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2485号室へ

第981話

ズムン・・・

「みんな大丈夫か?」
部長はなんとかもう一方の手から逃れ、他の仲間を探した。
「ああ、なんとか無事だ。」
みんななんとか助かったのだと思ったが、
「おーい、こっちこっち。 ここから出してよー」
声のする方を見ると、ダイちゃんと大ちゃんが
巨大なこびとの手の中に閉じ込められていた。
巨大な指が、まるで柵のようになっていて檻に
閉じ込められたような状態になっていた。
部長は、
「よし、みんなでもう一度指を動かして助けよう。」
大ちゃんたちを助けようと巨大な指に触れたときだった。

「う、う〜ん・・・」

巨大なこびとが少し反応した。
部長は、
「まずい。 これ以上指に触ると起きそうだ。」
すると中から大ちゃんが、
「僕たちはここで待ってるから、先に地図を見てきて。
 そうすれば、もし僕たちが潰されてゲームオーバーになっても
 宝のありかはわかるでしょ。」
ギニフも、
「そうだな。 ここで無理に助けて地図を見ることなく
 ゲームオーバーになってしまっては今までの苦労が水の泡だ。」
部長が、
「わかった。 地図は俺たちに任せろ。 あとで助けに来る。」
ダイちゃんが、
「ちょっと、かってに決めるな。 おーい、僕は賛成してないぞー。」
大ちゃんが、
「しー。 うるさくすると起きちゃうよ。」 

第982話

 ダイちゃんと大ちゃんを残し、地図を見に行った部長たち、
「うーん、このサイズだと全体を見るのは難しそうだな。」
 部長が言うとギニフが、
「みんな広がって見える範囲を覚えていきましょう。」
「そうだな。」
 部長が言うと地図のところへ来たメンバーは広がった。


 さて、残されたダイちゃんと大ちゃん……。
「おい、手が閉じ始めた。このままじゃ握りつぶされる!」
 ダイちゃんが言うと大ちゃんが、
「みんなを信じて待っていよう。」
「待ってられないよ、きょだーい変身!!」
 ダイちゃんはそう叫んだとたん、ダイちゃんの体が光った

- ドッカーン!プチプチプチ! -

 その直後、あたりが真っ白になった。


 部長たちは全員気がつくとスタート地点に戻されていた。
部長は大ちゃんに、
「悪かった。助けられなかったな……。」
 するとベルが、
「言いにくいのだが、原因はそれじゃない。」
 そう言ってダイちゃんの方を見た。ダイちゃんは、
「なんだよ。僕が悪いみたいじゃないか。こうするしかなかっただろう。」
 ギニフが、
「私の時はうまくいったようですが……。」
 するとウインドウが開いて天使の部下の顔が現れた。
「ひとつ重要なことを言い忘れていたんで戻ってきたんだ。
 特殊能力はステージクリアまで1回しか使えない。
 2回目以降はどうなるかわからないよ〜。」
 部長は、
「もしかすると……。」
 ダイちゃんは、
「そんなことは先に言ってくれよ。
 巨大化したらそのまま止まらなくなったんだ。」
 部長は、
「なるほど、俺は離れていたが 他のみんなはダイちゃんの近くにいたから
 巨大化したときにそのまま下敷きになってしまったのか。」
 ニショブが、
「でもなんとか宝の地図は見ることはできたし。なんとかなるだろう。」 

第983話

部長が、
「よし、みんなで記憶した地図をこの地面に再現してみよう。」
部長たちは記憶を頼りに地面に地図を書き起こしていった。
そして一通り書き終えた。
ベルが、
「おそらくこれで再現できただろう。」
ダイちゃんが、
「ふーん、これが宝の地図ねぇ。 で、宝はどこなの?」
部長が、
「この×印の場所だろう。」
ギニフは、
「地図があったのは村の入り口に近いこの辺りの小屋だった。
 と言うことは、この×印の場所は村の一番奥の建物の中ということか。」
ダイちゃんが、
「えー、村の入り口付近を探ってただけでもこんなに苦労したのに。
 一番奥まで行かなくちゃならないの?」
部長が、
「仕方ないだろう。 宝がそんな簡単に見つかる場所に置いてあるわけがない。」
ダイちゃんは、
「ほんとなら脅して奪い取るだけで済むステージなのにね。」 

第984話

 ニショブが、
「でもそこまでどうやって行くんだ?」
 部長が、
「村の奴らに見つからないようにするには明るいうちは無理だな。
 暗いときに行くしか無い。」
 ダイちゃんが、
「暗かったら、移動するのも大変だよ。」
 ギニフは、
「懐中電灯があったとしても、その明かりのせいで
 見つかってしまう可能性もありますよ。」
 ダイちゃんが、
「うーん、めんどうだなぁ。なにかいい方法無いかなぁ…。
 暗いときにでも周りがはっきり見えるといいのに。」
 ベルが、
「そうだ、暗くなったら村でなくあの薬草が生えているとこにいかないか?」
 そこで散々実験台にされた石本は、
「ええーっ!もういいよ。なんでわざわざそんなところへ行くの?」
 ベルが、
「あの時は明るくて分からなかったが、
 暗いときに周りが見える効果のある薬草があるかもしれない。」
 部長が、
「なるほど。決まりだな。」
 石本は、
「でも、実験台はまた僕なんでしょ。」
 石本以外全員が当然だという言うようにうなずいた。


「さあ、薬草が生えてるところについたぞ。」
 部長が言うと石本が、
「でもまだ明るいよ。」
 するとダイちゃんが、
「さっき僕たち全員が隠れられるくらいの穴を見つけたんだ。
 効果はそこで確かめたらいいよ。
 それに、もし誰か来たときにも隠れる場所にもなるしね。」 

第985話

「おい、誰か来るぞ!」
 ベルが言った。

- ズン、ズン、ズドーン -

 村の住人であるこびと(もちろん部長たちに比べたらはるかに大きい)が
近づいてきていた。
「いそいで例の穴に隠れるぞ!」
 部長が言うと石本を含む全員が穴に隠れた。


「ふう、ようやく行ったみたいだな。」
 ニショブが言うと石本が、
「今夜はやめにしない?また誰か来るかもしれないよ。」
「ダメダメ、何のためにここまで来たと思ってるの?
 ここへ来るのもかなりの回り道なんだよ。」
 ダイちゃんが言った。

- 約2時間後 -

「前回に比べたら割合早く見つかりましたね。」
 ギニフが言うと大ちゃんが、
「でも今夜中に目的地まで行けるかなぁ……。」
 すると部長が、
「ちょっと待て。
 確かあいつが1回までなら特殊能力が使えると言っていたな。」
 ダイちゃんが、
「そうか、目的地までテレポートすればいいじゃん。
 宝を見つけてステージクリアすれば復活するんだし。」
「ちょっと待ってよー。一体僕の苦労はどうなるの?」
 石本が言うとベルが、
「無駄にはならない。
 目的地についても村の連中に見つからずに宝を見つけるには
 暗闇でも周りが見える薬草は必要だ。」


 大ちゃんのテレポートで宝のある場所に来た部長たち、
「あ、誰か来る!」
 ダイちゃんが言った。部長は、
「薬草の効果で周りが見えても踏み潰されたら意味が無い。
 安全な場所に隠れよう。」
 近くの草むらに隠れた部長たち。ベルが、
「あ……。あいつは……。」
 やってきたのは先ほど薬草の生えてる場所に来た村の住人だった。 

第986話

部長が、
「手に何か持ってるぞ。 あれは、あいつにとっては小さいが草のようだな。」
ベルが、
「おそらくさっきあの場所で薬草を取っていたんだろう。」
ダイちゃんが、
「いったいなんのために薬草なんか。」
ニショブが、
「重要なのは、何の効果のある薬草かだな。」
村の住人は周りをキョロキョロ見回して誰かいないか気にしてるようだった。
部長が、
「ところで、ここはいったいどういう場所なんだ?」
ギニフが、
「周りを見る限り、巨大な建物の中という感じか。」
ダイちゃんも、
「村の建物の中でも一番大きそうだよね。」
大ちゃんは、
「うん、それに壁とか柱とかが豪華と言うか。 特別な建物って感じ。」
部長が、
「村の金持ちの家かなんかか?」
ベルが、
「そう言われて見ると、
 あの巨大なこびとは他の村の住人と比べると立派な服を着ている。」
ダイちゃんが、
「わかった。 宝ってのは村の金持ちが隠し持ってるものなんだよ。」
部長が、
「そうだとして、あいつはいったい何をしようとしてるんだ。」
部長たちがしばらく様子を見ていると、
金持ちそうな住人が、
「よしよし、誰もいないな。 では、今日も宝の確認をするか。」
そう言うと、手に持っていた薬草を口に入れた。
すると、その住人の体がみるみる小さくなっていく。
石本のサイズの一回り小さいサイズになってしまった。
部長が、
「あの薬草は小さくなる効果だったんだな。 でもなんで小さくなったんだ?」
ダイちゃんが、
「何でかなんてどうでもいいよ。 これってチャンスじゃん。
 今ならあいつを倒せるよ。」
大ちゃんが、
「ダイちゃん、別にあの人を倒すゲームじゃないんだよ。 宝を見つけないと。」
すると、小さくなった住人はその体のサイズならちょうど入れる穴に入って行った。
ベルが、
「なるほど、あのサイズにならないと通れないというわけか。」
部長が、
「あいつ、宝の確認と言ってたな。 あの穴の向こうに宝があるってことか。
 行くぞ。」 

第987話

 さらに部長が石本に、
「あ、そうだ。石本はここで誰かこないか見張ってろ。
 どうしようもないと思ったら逃げてもいい。」
 石本は、
「もしもの時の戦わなくていいなんて割と楽な指示だな。
 どっちみちこの穴には入れないし。」
 部長は、
「お前がやられてもゲームオーバーになってしまうんだからな。
 絶対それだけは避けろ!」
「あ、うん、わかった……。」
 石本がそう言ったあと、部長たちは次々と穴の中に入っていった。
 穴の奥は洞窟のようになっていて先はわからない。
先程入ったはずの小さくなった住人の姿も見えなかった。
「あいつ、かなり先の方まで行ったみたいだな。」
 部長が言うとダイちゃんは、
「でも一本道のようだし、迷うことはないんじゃない?」


「結構長いな。」
 ベルが言った。そのとき大ちゃんが、
「なんか様子が……。」
 洞窟のような穴の奥は広くなっていた。
その先は行き止まりのようになっていて、
例の金持ちっぽい小さくなった住人がなにやら箱の中身を覗いていた。
ダイちゃんが、
「やったね。きっとあれが目的の宝だよ。」
 その時、

‐パラパラ‐

 部長たちの周りの壁の一部が崩れ落ちた。
例の金持ちっぽい小さくなった住人が、
「誰だ!そこにいるのは!!」
 ダイちゃんは、
「数では圧倒的に有利だろ、みんなでやっつけて奪い取ろう。」
 部長は、
「ちょっと待て、様子が変だ。」
例の金持ちっぽい小さくなった住人が、
「しまった、薬草の効き目が切れてしまった!」
例の金持ちっぽい小さくなった住人が
……ってもう省略してもいいよね、小さくなった住人が
元のサイズに戻り始めた。 

第988話

「くそ・・仕方ない。」
小さくなった住人は、慌てて箱をかつぐと部長たちを突き倒して洞窟の出口の方に走って行った。
部長は、
「宝を持って行ったぞ。 追いかけよう。」
ベルが、
「しかし、元のサイズに戻られては宝どころか我々が危険なんじゃあ?」
ギニフは、
「ここにいることはバレてるんだ。 とりあえず出口まで追いかけて様子を見よう。」
部長たちは小さくなった住人を追いかけて出口まで来た。
そこから穴の外の様子を見ると、さっきの住人がどんどん巨大化しているのが見えた。
部長は、
「だめだ。 元に戻った住人から宝を奪うなんて無理だ。」
ダイちゃんは、
「無理って言ってもやるしかないじゃん。 あの宝さえ取ればクリアなんだよ。」
元に戻った住人は、
「ふー、危なかった。 あんなとこで元に戻ったら出られなくなるところだった。
 薬草の量が少なすぎたか。」
そう言って穴の方を見下ろした。
「そう言えば、穴の中に虫が何匹か入り込んでたようだな。」
住人は穴に顔を近づけて覗き込んだ。
部長たちからは、すぐそこに巨大な目玉がギョロギョロ動いてるのが見える。
「おい、そこに隠れてるのはわかってるんだぞ。 出て来い。」
穴は薄暗くて小さいために住人からは部長たちの姿が見えていない。
住人は穴に指を突っ込もうとしたが、穴より指の方が巨大なために入らなかった。
「出てこないなら、殺虫剤でも撒くか。」 

第989話

 そう言って殺虫剤を取りに行った。部長が、
「よし、奴が戻ってくるまでに急いでここから出るんだ。
 殺虫剤でやられたらゲームオーバーだ。」
 部長の指示で全員穴の外に出た。ダイちゃんが、
「あ、ラッキー。あいつ宝の箱を置いていったままだ。」
 小さくなっていた住人は部長たちの出てきたすぐ近くに
宝の箱を置いていってたのだ。ニショブが、
「ダメだ。開かないぞ。鍵でもかかってるのか?」
 ダイちゃんが、
「だったら巨大化して壊そう。」
 ギニフが、
「ステージ内で正常に能力が使えるのは1回までです。
 ここまで来てもし失敗してまたゲームオーバーになったら……。」
 部長が、
「なら、あいつに開けさせよう。」
 大ちゃんが、
「どうやって?」
「あいつは薬草の効き目が切れてしまったが、
 俺たちはまだ薬草の効果でうす暗くてもこうして周りがはっきり見える。
 奴を誘導して箱を踏み潰させる。」
 その時ベルが、
「おい、奴が戻ってきたぞ。」
 部長たちは近くの物陰に隠れた。

-ドン、ドン、ズドーン-

 足音を響かせながら戻ってきた住人は、
「全く、虫けらどもめ。あんな連中にウロチョロされたら厄介だ。」
 そう言ってまだ穴の中に部長たちがいると思い、
ご丁寧にもノズル式の殺虫剤スプレーを穴の中に噴射した。
物陰に隠れていた部長たちには気づいていないようだった。 

第990話

「よし、これだけ殺虫剤撒いておけば、さっきの虫どもも全滅しただろう。」
住人は満足して立ち上がった。
「おっと、そういえば宝を置きっぱなしだった。
 さっさと別の場所に隠さんと、またさっきみたいなやつらに狙われる。」
住人はそう言うと、自分の足元を見下ろした。
「しまった、元の大きさだと宝の箱がどこにあるのか見つけにくいぞ。」
住人はかがみこんで顔を地面に近づけて、
まるでコンタクトレンズを探すような感じで宝の箱を探し始めた。
今の住人にとって、宝の箱は砂粒ほどの大きさなのだ。
その様子を物陰から見ていた部長たち。
「自分が置いた宝を見失うなんて、間抜けなやつだ。」
ベルは、
「だが、宝を見つけられる前に行動をおこさないと。」
部長も、
「そうだな。 宝を拾い上げられてからじゃ、
 やつに踏み潰させて箱を開けさせる作戦ができなくなる。」
ダイちゃんが、
「じゃあさっさと出て行こうよ。 みんなで宝のまわりに集まって、
 わざと見つかって、あいつが僕たちを踏み潰そうと
 足を上げた瞬間宝を残してバラバラに逃げるんだ。
 そうすれば宝の箱だけ足の下。」
大ちゃんは、
「そんなにうまくいくかなー。」 

第991話

「おい、こっちに来るぞ!」
 ベルが言った。ダイちゃんが、
「まだ詳しい作戦も決めてないのに。」
 部長は、
「早く逃げろ!
 このままじゃ宝どころか踏み潰されてゲームオーバーになるぞ!」
 住人は宝どころか部長たちにも気づかずに向かってくる。住人は、
「うーん、このへんかな?あまりここは詳しく調べてないような……。
 いや待て、向こうの方が怪しい……。」
 そう言って方向を変え部長たちから遠ざかった。大ちゃんが、
「危なかったね。」
 そのときニショブが、
「大変だ。宝の箱がなくなってるぞ!」
 ダイちゃんが、
「もしかして別の場所じゃないの?」
 ギニフが、
「確かにありました。
 おそらく踏み潰されずに足のシワに挟まってしまったのでしょう。」
 大ちゃんが、
「そんな……。」
 その時である。

ーコーン、バラバラ……ー

 部長は、
「なんの音だ?」
 ベルが、
「やつの方向からだ。確認するとき気をつけろ。」
 部長たちが音のした方に近づくと、キラキラ光るものが散らばっていた。
部長はそれを拾い上げた。
するとどこからともなくファンファーレが聞こえてきた。

[\_(^◇^)_/\(*^^*)/ おめでとっ!!宝物を手に入れました!!
ステージ1クリアー!!]

 ダイちゃんは、
「ヤッタネ!作戦大成功!」
 部長は、
「偶然という気もしないでもないが……。」
 ベルが、
「だが、何も変わらんぞ。」
 ギニフが、
「もしかして、
 ステージクリアしても次のステージまで自力で進むんじゃ……。」
 その時であるパート2、
「何か僕たち全員が光ってない?」
 石本が言った。部長は、
「このまま次のステージに転送されるのか?」
 しかし部長たちは転送されず別の効果が現れた。その時例の住人は、
「なんなんだ?おい、なんだお前ら!どこから来た?」
 住人のの前には彼と同サイズになった部長たちがいたのだ。
 その時であるパート3、突然部長たちの前にウインドウが開いた。
もちろん天使の部下だった。
「ステージクリアおめでとう。このペースだと全部クリアするのに
 何箇月かかるかわからないから宝物に巨大化する効果を追加しておいたんだ。
 あ、それからこれは君たち以外に見えないから。がんばってね。
 それから次のステージへは自力で行ってね。」
 ダイちゃんは、
「本当に自力で行くなんて。巨大化できただけでもいいか。」
 部長は、
「ちょっと待て。このサイズでもこのゲームではこびとじゃないか。」
 例の住人は、
「一体お前ら誰と話してたんだ?」
 その時であるパート4、外が突然騒がしくなり、別の住人がやって来た。
「おい逃げろ!お前たちもだ。巨人がこの村にやって来たぞ!」 

第992話

部長が、
「巨人? つまりこの世界での普通のサイズの人間ってことか。
 とにかく俺たちも逃げよう。」
部長たちは外に出て村の様子を確かめた。
巨人はまだ村に入ってきてるわけではないようだった。
ギニフが、
「巨人が村に着くまでにここから逃げた方がよさそうだな。」
ベルが、
「いや、ちょっと待ってくれ。ステージ2というのは巨人の住む場所、
 つまりこの世界の普通の人間たちが暮らしてる場所のはずだ。
 けど、今はその場所の手がかりがひとつもない。
 あるとすれば、ここに近づいてくる巨人だけ。」
ダイちゃんが、
「なるほどね。
 あの巨人について行けば自動的にステージ2に行けるってことか。」
部長が、
「だが巨人についていくったって、どうするんだ?
 ここで待ってたって村ごと踏み潰されて終わりじゃないか?」
ベルが、
「だが、こびとのサイズでは自力でステージ2の場所を探すのは難しい。
 このチャンスを逃したくはないな。」

ずしーーん ずしーーん

そんなことを話し合ってるうちに、巨人がかなり村に接近していた。
部長が、
「このままじゃまずい。
 とにかく早く、巨人についていく方法を考えるのか
 それとも逃げるのか決断しよう。」 

第993話

 そうこうしているうちに村の住人たちが集まって来た。
ベルは、
「なんなんだ?巨人が来てると……どうした?」
 部長も、
「なんでみんな集まって来てるんだ?巨人が……帰っていくぞ。」
 ダイちゃんは、
「なんだよ。早く追いかけないと行っちゃうよ。」
 ニショブは、
「いや、もうここから追いかけても間に合わない、
 それより何か置いていったようだ。」
 確かに、巨人の立ち去った後に何か箱のようなものが
置かれていた。部長たちから見てコンテナくらいのサイズだ。
巨人も戻ってくる気配もないので村の住人たちも
その箱の周りに集まってきている。
 ギニフが、
「ここから箱の中身が見えますね。何か食べ物のようですね。」
 部長は、
「もしかして、わなのつもりなのか?て、いうか
 これがわなだとしてつかまる奴なんているのか?」
 大ちゃんが、
「ところで、石本のお兄ちゃんは?」
 部長は、
「そうだ、石本のこと忘れてたな。
 俺たちと同じように大きくなっていたらすぐわかるはずだが。」
 ダイちゃんは、
「逆に小さくなって虫くらいになったんじゃない?」

-ヒュウゥゥ-

 その時、風が吹き箱の中身の美味しそうな匂いが広がり、
村の方に流れていく。しばらくすると、

-ドドドドド…-

 石本が、全速力でこっちへ向かってくるのが見えた。
ギニフが、
「私たちより一回り大きくらいですね。」
 部長が、
「ちょっと待て、もしかして箱の食べ物を目当てに来たんじゃ……。
 石本!来るな!」
 石本は、
「ええー!こんな美味しそうなものがあるのに。なんで止めるの?」
 部長が、
「おい、みんなで石本を止めるぞ!」

-ドドドドド…ガシャーン-

 部長たち全員でも石本を止めきれず、結局箱の中に入ってしまった。
その直後箱のフタは閉じ、部長たちは閉じ込められてしまったのだ。 

第994話

ベルが、
「ダメだ、どうやっても開かないぞ。」
部長も、
「これはどう考えても罠だな。」
ダイちゃんが、
「石本のせいだぞ! どうするんだよ。
 たぶん巨人に捕まってゲームオーバーだな。」
石本は、
「だってこんなに美味しそうな匂いがしたら誰だって・・・。
 あれ?美味しい食べ物はどこ?」
部長が、
「そんなものない。
 こびとを誘い込むためだけの匂いだったんだ。
 やっぱりお前を一人にするとろくなことにならん。」
ギニフが、
「だが、ステージ2に行けるかもしれない。
 罠をはったということは、再び回収にくるはずだ。」
部長は、
「それはそうかもしれんが・・。
 問題はこびとを何に使う気で捕まえたかだな。」 

第995話

「もしかして、食べるためだったらどうしよう……。」
 石本が言うとほぼ全員が、
「「お前が言うな!!」」
 その時だった、

-ズン、ズン、ズシーン-

「巨人が戻ってきたみたいだぞ。」
 ベルが言った。その直後、足音と振動がさらに大きくなった。


「うーん、あいつらも最近賢くなって……。おや?」
 巨人はそう言って中をのぞき込む。
「久しぶりに大漁のようだ。」


「巨人がこっちを見てるぞ。」
 ニショブが言うと石本が、
「美味しそうだとか、食べたいとか言いませんように……。」
「まだそんなこと言ってる。」
 ダイちゃんが言うとギニフが、
「こうなったらもうなるようにしか……。
 既にステージ1はクリアしてるし最悪ゲームオーバーになっても
 ステージ2の最初にそのまま行くことになるはずだ。」
 部長が、
「だといいが……。」
 次の瞬間、部長たちの閉じ込められた箱全体が持ち上げられ
真っ暗になった。
「え、なにが起こったの?」
 石本が言うと大ちゃんが、
「きっと巨人がこの箱を袋か何かに入れたんだ。」


「おい、お前ら、仲間のところについたぞ。」
 巨人の声がしたあと、再び明るくなり箱が開けられた。
「ついたみたいだな。」
 ベルが言うと石本が、
「もしかして外へ出ていいの?」
「だが気をつけろよ。お前には言っても無駄だと思うけどな。」
 部長が言った。そのとき、
「何をしてるんですか?早く出てきてください。ここはいいところですよ。」
 部長たちの前に見たことのない人物がいた。サイズは部長たちくらいだ。
「はじめまして。私はエスポマと言います。私がここを案内します。」 

第996話

部長が、
「案内って、いったいどこに連れて行く気だ?」
ダイちゃんも、
「友好的に見えて実は罠かもね。」
するとエスポマが、
「罠じゃないですよ。
 たしかにここに連れて来られるまではそう思うのも無理はないですが。
 とりあえず、今は私についてきてください。 悪いようにはしませんから。」
ベルが、
「ここにいても状況がわからない。 今は信用して案内してもらうしかないようだ。」
部長たちはエスポマについていった。

エスポマが、
「ほら、この門の向こうです。」
見るとたしかに大きな門があった。
その門の両側にはものすごく長い壁が続いていた。
エスポマが、
「もうすぐ門が開きますので。」
そう言ったあと、門がゆっくり開き始めた。
部長が、
「これは・・・。 俺たちのサイズの街?」
大ちゃんも、
「それもさっきのこびとの街より立派な感じだね。」
ダイちゃんは、
「でも、ここは巨人・・・っていうか普通サイズの街のはずだろ。
 なんでこびとの街があるんだ?」
エスポマは、
「この街は巨人様がわれわれに与えてくださった街なんですよ。
 よくできてるから気づかなかったと思いますが、
 この街は巨人様のお部屋の机の上に作られたものなんです。」
部長が、
「それって、巨人のこびと飼育セットみたいなもんなんじゃあ・・・」
エスポマは、
「たしかに巨人様に世話してもらっているのは間違いじゃないですが、
 飼育って言い方はちょっと・・・。」 

第997話

「ではこれから街の中を案内します。」
 エスポマの言葉に周りを見回していた石本は、
「うわー、ココなら一生暮らしてもいいかも。」
 部長は、
「そんなことできるわけないだろ。」
 大ちゃんも、
「ダメだよ。目的を忘れたの?」
 エスポマは、
「どのような目的がおありかはわかりませんが、
 巨人様は私たちを大切にしてくださいますよ。
 なぜなら私たちは巨人様の宝物なのですから。」
 石本は、
「だよね〜。ここに来た時からそう思って……。あれ?」
 石本以外のメンバーは集まってなにやら相談していた。石本は、
「ちょっとなんで僕だけ仲間外れにするんだよ〜。」
 ダイちゃんは、
「今大事な事話してるんだから、ちょっと黙っててよ。」
 石本は、
「その話の中になぜ入れてくれないの〜。」
 部長は石本やエスポマに聞こえないくらい小さな声で、
「エスポマとか言う奴は俺たちを巨人の宝と言ったが、
 目的の宝とは別物だよな?でなければステージクリアになるはずだ。」
 ベルは、
「そうだな。だがどうやって目的の宝の情報を得る?」
 ギニフは、
「そのエスポマが何か知ってるんじゃないか?」
 エスポマは、
「どのようなお話かはわかりませんが、
 ここから逃げようなどと思わなければ
 あれ同様大切にしてくださいますよ。」
「『あれ』とは、なんのことだ?」
 ニショブがきく。
 エスポマは、
「詳しくはわかりませんが、
 なにやら世界に二つと無い素晴らしいものとか。」
 それを聞いた石本を除く部長たちはそれが目的の宝であると確信した。 

第998話

部長が、
「それはこの街の中にあるのか?」
エスポマは、
「そんなわけないですよ。
 あれは巨人様の大切にしてるものですから、巨人様が保管してるに決まってるでしょう。」
ベルが、
「では、その宝を見たという人はいますか?」
エスポマは、
「この街にはいませんよ。
 ですが、巨人様はきまぐれに我々の中から数人選んで街の外に連れて行くことがあるんです。
  その人たちはもしかすると見せてもらってるかもしれません。」
ダイちゃんが、
「じゃあその街の外を見せてもらった人なら知ってるんじゃないの?」
エスポマは、
「巨人様に選ばれた者たちは、ここには戻ってきませんから。」
部長が、
「それって、巨人がこびとで遊ぶために連れて行って。
 遊び終わるとポイッと使い捨てってことじゃないか?」
エスポマは、
「何言ってるんですか! 巨人様がそんなことするわけないでしょう。
 きっと選ばれた者たちは、この街よりもっとすばらしい街へ移してもらってるんです。」
ダイちゃんが、
「ダメだ。 この人完全に巨人を信じきってる。」
ニショブが、
「けど、この街から出る方法だけはわかったな。
 巨人に選ばれればいいわけだ。」
部長が、
「だが、選ばれたやつは帰ってこない。
 つまり、巨人に何かされて最終的に潰されてる可能性が高い。」
ベルが、
「最終的に潰されたとしても、街の外がどうなってるのかを知ればクリアに近づける。
 ここは潰されるのを覚悟して、巨人に選ばれてみよう。」
部長が、
「ところで、どうやったら巨人に選ばれるんだ?」 

第999話

 エスポマはしばらく時間をおいて、
「そうですね。すべては巨人様次第、と、言う所でしょうか……。」
 部長はため息をついた。ダイちゃんは、
「要は、わからないってことじゃん。」
 エスポマは、
「何を言ってるんですか!
 巨人様の素晴らしいお心は凡人には理解できないのです。」
 ベルが、
「すると、お前は理解できているというのか?」
「とんでもありません。私に、いや我々にとって神に等しい存在、
 理解などとてもとても……。」
「それより石本はどこへ行ったんだ?さっきから見えないが……。」
 部長が言うとギニフが、
「あっちから来るのがそうじゃないですか?」
 大ちゃんが、
「石本のお兄ちゃん、どこ行ってたの?」
 石本は、
「食べ物を探していたら、突然巨人に声をかけられて
 明日の朝良いところへ連れていってくれるって。」
 エスポマは、
「おめでとうございます!」
 石本は、
「なんか知らないけど、いいことなの?」
「もちろんでございます……。」
 エスポマが石本に延々と説明をしてる横で部長は、
「石本のやつ、いつの間に……。よりによってなんで石本なんだ?」
 ダイちゃんは、
「あいつなんて情報どころか
 なんにもできずに潰されてゲームオーバーじゃん。」
 ニショブが、
「一人がやられても全員ゲームオーバーだからな。
 ステージ2の最初からここへたどり着けるかどうか……。」
 大ちゃんが、
「確か特殊能力はステージごとに一人1回だよね。
 僕がみんなを小さくして
 石本のお兄ちゃんと一緒に連れて行ってもらうのはどう?」
 ギニフが、
「もし、宝が見つかったら自分の能力で全員を再び巨大化させます。
 時間制限はありますが、
 宝を手に入れてステージクリアすれば問題ないでしょう。」
 部長は、
「仕方ない。その方法にかけよう。」 

第1000話

エスポマは、
「では、あなた方の家はこの地図に書いてある場所にあるので。
 自由にお使いください。 私はこれで。」
そう言って部長たちに地図を渡してどこかに行ってしまった。
部長は、
「なるほど。
 この街に来た時点で、ただで住む場所がもらえるというわけか。」
ベルが、
「作戦は明日の朝。 今日はそこでゆっくり休ませてもらいましょう。」
部長たちはエスポマに渡された地図を見ながら自分たちの家を探した。
ダイちゃんが、
「ここじゃない? けっこう大きいね。」
部長が、
「よし、入ってみよう。」
中に入ると、長い廊下の両側に等間隔でドアが並んでいる。
ダイちゃんが、
「これ全部僕たちの部屋ってことか。 じゃあひとつずつ見ていこう。」
ダイちゃんが一番手前のドアを開けようとすると、
中から誰かが出てきた。
「うわ、何だお前ら。 ・・・、ああそうか。
 今日ここに新しく住むやつらか。」
部長が、
「ここは俺たちだけの家じゃないのか?」
ドアから出てきた男は、
「そんなわけないだろう。 まぁ、空いてる部屋を探してそこを使え。
 じゃ、俺は出かけるから。」
部長が、
「寮みたいなものか? とりあえず空いてる部屋を探そう。」
部長たちは長い廊下を進みながら、ドアをひとつずつ調べていった。
結局、見つかった空き部屋は突き当たりの部屋だけだった。
ダイちゃんが、
「なんだよ。
 こんな大きい家が全部もらえたと思ったら、結局この小さな部屋だけ。
 ぬか喜びだよまったく。」
ギニフが、
「まぁ、ここに住むのも明日の朝までです。 今晩だけ我慢しましょう。」
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