uru(する・来る)  ある動詞が五段動詞だとわかれば、基本形から他の活用形を作ることができ ます。例えば、マス形は語尾の「u」をとって「−iます」を付ければいいわ けです。(書く→書きます)  前に述べたように、マス形だけからは「エル動詞」がわかるだけで、五段動 詞かどうかはわかりません。その点からいうと、学習者がある動詞の形を覚え る場合、その形がマス形であるより、基本形であるほうが望ましいと言えます。  例えば、学習者の頭の中で「to read 」を「読みます」と記憶するよりも 「読む」という形で覚えるほうが、それが五段動詞であるという情報も含むの で、いいというわけです。

[五段動詞と一段動詞の区別]

 基本形を見れば、大部分の五段動詞はそうだとわかるのですが、「−eる・ −iる」で終る五段動詞は、一段動詞と区別がつきません。  例は「帰る・蹴る・切る・知る」などで、基本的な動詞が含まれています。 数はあまり多くありませんが、これらが存在するために、「変える・得る・着 る・煮る」などの一段動詞の基本形と比べて、どちらが五段でどちらが一段か はわからないので、ちょっと困りものです。  初めてこれらの動詞に出会ったときには、もう一つの活用形、例えばマス形 を確かめれば、活用の種類がわかります。つまり、動詞の形を一つだけ覚える のではなく、基本形とマス形をセットにして覚えるのがいい、ということです。      「かえる:かえります」は五段動詞      「かえる:かえます」は一段動詞       「きる:きります」は五段動詞(kir−u,kir−iます)      「きる:きます」は一段動詞(ki−ru,ki−ます)  もう一つの方法は、「−eる・−iる」で終る五段動詞の主なものを覚えて しまうことです。そうすれば、それら以外の「−eる・−iる」で終る動詞は たぶん一段動詞だろう、と予測することができます。そうは言ってもけっこう 数は多いのですが。  付録としてその表をのせておきますので、参考にしてください。

ぁ離淵し繊読まない]

 ナイ形は基本形の否定形です。基本形の用法の多くに、その否定として対応 します。      読まない。(普通体の現在・肯定)      読まないと(継起) 読まないから・読まないので(理由)      読まないのに(目的・逆接)  読まないために(目的・理由)      読まないが・けれども(逆接)  読なないし(並列)       読まないのが好きだ(形式名詞ノ・コトを付けて名詞節となる)      読まないとき・まえ・あと・あいだ・うち(時の連用節)      読まないN(連体修飾)  以上はすべて基本形のところであげた用法です。これ以外に特にナイ形の特 徴的なものとしては、次のようなものがあります。この中には次の「テ形」と 対応するものがあります。      読まないでください(否定の依頼、「読んでください」と対応)      読まないほうがいい(否定の忠告、「読んだほうがいい」と対応)      読まなくてもいい(否定の許可、「読んでもいい」と対応)      読まなくてはいけない(義務、「読んではいけない」と対応)  ナイ形も「なかった・なくて・なければ」などと変化するので、厳密には活 用形の一つというより「派生形」ですが、学習者のわかりやすさを考えて、特 に他の活用形と区別しないことにします。  作り方は、活用の型と基本形がわかっていれば簡単です。

ナイ形の作り方

   五段動詞  基本形の語尾−uをaに変え、−naiを付ける         yom−u → yom−a−nai       ir−u  → ir−a−nai(要らない)    ☆「買う・言う」など「う」で終るものは「kaw−a−nai」の     ように「w」が現れます。つまり、この「う」は「あ行」ではなく     「わ行」の「う」だと考えられます。    ☆「ある」のナイ形は「×あらない」とはならず、単に形容詞の「ナ     イ」が使われます。例外です。    一段動詞  語幹に−naiを付ける       i−ru  → i−nai(居ない)       ne−ru → ne−nai     不規則動詞       する → しない     来る → こない  ナイ形はどの動詞も「−ない」で終ります。そして、そのまえに来る母音を 見れば、活用の型がわかります。「a」なら五段動詞、というように。ですか ら、初めて見た動詞でも、それがナイ形だとわかれば、基本形を言い当てるこ とができます。「おらない・おりない・おれない」の基本形はそれぞれ「おる ・おりる・おれる」です(それを、上の「ナイ形の作り方」から逆にちゃんと 説明できますか?)。  基本形の場合にも、このようにはっきり活用の型が区別できるようになって いれば、学習者にとって便利だったのですが、残念ながらそうではありません。 かといって、まずナイ形を覚えなさい、とも言えません。

ァ離瞳繊読んで]

 テ形はマス形・基本形と並んで、日本語教育上の最も重要な活用形です。用 法の広さもありますが、大きな特徴はその形作りの難しさにあります。テ形が きちんと言えるかが、その学習者が初級のある段階を無事通過したかの目安に なります。まずその形の作り方から見てみましょう。  基本形からテ形を作る規則を覚えることが、学習者には必須です。特に五段 動詞の語幹の末尾の子音に注目します。語幹の形が変わってしまうという点が 大きな特徴です。(この変化は「音便」と呼ばれます)

テ形の作り方

   五段動詞                                1 −k−u →−いて 書く、置く、敷く  例外:行く→行って     2 −g−u →−いで 泳ぐ、急ぐ、注ぐ                3 −s−u →−して 話す、戻す、押す                4 −t−u →−って 立つ、打つ、勝つ                5 −r−u →−って ある、売る、折る                6 -(w)−u →−って 買う、言う、吸う(ワ行)          7 −m−u →−んで 飲む、住む、読む                8 −n−u →−んで 死ぬ   (これは一語だけ)        9 −b−u →−んで 飛ぶ、遊ぶ、選ぶ    一段動詞      −i−る → −i−て  見る、起きる、いる             −e−る → −e−て  寝る、食べる、得る    不規則動詞                                する → して   来る → 来て 「買う」などは、ナイ形のところで見たように、「わ行」とみなし、「w」 を補って考えます。  以上見てすぐわかるように、五段動詞が複雑です。マス形・基本形・ナイ形 で共通していた「−u」の前の子音が変化してしまうか、「u」の代わりの母 音(マス形なら「i」、ナイ形なら「a」)が消えてしまうかするものがほと んどです。唯一自然な形(?)となるのが「s」のサ行の動詞です。  「k・g」では子音が姿を消します。「k」と「g」の違いは、「g」のほ うが「で」となって濁音になっていることです。つまり「く:ぐ=て:で」で す。「t・r・w」では母音がなくなり、みな「って」の形になります。「m ・n・b」の場合も母音がなくなり、「んで」という同じ形になります。  似たものをまとめると、      k−g,s,t−r−w,m−n−b の4種に大きく分かれることがわかります。  さて、いくつかの子音の動詞が同じテ形になるということは、基本形が違う のに、テ形になると同じ形になってしまう場合がけっこうあるということです。 上の「t−r−w」「m−b」の例を挙げると、      勝つ・刈る・買う → かって   読む・呼ぶ → よんで となります。このような例を付録にあげておきましたので参考にして下さい。  さて、テ形の用法は次のようなものです。      読んでください(依頼など)   読んでいる・てある・ておく・      てしまう・てみる・ていく・てくる(アスペクトなど)      読んであげる・てくれる・てもらう・てやる・てさしあげる・てく      ださる・ていただく(授受)      読んでもいい・てはいけない(許可・禁止)      読んでばかりいる(限定)      読んで(並列など)   読んでから(時)      読んでも(条件)    読んでは(条件)  日常の使用頻度の高いものが多いので、活用形の作り方の難しさを克服して 完全に習得する必要のある活用形です。 

Α離新繊読んだ]

 タ形は「普通体」の過去の形です。基本形とはテンス・アスペクトの違いで 対立します。したがって、多くの用法が基本形と対応します。      読んだ。(普通体の過去・肯定)      読んだから・読んだので・読んだために(理由)      読んだのに(逆接)  読んだが・けれども(逆接)      読んだとき・あと・あいだ(時の連用節) 読んだし(並列)      読んだN(連体修飾)      読んだところ・だけ(形式名詞・副助詞に)      読んだことがある(経験)  読んだほうがいい(勧め)  以上の用法の中で、基本形に対立して「タ」の持つ「過去・完了」という意 味が強く出るものと、そうでもないものがあります。             形の作り方は、テ形と共通します。つまり、テ形の母音「e」を「a」に置 き換えるとタ形になるので、基本形からの作り方はテ形のところを見てくださ い。テ形のほうを先に教える教科書では、「−て(で)」を「−た(だ)」に する練習をして終りです。  さまざまな用法を持ち、日本語文法のあちこちに現われる活用形は以上で終 りです。次からは、使われ方が限定された活用形を取り扱います。いわば一活 用形一用法に近いものです。ここでは紹介だけにして、くわしいことはそれぞ れの文型の所で述べますので、そちらを見てください。

А離織蠏繊読んだり]

 このタリ形と次のタラ形は、タ形から作られます。タリ形はタ形に「り」を 付けるだけです。用法は複文の「47.並列」を見て下さい。

─離織薹繊読んだら]

 これも形はタ形に「ら」を付けるだけ、あるいはタリ形の最後の母音「i」 を「a」に変えるだけです。この形は「49.条件」の用法が重要ですが、ムー ドの「33.勧め・忠告」で最初に使います。

[バ形:読めば]

 これも「条件」です。「読めばいい」や「読めば読むほど」という文型の中 にも現われますが、それらも元は「条件」の用法です。形の作り方は「33.4  V−ばいい」のところを見てください。

[命令形:読め]   

                         「命令」を表わします。形の作り方と用法は「ムード」の中の「命令」を見 て下さい。(→ 34.1)

[意志形:読もう]    

 ふつうは「意志・勧誘」を表わします。これも「ムード」です。形の作り方 はそこで説明します。(→ 32.4)「ふつう」でない場合というのは、      そういうこともあろう。 のような書きことばの文体で、意志形が「推量」の意味に使われることがある からです。それは「ムード」の中の「38.9 推量」を見てください。

[受身形:読まれる]

 「受身」の形ですが、敬語の尊敬語としても使われます。また、一段動詞の 可能の形でもあります。「自発」の形でもあります。これらはすべて「ボイス」 です。用法が広いようですが、もともとは同じものと考えられます。形は「ボ イス」の「25.2 受身」のところで。

[使役形:読ませる]

 「使役」の形です。「使役」という聞き慣れない言葉の意味とともに、形は 「ボイス」の「25.3 使役」のところで説明します。 

[可能形:読める]

 「可能」を表わします。これも「ボイス」です。五段動詞は特別な形ですが、 一段動詞は受身形と同じ形になります。(→ 25.4.2)     

21.1.3 活用表

 さて、以上の活用形を一つの表にしたものを、「活用表」と言います。活用 表の作り方、つまりは各活用形の並べ方にはいろいろなやり方がありますが、 いちばんかんたんなのは五段活用で語尾の初めの母音が「aiueo」の順に なるように並べることでしょう。これは学校文法でとられている方法です。  これは、まったく理論的根拠のない方法で、多くの批判がなされています。 なぜかと言うと、「あいうえお」という順序は、古代の音韻学で決められた順 で、動詞の働きとは何の関係もありません。音声が変化し、かなづかいが変化 すれば活用形の順番も変わってしまうからです。(読まむ→読もう)  しかし、この方法には、学生にとって理解しやすく、覚えやすいという長所 があります。研究者の理論によって並べられた、一見整然とした表よりも、順 に思い出しやすい並べ方のほうがいいでしょう。   ここではそのように考えて、理論的整合性にはこだわらず、まず五段活用が 「あいうえお」順になるように該当する活用形を並べ、次に五段動詞の音変化 をともなうもの、最後に派生形をおきます。マス形は派生形ですが、学生にと って最初に学ぶ基本的な形なので、中立形と並べておきます。「読む」なら 「読ま・み・む・め・も・ん(で)」となるわけです。結果的に、これはいく つかの教科書で掲げられている活用表に近いものです。    活用形     五段動詞          一段動詞        ナイ形 書か−ない  読ま−ない  見−ない   寝−ない     マス形 書き−ます  読み−ます  見−ます   寝−ます     中立形 書き−    読み−    見−     寝−       基本形 書く     読む     見−る    寝−る      バ形  書け−ば   読め−ば   見−れば   寝−れば     命令形 書け     読め     見−ろ    寝−ろ      意志形 書こ−う   読も−う   見−よう   寝−よう     テ形  書い−て   読ん−で   見−て    寝−て      タ形  書い−た   読ん−だ   見−た    寝−た      タリ形 書い−たり  読ん−だり  見−たり   寝−たり     タラ形 書い−たら  読ん−だら  見−たら   寝−たら     受身形 書か−れる  読ま−れる  見−られる  寝−られる    使役形 書か−せる  読ま−せる  見−させる  寝−させる    可能形 書け−る   読め−る   見−られる  寝−られる  一段動詞の語尾と対照させるために、五段動詞の語尾の初めの母音を語幹に 付けた形で並べてみました。このほうが見やすいでしょうから。   次に、不規則動詞の表。こちらも語幹に母音を付けてあります。  「不規則動詞」が「不規則」なのはどの点かと言うと、語尾の初めの母音が 一つでないことです。それと「来る」の命令形が特別です。それらを除くと、 比べてみればわかりますが、語尾は一段動詞と同じです。つまり、それほど 「不規則」ではありません。学習者にもそう言っておくほうがいいでしょう。  なお、「愛する」のナイ形が「愛さない」となったり、「信ずる」のバ形が 「信じれば」となったりすることについては、後の「21.1.5 活用の例外」で とりあげます。    活用形   不規則動詞                     ナイ形 し−ない  こ−ない                 マス形 し−ます  き−ます                 中立形 し−    き−                   基本形 す−る   く−る                  バ形  す−れば  く−れば                 命令形 し−ろ   こい                   意志形 し−よう  こ−よう                 テ形  し−て   き−て                  タ形  し−た   き−た                  タリ形 し−たり  き−たり                 タラ形 し−たら  き−たら                 受身形 さ−れる  こ−られる                使役形 さ−せる  こ−させる                可能形 (できる) こ−られる               以上の「活用表」は「形」から並べた単なる活用形一覧であって、動詞の活 用形の「体系」を示したものではありません。各活用形の機能を考慮すると、 例えば次のような表も考えられます。           文  基本形   読む              終  タ形    読んだ             止  命令形   読め                 意志形   読もう                         並 中立形  読み           連   テ形   読んで                          列 タリ形  読んだり                       用                        条 バ形   読めば                          件 タラ形  読んだら                        マス形  読みます 派 ナイ形  読まない   受身形  読まれる 生 使役形  読ませる   可能形  読める   この表は、各活用形が文の終りに使われるか、それとも文の途中で連用修飾 の機能を持つかで分けたものです。派生形は別にします。連用の中では、意味 的に大きく並列と条件に分けました。「並列」に入れた各活用形は実際にはい ろいろな用法を持っています。

21.1.4 普通形・丁寧形

 また、上の表とは別の組み合わせも考えられます。例えば、肯定・否定、現 在・過去の二つの軸を組み合わせて得られる四つの形は、文末の基本となる形 です。

普通形

           肯定      否定                        現在 読む(基本形)   読まない(ナイ形)        過去  読んだ(タ形)  読まなかった(ナカッタ形)       この四つの形を「普通体の基本四形」、略して「普通形」と呼ぶことにしま す。複合述語や複文を形作る際にしじゅう必要とされる形のセットです。同様 にマス形を肯定・否定、現在・過去の軸で活用させた四つの形、

丁寧形

                肯定      否定                        現在 読みます     読みません           過去  読みました   読みませんでした          を「丁寧形」と呼ぶことにします。  「丁寧形」という言い方は、例えば、「読まない」の丁寧形は「読みません」 だ、というふうに使われることが多く、上にあげた四つの形をまとめてそう呼 ぶことはちょっと混乱の元になるかも知れませんが、複合述語や複文の中の述 語の形を説明する際に便利なので、誤解が起きないように気をつけながら使う ことにします。  普通形を使う文型はたくさんあります。基本形・ナイ形・タ形に共通するも のです。例は省略します。       普通体の文末  理由  逆接  並列  名詞節      時の連用節  連体節 間接引用  その中で、丁寧形を使えるものは限られます。 丁寧体の文末  理由・逆接・並列の一部  この使い方によって文体の丁寧さが変わります。

21.1.5 活用の例外

 さて、日本語の動詞の変化はきわめて規則的だと前に述べましたが、多少の 例外はあります。「行く」のテ形「行って」と、「ある」のナイ形「ない」が 例外であることはすでに述べました。それ以外の例外をまとめておきます。

 〃標貽飴

 まず、「敬語動詞」と言われる次の五つの動詞は、マス形と命令形に関して 例外になります。 基本形       マス形        命令形    いらっしゃる   いらっしゃい−ます   いらっしゃい    おっしゃる    おっしゃい−ます    おっしゃい    くださる     ください−ます     ください    なさる      なさい−ます      なさい    ござる      ござい−ます     (命令形なし)  「る」で終わる五段動詞は、      はかる  はかり−ます  はか−れ       さる   さり−ます   さ−れ  となるのですが、上の五つの動詞ではマス形の「り」が「い」となり、命令形 では「れ」が「い」となっています。これらは「敬語動詞」という共通の性格 を持っているので、例外として記憶しやすいものだろうと思います。また、 「ください」と「なさい」は動詞に接続して、それぞれ「依頼」「命令」を表 す複合述語を作るので、敬語よりもそちらで先に見慣れた形になる可能性の高 いものです。

◆.瞳

 それから、テ形の例外もあります。「問う・乞う」は文章語的で、テ形自体 あまり使われませんが、もしテ形を問われれば、      問う:問うて         乞う:乞うて と言わざるをえません。「う」で終わる他の五段動詞なら、      追う:追って         沿う:沿って となるところです。

 〜する

                               次に、不規則動詞「〜する」の例外があります。「する」のナイ形は「しな い」ですが、「愛する」のナイ形はふつう「愛さない」です。ほかにも「適さ ない」「解さない」「属さない」などがあります。  これらの形は「愛す」「適す」「解す」という五段活用の動詞のナイ形だと 見なせばいい、という考え方もありますが、それはどうもご都合主義の感じが します。例えば「訳す」のように「訳する」よりもずっと自然な場合は、「訳 さない」は「訳す」のナイ形だと言えますが、「愛すること」のほうが「愛す こと」よりも自然でしょうから、一般によく使われる「愛さない」という形は やはり「愛する」のナイ形として考えた方がいいでしょう。  このように「〜さない」になるのは、「一字の漢語+する」の中で「する」 のすぐ前に母音があるものだけです。こう言ってもかえってわかりにくいかも しれませんが、母音がないものとは次のようなものです。      熱する:熱しない   罰する:罰しない (nes-suru, bas-suru)      反する:反しない (han-suru)    また、和語の場合にも「〜しない」となります。      値する:値しない  「信ずる・禁ずる」などの形は、硬い書きことばとして使われますが、終止 形以外は「信じる・禁ずる」の活用形と同じだと考えられます。

21.2 イ形容詞の活用

 まず丁寧体と普通体の否定・過去の形をもう一度見てみましょう。      長いです       長い                   長くないです     長くない                 長かったです     長かった                 長くなかったです   長くなかった           イ形容詞が他の述語と違う点は、日本語教育にとって最も基本的な形である 丁寧体の現在・肯定の形の中に普通体の現在・肯定の形つまり「基本形」が入 っているということです。(動詞、特に五段動詞ではマス形と基本形はまった く別物です)  上の例を見ればわかるように、丁寧形の中に普通形、つまり基本形とナイ形、 タ形が含まれています。ですから、学習者にとってイ形容詞の普通体の活用は 難しいものではありません。(イ形容詞の否定には、もう一つの形、「長くあ りません(でした)」という形もあります。そちらにすると、以上のことは言 えません。)  動詞の場合に「読みます」というマス形と「読み」という中立形を区別した のと同様に、イ形容詞では「長くない」というナイ形と「長く」という中立形 を区別して考えます。(この「長く」は、「この糸は長く、太い」のような場 合の用法です。「糸を長く伸ばした」のような場合は、活用形でなく副詞と考 えます。「11.副詞」のところを見てください。)  その外に、テ形、タリ形、タラ形、バ形が動詞と同様にあります。また、基 本形から「−い」を取った「語幹」は、活用形とは言えませんが独自の用法を もちます。「長そうだ・長すぎる」などは、語幹に直接「接辞」が付いて複合 述語になっています。以上を整理して並べると次のようになります。    

 イ形容詞の活用表  

            活用形     語例                     (語幹)   なが         基本形   なが−い       中立形   なが−く      テ形    なが−くて      ナイ形   なが−くない      タ形    なが−かった      タリ形   なが−かったり      タラ形   なが−かったら      バ形    なが−ければ 推量形 なが−かろう  「長いです」という丁寧体の「現在・肯定」の形、学習者にとってもっとも 基本的な形は、基本形「長い」+丁寧を表わす無変化の助動詞「です」と分析 されます。活用形の一つとはしないわけです。丁寧体の四つの形を見れば、こ の「です」が活用形の一部とはならないことが納得できると思います。  それぞれの活用形の用法は、語幹を除けば動詞と似ているので、一つ一つ説 明しなくてもいいでしょう。どんな文型に使われるかざっと挙げておきます。 それぞれの活用形が使われる文型のところでイ形容詞の例も扱っていますので、 くわしくはそこを見てください。

[活用形の用法]

語幹  高そうだ(推量) 高すぎる(過度) 基本形  高い。(普通体の現在・肯定)  高いと(条件)   高いから・高いので(理由) 高いのに(逆接) 高いし(並列)   高いために(理由)  高いのが(名詞節) 高いN(連体修飾)   高いとき・あいだ(時の連用節)  高いまま・高いだけ(形式      名詞・副助詞に)   中立形  長く、〜(並列) 長くV(連用修飾)   テ形  長くて、〜(並列) 長くてもいい・てはいけない(許可・      禁止) 長くても・ては(条件) ナイ形 (基本形に対応する用法+)  長くなくて、〜(並列)     長くなくてもいい・なければいけない(許可・必然)  タ形 (「〜と」以外の基本形の用法に対応)  タリ形  長かったり(並列) タラ形  長かったら(条件) バ形  長ければ(条件)  中立形にはちょっと説明を加えておきましょう。この形は、動詞の場合と同 じように、国文法ではテ形と共に連用形と呼ばれていたものです。動詞と同じ ように、「並列」の節になります。      技芸は難く、人生は短い。  動詞と違うところは、この形が述語の修飾、つまり連用修飾によく使われる ことです。同じような場合、動詞ではテ形が使われるところです。      髪を長く伸ばす     速く走る      髪を切って短くする   急いで行く  もう一つ、「推量形」という形があります。「長かろうと短かろうと」とい う言い方に出てくる「長かろう」の形です。これは「推量」を表わす形として はもう古い形です。ふつうの「推量」には「長いだろう」という「基本形+だ ろう」の形が使われます。  活用の例外が一つあります。「いい」は、基本形以外は「よい」の活用と同 じになります。というより、「よい」がもう一つの基本形を持っていると言う ほうが正しいのでしょうが、学習者にとっては「よい」よりも「いい」のほう が基本的な語になる(先に習う)ので、「いい」の活用として「いい・よく・ よかった」などの形を教えることになります。語幹の用法では「よさそうだ・ よすぎる」という形になります。

21.3 ナ形容詞と名詞述語の活用

 まず、丁寧体と普通体の否定・過去の形を並べます。前に「文体」のところ では名詞の例を出したので、ここではナ形容詞の例を出しておきましょう。名 詞述語の場合も語尾は同じです。      きれいです           きれいだ               きれいではありません      きれいではない            きれいでした          きれいだった             きれいではありませんでした   きれいではなかった      ナ形容詞と名詞述語はイ形容詞と違い、丁寧体の形の中に普通体の形は含ま れていません。ですから、学習者は新たな形を覚えなければなりません。  イ形容詞「長いです」の「です」と、ナ形容詞「きれいです」の「です」は 形は同じですがまったく違うものであることを復習しておきましょう。  イ形容詞のほうは「長くないです・長かったです」のように否定にしても過 去にしても、「です」のところは変わりません。「です」があってもなくても 「長いです・長い」のどちらも「現在・肯定」であることは同じです。この 「です」は「丁寧」という意味を加えているだけです。  それに対してナ形容詞の「です」は、「きれいだ」の「だ」と対立していま す。「です」自体が「現在・肯定」という意味を担っています。これを取って しまった「きれい」は、いわばハダカの語幹です。  ナ形容詞と名詞述語の変化がほぼ同じで、名詞述語のほうを「名詞+だ」と 考えるのなら、ナ形容詞も「x+だ」とすればいいのではないか、という考え 方が出てきます。つまり、「きれいだ」は一つの単語ではない、と考えるので す。そうすると、たとえば「きれい」という単語は何という品詞とするのか、 という問題になります。  ここではこの議論に深入りすることはしませんが、どのみち割り切れない問 題だ、という気がします。この本ではいちおう一般的な説に従って、ナ形容詞 は一語と見ることにします。  活用形をイ形容詞の並べ方に従って並べると、次のようになります。

 ナ形容詞と名詞述語の活用表

     活用形     ナ形容詞        名詞述語          (語幹)   きれい        基本形   きれい−だ       学生−だ         中立形   きれい−に       学生−に         テ形    きれい−で       学生−で         ナイ形   きれい−でない     学生−でない       タ形    きれい−だった     学生−だった       タリ形   きれい−だったり    学生−だったり      タラ形   きれい−だったら    学生−だったら      バ形    きれい−なら(ば)   学生−なら(ば)      連体形   きれい−な       学生−の/な        動詞の場合の「マス形」のように、「きれいです」を「デス形」と呼んでも よさそうなものですが、ふつうそう言いません。「です」は「だ」の丁寧体と いうことになります。  動詞の場合は、辞書にある形から丁寧体の現在つまりマス形を導いたり、そ の反対にマス形から基本形を導くことはかんたんではないので、それぞれに特 別な呼び名があった方が便利です。けれども、ナ形容詞の場合は、辞書に載せ られている形はふつう語幹の「きれい」で、基本形は「きれいだ」ですから、 それらから「きれいです」の形を導くこと、およびその反対は何でもないこと です。で、特に呼び名がないのでしょう。   ナ形容詞とイ形容詞の違いは、それぞれの活用形の形の違い以外にもいくつ かあります。  まず、ナ形容詞には「連体形」があるという点がもっとも大きな違いです。 イ形容詞や動詞では普通形の四つの形がそのまま連体修飾の形になりますが、 ナ形容詞は特別な形をもっています。逆に、このナ形容詞の連体形に合せて、 動詞とイ形容詞の「連体形」を活用表に加える(もちろん基本形と同じ形です) ことも多いのですが、それはむだなことです。それらは、基本形の「連体用法」 と考えればすむことです。  ナ形容詞の連体形は、名詞の前だけでなく、副助詞(きれいなだけだ)や、 接続助詞の「ので・のに」、また「〜のです」に続く場合にも使われます。  また、ナ形容詞は語幹の用法がイ形容詞よりも多くあります。     ひま+ でしょう(だろう)、かもしれない、過ぎる、そうだ、         らしい、みたいだ、疑問の「か」、終助詞の一部 これも、ナ形容詞の「だ」を切り放して、ナ形容詞を名詞と同類とする考え方 の根拠の一つになりますが、この本では、前に述べたように、構文的機能を重 視して形容詞の一種と考えます。  活用の例外となるのは「同じ」というナ形容詞で、連体形が「同じな」とな らず、語幹と同じ「同じ」になります。  名詞述語の活用でナ形容詞と違うのは「連体形」です。名詞の前では「Nの N」となることはすでに述べました。もう一つの連体形「Nな」の形は、「〜 ので・のに・のです」など、「の」で始まる要素に接続する時に現れます。      まだ学生なので/のに、〜       明日は私の誕生日なのです。  また、話しことばで、一部の形式名詞の前に使われることがあります。      まだまだ子どもなわけで、どうかそのへんはよろしく。      担当者が新任なもので、よくわかっていないんです。(新任の人)  もう一つ、「バ形」に隠れた問題があります。「−ならば」は古い言い方と なり、「−なら」がふつうだ、というだけなら何にも問題はないのですが、条 件を表す文型として、「−ば」と「−なら」が別々に存在するので、ちょっと 困ります。この問題は「49.条件」でまた述べます。      行けば・行くなら  長ければ・長いなら      自由なら      学生なら  それぞれの活用形の用法は、イ形容詞と同じですから、繰り返すことはしま せん。語幹の用法については上で述べました。  なお、「−だろう」は上の「−だ」の、「−でしょう」は次の「−です」の それぞれ推量形(意志形)とも考えられますが、動詞に接続することも考えあわ せて、独立した助動詞とします。

21.4 「です」「ます」の活用

 さて、ナ形容詞・名詞につく「−です」の活用は次のページのようになりま す。ついでに、動詞の丁寧体の接辞「−ます」の活用を並べます。  「−ます」には意志形があります。連体形は基本形と同じで、基本形の一つ の用法と考えるのは、動詞の場合と同じです。  念のためにまた強調しておきますが、この「です」の活用形は、イ形容詞の 「です」にはありません。ナ形容詞なら、      母はとても健康でして、〜 と言えますが、イ形容詞の「です」は変化しないので、     ×母は頭が痛いでして、〜 (○痛くて) とは言えません。もちろん、否定の形も違います。(×痛いではありません)

 「です」「ます」の活用表

        (語幹) des-       mas-         基本形   です        ます        テ形    でして       まして       ナイ形   ではありません   ません         タ形    でした       ました       タリ形   でしたり      ましたり       タラ形   でしたら      ましたら        バ形             (ますれば)  意志形 ましょう  「です・ます」とその否定形・過去形および「ましょう」は「丁寧体」の文 末の形として使われます。  その文中で使われる形、「でして・まして」「でしたり・ましたり」「でし たら・ましたら」などはかなり丁寧な感じを与えるので、「丁寧体」よりもさ らに丁寧な文体の中で使われます。「尊敬語・謙譲語」などの「敬語」をよく 使うようなレベルです。  「ますれば」はさらに「丁寧な」印象を受けます。「〜でございますれば、 〜」というような形で古い言い方として使われます。  一般の人が使う場合は、ほとんど冗談で使うような場合になるでしょう。  ここで問題が一つ残ります。「−ではありませんでした」や「(食べ)ません でした」の「でした」は何なのか、という問題です。とりあえず、「ません」 に付いて過去形を作る接辞、としておきます。いかにもその場しのぎですが。

[「−デハナイデス」という形]

 名詞・ナ形容詞につく「−ではありません」の代わりに、「−ではないです」 という形が使われることがあります。話しことばです。 この会議って、明日じゃないですよね。       ちょっとこの店によって行きません?あんまりきれいじゃないです      けど。  さらにその過去の形、「−ではなかったです」。      あれ?これ、あなたのじゃなかったですか?  あの話、やっぱり本当じゃなかったですよ。  これは、イ形容詞の否定の形「−くない」の丁寧な形が「−くないです」と 「−くありません」の二つあり、その過去がそれぞれ「−くなかったです」と 「−くありませんでした」であることに対応した形と言えます。  この形は、日本語教育ではふつう認められていないと思いますが、正しい形 として並べている本もあります。

21.5 「である」の活用

   書き言葉で使われる「である」の活用した形は次のページのようになります。 つまり「ある」という動詞の活用がそのまま「で」の後に出てきます。もちろ んナイ形は別です。  「である」の丁寧体は「であります」で、その活用は「ます」の活用と同じ になります。      この点はなかなか難しい問題であって、〜 (である)      この点はなかなか難しい問題でありまして、〜      この問題はそれほど難しい問題ではありません。  ナイ形は「は」が入って「ではありません」となります。つまり、「です」 のナイ形と同じになります。

「である」の活用表

 活用形     ナ形容詞        名詞述語       (語幹)  きれい    基本形   きれい−である     学生−である    テ形    きれい−であって    学生−であって   ナイ形   きれい−でない     学生−でない    タ形    きれい−であった    学生−であった   タリ形   きれい−であったり   学生−であったり  タラ形   きれい−であったら   学生−であったら  バ形    きれい−であれば    学生−であれば   これは、「です」のほうが不規則なので、「です」の活用形に「であります」 の活用形がまぎれこんでいるわけです。もし「です:でせん」というような変 化だったら、ちょうど「ます:ません」と対応したのですが。 参考文献 益岡隆志・田窪行則 1992『基礎日本語文法 改訂版』くろしお出版  寺村秀夫 1978『日本語の文法(上)』国立国語研究所      寺村秀夫 1982『日本語のシンタクスと意味I』くろしお出版    寺村秀夫 1984『日本語のシンタクスと意味供戮ろしお出版   



<付録>
[イル動詞・-iru/-eruで終わる五段動詞・同音異活用の動詞リスト] ◇イル動詞(上一段動詞) [『動詞・形容詞問題語用例集』から]
いる鋳る  しみる染  いる居る  こころみる いる射る  おりる おいる  かりる ひきいる こりる くいる  たりる むくいる しいる  とびおりる  もちいる きちがいじみる  きる着る しょたいじみる  あきる ですぎる  いきる  ねすぎる  おきる ゆきすぎる  すぎる −じる つきる あまんじる うとんじる とじる綴じる おもんじる  かろんじる  とじる閉じる さきんじる   そらんじる  はじる やすんじる  おちる 漢字一字+じる(ずる) くちる 案 演  応  おっこちる  感 興  禁 みちる 献 減 高  にる似る 講 散 殉  にる煮る 準  生 乗  あびる  信 煎  存 おびる 断 長  通 かびる 転 点 投 こびる  動 任 念  さびる 封 弁 報 しなびる 奉  命 銘  のびる 免  論 ほころびる  いきのびる  ほろびる  にげのびる わびる侘びる まちわびる  わびる詫びる おとなびる  みる ふるびる かんがみる ひからびる しみる凍る
-iru/-eruで終わる五段動詞
[『動詞・形容詞問題語用例集』から]  いる(要る) −いる    たちいる    かえる(帰る) いる(煎る) おしいる つけいる かえる(返る)  はいる入る おそれいる とりいる くつがえる  まいる参る おちいる ねいる   ひるがえる  きる切る ききいる はじいる   ける(蹴る) さえぎる きえいる ひきいる かげる  かぎる こみいる みいる あざける しきる しみいる めいる しける たぎる ずりおちる       しげる ちぎる(契る)  みかぎる      ふける(耽る) ちぎる(千切る) ききかじる        あせる みなぎる −きる      ふせる(臥せる)  にぎる いいきる ねじきる てる もぎる うちきる のりきる ほてる よぎる おしきる  はりきる ねる(練る)  しる(知る)  おもいきる ふみきる   うねる アジる かいきる ふりきる くねる  いじる かしきる やききる つねる ぎゅうじる かみきる わりきる ひねる  かじる くいきる  うらぎる おもねる きしる しめきる くぎる   へる(減る) しくじる だしきる  ねぎる     すべる そしる たちきる  よこぎる だべる なじる つっきる ちょんぎる   はべる  ねじる にがりきる ぶったぎる   しゃべる ののしる みくびる      しめる(湿る)  はしる とりしきる     のめる ほとばしる にえたぎる ほじる とびちる  −かえる  まじる ふみにじる  いきかえる しずまりかえる むしる −ばしる あきれかえる ふりかえる もじる ちばしる そっくりかえる にえくりかえる やじる さきばしる   ねがえる ひっくりかえる よじる にがみばしる  わかがえる ふんぞりかえる  ちる いりまじる ぐちる かきむしる その他の複合的な語 とちる ふりしきる まがりくねる いびる ほめちぎる おいしげる せびる よみふける びびる ねそべる
◇ 同音異活用の動詞リスト
ー書形が同形で活用の違う動詞    五段     一段   要る・煎る       居る・射る・鋳る   帰る・返る     変える・代・替・換    切る     着る   しける(せんべい)   しける(海)   湿る      閉める・締・占・絞  練る      寝る   ひねる(蛇口)    ひねる(性格)   耽る      老ける・更ける  臥せる(病)       伏せる  減る      経る   五段     不規則 刷る・擦る・する(財布)    する 繰る    来る ◆屐舛泙后廚侶舛同じで活用が違うもの 五段 一段 行く 生きる     いきます 追う・負う 老いる     おいます 置く 起きる     おきます 折る・織る・居る 降りる・下    おります 刈る 借りる    かります 食う 悔いる    くいます 凝る 懲りる     こります 付く・着・就・突く 尽きる    つきます 不規則 一段   来る 着る   きます 不規則  五段    異化する 生かす      いかします        「〜て」形が同じで辞書形の違うもの   あって 合う・会う・遭う・有る・在る   そって 沿う・添う・反る・剃る  いって 言う・入る・煎る・要る   つかって 使う・漬かる   うって 売る・打つ  とんで 飛ぶ・富む   おって 負う・追う・折る・織る   なって なう(ナワ)・成る・鳴る  かこって かこつ・囲う   ぬって 縫う・塗る   かって 勝つ・買う・飼う・刈る  はって 這う・張る・貼る   きて 着る・来る   まって 待つ・舞う  くって 食う・繰る   よって 酔う・寄る・因る・拠る   しまって 仕舞う・締まる・閉まる  よんで 読む・呼ぶ   すって 吸う・刷る・擦る・する(サイフ)   わかって 分かつ・分かる