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第941話

石本は酔っ払った巨人の一人を摘みあげて、自分の巨大な顔を見せて言った。
「これでも酔いさめない?」
摘まれた酔っ払い巨人は、
「んー? なんだただのモンスターか。
 酔ってるせいか、でっかく見えるなー。」
石本は、
「えー。 僕たちが巨大なのを酔ってるせいで片付けちゃったよ。
 これじゃ襲ってる感じしないよ。」
ダボは、
「巨人族が飲む酒は人間の酒より何倍もきついからな。
 とはいえ、さっきまでのお前だったらどんな酔っ払いも
 一発で正気に戻すくらいの迫力はあったぞ。」
石本は、
「さっきから何度もさっきまでの僕の話するけど、
 僕は自分のやりかたで楽しみたいの。
 いちいち口出ししないでよ。」
ダボは、
「楽しめてないから言ってやってるんだろ。」
石本は、
「これから楽しむんだよ。」
すると石本に摘まれてる巨人が、
「おいおい、喧嘩ならよそでやってくれよ。
 俺たちはモンスターの喧嘩なんか見るより酒を楽しみたいんだよ。」
ダボは、
「ほら見ろ、こんな小さいやつにバカにされてるじゃないか。」
石本は巨人を摘んだ指に力を入れた。
「これでもそんなこと言ってられるかなー?」
石本の圧倒的な指の力で、酔っ払っていた巨人もさすがに苦しみだした。
「ぐ・・ぐわ。 苦しい。 潰れる・・・」
巨人のHPがどんどん減っていく。
そして0になるギリギリのところで、
石本が力を緩めて足元の酔っ払い巨人の仲間の真ん中に置いた。
「お酒の時間は終わりだよ。 それともみんなこうなりたいの?」 

第942話

 そのころ、部長たちの議論は続いていた。
「今気づいたんだけど、巨人の町までは1日かかるんだね。その頃には
 僕たちの特殊能力がつかえるんじゃない?」
 ダイちゃんが言うと部長が、
「確かにそうだが、時間は短縮できるわけじゃないしな。」
「向こうについたら大ちゃんがテレポートする代わりに
 1日分時間をさかのぼるんだ。」
 すると大ちゃんは、
「うーん、やったことないけど。どうかなぁ……。」


 さて、こちらは自分たちか見ると小人にしか見えない酔っ払った
巨人たちを見下ろしている石本とダボ、
「なんてやつだ……。」
「ど、どうする?」
 さすがに酔っ払っていたほかの巨人たちも事態を把握し始めていた。
巨人たちのうちの一人がその場からこそこそ立ち去ろうとしていた。
そのときダボがその巨人のすぐ前に、足を踏み降ろした。
ダボは、
「おっといけない。用事を思い出して帰ろうとしたら
 踏み潰すところだった。」
 ダボに踏み潰されそうになった巨人はその場で腰を抜かしてしまった、
ダボは石本に、
「お前の楽しみ方がわかってきたような気がする。」
 石本は、
「でしょう。でも僕の分はおいといてねー。」
「さあ、それはどうかな……。」 

第943話

石本は、
「ちょっと疲れたなー。 ちょっと小さいけど、椅子があったから座っちゃおう。」
そう言って近くにあった巨人族の町の中でも一番大きい建物に座った。

ズガアアアン ズシーーーン

「僕が座ったら潰れちゃった。 ほんとにもろいなあ。」
近くでそれを見ていた巨人族たちが、
「うわーー、モンスターがマンションを潰したぞ!」
「あの中には俺たちの仲間がたくさん・・・」
「モンスターの巨大な尻で完全にぺちゃんこだ。」
石本は、
「んー? これ椅子じゃなかったの、ごめんねー。」
立ち上がってお尻についた瓦礫をはらった。
それがきっかけで巨人族たちはパニック状態になり、
全員が町から逃げ出そうと走り出した。
するとダボは巨人族たちが逃げようとしている進路上に巨大な足を踏み降ろした。

ズシーン・・

「ん? 俺の足が邪魔か? わるいわるい、今すぐどけるからちょっと待ってろ。」

ズシーン

「おっと、いけねぇ。 巨人族の上に足どけちまって潰しちまった。」
石本は、
「あー、そんなにいっきに潰しちゃったの?
 もっとじっくり楽しみたいのにー。
 このままじゃ僕の分が減っちゃうから、僕もペース上げていこう。」 

第944話

 再び部長たち。巨人族の町へ向けて出発するための準備を始めていた。
「ガラクタばかりかもしれないが、この部屋に役に立ちそうなものが
 有ったら持って行ってもいいぞ。」
 そう言って巨人族の村のゼドーは部屋から出ていった。
そのあとダイちゃんは、
「ほんとうにガラクタばかりで役に立ちそうなものはないなあ……
 もしかしてこの部屋を整理してほしいだけじゃないの?」
「もって行けるとは思えないが、あの大きな鏡が気になるんだが……。」
 ニショブが言うと部長が、
「さっきゼドーに聞いたんだが、テレポート用のゲートらしい、
 向こうから来るのはともかく、こっちから行くための鍵となる
 アイテムがなくなってしまったそうだ。」
「それじゃ役に立たないじゃん。」
 ダイちゃんが言うとベルが、
「行けたとしても、今の私たちには何もできない………。」
「久しぶりだな。困っているように見えるが……。」
 部長たちが振り向くと、そこには魔王が立っていた。ダイちゃんは、
「やったね。これで情報が聞きだせる。」
 すると大ちゃんは、
「巨人さんたちの町はどうなるの?
 このままじゃ大変なことになっちゃうよ。」
「確かに困っているようだな。」
 魔王は、そう言った後部長たちから事情を聞いた。魔王は、
「倒すことは無理だが、
 脅かして追いはらうくらいなら何とかなるだろう。」
 ダイちゃんが、
「なんだか頼りないなぁ。」
「これを貸そう。」
 魔王はそう言ってどこに持っていたのかわからない
ヘルメットのようなものを出した。ダイちゃんは、
「こんなヘルメットくらいじゃ役に立たないよ。」
 魔王は、
「これはかぶった者の巨大な分身を作り出すことが出来る。」
「本当かなぁ。」
 ダイちゃんはそう言ってヘルメットをかぶった。
「何も起こらないよ。」
 すると大ちゃんが、
「あれをみて!」
 外を見ると、山の向こうに巨大なダイちゃんが見えた。ダイちゃんは、
「すごいじゃん、こんないいものがあるなんて。」
 魔王は、
「まあ、幻術なんでそこにいるように見えるだけだがな。」
「ええーっ。それじゃ意味ないじゃん。」
 するとゼドーがもどってきて、
「見つかった。これがあれば巨人の町までテレポートできるぞ。」
 部長は、
「どうする?今から行くか?」 

第945話

ベルは、
「今すぐ行けば巨人の町はまだ無事かもしれない。
 そのヘルメットで追い返せば、無駄に能力を使う必要もないだろう。」
部長は、
「そうだな。 大ちゃんの能力はできるだけ残しておきたいからな。
 せっかく1日たっても時間を戻すために使ったら戦いのときに使えない。」
ダイちゃんは、
「じゃ、さっさと終わらせて帰ってきて魔王にここから出る方法を聞きだそう。」
部長たちとゼドーはテレポートのゲートをくぐった。
ダイちゃんが、
「ここが、巨人の町?」
ゲートの先は、何もない広い空き地だった。
ゼドーは、
「そんなはずは・・・。 たしかに町に出るはずなのに。」
ベルは、
「いや、おそらくここは巨人の町だったようだ。」
部長が、
「巨人の町だったってどういうことだ?」
ベルが、
「地面をよく見てくれ。 ただぼこぼこと荒れているわけではない。
 超巨大な足あとがいくつも重なってできた空き地だ。」
ベルの言うとおり、よく見ると巨大な足あとがいくつも重なっているように見えた。
ゼドーは、
「まさかそんな。
 あいつらがこんな短時間で瓦礫すら粉々になるまで町を踏み潰したってのか・・・?
 いや、あいつらならありえるか・・・」
部長は、
「つまり、間にあわなかったってことか。 石本のやつ・・・」
すると部長たちの方に、かなり疲れきって倒れそうな男が近づいてきた。
「た・・助けてくれ。 町が巨大モンスターに潰された・・・。
 次は巨人の村を潰しに行くと言っていた・・・」 

第946話

「何てことだ、今から戻るぞ。みんなに知らせないと大変なことになる。」
 ベルが言うとゼドーが、
「いや、戻るのは無理だ。テレポートは片道だけだ。こっち側のゲートが
 かろうじて残っていたからこっちへ来ることができたが、
 この状態ではもう使えないだろう。」
「そんな……。」
 大ちゃんが言った。
「どうすればいいんだ。今から戻ったとしても……。」
 部長が言うとニショブが、
「おい、何か来るぞ。」
 ニショブが指差したほうから何か巨大なものがやってくるのが見えた。
「オイ、もしかして戻ってきたのか?」
 部長が言うとダイちゃんが、
「早速このヘルメットで脅かそう。」
「ちょっと待て、一体だけのようだ。」
 ゼドーが言うと部長が、
「石本なら簡単に脅かせそうだが、そうじゃなければちょっと厄介だぞ。」
「そんなの関係ないよ。」
 ダイちゃんはヘルメットをかぶり、巨大な分身を出現させた。
「わぁぁっー!なんだー!助けてクレー。一体お前なんなんだー」
 向こうからやってきた巨大なものはダイちゃんの分身に驚いた。
すると部長は、
「ちょっと変だぞ。この様子だと相手はダイちゃんを知らないみたいな感じだ。
 石本だとありえないし、ダボがこんな反応をするとは思えない。」
 ゼドーがダイちゃんに、
「その分身を使ってやつに話しかけろ。」
 ダイちゃん本人が話すと、分身も同じように話し始めた。
「一体お前は誰なんだ。お前みたいにでかいやつはめったにいないぞ。」
「すみません。兄がご迷惑おかけしてます……。
 止めようと追ってきたのですが……。は、初めまして私ボダといいます。」
 部長は、
「ダボの双子の弟がいたのか……。」 

第947話

ベルが、
「様子を見てると、友好的なようだな。 仲間になってもらえるんじゃないか?」
部長も、
「ああ、姿はダボや石本に似ているが雰囲気がまったくちがうな。」
ゼドーは、
「おい、あんなのを仲間にする気か?
 いくら友好的に見えたとしても、力はあいつらと同じなんだぞ。
 俺たちなんて潰そうと思えば一瞬で・・・」
部長が、
「だが、もし仲間にできればこれほど心強いものはないぞ。
 現状では、こっちにはあいつら2体を倒す力はないんだ。」
大ちゃんも、
「それにもし仲間になってもらえたら、村まで運んでもらえるかも。
 テレポートのゲートが使えないなら、その方法しか間に合わないよ。」
部長が、
「よし、ダイちゃん。 あいつに仲間になってくれるように頼んでくれ。」
ダイちゃんは、
「しょうがないなー。」
と言ってボダに話しかけた。
「ねえ、ここで暴れて町を潰した兄を止めたいんでしょ?」
するとボダは、
「はい。 もっと早く止めていればこんなことには・・。」
ダイちゃんは、
「じゃあ、僕の弟子になるなら手伝ってあげるよ。
 僕、ダボってやつがどこに向かってるか知ってるんだ。」
ボダは、
「ほんとですか? 教えてください! 弟子でもなんでもなります。」 

第948話

 こうしてボダを仲間に加えた部長たちは巨人の村へと向かった。
そして……


「て、いうかほんとにこっちなの?」
 ダイちゃんがゼドーに言う。部長も、
「巨人の町へはテレポートを使ったからどういう道を通ったか
 わからない。」
 ゼドーは、
「多分こっちでいいはずだ。」
 大ちゃんは、
「意外に遠いんだね。」
 ボダに全員運んでもらって巨人の村へ向かった部長たちだったが、
ものの見事に迷っていたのである。
「困った、こうしている間にも……ん?」
 ベルが遠くのほうで巨大な何か動くのものを見つけた。ボダは、
「も……もしかして……兄さん!?」
 部長たちはボダに乗せられたまま石本とダボであろう「動くもの」の
方向へと向かった。


 さて、その石本とダボだが……
「まだ着かないの?もうすぐだって言ったじゃない……。」
 石本はダボに言った。ダボは、
「大体お前が休もうだの、のどが渇いただの言うから
 待ったり寄り道したりすることになったからだ。ん?」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない。急ぐぞ。」
 石本とダボが話しているうちに、
何かがこっちへ話しながら近づいてきた。
「兄さん、やっぱり兄さんだ。」
 部長たちを乗せたままボダがダボと石本の方へ向かってきた。ダボは、
「おい、さっさと行くぞ。」
 石本はしばらく考えていたが、ダボに耳打ちした。
「おい、なんだ……。なるほど。」
 ダボはボダに
「お前が連れてきたやつを誰かこっちへ渡してくれたら、
 話を聞いてやってもいい。」 

第949話

 するとボダは、
「わかったよ・・・。 どれがいいの?」
と、手に乗せた部長たちをダボの方に見せた。
ダイちゃんは、
「おいこらー。 勝手なことするな! お前は僕の弟子だろ!」
ボダは、
「でも兄さんがこうしないと話聞いてくれないから・・・」
ダイちゃんは、
「そんなの嘘に決まってるだろ! 言う事聞かないなら手伝ってやらないぞ。」
するとダボは、
「どうした。 渡す気がないなら俺は行くぞ。」
ボダは、
「うー、どうしたらいいんだろう。」
すると石本が、またダボに耳打ちをした。
「ふむふむ。 お前はよっぽどあいつらが怖いんだな。
 おいボダ。 お前がそいつらを渡さないなら、お前がその手で握り潰せ。
 そうすれば話をゆっくり聞いてやる。」
ボダは、
「ほんとに? じゃあ今すぐ。」
ダイちゃんはあわてて、
「何度言ったらわかるんだ!
 お前はあいつを止めに来たんだろ。
 僕たちを潰したら、あいつらとやってること同じだぞ!」
ボダは、
「あ・・、そうだった。
 兄さんを止めることに必死になりすぎて、大事なこと忘れてた。」 

第950話

「まったくしょうがないなあ……。あれ?」
 ダイちゃんは例のヘルメットを触りながら言った直後、
あることに気づいた。部長は、
「どうした?」
 その直後、
「わあーっ!」
 突然ボダが大声を出した。そのときボダの体が大きく動き、
部長たちは振り落とされそうになったが必死につかまって
落下を免れた。少しはなれたところにいたダボは、
「どうしたんだ?何も言うことがないならもう行くぞ。」
 彼は石本をつれてその場から立ち去ろうとする。
「一体何事だ。突然大声を出して。」
 ボダに乗せられたベルが言う。ボダは、
「こんなところに穴があったなんて……落ちそうになって驚いたんだ。」
 すぐそばにダボやボダでさえ落ちたら出るのは難しそうな
巨大な深い穴があった。部長は、
「こんな巨大な穴が……自然に出来た洞窟か何かか?
 ところでヘルメットのことだが……。」
 ダイちゃんは、
「どうもこのヘルメット、1つだと思っていたけど同じものが
 2つぴったり重なって組み合わさっていたみたいなんだよね。」
「なるほど。」
 部長が言うとダイちゃんは、
「これを使ってここに誘導して落としちゃおう。」


「ボダのやつなんかほっとけ、もう行くぞ。」
 ダボは石本にそう言ってその場から立ち去ろうとした。
「ちょっと待った!」
 声をした方をむくとダボと石本サイズのダイちゃん(の分身)がいた。
ダボは、
「お前もボダと一緒に止めに来たのか?まだ子供じゃないか。」
「そうかな?」
 声のしたほうにはダボと石本サイズの部長(もちろん分身)がいたのだ。 

第951話

 ダイちゃんが石本に言った。
「わかってるよねー? 僕を怒らせたらどうなるか。
 命令される前に自分から行動した方がいいんじゃない?
 それともそいつと一緒に、その穴に突き落とされたい?」
部長も、
「そうだ。 自由でいたいなら、ダボを自分の意思で倒せ。」
するとダボは、
「どうやったか知らんが、でかくなったからって俺にかなうと・・・」
分身の部長に近づこうとしたが、石本が腕を掴んで止めた。
「やめたほうがいいって。
 というか、また変な命令されたら僕が困るんだよ。 今は逃げよう。」
ダイちゃんが、
「逃げるのもダメ。 逃げたら穴に突き落とすよ。」
石本は、
「そんなー。 じゃあ僕はどうすればいいんだよー。」
部長が、
「だからさっきから言ってるだろ。 命令される前に、ダボを倒せって。」
ダボは、
「どうするんだ? あいつらの言うことを聞いて俺と戦うのか?
 それなら本気でやってやるぞ。」 

第952話

「ど、どうしよう……。」
 石本は冷や汗を流しながら考え込み、そのまま固まってしまった。
ダボは石本の肩をたたいて、
「俺と本気で戦うなんて今のお前に出来るのか?」
 そういうと石本は突然、
「うわぁぁぁぁっ!!」
 突然石本はダボにつかみかかりそのまま押し始めた。
ダボもこんな状態で石本に反撃されるとは思わなかったらしく
そのまま押されてしまった。

−ヒュルルルルーン、スットーン、バリッ−

 石本に穴に落としこまれてしまったダボは、
そのまま見えなくなってしまった。ダイちゃんは、
「やれば出来るじゃん。」
 すると部長は、
「うーむ、それにしてもこの穴こんなに深かったか?
 落ちたら簡単には上がれない深さだったが……。」
 ダイちゃんは、
「そういえばさっき底が抜けたような音がしたみたいだけど……。」
 ボダは、
「あのー、兄はどうなったんですか……?」
 そのとき、堕天使の声がした。
「よく見つけたな。ここが外への出口だ。何度も改造していて忘れていた。」
「良かった、これでもとの世界に戻れる。」
 ダイちゃんが言うと大ちゃんが、
「でもともとバグで出現したキャラが外へ出るとどうなるんだろう……。」
 ダイちゃんは、
「もういいじゃん、もう戻るよ。」
 大ちゃんは、
「お兄さんは連れて戻るから……。」
「又つまらない約束なんかして……。」
「とにかく石本、戻るぞ。」
 部長が言うと石本が、
「え、え……この穴に入るの?」
 そのときはすでに分身は消えていた。
ボダから部長たちは石本の上に移り、石本は穴に飛び込んだ。


「思ったより早かったな。」
 石本とその上に乗った部長たちは堕天使に迎えられた。
「ところで、石本のお兄ちゃんみたいなのがさっきここへ出てこなかった?」
 大ちゃんが堕天使にたずねる。堕天使は、
「いや、そんなやつはこっちには来なかった。」
 ダイちゃんは、
「もともと、バグで出現したキャラクターだから、
 外へ出るときに消えたんじゃないか?」
 堕天使は、
「だといいが……。
 ここじゃなくとんでもないところに出現していないとも限らない……。」


「なんだここは……。あいつに穴に落とされたはずだが……。」
 ダボは気がつくと見知らぬ場所にいた。
周りを見回すと遠くに町らしいものが見えた。
「こりゃいい、つぶしがいがありそうだ……。」 

第953話

 大ちゃんは、
「でも、ゲームの中のキャラクターが現実の世界に出てくるってありえるのかな?」
すると堕天使は、
「お前たちは気づいてなかったのか。
 この天国と呼ばれている世界も現実とは言えない世界だ。」
ダイちゃんは、
「ええ? ってことは、ここもさっきのゲームの中と同じってこと?」
堕天使は、
「うーん、それはちょっと違うな。
 この世界は、限りなく現実に近い仮想空間なんだ。
 お前らがさっきまでいたゲームの中は、俺が作った完全な架空の世界だ。」
部長が、
「うーむ。 違いがよくわからんが、とにかくこの世界でもダボは存在できるというわけか。」
堕天使は、
「そんなに心配するな。
 ゲームの中では最大最強のモンスターでも、俺の小指の先に乗るほどのちっぽけなやつだ。」
部長が、
「たしかにあんたみたいなとんでもなく巨大なやつから見たらちっぽけかもしれんが・・。
 この世界のほとんどのやつらは、俺たちより小さいだろ。
 そんな小さな人たちがいる町にダボが現れてしまったら・・・」
大ちゃんも、
「そうだよ。
 この世界の人たちはゲームのキャラクターじゃないんだよ。
 助けてあげないと!」
堕天使が、
「おい、待てよ。 お前らは俺との勝負に勝ったんだ。
 元の世界に帰れるんだぞ?
 それなのに、どこにいるかわからないようなモンスターのためにここに留まるのか?」 

第954話

堕天使はしばらく考えていたが、
「バグとはいえ俺の作ったゲームのキャラクターが
 どうなるか興味あるからな。かならずここに戻って来い。
 約束どおりもとの世界に戻してやる。」
 部長が、
「それにしてもこの今いる世界は誰が何のために作ったんだ?
 知ってる範囲でいいから教えて欲しい。」
「詳しいことは知らないがこの世界を作ったやつは
 宇宙を作り変えたいと思っているらしい。
 そのシミュレーションのために作り出されたって話だ。」
 ベルが、
「と、言うことはいつかは外の世界もこうなってしまうということか?」
「そこまではわからんが……
 作ったやつは宇宙を支配するために都合よく改造するなんて
 とんでもないことをたくらんでるってもっぱらのうわさだ。」
 大ちゃんは、
「この世界を作ったのってもしかしてマジューイかなぁ……。」
 堕天使は、
「名前は聞いたことはあるが、そいつかどうかはわからん。」
 ダイちゃんは、
「なんだ。あまり詳しいことは知らないんだな。」
 堕天使は、
「あんまり俺を馬鹿にすると協力してやらんぞ。」
 ニショブは、
「協力って……。」
 堕天使は、
「追跡は出来るからな。やつのいる近くまでは転送してやる。
 お前たちの特殊能力もある程度使えるようにしておいた。」
 ダイちゃんは
「『ある程度』と、言うのが気になるんだけど……。
 1日1回1分が2分になっただけとかじゃないよね。」
 堕天使は、
「そのヘルメットも持っていけ。向こうで役に立つだろう。」
 そう言った後、部長たちの姿は消えた。 

第955話

部長が、
「ここはどこだ? 森の中のようだが。」
ダイちゃんが、
「近くまで転送してやるって言ってたけど、
 近くにあいつがいるようには思えないくらい静かだけど。」
大ちゃんは、
「こっちの世界に来て大人しくなったとか。」
ダイちゃんが、
「そんなわけないだろ。 とにかく探そう。」

部長たちは森の中を探し回った。
するとベルが何かを見つけた。
「これはひょっとして・・・。」
そこにあったのは、木々がなぎ倒されたあとと巨大なくぼみ。
部長が、
「間違いないな。 ダボの足あとだ。」 

第956話

 そのとき

−ズドーン−

「オイ、もしかしてすぐ近くにいるのか?」
 ベルが思わず後ろを振り向いて見上げると、石本が見下ろしていた。
石本を見上げながら部長は、
「うーむ、まだ大きいままだったか。」
 ダイちゃんは、
「そうだ、命令して小さくしておこう。」
 部長は、
「いや、俺たちの能力がどこまで回復してるかまだわからない。
 今小さくしておいていざというときに戻せなかったら困るからな。」
 そのときパート2

−ズドーン−

「まさかダボが戻ってきたんじゃ……。」
 ニショブが言った。
「皆さん、何かお困りですか?」
 見たこともない巨人(と、言っても石本と同じくらい)が部長たちを
見下ろしていた。その巨人は、
「もしかしてこのあしあとの主を追ってるんですか?」
 部長は、
「そうだが、あなたは……。」
「それより足元に……。」
 巨人がなにか指差したので部長たちは下を向いた。
再び上をむくと巨人の姿は消えていた。部長は石本に、
「おい石本、さっきのやつはどこ行った?」
 石本は、
「そういわれてもちょっと目を離したうちにいなくなったというか
 見えなくなったというか……。」
 ダイちゃんは、
「なんだ、役に立たないな。」
 大ちゃんは、
「そんなこと言ったらかわいそうだよ。」
「あなたは優しいですね。」
 そう言って後から大ちゃんの肩をたたきながら話す声。
声のほうを全員が振り向くと見慣れない人が、
どうも先ほどの巨人が部長たちのサイズになっているようだ。
 部長は、
「一体お前何者だ?サイズを自由に変えられるのか? 」
「ええ、5分くらいならね。自分自身だけでなくほかの人も出来ますよ。
 あ、申し遅れました。私はギニフといいます。」 

第957話

部長は、
「その口ぶりだと、俺たちに協力してくれるととってもいいのか?」
ギニフは、
「そうですね。
 あなたたちがこの世界を変えることが出来る存在だということはわかってますから。
 そのお手伝いが出来ればと思いましてね。」
ダイちゃんは、
「僕たちのこと知ってるってこと?」
ギニフは、
「正確には知っていたわけではありませんよ。
 ただ、あなたたちがこの世界の中では異質な存在だってことが判別できるんです。」
部長は、
「うーん、よくわからんが。
 とにかくサイズを自由に変えられる能力を持った人が
 仲間になってくれるのは心強い。」
ギニフは、
「よろしくお願いしますね。」
ベルは、
「でも、そんな能力を持ってるならこの世界から自分で出られるんじゃないんですか?
 なぜここにいるんですか?」
ギニフは、
「それはこの世界を研究してるからですよ。
 この能力も、この世界の特徴を利用してできるようになったんです。
 元の世界では使えません。」
ベルは、
「堕天使も言っていたが、この世界も完全な現実世界とは違う。
 だからこの世界の性質を知れば、いろいろ利用できるってことか。」
部長は、
「難しい話はあとだ。 今はダボを追いかけよう。 被害が出てからじゃ遅い。」 

第958話

 一方、
「何だあれは!」
「巨人だー。」
「こっちへ近づいてくるぞ。」
 ダボの接近に気づいた町の住人たちは騒ぎ始めていた。


 さて、ギニフを一行に加えた部長たちだが……。
「一体どこまで歩くの?」
 ダイちゃんが言った。ギニフは、
「私の勘ですともう少しですね。」
 ダイちゃんは、
「もう少しもう少しって何回聞いたんだか……。」
 するとベルが、
「本当に『もう少し』らしいぞ。」
 ベルの指差す先に巨大なうごめくものの影が見えた。部長は石本に、
「そうだ。石本、あいつの様子を見てきてくれないか?
 あいつに顔を知られているのはお前だけだからな。
 その間にどうするか作戦を考える。」
 ギニフも、
「私の能力にも限界がありますし、私からもお願いしますよ。」
 石本はしぶしぶダボのほうへ向かった。


「何だ、お前もこっちへ来てたのか。
 あの穴に突き落とされたときはびっくりしたが、
 こんなところへ案内してくれるとはな。」
 ダボのところについた石本は冷や汗を流してびびりながら、
「あ、え、まあ、こういうところもいいかな……っと。」
「まあ、面白そうだとは思うんだが、つぶちしまうのはすぐだ。
 どうやったら面白いか、考えていたところだ。」
「あ、そうだね。ちょっとそのあたりの様子でも見てこようかな。
 つぶすのはすぐだし、
 後悔しないようにゆっくり考えていたほうがいいと思うよ。」
 そう言ってそこから石本は立ち去ろうとしたがそのとき、
「まあ待て、ちょっとこいつらで遊んでみてからでもどうだ?」
 ダボと石本の足元に武器を持ったこびとたちが集まってきていた。 

第959話

様子を見てきてくれって頼まれたのに、
もしダボと一緒になってこびとを潰してるところを部長たちに見られたら・・・
今度こそ怒られるだけじゃすまない。
ダイちゃんに縮められて食べられちゃうかもしれない。
石本はなんとかごまかしてこの場を離れたかった。
「そ、それも面白そうだけどさ、あっちにもっと面白いものがあったんだ。
 そっちに行かない?」
ダボは、
「そうか。 でもこいつらで遊んだ後でも遅くないだろう。」
石本は、
「えーと、こいつらで遊んだ後だとちょっと遅いかもしれないよ。」
ダボは、
「どういうことだ?」
石本は、
「もっと面白いものがどこかに逃げちゃうかもしれないし。」
ダボは、
「別に逃げたらまた探せばいい。 今はこいつらで遊ぶのが一番楽しそうだ。
 俺にかなうわけないのに、武器なんか持って。」
石本は、
「じゃ、じゃあ僕はもっと面白い方に行くから。」
ダボから離れようとする石本をダボが引き止めた。
「おい、どこ行くんだよ。 行くなら、こいつら潰してから行け。」 

第960話

 気がつくと石本の周りは武器を持ったこびとたちに囲まれていた。
大股で歩けばそのまま立ち去れなくもないだろうが、
そうすれば明らかにダボに怪しまれてしまう。だが、踏み潰したら……。
その場で固まってしまった石本に、
「おい、そんなとこで何やってんだ?」
 そう言ってダボは石本の肩を叩いた。
「うわあっ!」

ープチッー

 石本はよろけ、その時足元のこびとを踏み潰してしまった。
「なかなかいい潰し方だったぞ。」
 ダボが石本に言う。石本は、
「う、ああ……まあね。」
「こっちにも来てるぞ。お前が思いっきりやれ。」
 ダボはそう言って、石本の足元を指さした。
そこにはこびとたちが固まっている。
(えーい、こうなったら……)
 石本はやけくそ気味にこびとたちの上に思いっきり足を踏み下ろした。

ープチプチプチプチプチッー

 石本は見た。こびとたちは気持ちいい音を立てながら、
潰れるのではなく消えていくのだ。石本は、
(あれ?何で潰れずに消えるんだろう……。
 そう言えば堕天使がここは現実世界と違うとかどうとか言っていたような……。)


 さて、部長たちはというと遠くから石本とダボの見える場所まで移動していた。
「ほら、やっぱりね……。おしおきの方法を考えよう。」
 その様子を見ていたダイちゃんが言った。部長は、
「それにしても能力は大丈夫なのか?」
「今のところはね。」
 実は石本が踏み潰してしまったと思ったこびとは
大ちゃんがその直前にテレポートさせていたのだ。 





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