尽くして見せますNEW2作

「私の好きなあの人に思いを伝えるにはどうしたらいいのかしら」
 アガオグ・ヤツージェは悩んでいた。
「そうねえ。」
 ウーウェング・ツァーイは答えた。アガオグはどちらかというと かわいらしい感じ、ウーウェングは素敵なお姉さんタイプの女性だった。 二人はともにスタイルがよかった。ウーウェングは言葉を続けた。
「優しさをアピールしてみたらどうかしら。彼氏は私たちのことに対して よく知っているはずよ。気持ちさえ伝われば、好きになってくれるわ。」
「わかったわ。ありがとう。」
「そうだわ。イメージチェンジをしてみるのもいいかもしれないわ。 隠された魅力を発見してくれるかもしれないし。」
「イメージチェンジね。」

「イメージチェンジね。ウーウェングちゃんもいいこと言うわね。」
 アガオグは今度はたまたま村に来ていた知り合いの 女魔導師ルフマモに相談した。ここは地球に一見よく似ているが、 魔法が存在するのにパソコンやケータイもあるケメゴワと呼ばれる 世界だった。ちなみに、さまざまな種族も存在している。ルフマモは、
「効果は一時的なものだから、時間がたつともとにもどっちゃうけど、 いい?」
「いいわよ。」
 アガオグはそう言うと、ルフマモは呪文を唱え始めた。 アガオグの体を光が包み、彼女の服装は変化していった。

「魔導師様。おかげで、助かりました。」
「いや、例には及ばん。」
「では、せめてお名前だけでも。」
「ジャイアントマスターだ。ちなみに、応援しているチームは、 ジャイアンツだ。大リーグではなくて日本のほうだぞ。」
「はあ……。」
 ジャイアントマスターと名乗った魔導師は、大柄で体格もよく、 外見上は魔導師というより戦士かプロレスラー風である。 そこへ、一人の人物が慌ててやってきた。
「はあはあ、大変ですー。巨人がこの町へ向かってきてます。」
「それでは、もう一仕事してくるか。」
 ジャイアントマスターはそう言って、その場を立ち去った。

「さすがはルフマモさんだわ、この服ならあの人のハートを ゲットできるかもしれないわ。」
 アガオグは、そういいながら、彼氏のいるという町へ向かって 歩いていた。だが、街では彼女はあまり歓迎されなかった。 だが、彼女にとってはそれは些細な事だった。彼氏に会う事が 出来ればいいのだから。

「魔導師サマー、あそこですー。やっとの事ではじめた店が 巨人に踏み潰されたら一家ともどもどうしたらいいか(T_T)」
 町の入り口にある大木の影から恐る恐る巨人の動きを見守っていた 住民の一人がジャイアントマスターに泣きそうな声で話し掛けた。

「町の入り口に誰かいるみたい。あの人に聞いてみようかしら? あまり近くに行っても悪いし、ここから大声で言ったら聞こえるかしら? あの〜、済みませ〜ん。」

「魔導師サマー、巨人が雄たけびを上げてますー。 この町を壊す気ジャー。」
「ちゃんチャンかチャンちゃんチャン〜♪通じの石〜。 これがあればどんな種族とも話が出来るのだ〜。」
「魔導師様。壊れてません?」
「心配するな。うん……。見慣れない服装の巨人だな。」
「服装なんかどうでもいいじゃないですか。」
「いや、みにスカートならいいかもしんない。」
 別の住人が割り込んでくる。
「いきなり割り込んできて何馬鹿なこと言ってるんですかー。 第一下から覗く前に踏み潰されますよ。」
「あ〜、踏み潰されたら本望。」
「いや、スカートらしいものをはいている。ミニではなくてロングだ。 エプロンのようなものをつけています。」
「ますます覗くのが難しくなるじゃないですかー。 これじゃ自殺行為ですよ。」
「ちょっと待て、何か言っている。」
 巨人の声が聞こえてきた。その声はジャイアントマスターが よく知っている声だった。
「ジャイアントマスターサマー、アガオグですー。 私ジャイアントマスターさまのためなら何でもお世話致しますー。 とりあえず形から入って見ました。メイド服似合いますカー。」
「あの〜、魔導師さま。『ジャイアントマスター』って誰の事です?」
「……。」
 当のジャイアントマスターは沈黙していた。
「ジャイアントマスターサマー。お忘れ物ですー。」
 ジャイアントマスターの前方の巨大娘ではなく、後方から 彼の名前を呼ぶ声がした。先ほど、彼が自分の名を教えた男だった。 ジャイアントマスター本人はメモリが192MBしかないのに、 ブラウザと、エディタと、画像管理ソフトで画面を 次々ウィンドウで埋め尽くした上に、とどめにメールソフトと、 常駐マスコットキャラクターを無理して走らせたパソコンのように フリーズしてしまった。
「ジャイアントマスターサマー。そこにいらしたんですかー。」
 ジャイアントマスターの前方から、巨大メイドが走ってきた。 彼女が見る見る近づくと同時に、地震のような振動が起こる。 ジャイアントマスターの周りの人たちが、逃げ出した。

「会いたかったわー。私を待っていてくれたのね。そうだ、 この格好だから『ご主人様』て呼んだ方がいいわね。 ご主人様〜、お迎えに上がりました。アレー。」

どってーん

 あたりに、さらに大きな振動が起こった。近くの建物の陰から、 町の人たちが恐る恐る現場の様子を覗きこんでいる。 巨大娘アガオグの外見ではなく、来ている服が消えていく。 魔法の効力がなくなってしまったのだ。で、このページの性格上、 丸裸に……なったわけではなく、普段着ている服装にもどっただけなのだ。 それは、胸の谷間が見えるワンピースと言ってもこち亀の直後にやっている アニメではなく、とにかくセクシーな水着に似た服装だったりするのだ。

「うわ〜、セクシー、いい眺めだー、近くに行って見よう。」
「何言ってくるんだ。つぶされるぞ。」
「それより魔導師さまは?」
 その様子を見ていた町の人たちはまた騒ぎ始めた。そのときアガオグは、 倒れた自分の体の下に何か有るのを感じた。彼女は……。
(どうしよう……。もしかしてジャイアントマスターさまを つぶしちゃったんじゃ……。)
 アガオグはゆっくり慎重に起き上がった。しかし、自分の足元には、 何もなかった。周りを見回してもジャイアントマスターらしきこびと、 (人間サイズ)は見当たらない。が、彼女はその直後に、胸の谷間に 何か異物感を感じた。

(な……なんだ?)
 一瞬気を失ったジャイアントマスタ〜は、ものすごい圧迫感で 目を覚ました。自分の体の両側から、巨大で、柔らかく、生暖かいものに はさみつけられているのだ。
(く……。苦しい……。)
 ジャイアントマスタ〜は、何とか両腕の力で、その物体を押し広げ、 そこから脱出しようとした。

(くすぐったい)
 自分の胸の谷間で、何かが動いている。アガオグは、視線をそこにやった。 そこには彼女の大好きなジャイアントマスタ〜が挟まっていたのだった。 倒れこんだときにうまく自分の豊かなバストの間に挟まったのだ。
「よかった〜(^^)」

(このままではつぶされる)
 ジャイアントマスタ〜は、両腕の力に加えさらに体をよじって、そこから 脱出しようとした。
「うおおおおっ」
 両側の壁が、何とか動きそうな感じだと思った時、さらに両側の壁は その力を増し、あっさり押し返され、彼は自由を奪われてしまった。 実はアガオグの胸の谷間に挟まっていたジャイアントマスター、 彼を見つけたアガオグが、うれしくなって胸をはさみつけるように 抱きしめたのだった。再びジャイアントマスターの意識は遠のいていった。

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