スーパーマリオブラザーズ2
著・沢田ユキオ
徳間書店
1986年12月30日刊行
プロローグ
第1話 哀しみのクリボー
第2話 大空中戦!! メカノコノコ
第3話 強敵!! パックンフラワー
第4話 パタパタの挑戦
第5話 恐怖の水攻め!!ゲッソー
第6話 海底バトルロイヤル
第7話 なるほど・ザ・クイズワールド
■1985年に発売されたスーパーマリオブラザーズは、ご存じの通り世界的なヒットを記録した。そして、その続編として、 1986年にスーパーマリオブラザーズ2が発売されたのである。
■これは任天堂がファミコンの据え置きとして開発した”ディスクシステム”によってプレイできるもので、”1”に比べると、 毒キノコが出てきたりと、かなり意地の悪い難しさとなっているようだ。
■そのソフトの発売を契機に、わんぱっくコミックの編集部はストーリーマンガを載せようと思ったのだろう。
■確かに今までスーパーマリオブラザーズはこばやし将が攻略マンガを描いていたが、本格的なストーリーマンガの連載は わんぱっくコミックにおいては、恐らくこれがはじめてではなかっただろうか。
■わんぱっく編集部は、その人選に沢田ユキオを選んだ。まあ今更解説するのも何だが、あちこちでクイズやパズルの製作やイラストの 仕事をしていた人である。
■これまでにも”魔界村”などのマンガを雑誌に連載していたが、実力を見込まれて、ゲームの花形であるマリオのマンガを描くことに なった。ということで、おそらく86年2月あたりのことなのだろう、『スーパーマリオブラザーズ2』の連載が始まったのだった。 この作品は乱丸の『リンクの冒険』と共に、雑誌の中でも人気の連載となる。
■これをきっかけに、この先10年以上に渡って沢田ユキオのマリオが続いていくことになる。 まあ、当時の徳間書店の編集者も作者本人も流石にそう予測してはいなかったのではないだろうか………。
プロローグ C-B
■はっきりいって今とほとんど画風が変わっていない。恐るべし。
■ルイージ(この頃はまだ帽子にトーンが貼られていた)がマリオを探しに走る場面から話は始まる。

■キノコ暦1986年、マリオとルイージのもとにクッパから立体ビデオ郵便が送りつけられてきた。それをプロジェクターで再生すると、 クッパの立体映像が現れたのだった。
■クッパの顔が、後年のものと比べるとかなり違って見える。まるで別の動物みたいだ。なんというか獅子みたいな…。 角も外側に反っている。

■それはともかく。マリオとルイージは8ワールドを攻略してピーチ姫を救出したはいいが、なんとなんと、ピーチ姫を忘れて帰って来てしまった のだった(あほだ…)。

■と言うことでピーチはまたクッパに捕まってしまい、違うワールドに連れ込まれてしまい、マリオブラザーズが救出するために 再び笑いと涙の旅に出発する。最後にクッパ(のホログラム)がまた現れて”立ち読みしないで買ってね”とお別れの挨拶を言う。
第1話 哀しみのクリボー B
■記念すべき第1話。いきなり背景が墓場となって、間違えて魔界村の世界に入ってしまったりするが、とにかく旅は始まる。

■いきなり第1の敵キャラとして現れたクリボー。マリオは踏んづけてやっつけようとするが、クリボーはダッシュで回避する。 そのクリボーは、大魔王クッパによって改造されたパワーアップクリボーだったのだ。そしてクリボーは通常だとありえないジャンプ をする。
ルイージがその物凄いジャンプ力でやっつけようとするが、炎によってあえなく撃沈。そこでマリオは”コントローラヌンチャク”で クリボーを倒す(やっぱり結構あっけない)。

■クリボーは、自分の家は貧しくて、母親も病にたおれて、食べ物も何にもなくなり、その時ついクッパの誘惑にのって改造されたの だという事をマリオ達に語り、マリオはそんなクリボーを哀れんで今までに集めたコインをクリボーにあげる。

■と、マリオが珍しいキノコを発見して食べようとする。するとクリボーがそれを阻止しようとして、誤って食べてしまう。 そしたらクリボーは巨大化し、マリオとルイージに襲いかかる。
クッパのホログラムが現れ、”クリボーの精神は毒キノコによって狂わされ、二度と元には戻らない”と言うようなことをいって 消え、マリオとルイージは狂った巨大クリボー相手に戦わなければならなくなった。

■結局なんとかマリオとルイージはクリボーを元に戻らせることが出来て、一件落着という事になるが、マリオとルイージの冒険は まだまだ始まったばっかりなのであった。これが第1話。

■”コインをマタにはさんでキンタマリオ”等という当時を知る人には懐かしいギャグも登場する。
第2話 大空中戦!! メカノコノコ C
■最初の7ページはカラー原稿だったらしい(単行本だと白黒)。編集部の力の入れようが見てとれる。
■マリオはいきなりピーチと再会するが、これはただの夢。ところが、目が覚めてから再び歩き出したとき、二人はピーチと本当に 再会してしまう。
『あっけなく終わったな』と言いつつもピーチと一緒に帰るマリオ達。ピーチ姫が疲れたので休みましょうと言ったので岩陰で休むことにする。

■ところがピーチ姫が、二人が寝込んだのを見てとって、いきなり豹変し、大岩を持ち上げてマリオとルイージを下敷きにしようとする (『いいユメ見なよ…』)。マリオとルイージは何とか回避するが、今目の前にいるのが本物のピーチ姫ではない事を悟る。

■ピーチ姫の正体はノコノコだった。マリオはこのノコノコがただのノコノコではないと思うが、け飛ばしてみると案外あっけなく ひっくり返る。
ところが、そこに罠が隠されていた。『カメ』とひっくり返すと『メカ』。ということでノコノコはメカノコノコに変身する (た…他愛もない…)。

■メカノコノコは空中からビーム攻撃してくるので手の出しようがない。そこでルイージは雲にパワーアップキノコを食べさせる。 すると雲は”スーパー雲さん”となってマリオとルイージを乗せ、二人はメカノコノコと渡り合う。メカノコノコはビーム攻撃 してくるが、雲はそれを吸収(雲、エライ)、マリオとルイージがファイアコンビネーションによってメカノコノコを爆発炎上させる。

■ノコノコはクリボーと違って不幸な境遇とか、そういうものはないようだ。第1話ほど深い話ではない。
第3話 強敵!! パックンフラワー C
■また序盤がカラー。やる気満々(編集部が)。
■まずクッパ城での場面が出てきて、クッパがピーチに婚約指輪をプレゼントするのだが、クッパの指に合わせて作ったので まるでチャンピオンベルトみたいな感じになってしまう。そしてピーチ姫は何とその巨大指輪を踏んづけて、”だれがあんたみたいな 化け物のおよめさんになるものですか!”と言ってクッパに指輪の残骸をぶつけるのだ。クッパの鼻に刺さって鼻輪みたいになる 婚約指輪。

■……当時の『さらわれるだけの姫』にしては相当強いでごんす。このピーチ姫の強気は2巻でも遺憾なく発揮されることになる。

■マリオとルイージが冒険を進めていると、土管があった。立て札には”コインザクザク、あなたも億万長者”とある。 マリオはそれにつられて中に入り、ルイージもそれに続く。
地下には本当にコインが沢山あったが、そこに近づこうとすると、巨大なパックンフラワーが出てきて襲いかかってきた。逃げるマリオと ルイージは土管で地上に飛び出した。パックンフラワーは移動できないから地上に出てしまえば安心、という訳だ。
しかし、パックンフラワーは土管ごと外に飛び出してきた。足があって移動できるのだ。『こいつもニュータイプだったんだ』とルイージ。

■ファイアフラワーがないので逃げるだけのマリオとルイージ。そうしているうちに、マリオの上に巨大な網が被さって、マリオは 赤ちゃんになってしまう。パックンの使った網は”タイムバックあみ”で、時間を逆流する作用をもっているのだ。無抵抗の赤ん坊の 状態にしてから食べようというのだ。
赤ちゃんマリオ登場。ヨッシーアイランドの出る10年も前のマンガに。……ただ、ここでは赤ちゃんマリオはおむつ姿ではなく、 裸にオーバーオールといういでたちとなっている。まあ言うなれば、ピーノみたいな(分かるかな)。ちなみに、ヨッシーアイランドで 見るような赤ちゃんマリオのような底知れぬ力、というものはなく、本当にただの赤ちゃんである。

■ルイージは再びスーパー雲さんに乗って一旦引き上げる。そして何とかタイムバックあみを取り上げる方法を考える。赤ちゃんマリオが 騒ぐのでキノコをおしゃぶりとして与える。

■結局力ずくであみを奪うことにしたが、その時赤ちゃんマリオが雲から落ちて、パックンフラワーの口の上の所へと落ちていく。 あわや赤ちゃんマリオはパックンフラワーに食われてしまうのかと思いきや、おしゃぶりのキノコがブロックに当たってスターが 出てきて、赤ちゃんマリオはスターに乗ってパックンの口の中へ。するとパックンフラワーは爆発して、中から無傷で赤ちゃんマリオが 出てくる。

■なんとか偶然スターが出てきたこともあって、マリオもスーパーキノコ畑に落っこちてキノコパワーで元に戻るが、キノコ畑の おっさんに畑を荒らした罰として働かなければならないことに………。なかなか赤ちゃんマリオが落っこちる辺りは白熱したコマ 運びだった。
第4話 パタパタの挑戦 C-D
■8ページフルカラー。よっぽどの人気が伺える。

一匹のノコノコがいた。鳥になって空を飛びたかったが、願いがかなって羽根が生えた。ところがそれが元で恋人にフラれ、グレて 悪の道を突き進み、クッパ大魔王の許にくだり、泣く子もだまるパタパタとなる。

■パタパタはマリオとルイージに襲いかかるが、初登場のオリジナル武器、キノコソードで羽根が取れ、元のノコノコに戻る。 『これでまたオカメちゃん(元恋人の名前)に会える』と言って喜んでマリオ達にお礼を言って帰っていくが、今度は『モグラに なりたい』と言ってオカメちゃんにまた絶交するわ、と言われてしまう。

■8ページだけあって、相当短くて何とも言いようがない。ただそれだけあってギャグは普段よりも気が利いている。結構コロコロの 『スーパーマリオくん』に近い。
第5話 恐怖の水攻め!! ゲッソー C
■前に一回通った時には一面の花畑だった所が、花が一本も咲いていない枯れ野原になってしまっている。マリオはそれに気づく。
進んでいくと、前方に石垣があった。この石垣が川の流れをせき止め、この一帯を荒野にしているのだった。

■すると、ゲッソー(かなり大きい)が現れる。こいつが川をせき止め、水の溜まった所を自分専用のプールにするゲッソーを マリオとルイージはやっつけようとするが、その時ひとかたまりの水が空中に浮遊してそれが氷に凝固し、包丁や手裏剣となって マリオ達に襲いかかる。このゲッソーは水を思いのままに操れる能力を身につけていたのだった。

■役に立つものがないかとマリオはブロックを叩くが、出てくるのはコンニャクやプリンといったものばかり。そこで腹が立って 大きな岩の塊をけ飛ばすのだが、それが何故だか”岩石キノコ”となり、マリオとルイージはこの岩石キノコでゲッソーを撃退 し、川の流れをせきとめていた石垣も決壊させる。

■これで一件落着かと思いきや、これは次の話に微妙に繋がることになる…。
第6話 海底バトルロイヤル A
■ACT.1 怒りのゲッソー
海の底にて。マリオとルイージに撃退されたゲッソー。屈辱に燃えていた。そんなゲッソーをプクプク(羽根が生えている)は『アホある』 『マヌケある』と馬鹿にする。そしてゲッソーに、自分がマリオ達にやられたことをクッパ大王に知られる前に彼らをやっつけることを 示唆する。そしてマリオとルイージがこの海に来る事を告げるとどこかに去っていく。ゲッソーに聞こえないように、 『このことクッパに告げ口するよろし』と言って…。
■ACT.2 再会
マリオとルイージは海の中を泳いでいた。マリオ(『スーパーマリオくん』のつるせこマリオのスタイル!)がコインを獲ろうとすると、 ゲッソーが現れて復讐を仕掛ける。
ゲッソーの氷攻撃の猛攻にマリオとルイージは海底の岩に変装して逃げ出すが、その先であるものを発見する。それは、沈没船だった。
■ACT.3 電気ショックの奇跡
沈没船の中に入ったマリオとルイージ。そこで電気くらげに取り囲まれ、よってたかって電気ショックを受ける。やられたかと思いきや 、魚とパワーアップキノコと電気が合わさって魚のメカになり、マリオ達はそれに乗ってゲッソーに勝負を挑む。
”ウ○チ型魚雷”など、くだらないギャグをかましながらも、両者の戦いは互角であったのだが………。
■ACT.4 クッパの城
一方、クッパの城では、さっきのプクプクがクッパに、ゲッソーが第5話でマリオブラザーズにやられたことを告げ口していた。クッパは当然 ながらこれを非常に情けなく思い、決意する。マリオもルイージもゲッソーもみんな一緒に死んでもらう、と。
クッパは『あまりにも凶暴すぎて、カメ一族のオーディションで落とした』という海底に眠る”ヤツ”を行かせることをプクプクに 命令し、プクプクはそれを喜んで引き受ける。
■ACT.5 死闘
全く勝負がつかない状況。そんな中でマリオ達とゲッソーは互いを認めるようになる。
と、そこに大激震が走り、新しい刺客が現れる。その名も”お化けサンゴ”。これこそがプクプクの呼び寄せた恐ろしい敵だった。 お化けサンゴは三人を殺すべく襲いかかる。その陰でこの見せ物を喜んで見物するプクプクの姿があった。
まずマリオとルイージを殺そうとするお化けサンゴ。ところがゲッソーが『それはおれの敵だ』と言って二人をかばい、 妨害するのでお化けサンゴはゲッソーを海底の穴にひきずりこもうとする。それを『借りは返さなくちゃな』と言ってマリオとルイージが ゲッソーを引っ張って助けようとする。
敵なのに助けようとする二人にゲッソーは心うたれ、泣き出す。

そしてマリオはフルパワーのキノコソードによってお化けサンゴのサンゴの部分を切り取り、お化けサンゴは撃退されたかのように 思えた。
ところが、サンゴの跡から今度は鋭く巨大なトゲが生えてきて、マリオとルイージを貫こうとする。そこへゲッソーが突っ込み、 トゲに串刺しにされる。ゲッソーの体の中に詰まっているという何百もの魚雷によってゲッソーはサンゴもろとも爆発して海の もくずと散る。

号泣するマリオ。涙ぐむルイージ。涙ぐみながら『あいつ、アホある マヌケある』とつぶやくプクプク。
■ACT.6 元気を出して
ゲッソーのために海辺の崖に十字架を立てたマリオとルイージは、にくむべきはクッパと言って、改めてクッパ城への冒険に 旅立っていった。遠くの雲の形はほほえむゲッソーとなっていた。

■この巻一番のおすすめ。『スーパーマリオくん』のボケとおマヌケだけの世界にはないものが、ここにあります。ゲッソーまで 殺そうとしたクッパの暴君っぷりも今はないもので素敵w
第7話 なるほど・ザ・クイズワールド B
■マリオとルイージの冒険は一段落、ボケ満載のクイズが行われる。土管によって”地獄のクイズワールド”に引きずり込まれた マリオとルイージは、そこの大王クイズッパに、クイズ6ワールドをクリアしないとここから出られない、と言われる。
クイズ製作は沢田ユキオの十八番といった感じで、『ボロボロの剃刀の国』、そのこころは『ソ連』などといった、なかなか面白いクイズが 目白押しだ。

■ちなみに最後のコマに出てくる”スイカ姫”は、ヨッシーアイランドだったかにも出てきたと言う。……ギャグの使い回しは この辺りのものからだったらしい。
画像こーなー
最初のクッパ

ほんと獅子みたいです。
総評
■やっぱりというか何というか、初々しい。確かに画風はほとんど変わっていないが、 何となくこっちの方が今と比べて全体的に丁寧に描かれているような気がする。
■それと、やっぱり当時はまだゲームコミックというものが出て間もなかったせいか、あまり規制も強くなかったようで、比較的 自由に話を作ることが出来たようだ。
スーパー雲さん、キノコソード、水を思いのままに操るゲッソーなど、かなりオリジナルな設定を持つキャラや道具がかなりの 数、出てくる。
■だが、何よりも圧巻は『海底バトルロイヤル』で、こちらも書いてて恥ずかしくなるような”熱い魂”のようなものを感じる。
ファミコンブーム真っ直中ということもあっただろうが、やはりこういうものはいくら『スーパーマリオくん』を見ても 見あたらないものだ。(2004年10月31日)
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