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広島県 比婆郡 比和町 比和

微生物


 微生物は地球上の何処にでも存在します。 海にも山にも人間の体内にも。
微生物の歴史は地球の誕生と共に歩んできており、その歴史は人間の誕生よりも
遥かに古く、種類は数百億とも数千億とも言われており、現在でも微生物の世界は
空気中や深海、地中深い場所に生息する微生物群など、まだまだ解明されて居ない
現状なのです。

 ココでの微生物の話は地表近くに生息している微生物を簡略してのお話しですが
一般にいう自然の土の中の微生物の生態系は左の図の様に、微生物自らバランス
を整え、生命活動を営んでおります。

そして、彼らは自然界の循環の中で、欠かせない役割を果たしながら生存してます。

糸状菌(カビ)はご存知のように各種有機物を腐らせ、その腐敗物を放線菌が醗酵、
そして細菌群が醗酵された有機物を分解し、土の栄養素に変えて行きます。

糸状菌の中には、農家の人達の頭を悩ます、一般的には病原菌と呼ばれているフザリュウム、ピシュウム、リゾクトニア
そしてネマトーダ等、及び小動物の分類ではセンチュウ類も似た様に思われてもいますが・・・
植物の根や株元に寄生したり影響を及ぼしたり、(連作障害の要因の約70%がこれらの菌に起因している)などと言った
カビの 仲間等で構成されており、何とかこれらの病原菌を抑えようと躍起になって、薬を撒き、毒ガスを打ち込んでます。
しかし、図の様に、微生物の生態系バランスが整っている状態で、環境が整っているならば、その病原菌と呼ばれるモノ
達は植物に悪さをする事は有りません。 逆に、それら病原菌が居ないとモノは腐食せず、放線菌や細菌と言った有用な
微生物に腐食物というエサが無くなり、たちまちに生態系が崩れ、悪循環に陥る事となります。

微生物の生態系で面白いのは、普通の動物の食物連鎖の様に、大きいモノ、強いモノが必ず支配すると言った世界でなく
共存を果たして生態系を保ってます。 一例を挙げると、放線菌群の一部は糸状菌を捕食し、糸状菌の繁殖を抑えます。
これは静菌作用と呼ばれてます。 微生物達は環境の変化により、増えすぎたモノを抑え、衰弱したモノを助長し増やす
といった行動を、自然の土の中で自らが行いながら生きてます。

植物は、彼らが作り出す栄養素によって生きてますが、『土作り』にて書いているように一方的に栄養を貰うだけでなく
微生物のエサとなる酵素やムシゲル、根から剥がれ落ちる細胞(有機物)など、様々な供給を怠りません。
だから、植物の根の付近には微生物が集まり(根冠微生物と呼ばれる)植物とも共存共栄を果たしながら生きてます。

そして微生物は自分達や植物の住み易いように土を団粒化させ、保水性を高めて乾季に耐え、排水性を高めて大雨に耐え
窒素固定し、エサを確保しながら、自らの生活圏を確保しているのです。 土が団粒化する事で、酸素も確保され植物の
根も栄養、水分を吸収し易く健全な生殖活動が保たれる事になり、その場所で永続的に生きてゆくことができます。
その植物の種類によって、根から放出される分泌物は違い、根に集まる微生物相は違ってきますが、植物は自分の都合の
良い微生物を呼び寄せる事ができ、微生物の方もその場にいれば、都合よく生き延びられるという訳です。

この様な因果関係、相乗効果により、自然界では同じ場所に同じ植物が永年に渡り生き延びる事が出来る訳ですが・・・
畑の場合は連作障害という事になります。 その果には因が必ずあります。
畑は鍬やトラクターによって耕され、肥えを入れる事により、微生物相が人為的に常に変化させられています。
一握りの土には何億とも何千億もの微生物が生息している為、耕す事くらいでは用意に微生物数が減少する訳でも無いの
ですが、深く天地返しする場合は、空気の多い中で生息している好気性微生物と、空気の少ない地中の奥で生息している
嫌気性微生物が環境を変えられ、少なからず減少します。

そして最大の変化は、土に入れられる肥えや堆肥によって、微生物相は大きく変化します。
作物、1作毎に微生物の生態系が変わり、上記のような植物と微生物相の相乗効果が薄れてしまい、土に栄養があっても
その栄養が過剰であったり、有用菌のエサの減少で生態系が崩れた為、糸状菌が繁殖し、不健全に育ってしまいます。
有機農法で、甘みがあり、立派に育った畑の野菜でも、同じ畑でムシが付いたり、根腐れ、立ち枯れ等で収量が7〜8割
だったりという悩みは常にある様です。

これが化成肥料の場合だと、植物に直接的に肥料分を利かせる為、微生物の介入は無くなり、エサが無くなる為に衰退し
化学肥料の高浸透圧により、微生物体内から水分が奪われ、一部の有用微生物は死滅してしまったりします。
そうなると、微生物の生態系が完全に破壊され、環境の変化に強い糸状菌が猛威を振るい、根を腐らせたり枯らせたり
といった、作物に悪さを始めます。 こうなると、根が無いのに食物が育つと言う現象が起ったりします。

不健全に育った野菜に違いありませんが、農家の人はこれで、「立派に育った」と出荷し、栄養価もない命の無い野菜を
消費者が購入し、体内に入れる事になります。

見た目は立派ですが、その野菜の細胞を顕微鏡で覗くと、細胞が変形していたり、1つ1つの細胞が大きく膨らんでたり
しています。 まさに化学合成された野菜です。
考えてみて下さい、人間が生まれてからご飯を全く食べずに、栄養ドリンクやビタミン剤、ホルモン剤、点滴などだけで
大人になるとどうなるのでしょう!? 果たして死なずに大人になれるのでしょうか?? 全く怖い世界です。

化学肥料を多用したり、除草剤、殺虫剤を使用する慣行農法では、土の中の微生物相は完全に崩壊していますから、何年
もしないうちに糸状菌の猛威によって、野菜は育たなくなってきます。 そこで登場するのは土壌消毒と呼ばれる毒ガス
(バスアミド、クロールピクリン等)で、糸状菌を殺す為のモノですが、これは土中の微生物を壊滅させるモノでもあり
雑草さえも生えなくなってしまいます。 まさにそこは命を育む畑ではなく、死の世界。 化学合成工場と化します。

しかし、放線菌、細菌群は壊滅してしまいますが、問題の糸状菌は温度や湿度、ガスに対しても身を守る術を持ち合わせ
てます。 自分で胞子を形成し、環境が悪い期間はその胞子内に閉じこもり、環境が良くなると、胞子から出て活動開始
します。 畑には糸状菌を捕食する放線菌(拮抗菌)など皆無ですから、まさにカビだけが繁殖し続け、腐った畑となります。
土壌消毒によって、一時的には静まる病気も、放っておけば毎年確実に増えますから、毎年毒ガスを打ち込まなくては
作物は出来ないので、悪循環に陥り、10〜20年後には何をやっても畑に作物が出来ない状況に至る訳です。

では永続的に健全な野菜を作るにはどうすれば良いか!?
考え方は簡単です。 上の図の様な微生物の生態系を守ってやれば良いのです。

文章内の表現で『病原菌』『有用微生物』等と書いてますが、本来自然界の考え方ではそんな言葉は存在しません。
糸状菌であれ、ウイルス菌であれ、世の中に必要とされて存在しているのです。
たとえそれらの菌が大繁殖し悪さを開始したとしても、本来自然界にも人間にも、自然治癒力(インターフェロン)
持ち合わせてます。 自然界には自ら修正する術を持ってます。 人間のエゴで環境を変えてはならないのです。

畑の中の微生物相を増やしてやり、活発に活動できる環境を整えてやれば良いのです。
但し、微生物は肉眼では見えないですし、土の中の事なので、容易に判断はつかないのですが、上記の様に微生物は植物
と共存関係にあります。 養分が適切で、微生物の働きを確認したければ根を観れば解ります。 養分を求め、根の張り
が良く、長くなります。そして根から毛細血管の様に生えている毛根が多く、長くなってきます。共生してる証拠です。

また、微生物のごはんは炭素です。おかずが窒素と言ったトコロでしょうか。
炭素率<C/N比>で40〜50%のエサが微生物にとっては最高なエネルギーとなる様です。
ちなみに、堆肥は5%以下の腐敗物、オガクズ等は約100%という高炭素物質ですから、微生物にとって即エネルギー
とはならない様です。 炭素率40〜50%のモノとは、生の草がこれにあたり、雑草や緑肥(エンバクやギニアグラス、
ソルゴー)等を生のまま鋤きこむと、これをエネルギー源とし、微生物は活発になりる様です。土の団粒化も進みます。

暖かい季節(20〜30度)の微生物が活発に活動を開始する時に堆肥を多量投入すると、窒素飢餓になると言われます
完熟堆肥は微生物が腐食〜醗酵を終わらした、いわゆる微生物の食べカスですが、堆肥にはよくオガクズやチップ、ワラ
籾殻と言った、高炭素物が往々に含まれてます。 これらの有機物を微生物が分解する際、エネルギーとして土中の窒素
を使い、窒素飢餓を発生させるという仕組みで、作物と微生物が窒素の奪い合い(窒素ブロック)を起します。

要するに、枯れて死んだモノを春や夏に土に入れてしまうと作物の生育を阻害する結果となる訳ですが、自然界では秋に
モノが枯れ始め、土に返るという理に適った循環が行われてます。

さらに、一般的に堆肥でも未熟(半熟)なモノは病気が発生し易く、ムシが寄り付くと言われてます。
まさにその通りで、腐敗臭や醗酵ガスに盲目の虫や蛾、ダニ、ハエといったものが寄り付き、卵を産みつけるので、
生育中の野菜を幼虫、青虫、ネキリ、ヨトウ虫達が畑にばかり大発生し、不健全に育とうとする野菜を喰い荒らします。
しかし、病気については、微生物相の環境が整っている畑であれば、それ程問題では無いのですが、往々にしてその様な
堆肥栽培をしている畑では微生物相は崩れており、微生物の数に対して多すぎる有機物がイキナリ土に入る訳ですから、
消化不良を起し、土が腐敗化してしまい、糸状菌の繁殖ばかりが多くなり、病気が発生してしまうのです。

これらの多くの問題は人間が肥料や堆肥という余分なモノを投入してしまう為、土中の微生物相を破壊、変化させる結果
に他有りません。 全ての病害は微生物の生態系が関与しており、人間が『農法』と称してその生態系を破壊する結果に
他有りません。 結果には全て、原因があり、その原因の殆どは人間に因る自然循環の阻害に関係します。

要するに、循環する自然界では土に栄養が有れば、人間が肥料などをやらなくても植物や微生物は充分な成長を果たし、
立派に、健全に育つ
と言う事です。

微生物は人間が計り知れない、無限で神秘的な力を持っています。
微生物は全ての生命を活かし、エネルギーを与えながら自らの活動を行ってます。
土作りも作物作りも、微生物に任せておけば、土の団粒化が促進され、作物は健全にエネルギッシュに育ってくれます。

人間が命ある作物、美味しい水を口にし、美味しい空気を吸い続ける為には、微生物の環境を阻害しない事が必須条件と
いう事に繋がるはないでしょうか!?

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