文藝サイト「西向の山」 ホーム文学散歩>軽井沢文学散歩<小川ゼミの部屋

小川和佑先生と歩く軽井沢  〔2〕  〈軽井沢編〉    〈信濃追分編〉

〔1〕序〜新軽〜矢ヶ崎大橋〜りんどう文庫 〔2〕ささやきの小径〜旧サナトリウム 〔3〕旧軽銀座〜観光会館〜神宮寺の桜
〔4〕近藤長屋〜つるや旅館〜ショー礼拝堂 〔5〕二手橋〜犀星文学碑〜白鳥文学碑 〔6〕水車の道〜片山別荘〜聖パウロ教会
〔7〕テニスコート〜万平ホテル〜三笠ホテル 〔8〕碓氷峠見晴台〜万葉歌碑〜御風歌碑 〔9〕熊野皇大神社〜吾妻はや〜アリスの丘

堀辰雄の『美しい村』『風立ちぬ』の三度山麓へ

 矢ヶ崎公園脇の道から、ほぼ平行して走る本通りへは戻らず、三度山方面へ別荘地内の道を右折。

三度山別荘地の道

ささやきの小径

堀辰雄『美しい村』『風立ちぬ』の舞台 やがて交差する矢ヶ崎通りを左折し、すぐの二股を矢ヶ崎川沿いへ向かう。すると川の向こう側に見えてくるのが、『風立ちぬ』の“場所”の方角です。ちょうど先生が挙げた左腕が指し示す、ガードレールの向こう側。樹林のあいだを登っていくと、急に視界が開け、愛宕山や離山が一望できる展望地に出ます。


旧サナトリウム

 この「ささやきの小径」をもう少し東北へ行くと、旧サナトリウムがあります。このサナトリウムは大正13年に建てられた純洋式の木造二階建ての建物で、少なくとも17年前までは「旧軽井沢ヴィラ」という名のペンションとして残っていました。
*今回は紅葉に気を取られて見過ごしてしまいました。写真は昭和61年当時の姿。

1986年当時の旧サナトリウム(旧軽井沢ヴィラ)

 木の間から赤い屋根の洋館が見え隠れする風景。そしてアカシアの並木。そんな景色を矢野綾子は愛し、というより堀辰雄が示唆し、画布を広げにしばしば訪れたという。もちろんその傍らには、いつも堀辰雄が……。
 いや、このあたりのことは、私が駄文を書くまでもない。『美しい村』の原本を読んでください。インターネットでも読めます。→堀辰雄『美しい村』(青空文庫)
 小川和佑先生の『堀辰雄 その愛と死』(昭和59年1月旺文社文庫)には、地図や図版を交えて詳しく解説されています。以下の引用は、万平ホテルの広告にも使われている有名な個所。 

 或る日のこと、私は自分の「美しい村」のノオトとして惡戲半分に色鉛筆でもつて丹念に描いた、その村の手製の地圖を、彼女の前に擴げながら、その地圖の上に萬年筆で、まるで瑞西あたりの田舎にでもありそうな、小さな橋だの、ヴイラだの、落葉松の林だのを印しつけながら、彼女のために、私の知つてゐるだけの、繪になりさうな場所を教へた。
     ――堀辰雄『美しい村』「夏」――

 昭和8年5月、季刊「四季」を創刊し、6月に軽井沢入り。9月まで滞在。堀辰雄満28歳の夏。

旧軽の紅葉

思えば、10月の軽井沢は初めて。紅葉が綺麗でした。


Prev/軽井沢文学散歩〔1〕 文学散歩 軽井沢文学散歩/Top Next/軽井沢文学散歩〔3〕

西向の山/HOME Copyright © 2003-2004 Nishiyama Masayoshi. All rights reserved. (2003.12.17-2004.12.30)