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匿名

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2485号室へ


第701話

    大ちゃんが立ち止まって言った。
    「なんだか誰かに見られてるような気がする・・・。 気のせいかな?」
    部長が、
    「そう言えばそんな感じが・・・」
    ダイちゃんは、
    「見られてたっていいじゃん。
     敵だったら巨大化してやっつければいいだけだし。」
    すると上のほうから声が聞こえてきた。
    「また会えたの〜。 余のおもちゃども。」
    部長たちはその声に反応して上を見上げた。
    するとそこには見覚えのある巨大な顔がこちらを見下ろしていた。
    「あれは!!」
    ダイちゃんが、
    「誰だっけ?」
    大ちゃんが、
    「バソレって人だよ。 マジューイと一緒にいたじゃない。」
    部長が、
    「だが、俺たちはここに来たばかりだというのに何ですぐに見つかったんだ?」
    「まるで僕たちが来るのを知ってたみたい・・・」
    するとバソレが、
    「お前たちがどこにいようと、余は見ることができるからのー。
     マジューイの機械でな。」
    部長が、
    「くそ、すべてがマジューイの罠だったってことか。
     ずっと監視されてたんだ。」
    大ちゃんが、
    「でもどうしよう。
     このままじゃさらに罠にはまって、倒そうとしてもまたどこかに転送させられてしまうかも・・」

第702話

     部長は、
    「確かにそれも困るが、宇宙船に残ったみんなが巻き込まれるのも困る。」
     するとはるか上からバソレが、
    「何を言っておるのかよく聞こえぬが、心配することは無い。余が
     遊びたいのはお前たちだけじゃ。」
     バソレがそういって指をぱちんと鳴らすと、周りの景色が一瞬で
    変わった。部長が、
    「うーむ、大ちゃんの言ったとおりまたどこかに転送されてしまった
     ようだ。」
    「何言ってるんだ。とにかくさっさとあんなやつやっつけよう。」
     ダイちゃんはそういっておなじみの巨大化のポーズ、部長は、
    「今までのパターンだと巨大化は出来ないはず……。」
     そういってふと上を見上げるとすでにダイちゃんは部長や大ちゃんの
    5倍程度に巨大化していた。部長は大ちゃんに、
    「力が使えなくなるまでに早く!!」
    「わかった。」
     部長と大ちゃんもダイちゃんに続いて巨大化した。ダイちゃんは、
    「んもう。巨大化できれば僕一人で十分なのに。」
     そういって足元の辺りを見回す。大ちゃんが、
    「あれ?なにやってるの?」
    「決まってるだろ。あいつがいたら踏み潰すんだよ。」
    「誰が踏み潰すのじゃ?」
     3人のはるか上から聞き覚えのある声。3人が見上げると先ほどと
    同じようにバソレが見下ろしていた。大ちゃんが、
    「そんな……ダイちゃんと同じようにみんな巨大化したはずなのに。」
     するとバソレが、
    「簡単なことじゃ、ここではお前たちの力を利用して余も同じように
     巨大化できるのじゃ。」
     そういってしゃがみ、部長たちを捕まえようと手を伸ばしてきた。 

第703話

部長たちは逃げようとしたが、簡単に捕まってしまった。
バソレは部長たちを掌に乗せて持ち上げていった。
「もう前のようにはいかんぞ。
 お前たちは余より大きくなることはできんのじゃからな。」
ダイちゃんが、
「せっかく巨大化できても、これじゃ意味ないじゃないか。」
部長が、
「よく考えてみたら、こういうことでもなければ俺たちが巨大化
 できるようにはしないだろうからな。」
大ちゃんは、
「どうすればいいんだろう・・・。」
バソレは、
「困ってるようじゃな。 だが、いくら考えても余を倒すことはできんぞ。
 手を握ればいつでも潰すことだってできるんだぞ。」
バソレの手は、部長たちから見ればかなりの高さにある。
バソレの手の上に逃げ道はなかった。
バソレはゆっくり手を握り始める。
「ほれ、握りつぶすぞ。」
どんどん巨大な指が部長たちを覆っていき、せまってくる。
「うわああああああ。」
すると、指の動きが止まり再び開きだした。
「ははは、冗談じゃ。 せっかく帰ってきたおもちゃを簡単に潰すわけないじゃろ。
 楽しみはこれからじゃ。」 

第704話

「むしろこれからは死ぬ心配をする必要がなくなるのじゃ。余に感謝
 するべきだ。」
 ダイちゃんが、
「どういうことなんだ?」
 そのとき部長がダイちゃんに耳打ちした。、
「巨大化するときはともかく、小さくなるときはどうなんだ?一旦こいつ
 から見えないくらい小さくなるんだ。やつは俺たちが見えなくなって
 あわてるだろう。そのうちに大ちゃんのテレポートで逃げよう。」
 ダイちゃんは同じような声で、
「あ、お前なかなか頭いいな。」
 大ちゃんとダイちゃんは自分自身の力、部長は大ちゃんの力でそれぞれ
小さくなり始めた。だが、バソレも同じように小さくなっていく。
「もしかして見えないくらい小さくなって逃げるつもりだったのか?
 そんなことをしようとしても無駄だ。」
 バソレはそう言った後、部長たちと乗せた手ではなく、もう一方の手に
いつの間にか何か怪しい液体の入った器を持っていた。

- ボッチャーン -

 部長たちはその液体の中に放り込まれた。
「うわっ!」
「何するんだ!おぼれたらどうする。」
 すると上からバソレの巨大な手が下りてきて部長をつまみあげた。
「今度は何を……うわあっ!」
 部長を挟みつけるバソレの指に力が入り始めた。
「この液体につかれば、もうお前たちは死ぬ心配がなくなる。まあ、
 多少苦痛は感じるだろうがな。」 

第705話

バソレは部長を挟んだ指におもいっきり力を入れた。
「ぎゃあああああ!!!」
バソレは、
「どうだ。 ほんとなら一瞬で潰れてしまうくらい力を入れてるんじゃ。」
そう言い終ると力を緩めた。
部長は全身の激痛でしばらく動くこともしゃべることもできなかった。
バソレは動けない部長をダイちゃんたちのところに戻した。
大ちゃんが、
「大丈夫!?」
部長は、
「うう・・・あ、ああ。」
「無理しないで。」
ダイちゃんが、
「あいつ、僕たちにこんな薬つけてどうするつもりなんだ?」
大ちゃんは、
「うーん、乱暴に扱っても壊れないおもちゃにした。 ってことかな?」
ダイちゃんは、
「でも、僕たちだって潰されなくてすむんだ。
 つまり、やられる心配なくあいつを倒す方法を考えられるってことだ。」
大ちゃんは、
「うーん、倒す方法・・・。 まずは逃げたほうがいいような。」 

第706話

 そのとき上からバソレは、
「お前たち3人だけではさびしいであろう。仲間がいるところへ連れて
 行ってやろう。」
 部長は、
「なんだと。すでにもう誰かつかまっていると言うのか。」
 大ちゃんは、
「どうしよう。」
 ダイちゃんは、
「でも捕まっているやつがどんなやつかわからないだろ。」
 部長たちが話しているとバソレは部長たちを次々とつまんで自分の
手のひらの上に乗せ、どこかへ向かって歩き始めた。しばらく歩いて
いると巨大な家の前にたどりついた。バソレは、
「どうも小さくなりすぎたようじゃ。余をこの家が踏み潰せるくらい
 大きくしてくれんか。方法はわかっているはずだ。」
 ダイちゃんが、
「もし、いやだといったら?」
 するとバソレは部長たちを乗せている手を握った。
「うわぁぁっ!」
「苦しい!!」
「やめてよー。」
 しばらくするとバソレは部長たちを乗せている手を開く。
「仕方が無い。ここはやつの言うことを聞く以外ないようだ。」
 部長が言うとダイちゃんは、
「あいつの言いなりになるのは悔しいけど、捕まっているやつのことも
 気になるな。」
「でもどのくらいの大きさになればいいんだろう。」
 大ちゃんが言うと部長が、
「うーん、俺たちがこの家に入るのにちょうどいいサイズになれば
 いいんじゃないか?」
 部長たちは先ほどの家に入るのにちょうどいいサイズに巨大化した。
もちろん部長は大ちゃんの力で、バソレはそれにあわせさらに巨大化、
部長たちを手のひらの上に乗せて見下ろしていたが、しゃがんで家の
入り口の前でおろして、
「今まで二人だけでさびしかったであろう。仲間を3人も連れてきて
 あげたぞ。余に感謝するがいい。」
 すると家の中から2人の男が出てきた。しかし2人とも部長たちの
中で誰も彼らを知らなかった。するとそのうちの一人が、
「俺の名はニショブ、こいつは相棒のベル。俺たちは体のサイズを
 自由に変えられる能力を利用して悪いやつをやっつけてきたが、
 マジューイにつかまって今じゃこの有様さ。」
 ダイちゃんは、
「もしかしてこいつらヒーローか?あまりかっこいい名前じゃないな。」
 上からバソレは、
「どうじゃ。無駄とは思うが5人で逃げる方法でも相談でもするか?」 

第707話

バソレは家の横にどっかり座り込んで言った。
「その家はお前たちが自由に使え。 まぁ、余も自由に使うがな。
 その中で作戦でもなんでも考えるがいい。」
部長は、
「くそ・・。 どうにもならないのか。」
大ちゃんは、
「でも人数も増えたし、何か方法が見つかるかも。」
ダイちゃんは、
「そうだな。 あいつらも一応ヒーローみたいだし。」
ダイちゃんはニショブとベルに言った。
「僕たちもヒーローなんだ。 僕はリーダーのダイ。
 あいつらは僕の手下ども。
 君たちも僕の仲間になるなら手下にしてやってもいいよ。」
ニショブは、
「えーと・・・。 手下は遠慮しておくよ。
 でも人数が多いほうがいい案が出るだろう。 とりあえず家の中へ。」
部長たちはニショブに続いて家に入っていった。 

しておくよ。 でも人数が多いほうがいい案が出るだろう。 とりあえず家の中へ。」
部長たちはニショブに続いて家に入っていった。 

第708話

「結構中は広いな。」
 家の中に案内された部長は言った。さらに、
「そうだ。あいつを呼ぼう。」
「いや、やめとこうよ。」
「まだ名前を出してないだろ。」
「出さない時点でわかるよ。」
「まだほかに仲間がいるのか?」
 部長とダイちゃんの会話に、ベルが言う。部長は、
「いるにはいる。命令には忠実に従うのだが、ほっとくと何をするか
 わからない。出来ればつれて来たくは無いのだが、むこうに置いた
 ままでも心配だ。」
「厄介そうなやつだが、呼んでくれ。さっきも言ったが人数は多い
 ほうがいい。」
 ニショブが言う。大ちゃんは、
「でも大丈夫かな? テレポートで石本のお兄ちゃんを呼び出せると
 思うけど、力を利用されたりしないかな?」
 部長は、
「ここから逃げ出そうとするのならともかく、こっちへ呼ぶのなら
 大丈夫だと思うけど。」
 ダイちゃんは、
「そうだな。もしこっちで何かあったらお仕置きすればいいか、ここの
 二人にも手伝ってもらって。」
(断ったはずなのに、手下扱いされている……)
 ニショブは思った。そうしている間に、大ちゃんは石本の姿を思い
浮かべ、こっちへくるように念じた。

-ドッスン-

 両手に食べ物を持った石本が部長たちの前に落ちてきた。石本は、
「え?あれ?ここどこ?」
 石本はわけもわからず周りを見回している。部長は、
「いったい何やってんだ、石本。もしかして宇宙船の食料を勝手に……。」
「あ、えっとちょっと味見を……。」

 その時である。部長たちのいた部屋は大きな窓のある部屋、そこを外から
あけ、バソレの巨大な手が向かってきた。 

第709話

部長が、
「なんだ突然! やっぱり石本を呼んだのがばれたのか?」
バソレの巨大な手は、部屋の隅にあった本棚をくしゃっと握りつぶした。
その後、外からバソレが言った。
「今からこの部屋の大掃除じゃ。 ゴミは全部握りつぶして捨ててしまうぞ。」
そう言って家具を次々と握りつぶしていく。
ニショブが、
「ここはもう駄目だ。 二階のの部屋に逃げるぞ。」
部長たちはバソレの手を避けながら、なんとか部屋から出て二階の部屋へと向かった。
部長が、
「ふー、危なかった。 それにしてもあいつどういうつもりだ。
 俺たちにここで相談しろと言っておいて。」
大ちゃんが、
「でも仕方ないよ。 敵だし。」
ダイちゃんも、
「そうだぞ。 敵の言うこと真に受けるなよ。」
部長は、
「・・・・。 じゃあ、どの部屋にいても危険じゃないか。」
するとベルが、
「まぁまぁ、外よりは少しは安心ということで・・」
部長は、
「うーん、少しも変わらない気もするが。」
ニショブが、
「とにかく、また邪魔されないうちに早く作戦を立てよう。」
すると石本が、
「あのー、僕呼び出されたばっかりでまったくわけわかんないんですけど・・・」
部長が、
「ああ、お前はわかんなくていいよ。
 作戦が決まったらその通りに動いてもらうだけだから。」
「そ、そんなー。」 

第710話

「とは言うものの、何かいい作戦なんてそう急に思いつくわけじゃ
 なしいな。」
 ベルが言う。大ちゃんが、
「でも何とかしないとこのままじゃ……。」
 その後も話しながら全員が2階のひとつの部屋に入った。
「おい、あいつどうしてる?」
 ダイちゃんが言うと部長が窓の外を見る。
「うーん、この窓から見えないな。どこかへ行ったのか、あるいは
 この窓から見えない方向にいるのか。」
「それじゃ誰か外へ行って様子を見てきてよ。そうだ。」
 ダイちゃんはそう言った後石本の方を見た。
「ええっ、いやだよー。」
「ただ様子を見てくるだけじゃないか。」
「絶対それだけですまないような気がする。こっちから見える場所に
 来てくれたらいいのに。」
 するとニショブは、
「そうだ。それがいい。やつを家へ呼び込もう。」
 ダイちゃんは
「無茶言うなよ。」
 ニショブは、
「やつは俺たちが巨大化すれば同じように大きくなる。反対に小さくなれば
 あわせて小さくなる。つまり、やつがこの家に入れるくらいのサイズに
 なるまで俺たちが小さくなって家に誘い込むんだ。」
「しかし、どうやって誘い込むかだな。」
 部長が言うとダイちゃんが、
「そこでこいつの役に立つときが来るわけだ。」
 そういって石本を指差す。石本はもちろん、
「いやだよー。」
「そうは言っても命令なら、断れないよ。」


 さて、こちらは家の外にいるバソレ、
「さて、こんどはこびとたちをどうしてやろうか。」
 そのとき自分の足元に何かが動いてるのを見つけた。もちろん先ほど
バソレを誘い込むよう命令された石本だ。
「様子を見に来たろうが、そうは行かんぞ。しばらく動けないくらい
 思いっきり踏み潰してくれよう。」
 そう言ってバソレは片足を上げると石本は消えた。のではなくバソレから
見えないくらい小さくなった。しばらくするとバソレも同じように小さく
なる。足元では見えるようになった石本が家の玄関へ向かってちょろちょろ
と走っていく。
「なるほど、余をこの家に誘い込もうと言うわけじゃな。ちょうど
 こびとどもをと遊ぶ新しい方法が無いか考えていたところじゃ。」


 一方、こちらは家の玄関、小さくなった部長たちは玄関の靴の陰などに
隠れている。
「で、これからどうするわけ?」
 ダイちゃんが言うと、ニショブは、
「いや、その後は考えていない。」 

第711話

ダイちゃんが、
「おい、先のこと考えずによく作戦を実行したな。」
ニショブが、
「いや、まぁとりあえずあいつが見える位置にいる方が安全だろう。」
ダイちゃんは、
「そりゃあ、不意打ちくらうよりはましだけど・・」
すると大ちゃんが、
「あのー、ちょっと気になったことがあるんだけど。」
部長が、
「気になったこと?」
大ちゃんはニショブ達に話した。
「僕たちはこの家に来るまでにバソレと戦ってて、
 そのとき何度か巨大化したり小さくなったりしたんだけど。
  そのときニショブさんたちも変化したのかなと・・」
部長が、
「なるほど。 俺たちがこの家の前に来たときかなり縮んでいたからな。
 バソレのやつもさっきの俺たちより小さかったはずだ。」
ニショブが、
「ふむ。 君たちが来るまでは巨大化も縮小もしていないな。」
大ちゃんが、
「ということは、ニショブさんたちがバソレより一時的に大きかったかも
 しれないんだ。」
ダイちゃんが、
「どういうことだ? あいつは僕たちに合わせてサイズが変わるんだぞ。」
部長は、
「つまり、その能力は範囲が限られてるって事だな。
 その範囲外で巨大化してもあいつに影響はないってことか。」 

影響はないってことか。」 

第712話

 ニショブは、
「なるほど。」
 そう言ってしばらく考えた後、
「しかし、うまくいくかな?」
 ダイちゃんが、
「なんだよ。誰かがおとりになってあいつをひきつけている間に離れた
 ところに言って巨大化すればいいだけジャン。」
 部長が、
「じゃ、誰がおとりになるかだが……。」
 その時である。玄関の扉の下の隙間から、石本がもぐりこんできた。
石本は、
「もうすぐあいつが入ってくるよ。」
 するとダイちゃんが、
「そのままあいつを家の奥まで誘導してよ。僕たちはその隙に外へ
 逃げるから。」
「ええーっ!?」
 その時である。

−バァァァーン−

 ものすごい音がして玄関の扉が開いた。もちろんバソレだ。
「家の中へ入ったな。さて、どこに隠れたのかな。」
 そういって周りを見回し、石本を見つけた。石本は、
「えっ、あっ、その……。」
 何か言おうとしたが、足が勝手に家の奥のほうへと向く。バソレは
石本を追おうとしたが立ち止まり、
「うむ、誰かが余を見ているようじゃ。」
 そう言って周りを見回した。大ちゃんが近くにいたダイちゃんに、
「もしかして、気づかれた?」
「こっちじゃないみたいだけどね。」
「大丈夫かなぁ。」
「もし見つかってもさっきの薬のおかげて、死ぬことは無いだろ。」
「そりゃそうだけど……。」
 そのとき、
「そんなところに隠れておったのか。先ほどのこびとといっしょに
 遊ぶとするかのう。」
「わぁぁぁっ!!」
 ニショブの叫び声が回りに響いた。そのあとすぐにバソレは石本も
捕まえ、
「ほかのこびとは後の楽しみにしておこう。」
 そういって家の奥のほうへと歩いていった。 

第713話

ダイちゃんが、
「よし、今の内に外に出よう。」
ダイちゃん達は玄関の扉の方に駆け寄った。
が、扉はピッタリと閉じられて外に出れそうな隙間がなかった。
大ちゃんが、
「これじゃあ出られないよ。」
ダイちゃんは、
「こんな扉、さっきまでの大きさなら簡単に開けられるのに。
 ちょっとだけ大きくなって開けようか? 」
大ちゃんが、
「ダメだよ。ちょっとでも大きくなったらバソレが家より大きくなって
 潰れちゃうよ。」
ダイちゃんは、
「じゃあどうやって出るんだよ。」 

第714話

「しょうがない。どこかほかの出入り口を探そう。」
 ダイちゃんが言うと部長は、
「石本にもにも手伝わせたいが、命令の聞こえない場所へ連れて行かれて
 しまった。」
 ダイちゃんと大ちゃん、部長とベルは、自分たちが通り抜けられそうな
隙間が無いか探し始めた。


 さて、一方こちらはバソレにつかまってしまった石本とニショブ。
バソレの手の中から脱出しようにも普通なら一瞬でつぶれてしまうような
力で握られているのだ。その力を跳ね返して脱出するなど不可能である。
バソレは、
「この家はお前たちが生活するためだけではなく、余がこうやって入って
 楽しむためのものでもあるのだ。さすがに強く握り続けるのも疲れる
 のう。」
 そういって手を開き、二人を左手に持ち替えた。石本はニショブに、
「いったいどこに連れて行かれるの?」
「おそらく、『開かずの間』だ。この家には鍵がかかっていてどうしても
 入れない部屋が家の中央にある。」
 バソレはその部屋と思われる扉の前に立ち、右手をドアの取っ手の
すぐ横にある、手の形をしたマークに自分の手を押し当てた。マークが
光ると、ドアの内部で鍵の外れる音がして、ドアが開いた。

「さあ、ここで遊ぶのは久しぶりじゃ。何をしようか。」

 バソレはそういって部屋へと入った。 

第715話

石本は、
「またこの人におもちゃにされるのか・・・」
と、初めてバソレに捕まっていたときのことを思い出した。
バソレは、
「よし、お前たちはとりあえずここに入ってろ。」
そう言って部屋の中のテーブルに置いてあるグラスの中に石本たちを放り込んだ。
グラスの中から部屋の様子が見える。
そこは、この家のほかの部屋とは全然違っていた。
他の部屋は一般的な民家の部屋と言う感じだったが、
この部屋だけはいろんな装置に囲まれた、近未来的な雰囲気の部屋だった。
バソレが何か小さなものを持ってグラスに近づいてきた。
「まずはこれで遊んでみるか。」
バソレは持っていた小さなものをグラスの中に入れた。
石本たちの前に落ちてきたものは、錠剤のようなものだった。
もちろんバソレにとっては小さな錠剤だが、石本たちにとっては両手で
持てるほどの塊だった。
「その薬は大きくなる薬なんじゃ。 一人で1つ飲まないと効果はない。
 だから二人でわけても意味はないぞ。
  ほら、大きくなりたいなら奪い合うんじゃ。」
石本は、
「大きくなる薬・・・。 悪いけどこれは僕がもらうぞっ!」
バソレはニヤニヤとグラスを眺めていた。
バソレが言ったことは嘘で、実はその薬は小さくなる薬だったのだ。 
小さくなる薬だったのだ。 

第716話

「おい、ちょっとあやしく……。」
 実は石本と奪い合うのではなく、割と冷静だったニショブは石本に
言ったが石本は、
「そんなこと言ってもあげないよー。」
 そう言って自分から見ればひとかかえもありそうな「錠剤」をかじり
始めた。

-ガリガリ、パクパク……-

 まるでアニメの一シーンを見ているようにあの大きな塊はすぐに石本に
食べつくされてしまった。
「どうじゃ、おいしかったか。」
 バソレはグラスの中の石本に話しかける。
「うーん、今思い出すとオレンジ味ぽかったような……。ところで
 いつ効果が出るの? 」
 そう言ったとたん、石本の体は小さくなり始めた。
「アレー、大きくなるはずじゃ……。」
 今度はバソレはニショブに話しかける。
「さあ、もうそろそろじゃないか、小さくなった相手を見て、冷静で
 いられるのは……。」
 確かにニショブはバソレの言うとおり、石本を見下ろしながら何かの
感情を押さえきれなくなってきていた。
「さすがにこれほど小さいと、くわしく見ることは出来ん、ここの装置の
 力を借りるとするかのう。」
 バソレはそういって部屋の壁にある赤いスイッチのひとつを押した。
するとすぐ横のモニターにグラスの中が映し出される。さて、その
ニショブは石本を見下ろしながら、
「もうどうしても我慢できなくなった。俺のおもちゃになってクレ!」
 そう言ってしゃがみ、石本をつかもうと手を伸ばした。 

第717話

石本はあっさりニショブの手に捕まってしまった。
「ひどいよー。 おもちゃにするなんてー。 放してよー。」
石本はじたばたともがくが、ニショブの手はびくともしない。
ニショブは、
「あやしいと忠告したのに食べるからだろ。
 それに、なんだかお前を見てるとおもちゃにしたくて我慢できなくなってくる。」
バソレはそれをニヤニヤ見ながら言った。
「その薬は小さくするだけではないんじゃ。
 体から自分をおもちゃにしたくなるフェロモンのようなものを出すんじゃ。
 どんな真面目なやつでも、それで小さくなった者の前では
 弄びたくて仕方なくなるのじゃ。」
石本は、
「そんなー。」
ニショブは、
「なるほど、この我慢できない衝動はそういうことらしい。
 悪いが、もう限界だ。 遊ばせてもらうぞ。」
バソレは、
「そうじゃ、おもいっきり遊んでやれ。
 ふふふ。こびとがさらに小さなこびとを弄び、それを巨大な余が見下ろす。
 いい眺めじゃ。 じゃが、眺めてるだけではつまらん。
 余も気持ちよくなりたいからのう。」 

第718話

「聞いたでしょ。早く逃げないとおもちゃにされちゃうよー。」
 ニショブの手の中の石本は叫んだ。ニショブは、
「そ、そうかもう少し詳しく説明してくれ。」
「そういわれても……。」
「いや、説明を聞いていると冷静さを保てそうな気がする。わからな
 かったらなんでもいいから思いつくまま話してくれ。」
「ええっ、えっとねー。昔々あるところにおじい……。」
 適当に話し始めた石本だったが、ニショブの握る力が強くなり、
苦しくて話せなくなったのだ。ニショブは、
「これではだめだ。ちゃんと話をしてくれないと、握りつぶしてしまい
 そうだ。」
 石本は話すどころか苦しくてニショブの指を必死で押し返そうと
していたが、動くはずが無かった。しばらくしてニショブの握る力が
弱くなり、石本は再び話すことができるようになった。石本は、
「僕が小学生のころ……わぁぁっ!」
 石本が話し始めると、ニショブの握る力が強まり石本は苦しくて
話すどころではなくなった。ニショブは石本をにらみつけながら、
「さあどうした。何か話せ。話さないと握りつぶしてしまうぞ。」
 それを見ていたバソレは、
「これはなかなか面白いのう。しばらく様子を見ようか。遊ぶのはその
 あとでもよかろう。」 

第719話

その頃、ダイちゃんたちは家から出られそうな場所をまだ探していた。
大ちゃんは、
「出られそうなとこないね。」
ダイちゃんが、
「まだ探したり無いんだよ。 今の僕たちぐらい通れる穴、どこかにあるよ。」
部長は、
「たしかにあきらめたくは無いが・・・。
 これだけ探しても見つからないんじゃなあ。」
すると大ちゃんが、
「あ、あったよ! 穴があった。」
大ちゃんが指差す方を見ると、たしかに外に通じる穴があった。
が、それは今の大ちゃんたちでも少し小さな穴だった。
ダイちゃんが、
「なんだよ。 これじゃ通れないじゃん。」
部長も、
「うーん、あと半分ぐらい小さけりゃ通れそうなんだが・・・」
大ちゃんが、
「ここを通る間だけ小さくなるってのはどうかな?」
部長が、
「大きくなるとバソレも巨大化して家が潰れるが、
 小さくなる分には被害は無いか・・・」
ダイちゃんは、
「でも僕たちが小さくなるとバソレも小さくなるんじゃないの?
 そうすると気づかれちゃうよ?」
すると大ちゃんは、
「それはたぶん大丈夫だと思う。
 僕たち全員が小さくなればバソレも小さくなるけど、
 1人でもそのままの大きさならバソレも変化しないんじゃないかな?」
ダイちゃんは、
「んー? どういうことだ?」
部長は、
「なるほど。 もし全員小さくならなくてもバソレが小さくなるなら、
 誰か一人が小さくなれば他のみんなで倒せたはずだもんな。
 それができないということは、一人でもこのままの大きさでいれば
 バソレに変化は無いってことか。」
ダイちゃんは、
「ふむー。 なんとなくわかったけど・・・」
大ちゃんが、
「今はニショブさんたちが捕まってるから、
 僕たちだけが小さくなっても大丈夫なはず。」
部長が、
「そうだな。 じゃあ、大ちゃん頼む。」
大ちゃんは念じてみんなを半分のサイズに縮めた。
「よし、これで通れるぞ。
 あとはバソレが変化しない距離まで離れられれば逆転だ。」 

第720話

 何とか穴を通り抜けられるサイズになった部長たちは次々と穴に入り、
向こう側の出口を目指した。しかし……。

「なんか長くないか……この穴。」
 ダイちゃんが言った。外に出るために穴に入った部長たちだったが、
単に壁にあいた穴と思われたが、その長さはかなりのものだった。
「まさかとは思うが、このまま狭くなって、詰まって動けなくなるのは
 困る。」
 ベルが言うと大ちゃんが、
「あれ?この先広くなって言ってる。向こうも明るいし、出口じゃない?」
「やったー。」
 ダイちゃんが言った。
「ちょっと待った。」
 部長が言うとダイちゃんが、
「なんだよ。」
「いや、まさかとは思うが、念のため外が安全か確認したほうが……。」
「お、なかなかいいこというな。リーダーの僕もそう考えてたんだ。じゃ、
 先へ行って確かめてきてよ。」
 部長はまずいことを言ってしまったかと思ったが、ベルが、
「私が見に行こう。」
 そういって一番先に外へ出た。


「戻ってこないな。」
 部長は言った。そして部長たちはしばらく待ってたが、ベルが戻って
くる気配が無い。するとダイちゃんが、
「何かあったな。今度は誰が……。」
 すると大ちゃんが、
「もしまた何かあったらどうするの?全員で周りを注意しながら外へ
 出たほうがいいかもしれない。」
 ダイちゃんは、
「うーん、仕方が無い。リーダーの僕についてきて。」
 そういって部長たちは外へ出た。が、周りは特に変わった様子は
無い……と思われた。部長は目の前に先ほどまでいた家ではなく、
やわらかい壁のようなものが目に入った。
「む、何だこれは?」
 すると上から声がした。
「私の名はモゲーピ、サイズを変えられるやつが唯一出られる穴から
 逃げ出さないよう見張っている番人だ。」
 部長たちの何倍もある巨人が、ベルを握り、見下ろしていた。 

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