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匿名

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第1000話
2485号室へ


第901話

ダイちゃんは、
「やっぱりあいつ、僕たちのこと完全に忘れてるみたいだな。」
部長が、
「忘れてると言うか、何かが乗り移ってると言う感じか。
 まぁ、石本が俺たちのこと覚えていたとしてもあれだけの力を
 手に入れてしまっては俺たちの言うことは聞かないだろう。」
すると石本が、
「ところで、これはいったいなんの集まりだ? 宴会でもしているのか?」
モンスターの1人が、
「まぁそんなところだ。 勇者を倒したパーティだ。
 今はちょうど人間の踊り食いで盛り上がろうとしてたんだ。」
石本は、
「勇者を倒しただと? お前らが?
 こんなザコの集まりに倒されるとは、勇者ってのはその程度だったのか。
 俺様と戦うどころか、俺様のダンジョンに入る資格もねぇな。」
勇者が化けているモンスターが、
「そんなことより、さっきあいつらを見て知り合いみたいな話してたよな。
 知り合いならもっと近くで話してくればいい。」
すると石本は、
「なんだお前、俺様に命令するのか?
 お前、どうやって俺様をあのダンジョンからワープさせたのかわからんが、
 呼び出したからって調子に乗ってると叩き潰すぞ。」
ダイちゃんが、
「そういえばなんか引っかかるんだよなー。
 石本ってあの隠しダンジョンからは出てこれないんじゃなかった?」
部長も、
「ああ、魔王が言うには勇者が持っているアイテムで呼び出すしかないとか・・・」
ダイちゃんが、
「勇者しか持ってないはずのアイテムを、何であのモンスターが持ってるんだ?」
部長が、
「考えられるのは・・・、あのモンスターが・・・」 

第902話

 ダイちゃんは、
「そうだよね……。」
 部長はたまたまそばにいたベルに、
「どう思う?」
 そのとき石本が上から見下ろしながら、
「何を話してた!俺様を倒す相談ならやっても無駄だぞ。」


 そこから少し離れた場所で数人のモンスターが、
「あの突然出てきたでかいやつ何者だよ。」
「なんか感じ悪いなー。」
「(勇者の化けたモンスターを指差して)あいつが
 呼んできたみたいっすよ。」
「あのでかいのとどういう関係なんだ?」
「さあ、呼ぶ前に仲間で楽しいやつで盛り上がるとか言ってた
 みたいっすけど、そうには見えないいっす。」
「機嫌でも悪いんじゃないか?突然たたき起こされたりしたら
 誰でも怒るだろ。」
「うーむ、機嫌が悪いというより異様に殺気立ってるというか……。」
 今度はそこへ石本がやってきた。
「お前らもなんだ。こそこそ話すなら俺様の前で堂々と話せ。」
 先ほどのモンスターたち、
「あ、見慣れないのが来てるんで何者かなと気になって……。」
「そうっすね。」
 石本は、
「そうか、だがあまり俺様を怒らせるようなことはするなよ。」


 再び部長たち。
「もしそうだとしてどうやって確認する?」
 ベルが言う。するとダイちゃんが、
「勇者って言うのはまあ正義の味方だね。だからモンスターが
 やることで正義の味方が嫌がるようなことを
 無理やりやらせてみたらいいんじゃない?」
 部長が、
「以前から自分がヒーロー……いや、なんでもない。たとえば?」
 ダイちゃんは、
「さっきもおなかの調子が悪いといって人間を食べなかったり
 してただろ。あいつに人間を食べさせてみようよ……。」
 そう言って勇者が化けているモンスターの方を見た。 

第903話

 勇者が化けているモンスターの方も、ダイちゃん達の様子を伺っていて
ダイちゃんと目が合った。
ダイちゃんは捕らえられている人間を1匹摘みあげて、
そのまま勇者のモンスターのところに近寄っていった。
「みんなー、人間の踊り食いの続きしようよー。
 今度はこのモンスターが食べるんだって。」
ダイちゃんは、他のモンスターを盛り上げて断りにくい状況を作った。
勇者のモンスターは、
「え、さっき言っただろ。 お腹の調子が悪いんだ。」
ダイちゃんは、
「こんな小さいの1匹食べたからって変わらないよ。
 それとも、人間を食べれない理由があるとか?」
勇者のモンスターは、
「そうだ、アレルギーなんだ。
 人間を食うと、アレルギーの発作が出るんだ。 だから無理だ。」
ダイちゃんは、
「急に食べれない理由変えた。 なんか変だな〜。」
勇者のモンスターは、
(まずい、こいつら正体に気づいてるのか。
 でも勇者は人間にダメージを与えるとペナルティになってしまう。
 なんとかごまかさなければ。) 

るのか。 でも勇者は人間にダメージを与えるとペナルティになってしまう。 なんとかごまかさなければ。) 

第904話

 そうしているうちに周りのモンスターたちも勇者のモンスターの
近くへ寄ってきた。
「どうしたんだ?」
「まだ人間食ってないやつがいるらしいぞ。」
「根性なしやなぁー。」
 勇者のモンスターは周りの注目を浴びる。
(まずい……非常にまずい……このままでは正体がばれてしまう……)
 勇者のモンスターは冷や汗を流しながらあせった。そのとき、

−ドーン、ズドーン−

 騒ぎに気づいて石本がこっちへ戻ってきた。部長たちに比べても
そこそこ大柄のモンスターのいる中、それすら小さく見えるほどの
サイズである。石本は周りのモンスターを見下ろしながら、
「オイ、いったい何事だ?」
 周りのモンスターたちは事情を説明した。石本は、
「なんだと。俺様を呼び出しておきながら、そんなことも出来ないのか。」
 近くにいたモンスターたちは、
「そういやそうだよな。」
「なんでこんなやつがこんなすごいの呼び出せるんだ?」
「ちゃんと説明して欲しいよな。」

−ドドーン−

 そのとき石本は足を思いっきり踏み下ろしたのだ。突然の轟音と振動に
周りのモンスターたちは黙ってしまった。石本は、
「本来なら叩き潰すところだが、今日は機嫌がいいから手伝ってやる。」
 そう言って勇者のモンスターのすぐうしろにしゃがみ、
片手で勇者のモンスターをつかんで押さえつけた。勇者のモンスターは、
(なんて力だ……逃げ出すどころか握りつぶされてしまう……
攻撃魔法で何とかなりそうだが、捕まっている人間にまでダメージが……)
 石本は勇者のモンスターを握ったまま、
「俺様がつかまえてる間に、こいつの口に人間どもを放り込め。」 

第905話

するとダイちゃんや周りに居たモンスターたちが、それぞれ人間を摘んで
勇者のモンスターのところに集まってきた。そして石本に
押さえつけられている勇者のモンスターの口に無理やり押し込んでいく。
勇者のモンスターも、こうなったら攻撃魔法でまわりの
モンスターだけでも蹴散らそうと思ったが
それも間に合わなかった。
体はしっかりと石本に押さえつけられた上に、口まで封じられたのだ。
しかも口にはどんどん人間が押し込まれていく。
少しでも口を動かせば人間を潰してしまう。
勇者が1人でも人間にダメージを与えるだけでかなりの
ペナルティがかせられるのに
これだけ大勢の人間を潰せばどれほど重いペナルティになるのか。
石本は勇者のモンスターを放して言った。
「ほら、さっさと噛み潰して飲み込め。 うめぇぞ。」
周りのモンスターたちも早く食えと囃し立てる。
すると石本は、
「10数える間に飲み込まないなら、俺様がお前を食う。 いいな。」
「10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・」 

第906話

 勇者のモンスターは口をまったく動かせない状態のまま顔を真っ青にして
脂汗をかいていた。石本はカウントダウンを続けている。
「4・・・3・・・2・・・」 
 そのころ、勇者のモンスターの口の中では、無理やり押し込まれた
一番奥の人間が食道ではなく気管の方に落ち込みかける。咳き込みそうに
なった勇者のモンスターは必死でこらえていた。石本は、
「1・・・0・・・時間切れだ。人間も食えないとは……。」 

-ぷちっ-

 勇者のモンスターの口の中で人間が潰れた。そう、勇者のモンスターは
我慢しきれずに口を動かしてしまったのだ。
「うん?なんだあれ?」
 モンスターの一人が何かに気づいた。空中に点滅する赤い文字が
出ていたのだ。
[勇者は人間に重大なダメージを与えました。ペナルティとして経験値が
マイナスされます]
 それを見つけた部長は、
「も……もしかして勇者!?」
 ダイちゃんも、
「なんか怪しいと思ってたんだよねー。」
 が、勇者のモンスターは咳き込みそうになるのをこらえるのに必死で、
言い訳したりごまかすどころではなかった。その直後、

-ぷちぷちぷち-

 勇者のモンスターの口の中で次々と押し込まれた人間が潰れていく。
それと同時に先ほどのメッセージが空中に増殖していく。メッセージの
増殖が収まると勇者のモンスターの真上にステータスの数字が現れ、
経験値が恐ろしい速度で減り始めた。そしてメッセージが現れた。
[変化の薬の使用できるレベルではなくなったので、
効果が強制解除されます]
 これを見たベルは、
「これは……。」
 部長は、
「どちらにしろ変身していたやつが元に戻ると言うことだ。」
 その直後、勇者のモンスターからしゅうしゅうと煙が出始め、
勇者のモンスターはもとの姿にもどりながら小さくなっていった。
周りにいたモンスターたちは、
「こいつ人間だったんだ。」
「俺たちに混じって何しようとしたんだ。」
 元の姿に戻ってしまった勇者にダイちゃんが、
「こいつ、モンスターに化けていた勇者だったんだ。
  今すぐ踏み潰してやる。」

第907話

    勇者へのペナルティのメッセージが止まる頃には
    勇者の経験値が0を通り越して、マイナスになっていた。
    こんなレベルでは、街を歩いていて住人と肩がぶつかっただけで即死。
    最弱のモンスターの鼻息で消し飛んでしまうほど弱いのだ。
    ダイちゃんが片足を上げて言った。
    「これでゲームオーバーだよ。」
    ダイちゃんが足を踏みおろそうとしたとき、
    「ちょっと待て。こいつが勇者だと?それならこいつをやるのは俺様だ。」
    石本がダイちゃんを弾き飛ばして、ゴマ粒のような勇者を器用に爪先で掬い上げた。
    そしてそのまま口に放り込んだ。
    その瞬間、いつもより大きなメッセージが現れた。
    「勇者がモンスターに倒された!」
    部長は、
    「よし、今度こそ完全に勇者を倒したぞ!
     これでやっともとの世界に戻れるんだな。墮天使!」
    するとどこからか墮天使の声が響いてきた。
    「ちょっと納得できない負け方だったけど、約束は守ってやるよ。
     ただし、お前ら全員ゲームの世界の外に出てこられたらな。」

第908話

    「おいちょっとまて。どういうことだよ。」
     部長は墮天使に向かって(その場にはいないが)言った。墮天使の声は、
    「いやぁ、すまんすまん。こんなに早く、いや、まさか勇者を倒すとは
     思っていなかったから、ここから出す方法を考えていなかったんだ。」
    「いたたた、無責任すぎるよ。なんとかならないの?」
     先ほど石本に弾き飛ばされたばかりのダイちゃんが起き上がって言う。
    「まあ、できる限りサポートはするつもりだ、でも急に用事が出来た。
     方法を考えてから救出プログラムを作るつもりだが、
     いつになるかわからない。それまでは自力で何とかしてくれ。」
     そのとき周りのモンスターは、
    「オイ、お前ら誰と話してるんだ?」
    「また変なやつが現れたのか?」
     どうやら墮天使の声は部長たち以外には聞こえないようだ。
    「これからどうするんだ?」
     ベルが部長に言った。部長は、
    「うーん、そうだなー。」
     するとダイちゃんは、
    「魔王とか言うやつにもう一度会って、ここから出る方法を
     聞いたほうがいいんじゃない?墮天使以外でこの世界に
     詳しそうなやつってあいつくらいしか思いつかないジャン。」
     そのとき部長たちの後というかほぼ真上から、
    「その魔王というやつに俺様も会いにいく、連れて行け!」
     部長は石本に聞こえないような小声で、
    「しまった、こいつのことを忘れていた。」
     ニショブは、
    「ミッションクリアをしても元には戻らないんだな...。」
     大ちゃんは、
    「とにかく魔王という人を探して、情報を聞こうよ。」
     部長は、
    「そうだな。」
     こうして部長たちはモンスターたちと別れ、魔王を探しの旅に出発した。

第909話

    「お前らもっと早く歩けないのか?
     足元でちょこちょこ歩かれてたんじゃ、
     いつの間にか踏み潰してしまうかもしれんぞ。」
    一人だけ圧倒的に巨大な石本が他のみんなと歩幅をあわせるのは不可能だ。
    みんながかなり歩いた後、石本が一歩歩くという感じになってしまう。
    部長が、
    「あいつの言うとおり、踏み潰されるのも時間の問題かもしれん・・・」
    ダイちゃんも、
    「あいつに踏み潰されるなんて絶対いや!」
    ベルは、
    「体が大きいだけでなく、レベルも圧倒的だからな。
     数値がすべてのこの世界では、下手に逆らうことも出来ない。」
    部長が、
    「よし、どうなるかわからんが言うだけ言ってみるか。」
    部長は石本を見上げて大声で話した。
    「おーい、聞いてくれ。 提案があるんだ。」
    石本は少しかがんで、
    「なんだ。 言ってみろ。 くだらんことだったら踏み潰すがな。」
    部長は、
    「高い場所から全員で探した方が、魔王を見つけやすいと思うんだ。
     俺たちを肩に乗せて運んでくれないか?」
    石本は、
    「なんだと。 俺様を乗り物にするつもりか?」
    部長は、
    「そういうわけじゃなくて。 魔王を早く見つけるために・・・」
    石本は、
    「言い訳はいい。 それなら俺様がお前らの上に乗ってやる。」
    石本は巨大な足を上げて、みんなの頭上で止めた。
    ダイちゃんが、
    「あいつ踏み潰す気だ。 余計な提案なんかするからだよ! どうするの!」
    部長は、
    「こんなことになるとは・・・。 とにかくみんな逃げるんだ。」

    ズシーン・・・

    石本はみんなのいる近くに足を踏み降ろした。
    「た、たすかった・・・」
    石本はニヤニヤしながら、
    「ただの冗談だ。 俺様も早く魔王とか言うやつに会いたいからな。
     俺様の肩に乗せてやる。」
    石本は足元のみんなを片手で掬い上げて肩に乗せた。

第910話

     こうして石本と部長たちは旅を続けたが、なかなか情報が集まらない
    というか、巨大なモンスター、その中でひときわ大きな石本がいるのだ。
    人間はみんな逃げてしまうのは当然のこと。小柄モンスターでさえも
    怖がって近寄ってこないのだ。それでも一行は旅を続けた。

    「む……なんだあれは……。」
     石本の上に乗せられたベルが言った。一行が進む先のほうの
    巨大な岩山に何者かが開けた穴のようなものがいくつか確認できた。
    自然に出来たものにしてはその穴は等間隔に並び、
    その大きさは人間が出入りするための物としては大きすぎるようだった。
    石本と部長たちは、その岩山に向かった。

    「なんか穴の中で動いたんじゃない?」
     ダイちゃんが言う。すると部長が、
    「ここには誰かが住んでいるようだな。」
     すると石本が、
    「オイ、俺様の上でごちゃごちゃしゃべるな。」
     今の状態では圧倒的なサイズと強さを誇る石本が事実上のリーダーである
    石本に乗せられた部長たちはそのまま黙ってしまった。
     さらに一行が近づくと、こん棒のような武器を持った
    住民が何名か出てきた。どうやらここは巨人族の村のようだった。
    巨人族といっても部長たちから見てもやや大きい程度のサイズだった。
    石本の上から部長が、
    「うーむ、俺たち歓迎されてないようだな。」
    「本来なら踏み潰すところだが、こいつら魔王について
     何か知ってるかもしれん。話を聞いて来い。」
     石本はそう言って部長をこん棒を持った巨人たちの前に下ろした。
    部長は、
    「あ、オレたち別に怪しいもんじゃない。
     魔王とか言うやつを探してるんだ。」
     こん棒を持った巨人の一人は、
    「そんなやつなど知らん。さっさと立ち去れ。」
     するともう一人が、
    「ちょっと待て、こいつらいつものやつと違うぞ。
     ちょっとお前らそこにいろ。」
     そう言って村のほうへ走っていった。しばらくすると村から仲間と
    思われる巨人を連れてきた。その巨人は、
    「うむ。確かにいつもの連中とは違うようだな。」
     部長は、
    「いつもの連中って何者なんだ?」
    「それよりお前たちは何者だ。名前だけでも教えてもらえんか?」
     すると上から石本が、
    「俺様は隠しダンジョンのボスだ。
     訳あって魔王とか言うやつをこいつらと探してる。
     こいつらは俺様のことをなぜか『いしもと』と呼んでる。
     それとこいつらの名前だが、後で適当に聞け。」
    「うむ、なるほど。よければ我々に協力してもらえんか?
     うまく行けば魔王のことを教えよう。そうだ、
     こっちは名前を言ってなかったな。『ゼドー』と呼んでくれ。」
     部長はゼドーに、
    「いったい何が起こってるんだ?いつもの連中というのは……。」
     ゼドーは、
    「その石本とか言うモンスターと同じくらいのやつが
     仲間を引き連れてやってきて迷惑してる。ちょうど今夜あたりが
     来るころだろう。そいつらを追い払ってもらえないか?」

第911話

    部長が、
    「でも変だな。
     悔しいが、石本は隠しダンジョンのボスでこの世界で最強のモンスターなはずだ。
     他にもそんなモンスターがいるってことか?」
    ベルは、
    「たしかにそのはずだが、
     この世界は見た目と強さが比例しているとは限らない。
     体のサイズだけが同じくらいなのかもしれない。」
    部長が、
    「なるほど。
     体は今の石本並にでかいが、レベルはそうでもないってことかもしれんな。」
    ダイちゃんは、
    「まぁ、どっちにしてもそいつ倒さなきゃ魔王のこと
     教えてくれないんだし、やるしかないでしょ。」
    するとゼドーは、
    「やつらは本来ならこの世界にはいないはずのモンスターなのだ。
     それがあるとき突然現れた。」
    ベルは、
    「本来ならいないはずなのに、突然現れた? どういうことだ。」
    ダイちゃんは、
    「たぶんバグだね。
     何かイレギュラーな出来事が起こったとき、
     バグって出てきたんじゃないかな。」
    部長は、
    「なんでダイちゃんがそんなことわかるんだ?」
    ダイちゃんは、
    「だって僕この旅に出る前まではよくゲームやってたし。
     普通にプレイしてても出てこないボスを、
     わざとバグらせて出現させるってのもあったよ。
     それを思い出したんだ。」 

第912話

「うーむ、もしそうだとすると厄介だな。」
 部長が言うと石本が上から、
「心配するな。どちらにしろ俺様と同じくらいのやつなんだろう。
 すぐに倒してやるから、そいつが現れたら起こせ。」
 石本はそう言ってその場で横になった。

-ズズーン-

 相当の巨体である。石本の下敷きになりそうになった部長とニショブが、
間一髪で逃げることができた。その直後に土煙が上がった。
「なんか寝ちゃったね。大丈夫かなぁ。」
 大ちゃんが寝てしまった石本を見上げながら言う。部長が、
「なんだかんだ言っても石本頼りだからなぁ。
 俺たちも体を休めておこう。」


 部長が目を覚ますと、東の空が明るくなりかける頃だった。
「ん、もう朝か....?」
 疲れていたのが部長たちもその場て寝てしまったようだった。
全員寝返りを打った石本の下敷きにならなかったのは奇跡である。
「結局夜のうちには誰も来なかったみたいだね。」 
 ダイちゃんがそういったあとにゼドーがこっちに向かって走ってきた。
同じようにおきたベルが、
「何事だ。」
 ゼドーは、
「やつらが来たようだ。」
 部長は、
「おい、起きろ。やつらが来たようだ。」
 部長が呼びかけても石本は起きない。と、言うか大きないびきをかいて
熟睡してるようだった。 

第913話

部長は、
「くそ、こいつが起きないと俺たちだけじゃ無理だ。」
大ちゃんが、
「どうにかして起こせないかな?」
ダイちゃんは、
「耳元で大声で叫んで起こすしかないんじゃない?」
部長たちは石本の顔の方に移動した。
幸いなことに、石本の耳が地面のすぐ近くにある状態だった。
部長が、
「よし、やってみよう。」
そして全員で石本の巨大な耳に向かって、
「いーしーもーとーー! おーきーろーー!!」
すると石本の顔がゆがんだあと、薄目をあけた。
自分を起こしたみんなを睨んでいるようだ。
石本は、
「俺様を起こしたのはお前らだな。 今度起こしたら潰すぞ。」
部長は、
「石本、敵が来たらしいんだ。 おきてくれ。」
でも石本は、
「俺様はまだ眠い。 眠りの邪魔をするなら今すぐ潰す。」
そう言ってまた目を閉じてしまった。
部長は、
「どうしたらいいんだ。
 起こさないと戦えんし、起こしたら俺たちが潰される。」
ベルが、
「とにかく我々だけで行って見ましょう。
 もし我々ではどうしようもない敵だった場合は、
 ここにおびき寄せればいい。」
部長は、
「なるほど。
 敵がここにきたら、石本もさすがに寝てはいられないだろう。」
部長たちは、とりあえず石本をおいて敵の様子を見に行くことにした。 

第914話

「見間違いじゃないの?」
 ダイちゃんが言った。部長たちは敵が来たという場所へ向かったが、
それらしきものは見えない。ニショブが、
「うーむ。石本くらい大きいとかなり遠くからでもわかるはずなのだが
 ……。」
 そのときである。
「オイ、お前ら何者だ?」
「ここに住んでるやつじゃねーな。」
 部長達が声のほうを振り向くと、見たとないモンスターが2名いた。
この2名、見た目はほとんど同じでまったくといっていいほど
見分けがつかない。ダイちゃんが、
「そう言う言うお前らこそなんだよ。こっちは取り込み中なんだ。」
 2名、いわゆる双子のモンスターは、
「もしかしておまえら、ダボ様を倒せとか何とか言われたんじゃないか?」
「アーなるほど、それでこんな時間うろうろしてたのか。」
 ダイちゃんは、
「ダボ様って誰だよ。あんまり強そうな名前じゃないな。」
 部長は、
「とりあえずそいつに会いたい。どこにいる?」
 双子のモンスターは、
「どこにいるって、ねぇ……。」
「すぐ近くまで来てるのに……。」
 双子のモンスターがそう言った直後、

−ゴゴゴゴゴ...−

 部長たちの目前の巨大な岩山が突然動き始めた。
部長たちが岩山だと思っていたのは
石本くらいの巨大なモンスターだったのだ。 

第915話

部長が、
「うわ! これ岩山じゃなかったのか。」
その石本並の巨大モンスターは、体が岩のようにごつごつしていたために
巨大な岩山に見えていたのだ。
ダイちゃんは、
「こいつがダボとか言うやつか。
 サイズは確かに石本と同じくらいだけど、強いの?」
大ちゃんも、
「実際の強さはわからないね。
 でも、僕たちだけじゃ無理そうなのは明らかだよ。」
部長も、
「やはり石本を起こして戦わせるしかないか。
 みんな、石本のところに戻るぞ。」
部長たちが石本の寝ている場所に戻ろうとしたとき。
「逃がすか、チビども。」

ズドオオオン

部長たちの目の前に巨大な壁が落ちてきた。
それは、壁に見えるほど巨大なダボの手だったのだ。
その巨大な手はそのまま地面ごと部長たちを掬い取って、上の方に持ち上げた。 

第916話

「どうしよう。つかまっちゃつたよー。」
 大ちゃんが言うとダイちゃんが、
「とにかく一箇所を攻撃するんだ。そうだ。目をねらって……。」
 部長が、
「わかった。」
 部長たちは巨大モンスター、ダボの手のひらから全員で魔法攻撃を
始めた。
「マジックレーザー!」
「マジックミサイル!」
「ハイパーボム!」
 部長たちの魔法攻撃は次々とダボの巨大な顔に命中した。
だが、あまりダメージを受けたような感じがしない。
「やはり効果がないか……。」
 ベルが言うと部長が、
「まだMPには余裕がある。続けるんだ。」
 そのときである。

-ピシッ、パリッ-

 ダボの巨大な顔にひびがはいり、ぽろぽろと小さな破片が
落ち始めている。ダイちゃんは、
「ヨシッ、効いてる。一気に行こう。」
「アルティメットアタック!!」
「レインボーマジックレーザー!!」
 部長たちは回復のことを考えMP消費のそれほど多くない
魔法を使っていたが、ここで自分たちの使える最強レベルの
呪文を連発した。

−バリバリバリ−

 ダボの巨大な顔のひびは大きくなりどんどん回りが崩れ始めた。

−バリバリ、ドドーン−

 その直後まるで土砂崩れのようにダボの巨大な顔の表面が崩れていく。
そしてその範囲はどんどん広がっていく。部長は、
「やったぞ。」
「マ、僕たちだけでも何とかなったね。」
 ダイちゃんが言うとニショブが、
「おい、ちょっと待て……。」
 部長たちの目の前には、岩山のようなダボの巨大な顔の表面がはがれ、
ダボの巨大な顔の皮膚が現れたのだ。ダボは、
「美容のための全身パックを落としてくれるとは、
 気がきいてるじゃないか。礼をしてやらんとな。」
 そう言って部長たちを乗せた手のひらを閉じ始めた。ベルが、
「やばいぞ!」
 すぐ近くには大きく開かれたダボの巨大な口が迫っていた。 

第917話

部長が、
「俺たちを食うつもりか? このままじゃやばいぞ。」
ベルが、
「だが、ここから飛び降りることもできない。
 こいつの手からは逃げられない。」
すると大ちゃんが、
「あそこ見て。 石本のお兄ちゃんが寝てるの、ここから見えるよ。」
 石本が寝ている場所はけっこう遠いが、
ダボがでかいために手の高さから見えたのだ。
ダイちゃんは、
「あいつがここから見えたって、起きなきゃどうにもならないだろ。」
大ちゃんは、
「だからここから起こすの。」
部長が、
「ここからいったいどうやって。」
大ちゃんは、
「ここから石本のお兄ちゃんの方に強力な魔法を撃ちまくるの。
 石本のお兄ちゃんはこのダボってモンスターにやられたと
 思ってこっちに来るんじゃないかな。」
部長は、
「なるほど。 よし、時間がない。 石本に向かって撃ちまくれ!!」
みんなが石本の方に向けて強力魔法をMPがつきるまで撃ちまくった。
遠くて命中しないのもあったが、数発石本の顔に命中した。
石本はさすがに起き上がり、魔法が飛んできた方を見た。
「くそ、いい気持ちで寝ていたのに。 起こしたのはあいつか。」
石本は重い腰をあげてゆっくり立ち上がり、ダボの方に近づいてくる。
ダボもそれに気づき、部長たちを口に近づけるのを止めた。
「なんだあいつは。 まさかおまえたちのボスか?」 

第918話

 こちらへと向かってくる石本はダボをにらみつけ、大きく口を開けた。
ダボは、
「うん……なんだ?」
 次の瞬間石本は、突然口から衝撃波らしきものをダボに向けて発射した。

−ズドォォーン−

 それはダボのおなかあたりに命中した。その衝撃は部長たちにも伝わる。
「オイ、俺たちを無視して攻撃してきたぞ。」
 部長が言うとベルが、
「これでは逆に危険が増した……そうだ!」
 そう言っている間に今度はダボが口を開き口から
ビームか稲妻のようなものを石本に向かって発射した。

−ボォォン−

 ダボの攻撃は石本に命中した。石本は、
「何をする。痛いじゃないか。」
 ダボはさらに同じようなものを石本に向かって発射した。

−ズガガガーン−

 今度の攻撃はわずかに外れ、石本のすぐ後ろの岩山が
一瞬にして砕け散った。石本は、
「なんてやつだ。もう許さない。」
 石本は先ほどより強力な衝撃波をもちろん口から
ダボに向かって発射した。その頃、部長たちは、
「これはやばい。何とか出来そうか?」
 ニショブが言うと部長は、
「アイテムで回復してもMPぎりぎりだ。全員手をつなげ!スカイウィング!」

−ドドーン−

 部長達がスカイウィングでダボからなるだけ離れた直後、
石本の攻撃がダボに命中し、ダボはひっくり返った。
それを見ていた部長たちは、
「危なかった……。」
 そのとき大ちゃんが、
「今気がついたんだけどダボとか言うモンスター、
 なんか石本のお兄ちゃんに似ていない?」
「そういえばそんな感じがしないでもないような……。
 確かあのモンスターが現れたのがバグだといったな……。」
 ベルが言うと部長が、
「あいつが現れたのは石本のせいだというのか?
 考えられないこともないが……。しかし今はここに居ても危険だ
 何とかここからはなれたほうがいい。」 

第919話

MP不足でスカイウイングの効果が切れると同時に、
近くの岩山の頂上付近に全員着地した。
部長が、
「ギリギリだったな。 だがこれ以上は逃げられん。」
ベルも、
「かなり離れられたが、さっきみたいに流れ弾が飛んでくる可能性もある。
 気をつけたほうがいい。」
するとダイちゃんが、
「ああ、あいつやっぱり石本と同じだ。」
みんながダボの方を見た。
ダボの体についていた岩のようなパックは完全に剥がれ落ち、
本当の姿がむき出しになっていた。
その姿は、ダイちゃんが言ったように石本と瓜二つだったのだ。
部長も、
「たしかにここから見ると全体がよく見えるが、ほんとにそっくりだな。」
大ちゃんも、
「そっくりって言うか、まったく同じに見えるね。
 ゲームだと、色違いのモンスターとか出てくるけど、そんな感じだね。」
するとダイちゃんが、
「それだ! 石本がダンジョンのボスになったとき、
 バグって色違いの同じモンスターが出てきてしまったんだよきっと。」
ベルが、
「だとするとやっかいだな。
 強さも同じという可能性が高い。いや、もしかするとそれ以上の可能性も・・・」
部長は、
「うーん、どちらにしても今は本物の石本の方を応援することしかできんな。」 

第920話

 そうしている間に石本とダボの距離はどんどん縮まり、
お互い直接相手を殴れるぐらいになった。
部長達が何も出来ないまま見ていると、石本とダボは組み合い、
相撲の取り組みか、力比べのような形となった。
「いったいこれではどっちが勝つのかわからんぞ。」
 ニショブが言うと部長は、
「基本的に能力は同じだからな。」

−ドォォォォン−

 石本とダボは組み合ったままひっくり返ったとき、
すざまじい轟音と地震のような振動が起こった。
そのとき大ちゃんが、
「あれ?もしかして石本のお兄ちゃんたち、村のほうに向かってない?」
 見ると確かに石本とダボは戦っているうちに巨人族の村のほうに少しずつ
近づいていく。ベルは、
「もし村に被害が出たら、たとえ石本が勝ったとしても魔王のことを
 教えてもらうどころじゃなくなるかもしれない。
 何とか誘導することは出来ないか?」
 ダイちゃんは、
「言われてみればあいつの好きなものや苦手なものとかは知らなかったな。
 今までなら巨大化して脅したり、直接命令して動かしていたからな。」
 部長は、
「そうだな。とはいってもかなり性格もかわってしまっているようだ。
 好きなものや苦手なものが変わっていなければいいが……。」
「もしかして、ここに来る途中で偶然拾ったんだけどこれつかえるかも……。」
 大ちゃんが言うと部長は、
「久しぶりのような気がするが、装備とアイテムを確認しよう。」
[ジャイアントオーク02
装備:なし 武器:なし 防具:竜の皮の服 所持金:1030ゴールド
アイテム01:いい薬草(効果:使うと1名のHPを200-600回復させる)
アイテム02:インスタント幻術石(効果:遠くの敵を誘導するため、
敵の好きだったものを記憶から一時的に再現する)]
 大ちゃんは、
「じゃあ、使ってみるね。」
 空中にウインドウが現れ、
[インスタント幻術石を使いますか?「はい」「いいえ」]
「はいっ!」
[使う相手を決めてください]
 空中に今度は照準のようなものが現れた。
それを石本とダボに向けてセットした。その直後、

-ズドォォォン-

 部長は、
「な、なんだ?」
 突然石本とダボぐらいの巨人が現れた。ベルは、
「誘導するためのものだから、
 相手のサイズに合わせて出たんじゃないか?」
 ダイちゃんは、
「なるほどね。で、こいつ誰?」
 部長は、
「石本が小さいときに相撲を教えてくれたおじさんじゃないか?
 何度か聞いたことがある。ちょっと変わり者だったが。」
 ベルは、
「変わり者ってどういう……わぁぁっ!」
 インスタント幻術石から現れた巨人は、ベルをつかんだ。部長は、
「ねずみやかえるを捕まえて食べていたんだ。やばいぞ。」 


 
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