ポケットモンスタースペシャル
シナリオ:日下秀憲
作画:真斗
1997年9月25日刊行
小学館
■ジャジャーン、ついに出た。 ポケットモンスタースペシャルの改訂版レビューであります。

■ポケットモンスタースペシャルとは、 小学館の学年誌のうち「小学四年生」「小学五年生」「小学六年生」といった、高学年向けに連載されたポケットモンスターの漫画です。

惜しくも筆者・火気厳禁はこのころ小学二、三年生だったのでリアルタイムの読者にはなれませんでしたが、確かこの三誌では 微妙に掲載される話が違っていたように思えます。

このころ(今もですが)、漫画に関しては、ポケットモンスターはほとんど小学館の独占状態で、コロコロコミックや学年誌にポケモンの漫画が大量に 発表されました。

■シナリオを書いている日下秀憲に関してですが、実は意外と知られていないところが多いです。
生年とか出身とか、ポケスぺ以前にどういう活動をしていたか、ネットで調べてみたのですが、なかなかそういうものが出てこないのです。

■情報お待ちしております。

………真斗のプロフィールや消息に関してはまた今度でいいや。
第1話 VSミュウ
第1話の時点で、いきなり幻のポケモン・ミュウが登場する。


◆―――片田舎の街・マサラタウンでちょっとしたポケモン名人だったレッド。
自分の腕に自信を持っていた彼だったが、ある日それが打ち崩されることになる。

その晩レッドは、謎の男たち(実はロケット団)が追っていた"幻"のポケモン"―――に遭遇する。 ロケット団たちはマサラの西の森に幻のポケモンを追っていて、それを聞いてやってきたのだ。

そしてミュウと遭遇したレッドは、ニョロゾを出して、捕まえようとしたが、返り討ちにあってしまう。
傍らにはグリーン(このときはまだ名乗らない)がいて、こう告げて去っていった。

―――自分の実力以上に思い上がるやつは自滅する。
その傍らにいたレッドは、ショックを隠しきれなかった。

◆当時はミュウを手に入れるのにみんなが躍起になっていて、ミュウを出すバグ技が横行。
ソフトを破壊してしまった人もたくさんいた。
第2話VSゴーリキー
オーキド博士の登場。


◆自分が負けたことにショックを受け、なんとかして強くなりたいと思ったレッド。
そのヒントを得るために、オーキド博士の研究所へと向かう。

オーキド博士は、この漫画では”へんくつでガンコなじじい”という噂を持っているが、たしかに こっそり侵入したレッドを泥棒と決めつけ、後にも”警察に突き出す”と言っている(って当たり前か)。

侵入したら、はずみでそのとき研究所にいたポケモンが逃げ出し、二人して探すことに。

◆何とか1匹を除いて全部捕獲したレッドとオーキド。
その1匹は―――フシギダネであった。

フシギダネは、閉鎖されたトキワジムに逃げ込んでいた。 異常に警戒していた。 他の生きものに慣れて無かったのだ。 だが、レッドはそんなフシギダネを宥めるのに成功する。 と、そこになずか野生のゴーリキーが現れ、レッドに襲いかかる。 レッドはブラインドから差し込んでくる光の気づき、フシギダネの特性を活かしてソーラービームを出させ、ゴーリキーを撃退する。 オーキド博士はそれをみてレッドを許し、フシギダネをレッドに譲る。
そしてレッドの『強いポケモントレーナーになる方法が知りたい』という問に対し、こう答える。

"キミが先ほどポケモンと通わせた心…。 その心こそが、誰にも負けないポケモントレーナーとなるための道になるのじゃ。"

これこそが、作品全体のテーマであると筆者は考える(なんだこの文章)。
レッドはポケモン図鑑をわたされ、旅に出る。

◆……旅に出るのはいいけど、親御さんはどう思ったんでしょうかね。
ゲームやアニメのとは違い、この漫画ではレッドたちの親の存在が全く欠落している。

まあ書いたら書いたで、展開が七面倒くさくなるし、はっきりいって無くても不要な存在だろう。
第4話 VSピカチュウ
第5話 VSイワーク
ここからは省略して書く。
面倒くさいから、というのもあるが、何しろ読者のみなさんはネタばれがいやろうだからである。


◆2話あわせてニビシティジム戦。
永遠の王道コンビであるレッド&ピカチュウの成立でもある。

アニメ版と同じく、ピカチュウはその愛くるしい姿とは正反対に、屈折した一面を見せる。

このポケスぺ版のピカチュウは、ニビシティの間で悪名高いネズミとして登場する。
ニビの店の品物をめちゃくちゃにするのだ。

レッドは捕まえて仲間にするが、なかなかなつかなかったりする。

◆友情のきっかけはニビシティのジムリーダー、タケシとの戦いである。
アクションシーンに関しては、とくに言うことはないものの、ここでもレッドの暖かさは光る。
そして何よりあのピカチュウの初陣ということで………。
第6話 VSギャラドス
第7話 VSサイドン
第8話 VSスターミー

場面変わって、カスミが登場する。


◆ただの「ジムリーダー」として登場したタケシよりも、かなり人間的に細かく描かれている印象である。
ちなみになんとなくアニメではタケシの方が人間的に細かい(笑)気がする(おねーさぁ〜ん)。

もともとカスミのポケモンであったギャラドスが凶暴化したものと戦うことになるが、これも後への伏線となる。

◆オツキミ山での対サイドン戦だが、ここでのアクションはかなり光っている。吹っ飛ばされたピカチュウの動きは秀逸である。
真斗に乾杯。

またロケット団が登場し、戦闘となる。
この作品の今後の巻のレビューにとても差し支えがあるので書くが、ここであのジムリーダーの キョウはロケット団であることがわかる(読んでいない方は禁ドラッグ)。

◆とりあえず、カスミとは普通にポケモンバトルをしてバッヂをもらう。
ちょっと浮かれて、思い上がっていたレッドの精神をたたき直す―――と言うと言い過ぎだが、目を覚ましてくれる。
第9話 VSオニドリル
みさきの灯台のマサキの話。


◆ポケモン研究者であるマサキが、転送マシンの誤作動でポケモンにされてしまった、というゲームのネタを元にしているが、ここではそのマサキが 野生のオニドリルに襲われる。

◆ここで、初めて複数の技を組み合わせて読者をアッと言わせる仕掛けを用意している。
これはこの漫画にだけみられる特徴であり、長所でもある。
第10話 VSビリリダマ
第11話 VSエレブー

面倒だったからか、サントアンヌ号とマチス戦を一緒にしている。


◆ここではサントアンヌ号は”悪者の船”である。
マチスも悪役、ということになっているが、その訳は後の巻まで読んだ方には明白だろう。

ポケモンだけでなく、人間(トレーナー)も攻撃を受けることになるのは、当時にしてはかなり斬新な設定であったように思える。
明らかに、エレブーは、レッド本人を殺そうとしていた。

ここでニョロゾがニョロボンに進化するが、それはずっと後の巻で重要な伏線となる。

◆気になるのは、マチスが行方不明になる前に、どうやって彼からバッヂをもらったのだろうか……?
第12話 VSカビゴン
番外編みたいなもの。
他の話に比べるとわりと軽いコミカルタッチな出来。


◆優勝賞品のひでんマシン目当てにレッドが自転車競争するうちにカビゴンに出くわす。
ちなみにこのカビゴンはレッドの仲間になる。
第13話 VSコダック
第14話 アーボック

シオンタウンのポケモンタワーの話。
やはり地味で、しかもオツキミ山に比べると遙かにつまらないイワヤマトンネルは省略されるようだ。


◆久しぶりにグリーンの登場となるが、なぜかここで出てきたジムリーダーの一人、 キョウの操るポケモンによって操られ、レッドに襲いかかってくる。

この話が終わると、またレッドとグリーンは別れることになるのだが………。

2巻に続く
総評 A-B
■やはり、最高傑作の名の高いポケスぺ第1章とあって、存分におすすめできる出来である。

日下秀憲のシナリオの構成のすばらしさ、真斗の作画・コマ展開のすばらしさは、もうすでに他の方がさんざんレビューするところに ある。

今更火気厳禁なぞが書く必要がないので割愛。

■ストーリーは、全体的には割とゲームに忠実であるが、細かいところは、作者の想像力の産物であることが多い (カスミがただジムリーダーとして登場せず、ひねりがある等多数)。

それどころか、一見ただただゲームの展開をなぞっているように見えながら、実は後につながる恐ろしく壮大なストーリーの伏線 であるところは、他のポケモンのアニメ・漫画を大きく引き離しているように思える。

たぶん最初に読んだときと、10巻あたりまで通して読んで後に再読するのでは、ずいぶん印象が違うと思う。

■バトルシーンに関して。
ゲームの漫画化ということで、省略されたアクションで描かれた戦闘シーンの映像化である。
だが、これも他の漫画やアニメに比べると、明らかに迫真性に富んでいる。

ついアニメ版のポケモンを批判することになってしまうが、アニメ版のポケモンは何かが間延びしているような気がする。
「はっぱカッター!」「バブルこうせーん!」
という感じで、技が一つ一つ、順々に出るに過ぎない。

だが、この漫画はそういうところの展開がすばらしい。

日下秀憲、真斗、どちらの力に拠るものかは知らないが、ポケモンの技一つ一つがポケモンの体から繰り出されるものであって、 また、それが場面場面によって効果的に用いられているのが見受けられる。

■だが、この漫画の作者が本当に観て欲しいのはそこではないだろう。

たしかにこの作品のバトルシーンは上手い。

だが、この作品が一番人の心をとらえる理由は、作品全体に流れる”暖かさ”ではないだろうか。



ちくしょう、真面目な内容だからつい丁寧語を忘れてしまうでわないか。
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