チョー時空遠大作戦

目次

第1章

つながっちゃいました

サルの惑星じゃない

計画はうまく逝く!?

ワームホールの悲劇

巨人の国ですが何か?

美人と巨人とこびとたち

悩めるアンドロイド

遊べ!珍発明!!

やるのだ救出大作戦

 

 

 

メニューに戻るぞゴルァ次に進むのよ

第1章

つながっちゃいました

 スウェア帝国のウズフェ市。そこにある闘技場では毎日のように 賭けレスリングが行われていた。ウズフェ市はここ十年あまりの間に 発展した町であり、この闘技場は建設されてそんなに年月が経っていない。 しかし、出来た当初の客足の伸び悩みから客寄せのための 「ローカルルール」を設定し、現在にいたっている。ローカルルールといっても それほど複雑なものではない。それは対戦する選手には階級はもちろん、 男女、人数も関係ないというものなのだ。

 たとえば、大巨人とこびとのような極端に体格差のある選手同士の対戦や、 男同士、女同士ではなく男VS女という対戦カードもあるのだ。 女の子 大きい子なら 強いのよ 常連の語り草となっているのは伝説の女性レスラー、トノセテである。 彼女はウズフェ市の闘技場で突如彗星のようにデビューした。 彼女の特徴は長身である。ウズフェ市の闘技場で登録されているどの女性選手、 男性選手も彼女より背の高いものはいなかったのだ。 長身といっても、ただ背が高いだけではなく、横方向にもしっかり肉がついていて、 抜群のプロポーションだったのだ。おまけにチョー時空特大作戦は ここのタイトルだが、チョー美人だったのだ。当然体の大きい分パワーもあり、 一対一では彼女にかなうものはいなかったが、こんな美人なら試合で **あまりにも内容がお下劣なので省略します** されてもいいという男性選手の対戦希望者が続出したという。

「テレデが動いとるやと!?」
 スーパーフプマオンのコンピュータシステムのメンテナンス中だった 女性型アンドロイドのアーチュが、基地を訪問していた宇宙刑事ビッグバンに 対して答えた。
「ほんとにいいのですか?それって内部捜査状況をかってにばらしてるんじゃ。」
 そばにいた青年、(でも地球人の年齢では31歳(^_^;) トウェット・ロエブが尋ねる。ビッグバンは、
「この件に対してはテレデはすでに記者会見を行っている。 すでに銀河系ニュースチャンネル2458でもずっと流れている。」

 話は地球の時間で約70時間前に戻る。突然宇宙連合の領域内に 大量のワームホールが発生した。周辺の惑星国家は急遽ワームホールの向こう側へ 共同で無人探査機「アーファル400」を送り込んだ。50時間後に判明した その調査結果は驚くべきものだった。その先に文明を持つ惑星が発見されたのだ。 それは地球に比べても千年程度遅れていたが、 その住民が何十倍もの巨人であるということだった。 その惑星は「ハープ56494-4541-1445-157830」と名づけられた。 更に、その惑星サイズも住民と同じように何十倍のサイズでありながら、 なぜか重力は地球を含む一般的な惑星とほぼ同じという。 もし、向こう側に宇宙連合レベルの文明を持つ、悪意ある巨人が侵略してくれば 宇宙連合は重大な危機に直面することは言うまでもない。その直後、 スーパーフプマオンに調査依頼が来たのである。

 スーパーフプマオンでは、茶碗九星への調査隊派遣のスケジュールが 有ったのだが、そのメンバーはニウニー星人たちがメインだった事もあり、 調査隊のメンバーに困る事も無く、即座に調査のための準備を開始した。 幸いにも表向きには同機関の調査中ということになっている 謎の巨大宇宙船、NRE2の過去のデータから、 「ハープ56494-4541-1445-157830」を有人探査したと思われる調査データが発見され、 準備は順調に進み、最終チェックさえ済めば、いつでも出発できる状態で ビッグバンがテレデの話を持ってきたわけである。

「ふーん、これが“ハープ56494-4541-1445-157830”のデータね。」
 聞きなれない女性の声に、そこにいたビッグバン、アーチュ、トウェットの三人は 声のしたほうを振り向いた。そこには二人の若い女性が立っていた。 一人はデータディスクを手にもっていた。これを見たアーチュは、
「こら、ここのデータを、勝手に見たらあかん。」
「ふーん、この星の調査データは宇宙連合が送り込んだアーファル400以外から 取られていないはずなんだけど。」
「そ……それはなぁ……。」
 アーチュが言葉に詰まると、トウェットは、
「アーチュさん、別に黙ることもないじゃないですか。本当のことを言いましょう。 私たちは何もやましいことをやっているわけじゃないんですから。」
「ア、もしかしてこっちで調査中の宇宙船、NRE2のデータにあったとか。」
 もう一人の女性が言った。アーチュは二人に向かって、
「勝手にデータを覗き見するわ、NRE2の事をしっとるわ、 おまえらいったい何者やねん。」
「はーい、私がテレデから派遣されたメンバーのリーダー、ネミハ・ツヅブギーでーす。 で、このディスク持っている子が、タチケ池田よ(^^)」
「コーラー、あんたいつからリーダーになったのよー。」
 タチケと呼ばれた女性は、ディスクを放り投げて怒った。 そのディスクはアーチュがキャッチした。ネミハとタチケの二人は声をそろえて、
「「私たちが、テレデで有名なゴールデンコンビ、その名も……。」」
「「人もうらやむラブラブカップル、ウクッチェ&ガオキュ!!」」
 突然今度は若い男女が入ってきて自己紹介をした。ネミハとタチケの二人と 同じような服を着ていたため。おそらく同じテレデのメンバーだろう。
「テレデが四人もエージェントを送り込んでくるとは、尋常ではないな。」
 ビッグバンがいうと、ネミハが、
「私たち二人でいいというのに、この二人が勝手についてきたんですよー。」
 男は、
「私は、上からの指示でここへ来たまでです。」
 テレデの三人目の女は、男に抱きつきながら、
「はーい、このガオキュ・ウフゼ、大好きなウクッチェ・エグマの行くところ、 例え火の中水の中、巨大娘のお腹の中でも……。」
「なんやこの四人、めっちゃチームワーク悪そうやな(-_-;)」
 アーチュが、テレデの四人に聞こえないようにビッグバンに言った。 一方、同じところにいたトウェットは思った。
(この4人、一体なんなんだ(-_-;)

サルの惑星じゃない

 約一時間後、移動可能なスーパーフプマオン基地はNRE2にドッキングし、 テレデの4人と、“ハープ56494-4541-1445-157830”調査クルーは別々に、 宇宙船NRE2へ移動していた。
「フーン、これがNRE2の中ね。あたしたちをよくこの船に乗せてくれたわね。」
 タチケの問にアーチュが答える。
「しゃあないやろ。未知の宇宙空間に大量の人員を送り込むんや。それなりの船が必要やろ。 この船やったら宇宙連合の船がなんぼ束になってもかなわんやろな。」
 ネミハは、
「で、誰が許可してくれたの?」
「「それは、私たちの愛の力よ」」
 ウクッチェ&ガオキュが歯の浮くようなせりふを恥ずかしげもなくいうと、 気にしていないのか、それともその場にいづらくなったのか
「あ、うちちょっと基地に戻ってデータ整理プログラムのチェックをして来るわ。」
「あら?ここの端末は互換性がないの?」
 ネミハがいうとアーチュは、
「この船は艦長はんから設備を使うときにいろいろ制限をつけられとるさかいな。 使える端末機器のことへ行くより、基地へ戻ったほうが早いんや。」
 アーチュはそういうと、サーフボードのような外見の反重力エアーボードに乗って、 ドッキングポートのほうへ行ってしまった。タチケは、
「あれはこれ以上まずい事はしゃべりたくないって感じよね。 本来の任務はラブラブ二人組みに任して、ちょっとこの船を調べたほうが いいかもしれないわ。」
「確かにこの船は巨大さだけでも脅威なのに、宇宙連合をはるかに超える テクノロジーが使用されているみたいだしね。」
 そういうと二人は、通路の奥へと消えていった。

「快適快適。プランはNRE2のクルーが大体立ててくれとるし、 こっちは基地さえドッキングさせとったら勝手に連れて行ってくれるし、 めっちゃ楽や。」
 そういいながらアーチュは、テレデのメンバーと話していた 場所へともどってきた。その時である、
「アーチュさんですね。」
 アーチュが、声のしたほうを振り向くと、見たこともない女性が 立っていた。彼女は小柄で童顔、髪の毛を両側で束ねていた。 アーチュは彼女に答えた。
「そうやけど……。ところでお嬢ちゃん。誰や?」
「私はNRE2クルーの白銀魔神と言います。緊急に伝えたいことがあります、 至急ADRE−1646会議室に来てください。スーパーフプマオンのスタッフが 集まっていますよ。」

「つまり、ハープ56494-4541-1445-157830に新たなワームホールが 発生しているというわけね。その先は何処につながっているの?」
 先ほどの出来事から約10分4秒後、ADRE−1646会議室に集まっていた スーパーフプマオンの責任者、リバース西表が言った。それに対し、 同じ会議室に居た白銀魔神が答えた。
「地球です。日本の海沿いの小さな漁村、色野塗村です。」
「色野塗村……。なんか聞き覚えがあるのよねぇ。」
 スーパーフプマオンの美人で結構長身でスタイルのいいスタッフ、 チヨヤフ千文松が言った。
「わかりました、リョースモネット検索エンジンで調べてみます。」
 白銀魔神がPDAのような機械を取り出すと、操作を始めた。

 白銀魔神の調査結果に代わり、説明しよう。色野塗村は漁業を除いて これといった産業もない村だった。魅力のない村に若者は次々と村を去り、 人口は減少するばかり。1991年に村民の足だった鉄道も廃線になった。 が、そんな村に人を呼び寄せようと社運ならぬ村運をかけて 観光開発に乗り出した。開発計画はそれなりの成果があったものの、 それが新たなる悲劇を呼ぶことになった。観光客たちは次々に目前に現れる 動物たちにえさをやり始めたのだ。山の動物たちは 人間をえさをくれる存在と認識し、ついに動物たちはえさを摂ることを 行動システムから削除、代わりに人間を唯一の食糧調達手段として 生活行動プログラムに組み込んでしまったのだった。

 村周辺の動物たちは、次第に観光客たちがくれるえさだけでは 満足しなくなり、食料を与えてくれるはずの人間たちのいる村に下りて 食料を調達することにした。だが、村民たちにはたまったものではない。 食料品を扱う店、台所、畑などは次々と動物たちに襲撃された。 村人たちは応戦したが、多勢に無勢、村は動物たちに 支配されてしまったのだった。畑に柵を作っても鳥たちには無力、 家にかぎをかけて見てもいのししが突進してサッシを破壊して侵入、 そのあとからサル、タヌキ、などの哺乳類に続き、 はと、からす、すずめなどの鳥類、トカゲ、蛇などの爬虫類が続々侵入、 家の主人が帰ってきたときには食料がなくなり、 めちゃくちゃになった状態に呆然とするばかりだった。

 この状態を打開するには観光客たちが動物に えさをやらないようにしてもらい、再び動物たちが 自分で食料を調達できる様にしてもらうしかないと 「動物たちにえさやっちゃだめジャン、落第〜」キャンペーンとして、 大量のびらを観光客たちに配りまくった。が、村に来てすぐ帰っちゃう 当の観光客たちは、村の窮状など知るわけもなく、くれくれ攻撃をする動物たちに 「わー、なんてチョーラブリーな動物さん達なのかしら(ハート)」と、 次々とえさをやってしまうのだった。もちろん、せっかく作ったびらも 山に捨てられるゴミを増やす結果になってしまったのは 言うまでもないだろう。それだけではなく、食べ残しを持って帰らない 観光客たちのおかげで、動物たちは苦労することなく、 食料にありつけるのだ。そうして元の野生の生活 はますます遠ざかっていくのだった。が、村の悲劇は更に続いた。 観光客に混じり何者かがペットを捨てるようになったのだ。 これは動物たちにとっても受難である。そう、ライバルが増えたからだ。 そして村には山に居た動物に加え、野良犬、野良猫、野良ハムスター、 ふぇレット、イグアナ、わに、ニシキヘビ、キリン、ライオン、ゴリラ、 などまるで動物園状態になってしまったのだった。

 もはや村民たちにとっては動物地獄(?)と化した 村に救世主が現れた。「気持ちだけでも明るい21世紀の会」が、 この村に大規模なテーマパークを建設する計画を立てたのだ。 今、村の集会場に、各地区の代表たちがその計画の説明会に集まっていた。

計画はうまく逝く!?

「……と、言うわけでこのような大規模な集客施設は 村の活性化に大きく役立つことは間違いないでしょう。 皆さん、何か質問はありませんか?」
 集会場で村の各地区の代表たちに説明する若い女性、ダオット・チュハック。 彼女の詳しい経歴は後に説明するかもしれないが、しないかもしれない。 そこに居た村人たちが、
「ところでねぇちゃんのスリーサイズはいくつかの?」
「住所とケータイの電話番号を教えてくり〜。」
「どうしてダオットさんはいつもお肌がきれいなんですか?」
「うちの息子の嫁になってくれんか?」
 村人たちの質問攻めにダオットは、
「あ、そーユープライベートな質問はご遠慮願います(^_^;)」
 そのときである。

-ぴっぴんぴろぴろぴーん-

 ダオットの携帯がなった。画面で相手を確認すると彼女は携帯に出た。
「あら、チヨヤフじゃない。今日から出張だって?」
 電話の向こうのチヨヤフは、
ケータイの マナー守って 話そうよ「それが出張先が変更になりそうなの。 そっちでテーマパーク作るって話しどうなってるの?」
「今、丁度説明会の途中なのよ。村の人たちも好意的だしね。 いい感じだわ(^^)ンで、変更ってどこよ?」
「すぐそばよ。」
「そばって、うどん、そば、のそばじゃないわよね。」
「この21世紀に19世紀頃のギャグを いってる場合じゃないわ。今からそっちへ行くから。」
「そっちへ行くって、急に言わないでよ、いつごろつくのよ?」
「もう着いたわ。」
 そう言って携帯を持ったチヨヤフが集まっていた村人たちの中から 立ちあがった。村人達はチヨヤフに、
「ところでねぇちゃんのスリーサイズはいくつかの?」
「住所とケータイの電話番号を教えてくり〜。」
「あなたがチヨヤフさん?いつもお肌がきれいなんですか?」
「うちの息子の嫁になってくれんか?」
 その時である。一人の男が、集会所に飛び込んできた。男は、
「大変だ〜、海にダイビングに来ていた男女4人が帰ってこない! まるで神隠しだ。みんな必死であたりを探してるが、 手がかりすらないんだ。」
 それを聞いた村人たちは騒ぎ出した。
「ああ、何てことだ。村1番の漁師、浜手数の息子がついていたのにか?」
「せっかくテーマパークの話が決まりかけているのに。」
「あの海は……これが世間に知れたらその話もパーだ(T_T)」
 村人たちにダオットは、
「ご心配なく。テーマパーク開園前にこんな事件でここが有名に なってしまっては困ります。そんな事にしないように協力スタッフも かけつけてくれました。私達が先ほどの4人を無事見つけ出します。」
 チヨヤフは、
「『私達』って、私も手伝うの?しょうがないわね。」
 ダオットはチヨヤフに耳打ちした。
「そんな事もあろうかと、あそこのレンタルのウェットスーツは、 特別製にして有ったのよ。」
チヨヤフは、
「なんか意味あるの?」
「このごろは何が起こるかわからないからね。付近の海で、 サメとか出たら困るじゃない。」
「そう言う問題じゃないと思うんだけど……(^_^;)」

 先ほどの様子だが、それをチヨヤフの持っている TV電話つき携帯から送られてくる画像をモニターで見ていた人たちが居た。 ADRE−1646会議室に集まっていた白銀魔神とスーパーフプマオンの スタッフたちだった。彼らはどうやって村人たちに誰にも 気づかれないようにしたのかよくわからないが、とにかくその 村人たちの中にうまくチヨヤフを転送装置で送り込んだ、 白銀魔神は、
「ダオットさんの言うとおり、大丈夫なはずです。例のウェットスーツは、 こちらで開発した物ですから。」
 スーパーフプマオンのスタッフたちは、なぜここで開発した物が そんなところに有るのか気になったが、今日に限らずスーパーフプマオンは NRE2のスーパーなテクノロジーと関係者たちにお世話になりっぱなしである。 ただでさえ面倒な事態になっているのに、しょうもない質問を したせいで更に迷惑をかけてしまうのではと、何も言わなかった。

 さて、読者の皆さんは覚えているだろうか? ほとんど無計画にいろんな登場人物が出つづけ、読者はもちろん、 お馬鹿(某有名巨大掲示板サイト流に言うとヴァカ)な作者まで 忘れかけていたスウェア帝国のウズフェ市。この章の冒頭に 登場したところである。ここ「テジュウォン」はこの都市で盛んに 行われている賭けレスリングの選手達がよく集う酒場である。
「冗談言ってる訳じゃないだろうな。」
 体格は立派なのだが、賭けレスリングの選手としては小柄な アグコ・アフーは、ライバル選手でたまたま隣のカウンター席に 座ったジーツ・ジュカを見上げながらいった。ジーツは、
「あのヒムワン・ヒックよりでからしいぞ。 トノセテの再来といわれてる。」
「そんなでかい女が本当に居るのかよ。トノセテの話し自体作り話だろ。」
 その時である。普通の人にとっては広〜い出入り口を、窮屈そうに 一人の大男が入ってきた。うわさをすればザ・カゲ・スターという 特撮ヒーロー番組が有ったらしいが、それを覚えている人が 居るかどうかというより、作者の記憶自体頼りないため 無視をして話を進めよう。うわさをすれば影、陰? とにかくうわさというか話題に上ったヒムワン・ヒックが、店に入ってきた。

ワームホールの悲劇

「うわっ!!」
 突然アグコが声を上げた。
「なんだよ。ヒムワンが来たくらいで。俺よりちょっと でかいだけじゃないか。」
 ジーツは、アグコの肩をぽんとたたいた。そのショックが ずしんとアグコに響く。
「違う、このコップの中に虫か何か……。」
 アグコが言った。その直後、

-ずん、ずん、ずん-

 小さな地震のような振動が店内に起こった。その主が話した。
「お客様、どうしました?」
 カウンターの奥から現れたその声の主を見て、 自分より一回りやふた回り以上大きな選手との試合を たくさんやったアグコ、自分より大きな人間はあまりいないと思っていた ジーツとヒムワン、そして店内の客たちも驚いた。 その主は、若くてスタイルのいい女性だった、だが店に居た男たち、 もちろん賭けレスリングの選手であるアグコ、ジーツとヒムワンの三人も、 彼女をデートに誘おうとは思わなかった。彼女は結婚していて、 チョー怖い亭主がいるわけではない。問題は外見だった。もしかして……? 彼女は美人だったがそれが問題ではなかった。問題は身長だ。 彼女は長身というレベルを超え、巨大というべきだろう。 巨人レスラーで有名なジーツとヒムワンに比べても、 頭一つは大きいであろう彼女は、アグコの前の「問題のコップ」を 引っ手繰る(ひったくる)ようにとった。あっけにとられたアグコの目の前で 「巨大な彼女」は、その中身を口に含んだあと、一気に飲み干した。 「巨大な彼女」は、
「お客様、申し訳ありません。代わりの品を持ってまいります。」
 そういって「巨大な彼女」は、カウンターの奥に引っ込んでしまった。 もう一度「代わりの品」を持ってくるときに「巨大な彼女」を もう一度見れるのではと、アグコたちを含む店の客たちは 激しく期待したが、カウンターの奥から現れたのは、若い男の店員だった。

 時間を少し戻そう。
「いったい、ここは何処なんだ?」
 色野塗村の海へダイビングにでかけた彼ら4人組は困りまくっていた。 つい先ほど、その海に潜ったはずなのに、4人が浮かび上がったところは、 なぜか海の上ではなく、丸く高い壁に囲まれた場所だった。 4人が潜る直前いっしょに居た村出身のインストラクター、浜手数の姿も 見えなくなっていた。壁には足がかりになるようなものはなく、 外には出られそうもなかった。そのメンバーは、 大男の木九朗カツトシ、やや小柄だがマッチョな大鳥居ヒロ、 長身、巨乳の富士未ナルミ、スタイルが良いのにやや小柄な氷屋アユミ。 ちなみに、先ほどの台詞はヒロだ。
「もう一度潜って調べてみれば?どうやってここに来たのか、 手ががりがつかめるかもしれないわ。」
 ナルミが言った。
「……ってさっき見たけど、ここへ来る穴なんて無い。 丸くて平たい底だけだ。」
 再びヒロが言う。
「なにかのタンクの中じゃないか?なんか匂うし。」
 カツトシが言った。するとアユミが、
「私も潜ってよく調べたんだけど、タンクだったら底のほうに 中身を出すための配管の穴があるはずなんだけどねぇ。」
「見落としたのかもしれないわ。もう一度調べてみましょうよ。」
 ナルミが言うとヒロが、
「ちょっと待てよ。そんな物を見つけてもここからでられないだろ。 ここから出る事を考えるのが先だ。」
 その時である、
「きゃぁぁぁぁぁぁ!」
 アユミが突然、今まで聞いた事の無いものすごい大声で叫び声をあげた。 もしかすると、彼女の叫び声と同時に、何か大きな声か物音が していたのかもしれないが、一瞬の事だったので、誰も正確な事は わからなかった。
「どうした?お化けでも出たか?」
カツトシがアユミに聞いた。アユミは、
「さ、さっき見上げたら、う、上から大きな顔みたいなものが……。」
その直後、

-ずん、ずん、ずん-

 大地震のような振動が4人を襲った。さらにその直後、

「◎θ←〒ж※◆б」

 真上のほうから声だか雷だか爆音かよくわからないものが聞こえた。 4人は、誰という事も無く、自分達の居た場所の真上を見上げた。 その直後全員は信じられない物を見た。いや、見てしまったのだ。 4人の真上には回りの丸い壁に切り取られた大空、ではなくとてつもなく 高い天井が見えた。ここは巨大な工場の建物の中に設置されていた タンクなのだろうか?4人の誰もが、同じような事を考えた。 その直後に再び巨大な顔が現れたのだ。それは丸い壁の遥か向こうに 見える天井を覆い隠した。また、アユミが見たものとは違う物だった。 その巨大な顔とは怪獣の物なのだろうか?居や、それは巨大ながらも かわいらしい女性だった。なぜ女性の顔なのか、全員が考える間もなく、 更にとんでもない事が起こった。「巨大な女性」がその口を あけると同時に、自分たちのいる「タンク」が持ちあがったのだ。 巨大な口が、4人の頭上に迫ってきた。

 色野塗村の海は、何も事件が無かったときのように穏やかだった。
「ここが、4人が行方不明になったところね。」
 ダオットは、海を見渡しながら言った。チヨヤフは、
「どうやって4人を探すの?それともここに発生した、 ワームホールに巻き込まれたのかしら?」
「そうね、ここに4人が着た特製ウェットスーツがあるわ。」
「ちょっと小さすぎない?」
「これはフリーサイズなの、ホアッスのような大男でも大丈夫よ。」
「ボンベはどこなの?」
「これはボンベレスなの。これさえ着れば、千時間は酸素は大丈夫よ。 しかも物理的障害を除けば、あらゆるダメージを防いでくれるし、 暗いところでは光って回りもよく見えるのよ。」
 二人が、特製ウェットスーツに着替え終わったころ、

-ぴっぴんぴろぴろぴーん-

 ダオットの携帯がなった。相手は白銀魔神ではなくヘルプ博士だった。 彼女は誰も気がつかないうちに勝手にNRE2の研究開発クルーになった 自称天才科学者だ。
「ダオットちゃん、そっちは大変な事になってなっているみたいね。 通信のやり取りは、研究室でぜ〜んぶ見せてもらったわ。」
 ダオットは、
「そう言えばこのスーツも博士の発明品だったわね。」
「ノンノン、これは某リレー小説に登場した発明品に ほんのチョーっと改良を加えただけよ。それよりダオットちゃんの魔力や、 チヨヤフちゃんの超人的能力はすごいものだと思うけど、 肝心なときにパワー切れで使えないと困るでしょ。」
 チヨヤフは、
「もう、お節介なんだから。でもご好意は ありがたくいただくわ。」
「4人が行方不明になったんでしょ。 その行き先に連れていってあげるわ。原因は、先ほどのワームホールよ。 転送装置のプログラムをちょちょいのちょいと変更すれば、 先ほど発生したワームホールをいつでも再現できるわよ。」
 ダオットは、
「わかったわ。良いでしょ、チヨヤフさん。」

巨人の国ですが何か?

 再びここは酒場「テジュウォン」。そこににいた3人の大男の客、 賭けレスリングの選手であるアグコ、ジーツとヒムワンの三人は、 先ほどの巨大娘店員の話で、盛りあがっていた。
「ほら見ろ、本当だったろう。」
 ジーツは、自慢げに言った。アグコは、
「だから、どうだって言うんだ。」
 ジーツは、
「ヒムワンが言っていた話しだよ。」
 するとヒムワンは、
「あれは酔っていたんだ。本当の事かどうかわからない。」
 アグコは、
「ほら、本人がよくわからないって言ってるじゃないか。」
 ジーツは、
「なんの話しか聞かないで否定するなー(-_-;)」
「じゃ、なんの話しなんだよ。」
 アグコが言うとヒムワンは、
「いや、今までは自分自身でも信じられなかったが、 本当の事だったとたった今確信した。すごかった。あのときも。 小さいくせに。あのこびと美人だった。」
 アグコは、
「おいまじかよ。こびとなんてトノセテ伝説より信憑性低いジャン。」
 ジーツは、アグコを押し退け、ヒムワンの話を聞こうとした。 アグコはそれに抵抗しようとしたが、同じ競技をする選手どうしでも、 体格が違いすぎた。アグコは自分の太ももほどもある、ジーツの腕に あっさり押し戻されてしまったのだった。
「とにかく話を聞け。ヒムワン、詳しく言ってくれ。こびとのこと。」
 ジーツはそう言うとヒムワンは、
「丁度、ここにいるような感じのやつだ。アグコが先ほどかえて もらった陶器製グラスの中に。」
 ヒムワンの言葉に、残る二人は問題のグラスの中を覗き込んだ。

「こ……ここは……。」
 チヨヤフとダオットは、丸く高い壁に囲まれた場所に立っていた。
「上はどうなっているのかしら?」
 ダオットは上を見上げた。すると自分たちを覗き込む 3人の巨人の顔が有った。ダオットは巨人たちと目が合ってしまった。

「こ……ここは……。」
 アユミ達4人は、「巨大な口」の中に大量の液体と共に放りこまれた直後、 見た事もない不思議な場所に投げ出された。
「それにしても下が柔らかくて助かったな。」
 カツトシは起きあがり、回りを見渡した。回りは天井も壁も床も しわの入った不思議なデザインと言うか形状で、色はピンク色、 そして表面は見るからにぬるぬるしているような感じだった。 床と思われる部分には、先ほどの自分たちを押し流した液体、 いやそれ以上の量かもしれない。なぜなら、壁からもなにやら液体が 染み出していて、床の液体の量を増やしているようだった。
「な、なんなのよここ。足元が柔らかくて歩きにくいわ。」
 アユミは、バランスを崩しそうになりながら、 壁のほうへ慎重に歩き始めた。

「まったく、何も居ないジャンか。」
 アグコは、そういって自分の目の前の容器に手でふたをした。
「おい待て、何も居ないのならどうして隠す。」
 ジーツはそう言ってアグコの隠した容器の中身を上から 覗き込もうとした。
「あのー、これテイクアウトしたいんですけどー。」
 アグコはすばやくカウンター越しに店員に告げる。
「「ちょっと待てーい。」」
 二人の大男がアグコに詰め寄る。
「ええっと、200セルですが(^_^;)」
 店員はすごい形相の筋骨隆々の男たちを前に、お金を受け取った。

「きゃーっ!なんなの!!」
 チヨヤフとダオットは、まだ丸く高い壁に囲まれた場所にいた。 それだけならまだしも、二人は地震というより絶叫マシン顔負けの めちゃくちゃなゆれに振り回されていた。逃げ出そうにも天井からは 逃げられない。もちろん床も壁も……。つまり閉じ込められた状態なのだ。

「何処までついてくるんだ?」
 店を出たアグコは店から持ち出した容器に手でふたをして、 全速力で走っていた。彼を二人の大男、ジーツとヒムワンが追う。 そうしているうちにアグコは自分の家に到着し、店から持ち帰った 容器の内容をゆっくり確認しようとした。
「何かいるのか?」
 右後ろから、ヒムワンが容器を覗き込もうとする。
「こびとか?」
 今度は左後ろからジーツが覗き込もうとする。
「うわっ!何するんだ!」
 アグコは後ろから二人の大男から体当たりされる形となり、 容器を離して前方へ倒れこんだ。中から容器の本来の内容物、 いわゆるアルコール類と二つの小さな何かが飛び出した。

 チヨヤフとダオットは、一瞬何が起こったのかわからなかった。 わずかな判断の遅れが大変なことになるだろう。とにかく空中に 放り出された二人、チヨヤフはまるで体操選手顔負けの着地を行い、 ダオットは重力制御の魔法で難なく着地した。ダオットは、
「まったく、こんな目に遭うんなら危険手当をもらわないと いけないわ。」
「その前にこの人たち、どうするの?」
 チヨヤフの言葉にダオットが振り向くと、その視線の先には 3人の巨人たちがいた。

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