額平川本流・日高幌尻岳・新冠川本流下降・エサオマン入の沢・エサオマントッタベツ岳・エサオマントッタベツ川本流下降・札内岳北面直登沢・札内岳・ピリカペタンヌ沢下降(日高)

date 1984/8/20-27 (7泊8日) 
コース 額平林道ゲート〜取水口〜額平川本流〜幌尻岳北カール〜日高幌尻岳〜七ツ沼カール〜新冠川本流下降〜エサオマン入ノ沢〜エサオマントッタベツ岳北カール〜・1807〜エサオマントッタベツ岳〜札内岳分岐〜エサオマントッタベツ岳北東カール〜エサオマントッタベツ川本流下降〜札内岳北面直登沢〜札内岳〜札内岳カール〜ピリカペタンヌ沢下降〜ピリカペタンヌ林道〜戸蔦別林道〜八千代発電所〜32号
実働 第1日:6h30m、第2日:8h15m、第3日:4h05m、第4日:停滞、第5日:6h00m、第6日:2h05m、第7日:10h30m、第8日:6h10m、計:43h35m。
メンバー Hd君、すうじい
概要 '84北日高の沢、美しいカールと豊富なオショロコマ、台風で停滞も。
行程 =:バス・鉄道、→:山道、:溯行、\\:詰め・藪漕ぎ
【8月20日】 快晴
振内5:43=6:45額平林道ゲート7:00→8:20取水口9:3511:40幌尻山荘11:5512:20六ノ沢出合12:3513:00 2段15m 13:3014:25 1200M二股14:3015:45カール尻15:5516:00北カールBP(泊)

【8月21日】 快晴
北カールBP 6:40\\→7:55日高幌尻岳8:25→9:25七ツ沼カール9:55\\10:55ミニゴルジュ下11:0011:40休12:2012:50Aカール沢出合13:2014:55B・Cカール沢出合15:0516:20 880M BP(泊)

【8月22日】 曇のち風雨
880M BP 6:10851二股6:307:00 905M左岸枝沢7:107:45 965M上二股7:558:40 1210M右岸枝沢8:559:05水汲み9:20\\引返点10:00\\10:30 1420M涸れゴーロ二股10:40\\11:15北カールBP(泊)

【8月23日】 風雨
北カールBP(停滞泊)

【8月24日】 霧雨のち曇
北カールBP 5:15\\6:50 1807P 7:20\\→8:10エサオマントッタベツ岳8:20→10:00北東カール10:3011:10 4段25m滝下11:4012:35 997二股12:4513:00大休止15:2516:30 823三股下BP(泊)

【8月25日】 曇
823三股下BP 10:3011:00 750M付近12:0012:25 720M二股13:4514:55 840M二股下BP(泊)

【8月26日】 曇
840M二股下BP 6:156:55美滑帯下7:057:55 1100M二股8:059:10小カール状二股9:209:55水汲み10:10\\11:10札内岳11:30→\\12:20 6m階段滝下12:30大滝30m下13:0514:00 1240M付近14:1015:00 1010M付近15:1015:40 910M付近石滝17:5518:35八ノ沢出合BP(泊)

【8月27日】 快晴
八ノ沢出合BP 7:25ピリカペタンヌ林道10:00→10:35戸蔦別ヒュッテ11:05→13:30八千代発電所13:40→32号14:15=14:25中札内
記録  日高山脈の沢登りをやろうということになり、第一回は、比較的容易な北部の山域に入ることにした。山行中、台風に見舞われたが、カール底での1日半の停滞で、これを凌いだ。美しいカールと、滑滝の渓流。来年は、カムエク〜ペテガリの中部の沢に挑戦したい。

【8月20日】 快晴
 富内線振内駅で一夜を過ごした我々は、タクシーで、額平川沿いの林道ゲートまで入った。1P半の林道歩きで、取水口へ。途中、キタキツネと出逢う。ここで、林道は終わり、地下足袋に換える。額平川本流沿いの踏跡を辿る前に、釣りを試みるも、魚影・魚信共に無し。

 数人の下山者と擦れ違いつつ行くと、後ろから、単独の京都の大学生が追い付く。幌尻山荘まで同行し、彼は山荘泊なので、別れる。ヒグマ避けの笛を吹きながら、溯行開始。六ノ沢を右岸に見送って、ゴーロを30分ほど行くと、2段15mの本格的な滝が、行く手を阻む。

 登れそうもないので、左岸の草付から、浮き石の多い崩れたルンゼを、騙して登る。踏跡の見当たらない藪を漕いで、5m3条滝の上に下降する。さらに進むと、10mスダレ滝で、右壁をトラバース気味に越えるが、重荷ではやや悪い。

 やがて、1200M(3:2)二股を右へ入る。連瀑帯となり、時折ゴーロを交えて、滑滝の連続となる。急なゴーロに、苦しい汗を流し、岩の間に青空が覗くと、急に風景が一変して、カール尻に立つ。この世の楽園だ。沢は平流となって、カール底の草地を流れている。先ずは荷を投げ出して、写真を撮ろう。

 微風に揺れる、チングルマの実穂や、リンドウの群落の中の踏跡を辿って、小さな沼の畔に、今宵の寝場所を得る。ナキウサギの声が、可愛らしくも、もの悲しい。ブヨ・ヌカカがうるさいので、戸蔦別岳から北戸蔦別岳の稜線に夕日が当たるのを見ながら、枯れ枝で蚊遣り火を焚く。

【8月21日】 快晴
 撤収して、南へ向けカールを登って行く。1930Pの少し東に出るが、この辺りは、コケモモやガンコウランの実が生っている。今一つ熟し足りないのが、残念だ。幌尻岳から下ってきた、昨日の京都の学生と遭う。時計が壊れたのか、時間を聞いて、彼も幌尻岳へ再び登る。

 山頂で、記念撮影し、梨を食べた後、単独の学生と別れて、七ツ沼カールへと下降する。暑い暑い。七ツ沼カールにも、ナキウサギが居る。残念ながら、七ツ沼の水は、カラカラに干上がっている。新冠川本流への下降開始の辺りで、若干のハイマツ漕ぎをしてしまった。

 やがて、それらしい窪を見付けて下降して行く。水が現れると、6m滝で、その下の3m滝と共に、右岸を巻く。3段10x 15mのミニゴルジュを過ぎ、5mトヨを下れば、左岸から水量の多い沢が、5mトヨナメで出合う。ここからは、平凡な川原歩きが続く。

 東カールのAカール沢が、7m滝で落合う所から、函が始まる。出合は、両門の滝になっていて、本流は4mトヨ滝で落合う。これは、左岸を小さく巻いて、川床に降りる。函出口の4m滝と5mトヨ滑滝を、下降するのは不可能と見て、右岸の巻道に合流する。

 巨岩帯の途中から、右岸を巻くが、あまり良く踏まれておらず、苦労する。巨岩帯を巻き終わると、右岸から、B・Cカール沢が、5m2条滝を懸けて出合う。ゴーロを下って行くと、左岸から(10:1)の枝沢が出合う。880M付近の左岸の小さな砂礫地に、ツェルトを張る。焚火の準備をHd君に任せ、やっと1尾のオショロコマを釣り上げる。

 食料が足りないので、切り干し大根飯なるものを考案する。

【8月22日】 曇のち風雨
 サイトから、平凡なゴーロを20分下ると、851二股:エサオマン入ノ沢出合である。良いサイトがある。エサオマン入ノ沢に入って、ゴーロ沢を溯って行く。左岸、続いて右岸から枝沢が出合うと、美しい滑と釜が連続する。右岸通しで行く。再び平凡になった流れは、960M(1:1)上二股を迎える。左股の方が、沢床が低い。

 右股に入り、左岸から2本枝沢が出合った後、10mトヨが行く手を阻む。左岸はスラブ壁で、右岸を巻き、その上の4x 7mへとトラバースする。続く6x 10mを越えれば、ゴーロと滑が連続する。右岸に枝沢を見送って、ゴーロを登って行くと、水が涸れ、4L担ぐ。階段状の涸棚を快適に登れば、やがて涸れゴーロの二股に至る。

 左に入り、藪っぽいところを抜け、スラブ状涸棚の途中まで登って引き返す。ここは、Hd君の言うように、そのまま詰めた方が正解だったのかも知れないが、藪漕ぎを交えつつ、先程の二股まで戻る。本格的に降り始めた雨の中を、今度は右に入る。

 ヒグマの糞らしきモノが、よく目に付く窪を、笛を吹き鳴らしながら進む。やがて、薄い踏跡を辿って、右手の草地を目指して藪を漕ぐ。濡れた身体に、風が冷たい。カール底の草地にツェルトを張り、まだ午前中ではあるが、接近中の台風に備えて、半日停滞とする。北カールには流水は無く、草は深い。

 台風情報を、1時間毎にラジオで聴く。このツェルト、台風の風に、耐え切れるであろうか。

【8月23日】 風雨
 台風は温帯低気圧に変わったが、十勝沖に新たな低気圧が発生し、2つの低気圧の間に前線を伴って、北海道は荒れる、というわけで、今日も停滞。ツェルト底は、池と化していて、Hd君のシュラフカバーは、ビショ濡れだ。

 水を補給せねば、飯も食えないので、風雨を突いて水汲みに行く。ゴア雨具のHd君はOK。防水の効かなくなったハイパロンのすうじいは、パンツ一つの上に雨具をペチャッと着て、出発。昨日の窪まで戻る手前の岩間に、水溜まりが出来ていたので、2Lずつ汲む。ツェルトに戻り、早速お茶にする。

 カール底では、それほど風が強くないが、稜線からは物凄い風の音が聞こえてくる。すうじいのザックも水の中で、ありとあらゆるモノが、水を吸いまくっている。ザイルのことを思うと、気が重くなるぜ。

【8月24日】 霧雨のち曇
 霧雨の中を出発。一昨日より、遙かに荷が重い。視界悪く、ルートが判らない。右手のゴーロ窪が、急なルンゼとなって、カールバントに突き上げている。つい誘われて、これに取り付く。浮き石を騙し、草付を騙し、ますますイヤらしい登攀となる。やっとのことで、尾根上に出ても、踏跡は無く、さらに藪を漕ぐと、1807Pに出る。

 ここには、小さな小屋があって、風避けになるので大タルミ。雨は止み、ガスも時々切れて、視界が良くなる。薄い踏跡を辿って、尾根が南東から東へと登るようになってから、カールからの道に合流する。北へ神威岳へと続く稜線と合流すれば、やがて、何の変哲もないエサオマントッタベツ岳の頂上だ。

 プレートも赤布も無い。ただ、数本の煙草の吸い殻が、それを暗示するのみだ。南東のコルまで下ると、急峻なルンゼを下降する、北東カールへの踏跡がある。この付近の稜線は、北東側がカールバントの絶壁となっていて、恐ろしい。あまりに急な踏跡なので、これを敬遠して、さらに南下する。

 札内岳分岐で、春別岳・カムエク方面への尾根に別れを告げ、少し札内岳側へ行ってから、北東カールへの踏跡を辿って、浮き石の多い急な沢を下降する。滝が現れ、右岸の薄い踏跡で高巻く。この巻きが終わると、ゴーロとなり、緊張がほぐれる。北東カールのカール底には、水流もあり、快適そうなサイトになっている。

 カールから流れ出る、エサオマントッタベツ川本流を下降する。すぐに滑滝が現れ、重荷のこともあって、フェルト足袋の上にワラジを着ける。一枚岩の滑が、傾斜に強弱を付けながら、標高差にして200m程続く。圧巻である。両岸スラブの幅広滑となる辺りは、思わず歓声を上げてしまうが、スリップの恐怖も、なかなかのものがある。左岸を巻き気味に、下降する。

 右岸から(1:3)の枝沢が出合うと、5x 8m2条で滑は途切れ、短いゴーロがある。すぐに4段25m滝があり、左岸を巻けば、以下は平凡なゴーロと化してしまう。997二股(1:2)には、良いサイトがある。この辺りから、道草しながら下って行く。

 823(1:5)右岸枝沢出合のすぐ下の砂地を、今宵のサイトに決定。焚火をして、塩焼きと骨酒を楽しむ。疲労が溜まっているせいか、骨酒がまわる。

【8月25日】 曇
 札内岳北面直登沢に敬意を表して、今日は、直登沢下部の840M二股付近にまで、サイトを前進させるのみとする。と言う軟弱化路線で、朝寝坊+朝釣り+朝焚火。

 撤収して、ゴーロを下降して行くと、滑床が復活する。720M二股:直登沢出合(1:2)に至ると、ここにも良いサイトがある。直登沢に入ると、やや暗い感じで、釜が多い。840M二股(1:1)まで行くが、良いサイトが無く、少し戻った小さな砂地に、ツェルトを張る。

 今宵も塩焼きと岩魚汁。飯は例によって、切り干し大根飯で満腹。

【8月26日】 曇
 いよいよ、本山行のハイライト:札内岳北面直登沢をアタックする日だ。840M二股を右に入って、ゴーロを少し行くと、3m、小滝、6mスダレ、5m滑2条と滝が続く。しばらく行くと、明るい美滑帯となる。

 両岸は、草付混じりのスラブ壁となっている。7x 10mスダレ下部ヒョングリを越えると、次の7x 10m滝は登れず、右岸の草付を慎重にトラバースする。その後も滑滝やスダレ滝が連続するが、特に問題はない。

 1064右岸枝沢(1:5)が、10m滑滝を懸けて出合い、4段12x 20mをを越えると、ゴーロの1100M二股である(2:3)。5m滝を各自左右から越すと、滑滝の連続となって、息つく暇もない。両岸は高さ10-20mの草付で、雪の多さを偲ばせる。左岸にガレのある10mスダレ滝は、右から取り付いて、落口近くで水流を渡る。

 これを越すと、辺りの様相は一変し、小カール状の二股(2:1)となる。左へ入り、次の(1:1)二股でも、奥にトヨ白糸状の滝を懸ける右を見送って、左へ進む。さらに、次の(3:1)二股でも、6m階段滝を登って、左に入れば、傾斜の強い滑窪が続く。

 10m、8mを越えたところで、水を汲む。3段30m、7m階段を登ると、水が涸れる。その後も、快適な涸棚が連続して、グイグイ高度を稼いで行く。やがて、草付の急登という、アルバイトが始まる。水涸れから1時間弱、藪漕ぎ無しで稜線の道に出、すぐに札内岳山頂に到着。

 レモンをかじって、タルミ。展望は今一つだ。札内川への下降は、傾斜の緩いザレが続き、容易なようだ。アブがうるさいので腰を上げ、北尾根に付いた踏跡を辿って、札内岳カールへと下降する。この草地の急な下降路は、実に滑り易い。札内岳カールは、平坦地が無く、ブッシュの間を窪が浸食しており、全くサイトは無い。

 涸れ窪を下降して行くと水が出て、6m階段滝を右岸から巻く。しばらく滑滝が連続し、グングン高度を下げる。大滝30mは、両岸草付スラブだが、右岸の踏跡を辿る。やや悪い。6mスダレ、12m2条は、まとめて右岸を巻く。その下の5m滝は、左壁をクライムダウンする。8m2条は左岸の草付を巻くが、やや悪い。その後は、平凡となる。

 途中、大道草したりして、薄暗くなり始めた沢筋を、大慌てで下降する。八ノ沢出合のサイトに辿り着いたのは、18時半過ぎ。そして、ここを九ノ沢出合と信じ込んでいる、我々であった。3張分はある、しっかりしたサイトだ。真っ暗な中で、薪を集めて、焚火をする。今夜は、塩焼き・岩魚汁の他に、味噌焼きが登場し、新たな味わいに舌鼓を打つ。

【8月27日】 快晴
 八ノ沢出合を九ノ沢出合だと思い込んでいる我々は、十勝幌尻岳を断念して、ピリカペタンヌ沢を、さらに下降して行く。やがて、七ノ沢と六ノ沢の間の、左岸大スラブ壁が近くなった頃、実は八ノ沢出合をサイトにしていたことに気付く。

 陽射しは、ジリジリと灼き付け、川原歩きは暑くて堪らない。大堰堤を右岸から巻き、少し行くと左岸に林道(今年8月完成の分)が見えたので、これに乗る。ピリカペタンヌ林道を30分ほどで、戸蔦別林道に合流し、戸蔦別ヒュッテで大タルミする。

 ここから2P半の林道歩きで、バス停のある八千代発電所に至るが、バスは1日1便、9時半頃にあるのみだ。参ったね。重い足を引きずって、もっとバスの本数の多い所へと歩くうち、30分ほどで、運良く小型トラックに拾われる。何故か、中札内まで送って貰う。車は、コンスタントに、80km/h出していた。

 早速、Aコープで、ビールとツマミを買い、広尾線の車内で、下山祝いをやる。中札内のお土産は、鶏の薫製が良いようです。Aコープで、売ってます。幸福やら愛国やら経て、帯広に出る。

参考文献

◆「北海道の山と谷」大内倫文・堀井克之編(北海道撮影社)1981年改訂版
◆「日本登山大系(1)北海道・東北の山」柏瀬祐之・岩崎元郎・小泉弘編(白水社)1982年第四刷

アルバムと溯行図

滝見亭」に滝写真集「北日高の沢'84-08」があります

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その1:
額平川本流〜幌尻北カール
2段15m滝 10mスダレ滝 10mスダレ滝 幌尻北カール尻 戸蔦別岳
その2:
幌尻北カール〜幌尻岳
幌尻北カールのサイト 北カールを俯瞰 戸蔦別岳方面 幌尻山頂にて 七ツ沼カール俯瞰
その3:
新冠川本流下降〜エサオマン入ノ沢
東Aカール沢出合 エサオマン入ノ沢
美滑帯
その4:
エサオマントッタベツ川本流下降
4段25m滝下部 823三股下のサイト
その5:
札内岳北面直登沢
札内岳北面直登沢 札内岳北面直登沢 札内岳北面直登沢 小カール状(2:1)二股
その6:
札内岳〜ピリカペタンヌ沢下降
札内岳カール ピリカペタンヌ沢
大滝30m

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