誘導栽培の概要

無機栄養説」を突破し、「有機物を吸収する処」に、健康に良い作物に生る世界が広がっていた

遊離シュウ酸(毒素)を減らし健康に良い作物になります。(結石の原因物質の一つ)

「真理はわれらを自由にする」 (国立国会図書館の標語)

このHPに記した簡単なことを知れば、世界中が、地場の資源と努力で、豊かで安寧になる事がわかります。





はじめに


農業はNPKを主要養分とする無機栄養説に立脚している。COHを肥料元素としていない。しかし、無機
栄養説
非生分解性成分吸収説と読み替えると様相が一変する。根が養液に浸る養液栽培では、各成分は
所定の濃度でなければならない。その濃度は生育段階の違いで異なることもある。これは吸収の養分濃度
に閾値があることを示している。そして、土耕では、濃度が閾値未満の吸収されない養分が根の表面に留
まり、濃度を高め、やがて閾値に達すると養分が吸収される、と見ることができる。そして、充分に濃度
を高めることができる成分こそが植物に吸収される。ここで、多くの有機物は生分解性なので土壌の生分
解菌に消耗され、高濃度状態にならず、植物に吸収されない。しかし、無機養分と非生分解性有機物は、
生分解作用を受けずに高濃度状態を形成できる。「無機栄養説」を『非生分解性成分吸収説』と読み替え
ると、植物が非生分解性有機物を吸収できることになり、そして、有機物は化学操作で転換できるので、
殆どの有機物が植物に導入できることになる。そして、後述のように有機物の吸収によって植物は旺盛に
成長し、良質の収穫物をもたらす。


1)【誘導栽培…植物が有機物を吸収して成長する新しい姿】

このホームページHPでは、「誘導栽培」と称して、植物が有機物を吸収して成長する新しい栽培の取組を提案
します。従来の無機養分の施肥に加え、COH有機3元素とエネルギーが施肥で追加され、健康によい作物が得
られます。

そして、誘導栽培では、次の4つの視点を明確に意識することが大切です。


【第1の視点: 万人に向けた科学的に明瞭な見方】

@ 誘導栽培は、周知の事実を基に、科学的な見方の積み重ねで成り立っています

A 日々、食べている食物から「毒素」を減らし、健康に良いものとします

B 世界中で、健康に良い作物が、より安価にできる…誰もに知ってほしい新しい自然の姿です

【第2の視点: 明瞭な栽培効果】

@ 収量が増える

A 糖度が高まり、遊離シュウ酸が低減し、食味が向上する

B 作物の毒素とも言える遊離シュウ酸の難溶性化によって健康を害する懼れを軽減する

C これらの栽培効果が科学的に明瞭に把握できる

【第3の視点: 植物の養分吸収の明確なモデル】

@ 作物の養分の吸収形態の一つを、「各養分毎に閾値がある濃度拡散現象」と捉える

A ・閾値まで濃度を高められる成分が吸収される

B ・生分解性有機物は土壌中で生分解されるので閾値まで濃度が高められず、吸収されない

C ・非生分解性有機物が吸収される成分に含まれる

D 「無機栄養説」を『非生分解性成分吸収説』と読み替える

E 極めて堅実な見方の積み重ねで、科学的に作物の様々な側面を浮かび上がらせる

【第4の視点: 栽培の新しい視点のまとめ】

@ 作物の養分の吸収形態の一つを、「各養分毎に閾値がある濃度拡散現象」と捉える

A 養分吸収は、「無機栄養説」ではなく『非生分解性成分吸収説』が適っている

B 植物は、『非生分解性有機物』を吸収できる

C 簡便な『非生分解性有機物』には、『酢酸カルシウム』がある。水溶性の有機金属化合物であり、この有
機物吸収によって、
『有機分』と『無機分』とが吸収され、夫々、別の役割を演じる

D 有機物吸収の『有機分』吸収は、作物の成長を促進し、且、糖度を高める。 【増収+高糖度

E 有機物吸収の『無機分(カルシウム)』吸収は、作物体内の遊離シュウ酸(毒素)を難溶性塩(シュウ酸
カルシウム)として固定し、
除毒する。【健康に良い作物になる

F 科学的な根拠に基づく想定外の良い現象が多数生じる


以下、誰もが知っている現象に、異論の少ない見方を重ねて、誘導栽培のあらましを導きます。


2)【新しい栽培は、今までの栽培と相容れない】

1840年から続く現代農業は無機栄養説に立脚しており、この名称からして、有機物の吸収は想定していない。
有機物の吸収は2世紀弱も科学的な検証の下で否定され続けている。それ故、有機物を利用する新しい栽培に
は、当然、幾つもの疑問が湧き、そして、考える手掛りすら無いかもしれない。

@ 有機物が植物に吸収されることへの疑問

A 仮に、有機物が吸収されても良い効果を奏するとは限らない。

B 全元素を施肥で賄うと、環境から得るのは水だけになり、間尺に合わない。

C 農業は常に、過剰人員・過剰生産で困窮し、これ以上の生産性向上は不要。

D 農業は実業であり、机上の空論ではない。

…誘導栽培に対しては、幾重にも重層的に疑問がわき上がる。そもそも、無機栄養説の下では最初の「有機物
の吸収」だけで成立が頓挫する栽培の取組に見える。


3)【養分吸収の見方】

植物の養分吸収は、いろいろな実態や考え方が公表されているものの定説はない。しかし、一応、無機栄養説
が受け入れられている。1840年のリービッヒの無機栄養説の提唱以来、科学的な検討や論争が始まり、2世紀
弱が経過した現在において、なお、定説が得られていない。その幾つかの見方を参考として示す。

@ 三好洋等編「土壌肥料用語事典」1983年農文協発行 第128〜129頁

「【養分吸収・同化】…略…この吸収メカニズムについて、いろいろの実験例および多くの仮説が出されて
いるが、これらの吸収、移転現象を統一的に説明しうる定説は確立されていない。…略」

A 松中照夫著「土壌学の基礎―生成・機能・肥沃度・環境―」2003年農文協発行 第178〜195頁「第11
章 「作物の養分は何か」を求めて」

第194頁19〜21行目「4.植物の養分は何か、その結論と未来  これまで述べてきたように、現時点で
は、植物の養分は無機物であるとのリービッヒの無機栄養説が一般に受け入れられている。」

B 小野信一(農環研・土壌環境研究領域長)「リービッヒの無機栄養説と土壌肥料学」(情報:農業と環
境No.102/農環研)2008年 

「長年にわたって問題点として残されていた窒素栄養の問題も解決し、リービッヒの提唱した「無機栄養
説」は普遍の原理として広く認められることになる。」

「この放出された無機イオンを植物は養分として根から吸収するのである。すなわち、有機物として肥料を
施しても、植物は有機物を直接吸収することはできない。」

「したがって、肥料を有機物(有機質肥料)で施しても、無機物(化学肥料)で施しても、植物の根が吸収
する場面では、養分は無機イオンとなってしまうので、そこに違いはないといえよう。」

上記@〜Bは、この分野を広く精査して記述された信頼性の高いもの、と言う見方に異論はないだろう。

植物は、無機物の吸収だけで成長することは確認されている。しかし、ある条件の下では微量の有機物を吸収
することも科学的に検証されているので、「無機栄養説」と断定することもできない。ただ、実務上は「無機
栄養説」と解釈して差し支えない、と考え、また、広くそのようにとらえられている、としている。


当HPでは、「誘導栽培」として、有機物を吸収することを活用した栽培の取組を提案するので、従来の養分吸
収の見方(=常識)とは真っ向から対立する。

しかし、よく知られている知見や現象に基づいて「無機栄養説」とは異なる結論を誘導する。


4)【はじめに、訳もなく具合のよい栽培があった:日本特許第1359005号の栽培例】

「誘導栽培」は、上記特許発明に記載された訳もなく具合のよい栽培事例の背後にある自然の摂理を推考する
ことで想到した一つの自然の解釈である。この発明には、「家畜糞尿等に生石灰CaOを添加し、混合すること
で殺菌分解し、その生成物を乾燥して固体粉末とし、慣行栽培に土壌改良材として追加して施用すると、作物
の収量が1.9〜3.5倍になった」との旨の記述がある(特公昭61―21720号公報 第6頁左欄25行目〜右欄3行
目)。「有機物を吸収する栽培」については様々な疑問があるにせよ、訳もなく具合の良い栽培は、1981年に
提案されたこの発明に記されている。その記述に従えば、「誘導栽培の解釈」の正否とは無関係に、誰でも同
様に具合のよい栽培ができる。前の2)項の@〜Dの疑問についていえば、B経済性とD実用性の疑問が、既
に解けているといえる。


5)【養液栽培での知見】

一つの現実として養液栽培の知見がある。養液栽培は、根が養液に浸った状態で作物を育てる栽培で、1950年
代に欧州で実用化され、今日では欧州の食糧供給源の一つとなっている。そのあらましは次の通り。

@ 闇雲に水に肥料を溶かして種苗や植物を浸しても作物は育たない。

A 必須の無機養分を所定の濃度にすると育った。

B その濃度は、養分毎に異なっていた。

C また、作物の品目毎に濃度が異なっていた。

D 生育段階の違いで、濃度が異なっていた。

E 必須の無機養分の濃度を適切に維持すると作物は育った。

F このような養分濃度の適切な管理は、土耕栽培にはない。

G このような現象から、植物の養分吸収を「各養分毎に閾値がある濃度拡散現象」と解釈できる

H また、生育段階で養分濃度が異なるのは、「体内の養分濃度に応じて閾値が変わるため」と見ることが
できる。(しかし、養分の吸収過程の検討に際しては、この閾値の変動については触れない。即ち、代謝と
の関係については、別途触れる。)


6)【土耕栽培】

養液栽培と同様に土耕栽培でも作物は正常に生育する。

土耕栽培では、土壌を化学的に分析し、栽培する作物の標準的な収量を勘案し、施肥設計をして栽培を進め
る。格別な異常な事態が無ければ、作物は正常に育ち、概ね予想通りの収穫を得ることができる。この栽培過
程で、作物が吸収する土壌水の各養分がどのような状態にあるかは、全く考慮することが無い。土耕栽培ばか
りではなく、原野、野原、土手や山林に繁茂しているさまざまな植物も、人間がその土壌水の養分濃度を考慮
して繁茂している訳ではない。

そこで、養液栽培の知見を参考にして、土耕栽培での養水分の吸収を概観する。

@ 土耕栽培も養液栽培も双方とも、植物は正常に成長している。

A 土耕栽培では、生育に必要な必須養分元素は適切に施肥され、降雨や潅水で水分も補われている。

B 双方の栽培では、根から養分と水分とが吸収されている。

C ならば、土耕栽培においても養液栽培と同様の養水分の吸収のメカニズムが作用している、と見ること
もできる。

D 土壌水が吸収される時、閾値に達する濃度の養分は吸収される。

E 閾値に達しない低濃度の養分は、吸収されず、根の表面に留まる。

F 根の表面に留まった養分は、根の表面に濃縮されているともいえる。

G 吸水の継続によって、やがて低濃度の養分も閾値まで濃縮され、吸収される

H 全体として、土壌水の吸収によって養分は自律的に濃度が高められ、吸収される

I 土壌という物理的な撹拌ができない環境が、閾値に達しない低濃度の養分が根の表面に滞留して濃度を
高め、やがて、閾値に達する濃度まで濃縮し、植物に吸収される、というメカニズムを構築している。

J 養液栽培では、養液全体が濃度が均一な完全混合槽と解され、吸収されない養分が濃縮できないので、
養液全体の養分濃度を人為的に調節しなければならない。

K 土壌水中の有機物は、土壌の生分解作用で炭酸ガスと水に分解され、根の表面の濃度を高めることがで
きないので、吸収されない。

L ツンドラ地帯で、アミノ酸(有機物)が吸収されるのは、低温のため生分解作用が殆ど停止しており、
閾値濃度まで濃縮できるため。

このように、根の養水分吸収の一つの形態として、「各養分毎に閾値がある濃度拡散現象」があると解釈すれ
ば、土耕栽培では格別な養分濃度の管理をしなくても、今の施肥設計と肥培管理で作物を育てられることがわ
かる。

勿論、根の養分吸収には、受動輸送ばかりでなく能動輸送があり、幾つかの物質吸収の形態がある。上記の
「各養分毎に閾値がある濃度拡散現象」は、その一つの物質吸収の形態に過ぎない。しかし、その一つの物質
吸収形態を適切に管理することで、「養液栽培」という一つの栽培形態において作物が正常に生育している。
植物の養水分吸収の全ての現象を統一して解釈するものではないけれど、植物を正常に育てる術にはなってい
る。栽培の目的は、作物を正常に育てることであり、自然現象の全てを統一的に解釈出来なくても許される場
合がある。

これまで、永い間、「無機栄養説」という見方で栽培と取り組んでいた。当然、有機物を吸収する見方は排除
されてきた。

養分と水分の吸収の全てを統一的に解釈するものではないけれど、誰もが知っている植物を正常に育てる栽培
手法に基づいて、いままで「無機栄養説」の用語の下で吸収の対象から除外されていた有機物が吸収対象とな
ることが導かれる


7)【無機栄養説を非生分解性成分吸収説と読み替える】

そこで、土耕栽培での養分吸収を、これまで「無機栄養説」と表現していたものを『非生分解性成分吸収説』
と読み替えることができる。

@ 「無機栄養説」を「非生分解性成分吸収説」と読み替える。

A 無機養分は非生分解性成分なので、低濃度であっても根の近傍で濃縮され、やがて植物に吸収される成
分に属する。

B 生分解性の有機物は、生分解され、根の近傍で高い濃度を形成できず、植物に吸収されない成分に属す
る。

C 有機物の一部に「非生分解性有機物」が存在し、これは植物に吸収される可能性が生まれる。

D 「非生分解性有機物」は恰も「無機養分」のように振舞うといえる。

なお、「非生分解性有機物」の身近な例としては、酢酸カルシウムやシュウ酸カルシウムがある。台所の食酢
に卵の殻を溶かした時に生成する酢酸カルシウム(水溶性)は、生分解作用を受けない安全性の高い有機物で
あり、世界中で食品添加剤に利用されている。シュウ酸カルシウムは、ビタミンC(アスコルビン酸)の体内
での最終代謝物がシュウ酸で、体内のカルシウムと結合してシュウ酸カルシウム(難溶性)になる。ほとんど
全員の体内に存在する非生分解性有機物であり、難溶性で、尿路結石の主体となっている固体といわれてい
る。一般に、有機物は自然環境で無機化されると理解されているが、大昔の地層の中から鉱石として産出する
非生分解性有機物がある。有益な用途が少ないため、誰からも関心を持たれない物質群といえる。

そして、前記特許発明において、「糞尿のような腐敗性廃棄物に生石灰を混合して殺菌した時の主な生成物の
一つ」が酢酸カルシウムである。タンパク質や核酸のような骨格に窒素を含む高分子成分の窒素が除かれて、
その断片の炭素骨格の有機酸が生じ、そのカルシウム塩が生成している。


8)【殆どの有機物は、非生分解性有機物へ転換できる】

有機物の一般的な性質として、化学操作によっていろいろな有機物へ転換できることが知られている。
「生分解性有機物」も適切な化学操作を経れば『非生分解性有機物』へ転換できる。このHPの場合に
は、植物に吸収されて好ましい効果を奏する『非生分解性有機物』への転換となる。従って、植物の養
分吸収について、「無機栄養説」を『非生分解性成分吸収説』と読み替えることで、「無機栄養説」の
下では無機物だけが植物の養分であったのに対して、殆どの有機物が植物の吸収の対象原料に含まれ
る。


9)【有機物(たとえば、酢酸カルシウム)の吸収】

植物に『非生分解性有機物』として吸収される化学種のひとつが酢酸カルシウムであれば、植物は有機物とし
ての酢酸基と金属成分としてのカルシウム分と取込むことになる。このため、植物はこの有機分とカルシウム
分との影響を受ける可能性がある。植物体内にはカルシウムと結合して難溶性カルシウム塩を生成する有機分
がある。その代表的なものが遊離シュウ酸で、溶解度が低いシュウ酸カルシウムを生成する。この置換反応に
よって酢酸基が解放され、植物の成長のための有機物として利用される。植物の有機物吸収によってどのよう
な変化があるかは、従来、格別の期待も予測もしていない。

現実に生じている前記発明で記された栽培による訳もなく具合のよい現象にはつぎのように解釈できる。

@ 光合成以外の経路で獲得した有機物が成長に加わるので、成長が促進され、収量が高まる

A 有機物吸収で糖分の消耗が減り、高糖度状態になる

B カルシウムによって遊離シュウ酸が難溶性になり、エグミが軽減され、毒性も減る

C 総合的に、糖度が高くてエグミが少ない美味しい作物となり、収穫量が増える。


10)【前記2)項の@〜Dの疑問に対する一つの見方】

誘導栽培は、有機物を吸収する新しい栽培の取組である。これまで「無機栄養説」と理解されていたものを
『非生分解性成分吸収説』と読み替えて、ある種の非生分解性有機物を作物に吸収させる栽培である。前記
2)項の疑問についてつぎのように解釈している。

@ 有機物の吸収への疑問

植物の養分吸収の一つの形態として、「各養分毎に閾値がある濃度拡散」を想定すれば、「無機栄養説」を
『非生分解性成分吸収説』と読み替えることができ、非生分解性有機物が吸収される途が拓ける。

A 有機物吸収が与える効果への疑問

非生分解性有機物には膨大な種類の化学種が属する。しかし、現実に「糞尿の生石灰処理」で得られる「低
位モノカルボン酸カルシウム」は水溶性の非生分解性有機物であり、これを用いた栽培では、(イ)収量の
増加、(ロ)糖度の上昇、(ハ)エグミの低減、更に、(ニ)遊離シュウ酸の低い食材を生産する途が拓け
た、というように無機栄養説の下では全く想定していない効果が現れている。因みに、従来の効果は、収量
の多少だけが評価の視点だった。

B 経済性の疑問

誘導栽培は、1981年に提案され、現在も実施されている現実の栽培の背後にある自然の摂理を推考したもの
で、その経済性については格別の問題はない。但し、経済的な事柄は、夫々の不自然な事情(経済的な事
情)によってどうにでも変るものであり、自然の摂理とは関係が無い。

C 農業の抱えた産業上の問題

無機栄養説の栽培では得られない水準の品位(高糖度、低エグミ、低毒素)の作物が得られており、食の産
業に対する唯一の資金源である消費者の大多数は、より健康的でより食味の良い食物を望んでいることは間
違いない。供給側の都合で物事を判断してはいけない。

D 現実性

誘導栽培は、現実に現れている訳もなく具合のよい栽培について推考したものであり、机上のものではな
い。


11)【見方を変えるだけで、今目にしている様子が激変する】

「無機栄養説」を『非生分解性成分吸収説』と読み替えると、今の数多の栽培が、収量を高め、品位を高める
ことができることがわかる。しかも、これまで不可能だった作物中の遊離シュウ酸(ある種の毒素で、蓄積性
の毒素といえる)を無毒化することができる。

『非生分解性成分吸収説』は、今栽培している夫々の地に大量に未利用状態で存在している有機物とカルシウ
ムとを活用することで実現できる。

即ち、見方を変えるだけで、今目にしている景色から愕然とするほど安寧な姿が浮かび上がる。

しかも、「良質な作物を大量に生産する」ための、新しい肥料(非生分解性有機物肥料)は、殆どの地域で、
その景色の中に未利用物として存在している。

万人が見知っている景色の中に、法外もなく具合のよい栽培の術の全てが、昔から写し込まれていたことにな
る。

それを知れば、世界中の誰でも何処でも、直ちに実践できる。必要な資源は傍にあるのだから。


12)【食糧の多くは地場で生産できる】

誘導栽培は収量を高める。そして、収穫物の食味を改善する。今よりも食味の良い作物が多量に生産されたと
きには、食糧の物流を削減できる。多くの場合、地場で生産される食糧で需要を賄うことができる。このこと
は、食の物流を削減し、貴重な化石資源の消費を抑制する。食糧生産には、地球規模で局在しているNPKの原
料が今と同様に不可欠である。しかし、肥料の物流は食材の物流に比べて量は少なく、輸送時間の制約もな
く、防疫の困難性も軽減する。

それぞれの地域において、ほとんど未利用状態で存在している有機物(糞尿や有機廃物など)とカルシウム鉱
物とを活用すれば、「無機栄養説」に基づく栽培が、誘導栽培になり、良質の作物が多量に生産できる。今の
栽培に、「誘導栽培の見方」を加えるだけで、何処でも食糧が豊かになる。


13)【誘導栽培の説明が長いのは、余りにも変化する事柄が多いから】

このHPで「誘導栽培」として紹介する栽培の取組の説明はとても長い。それは、これまで約2世紀弱の間、
「無機栄養説」という見方が定着し、有機物の吸収を現実のものとして考える途が閉ざされていたことが大き
く作用しているように見える。そのため、「収量の大幅な増加、糖度の向上、エグミの軽減、毒素の低減。
COHという新しい肥料元素。エネルギー肥料の出現」という多方面での体験したことがない変化になり、どう
しても、その説明は複雑で多岐に渡る。


14)【改めて、誘導栽培をまとめる】

誘導栽培に至る過程をまとめる。

第1に、今、植物の養分吸収は、定説は確立していないものの、一応、無機栄養説と理解されている。

第2に、従って、植物の成長では、有機物の吸収を想定も期待もしていない。寧ろ、強く否定してきた。

第3に、養液栽培では、養液の各養分濃度を所定の水準に維持することで植物が正常に育っている。

第4に、この知見から、このHPでは、植物の養分吸収の一つの形態として、「各養分毎に閾値がある濃度拡
散現象」があるものと解釈できる。

第5に、土耕栽培では、土壌水の養分濃度を管理しなくても植物は正常に育っている。

第6に、養液栽培での養分吸収を参照すると、土耕栽培では、根の吸水で濃度が閾値に達している養分は吸
収され、達していない養分は根の近傍に留まって濃縮され、やがて閾値に達して吸収される、と推測され、
土壌水の養分濃度を人為的に管理しなくても吸水によって自律的に養分の濃度が閾値に達し、養分が吸収さ
れ、植物が正常に育つというメカニズムが浮かび上がる。根の周囲の土壌の存在によって、巧みに根の近傍
の養分濃度が閾値に押し上げられて、養分吸収に繋がっている。

第7に、してみると、根の近傍で閾値まで濃縮できる成分こそが吸収可能な成分と言える。

第8に、殆どの有機物は、土壌の生分解作用によって無機化され、CO2と水になって消滅している現実があ
る。

第9に、土壌水に溶けて根に集められた有機物は、土壌分解菌の餌となり、無機化され、消滅し、根の表面
において高濃度状態を形成できない。このため、生分解性の有機物は植物に吸収されない。

第10に、ツンドラ地帯でアミノ酸が吸収されるのは、低温のため生分解作用が低下し、アミノ酸が閾値ま
で達するためといえる。

第11に、根の養分吸収は、「無機・有機」という物質の構成で区分するのではなく、「閾値まで濃度を高
められる成分か否か」という物質の性質で仕分けるのが適っているといえる。何故なら、根の養分吸収は、
細胞膜を物質が透過する現象であり、「無機化合物か有機化合物か」という観点での仕分けは馴染まないよ
うにみえる。

第12に、それで「無機栄養説」を『非生分解性成分吸収説』と読み替える見方が生まれる。

第13に、無機物は非生分解性成分なので従来通り吸収される側に含まれ、大多数の有機物は生分解性なの
で従来通り吸収されない側に含まれる。この読み替えで『非生分解性有機物』の取扱いだけが変更され、吸
収可能な有機物となる。


以上の、第1から第13のステップの見方の積み重ねによって、植物が有機物を吸収する可能性の途が拓ける。
1840年のリービッヒの無機栄養説の提唱から始まる現代農業は、「無機栄養説」と表現しているように有機物
の吸収を想定せず、むしろ、強く否定する思想と表現になっている。それが2世紀弱も続いている。今日で
は、『植物が有機物を吸収すること』は、誰も考えない。食糧生産は、人類の生存の基盤であり、農業は社会
が成立する前提となっている産業である。農業の「無機栄養説」は農業の基盤であるばかりか、社会の基盤で
あり、世界の常識ともいえる。

しかし、上記の13ステップによって「無機栄養説」では思いもよらない『植物が有機物を吸収する』ことにな
った。
驚くべきは、今日では誰でも知り得る事柄を積み重ねるだけで、植物が有機物を吸収できることが誘導
できる、ことである


ただ、仮に植物が有機物を吸収できたとしても、それが「今の栽培よりも良いこと」になるとは限らない。

そもそも、「無機栄養説」においても、植物が吸収できる無機物には制限があり、また、カドミウム、放射性
元素というような有害物の吸収は「無機物の吸収」であっても好ましいことではないこともある。このHPでい
う「有機物の吸収」も、植物が『非生分解性有機物の全てを吸収する』というものではない。ごく一部の非生
分解性有機化合物しか吸収しない。さらに、吸収される有機物の中でも有益な効果を奏する有機物は限定され
ているかもしれない。このHPで取り上げる「植物が有機物を吸収し、有益な効果を奏する」という現象は、ご
く一部の非生分解性有機物に限られると見るべきであろう。膨大な数の「非生分解性有機物」の殆どは、「有
益な効果を奏するものではない」かもしれない。狭い回廊かもしれない。そうであっても、歴史的に見て、誰
もが栽培において想定していない
植物が有機物を吸収する現象で、これまでの栽培にはない有益な現象が発現
しているので、「誘導栽培」としてその考え方を紹介している

閑話休題、再び、まとめを続ける。


第14に、不思議に増収となる栽培事例では、「家畜糞尿に生石灰を加えて殺菌分解した時の主成分として
酢酸カルシウムが生成し、これを慣行栽培に追加して用いる」というものであり、酢酸カルシウムは水溶性
で生分解作用を受けない有機物(=非生分解性有機物)であり、食品添加剤として利用されている。なお、
この時、酢酸カルシウムと同時に他のカルボン酸カルシウム塩が生成している。この糞尿の生石灰処理で
は、水溶性有機酸カルシウム塩もあれば、難溶性有機酸カルシウム塩も生成している。

第15に、従って、不思議に増収となる栽培の背景に、「有機物の吸収」があったものといえる。

第16に、植物は有機物を吸収し、そして、成長を促進させる事例があったことになる。

第17に、植物に吸収される有機物を「非生分解性有機物」と表現することができるが、そのような有機物
の化学種は膨大な数になる。その全部が、「肥料として好適な有機物」とは限らない。溶解度が低いものは
吸収されず、また、吸収されても植物や動物に害を与える非生分解性有機物も考えられる。

第18に、既に、前記発明で「酢酸カルシウム」というおそらく最も安直に調製できる非生分解性有機物が
施用され、不思議によい効果を奏している現実がある。卵の殻と食酢を混ぜると酢酸カルシウムが生じてい
る。930万種類にも及ぶ全有機化合物を精査する必要はない。

第19に、酢酸カルシウムが植物に吸収されることは、有機物が植物に吸収されることではあるが、「有機
分」と「無機分(アルカリ土類金属)」とが吸収されている。夫々が、夫々の性質に応じた作用・効果を奏
することになる。根からの吸収で「有機分」が獲得されることは、擬似的には光合成産物が増えたように見
える。また、「有機カルシウム」と言う形態で吸収された「カルシウム分」は、植物体内の他の有機物と置
換反応を生じ、難溶性カルシウム塩を生成する傾向がある。このように、無機栄養説の下では全く想定して
いない現象が出現する。

第20に、上記の根から吸収された「有機分」は、当該植物の有機物量を増やすため、増収に繋がる。同時
に、根から吸収された「有機分」の存在は成長に伴って消費される糖分の量を削減することとなり、作物体
に高糖度状態を生み出している。即ち、より大きく、同時に、より甘くて美味しい作物になる

第21に、根から吸収された「有機カルシウム」のカルシウム分は植物体内に存在する「カルシウムと結合す
ると難溶性の有機カルシウム化合物を生成する有機物」と置換反応する。具体的に言えば、多くの植物に自
然に含まれている「遊離シュウ酸」は、根から吸収された水溶性の有機カルシウム(酢酸カルシウム)と置
換反応をして、難溶性のシュウ酸カルシウムを析出し、「酢酸基」を植物体内に放出する。「遊離シュウ
酸」はエグミの原因成分とされ、且、毒素でもあり、エグミと毒素が軽減され、結果として、これまでにな
い美味しさと健康によい状態の作物になる。

第22に、有機物は、人為的な化学操作によって他の有機物へ転換できる。生分解性有機物であっても、酢
酸カルシウムのような所望の非生分解性有機物へ転換することができる。身近にある有機物のほとんどは生
分解性有機物だけれども、非生分解性有機物へ転換できる。

第23に、無機栄養説の下では有機物を栽培に活用することはできなかった。しかし、『非生分解性成分吸
収説』と読み替えることで、殆どの有機物が栽培のための新しい肥料の原料となることがわかる。

第24に、新しい肥料は「酢酸カルシウムに代表される非生分解性有機物」であり、有機物もカルシウム
も、殆どの栽培地に揃っている。

第25に、植物の養分吸収は、一応、「無機栄養説」と理解されていたが、『非生分解性成分吸収説』と読
み替えることができる。この読み替えで、『非生分解性有機物』が吸収の対象に含まれ、無機栄養説が突破
されたことになる。更に、吸収されない生分解性有機物も化学操作で吸収できる非生分解性有機物に転換で
きるので、殆どは、植物が吸収できる有機物の原料になる。今までは、無機物だけが吸収の対象だったが、
有機物が吸収の対象となった。

第26に、無機栄養説の下では、植物の必須元素とされる17種類の元素のうちNPK等14元素が無機養分とし
て施肥対象元素だった。それが、COHの有機3元素が施肥で補給できる元素になり、『全元素施肥』という
新しい形態が生まれた。因みに、植物の固形分のうち、NPK等無機養分は約4%を占め、COHは約96%を占
めている。

第27に、有機物の吸収は、『エネルギーの吸収』という見方が出来る。これまで、エネルギーを肥料で補う
見方は無かった。

第28に、エネルギーを持つ物質(有機物)の利用用途として『⇒炭素肥料化⇒食糧』という、食料への転換
の途が拓ける。作物のカロリー単価は極めて高いため、『生分解性有機物⇒非生分解性有機物』の化学操作
を加味しても、有益となる状況が生まれる。言い換えれば、「家畜糞尿のように始末に困る有機廃物」が、
適正な処理を行いつつ、処理の負担以上の価値を生み出す、といえる。

第29に、植物の成長の見方が大きく変わる。無機栄養説の下では、植物は自己の光合成量に基づく成長しか
できなかった。しかし、外部の有機物を吸収によって代謝に利用できることになれば、光合成と植物の成長
(代謝)とを切り離して考えることができる。これは、光合成能力が低い陰性植物の成長を大きく増大させ
ることに繋がる。


このように、植物が有機物を吸収することで、「作物の収量」「作物の食味」「作物の毒性の軽減」「肥料原
料」「肥料の調製」「植物の成長の概念」「光合成の意味合い」「エネルギーの活用」
等、多方面で新しいも
のの見方が生まれた。そして、それぞれが、新しい価値の創出に繋がる。積年の常識であった「無機栄養説」
が突破され、植物が有機物を吸収することで、劇的な変化が生まれる。
上記の第1から第13のステップで誘導
した「植物が有機物を吸収する現象」はその活用の仕方によって、望外の都合のよい状況を創出できる。


15)【誘導栽培のいろいろな側面】

誘導栽培が提案する、有機物の吸収を利用する栽培、は余りにも多方面に変化を及ぼします。

それを、いろいろな側面から概観します。

誘導栽培の大きな特徴は、科学的に理解しやすいものとなっています。これは、「質量保存則」エネルギー保
存則」という自然の保存則を加味したためです。

【最も大きな意義:日々食べている作物の毒素(遊離シュウ酸)を低減する】

★ 知っていましたか? 日々、作物を通じて「毒素」を取り入れていることを!

多くの作物には、普通に「遊離シュウ酸」が含まれています。一部が体内に吸収されて結石となります。
日々の積み重ねによって限界に達すると、体が激痛を発します。全身に散りばめられた結石を取り除く方法
はありません。

「できれば、1日の遊離シュウ酸の摂取量を180mg以下に」と警鐘を発する専門家もいます。しかし、それ
では、食卓が餌台に化け、寂しい食事になります。作物に含まれる「遊離シュウ酸」を事前に低減する術が
無いために広言することが憚られ、運悪く、結石による病を発症した患者だけが、「遊離シュウ酸の多い食
材は避けるように」と指導されます。
予防するしか術のない病を発症してから丁寧に説明されても快癒の道
のりは大変険しいものとなります

誘導栽培では、酢酸カルシウムのような非生分解性有機物を含む資材を施肥の一つに加えて栽培を進めま
す。吸収された酢酸カルシウムは
遊離シュウ酸(ある種の毒素)と結合し、作物体内で難溶性のシュウ酸カ
ルシウム
を生成します。このため、作物のシュウ酸分は、食べても人体に吸収される度合が少なくなり、大
便の中にシュウ酸カルシウムとして排泄されます。作物が生成したシュウ酸は、作物体内でシュウ酸カルシ
ウムとして固められ、人体に吸収されるおそれが少なくなります。

同じ品目の作物を食べるにしても、炭素肥料(非生分解性有機物)を利用した栽培の作物であれば、「毒性
の強い遊離シュウ酸の問題」は軽減されます。

即ち、誘導栽培は、より健康に良い作物を生み出します。

これは、連綿として続けられている無機栄養説の栽培では発現できない栽培の効果です。

「作物の遊離シュウ酸」のことは殆ど話題になりません。しかし、生涯を通じて食べた量の蓄積によって結
石による病が発症しているようです。
常人の数倍も食べる力士には若くして結石に悩まされる人が多数見ら
れます。菜食を心掛ける人に尿路結石の再発が多い傾向も喧伝されています。
微細な結石が体内を流れるた
めに、細胞を損傷させる可能性も指摘されています。「腹八分・腹七分が健康の秘訣」という噂にも符合し
ます。遊離シュウ酸の摂取による体内での結石の蓄積は、ある意味で、寿命を規制しているようにも見えま
す。

誘導栽培の最も大きな意義は、「作物が有機物(水溶性有機酸カルシウム塩)を吸収することで、同時に、
体内の遊離シュウ酸を低減でき、人体で結石ができる度合が軽減される」という側面です。
但し、誘導栽培
の作物による「寿命の延長」まで検証した訳ではありません。酢酸カルシウムのような水溶性モノカルボン
酸カルシウムと遊離シュウ酸とが反応して、難溶性シュウ酸カルシウムが生成するという化学的な挙動と、
同時にエグミが軽減する、という味覚の変化から、推測されることです。

因みに、ホウレンソウはエグミが強く、野生動物の食害を受けません。人間だけが、湯掻いてエグミを軽減
して食べます。誘導栽培のホウレンソウは、1〜数年でスズメが食べだします。

大切なので繰り返します。

 今、多くの人は「作物の遊離シュウ酸」に無頓着にみえます。遊離シュウ酸による体内での結石の生成
は、激痛となって気付いた時に「予防するしか術のないもの」という非情な現実に直面します。蓄積性の毒
物の累積によって病が発症して、「予防しかない」ということは、殆ど治療の術が無いことにみえます。

振り返り見れば、健康な時から「遊離シュウ酸の少ない作物」を選んで食べるしか術がありません。しか
し、健康な時には、医師からそのような指導を受ける機会がありません。病人ではないのだから。結局、エ
アーポケットのように、予防も治療も術が無い病が現存しています。

予防や治療の術が無いから…危険性も喧伝されない(この問題に対処できる術がないため、広く喧伝しても
「生業にならない」。だから、だれも注意を呼び掛けない。)

予防しか術のない病を、発症してから、丁寧に説明されても快癒の歩みは大変遅いものとなります。「努
力」だけはできるのですが。

誘導栽培では、多くの作物の遊離シュウ酸を栽培の過程で減らします。美味しい物を食べて、病を遠ざける
ことになります。同じ作物であっても、栽培の術で、その毒素の割合が大きく異なります。食の産業にお金
を支払っているのは食べる人(消費者)だけです。消費者が望む健康に良い作物が生産されてしかるべきで
す。

誘導栽培と遊離シュウ酸については、消費者の誰もが知っていなければならない事柄です。

「真理が我らを自由にする」(国立国会図書館の標語)

(1日の目標となる野菜摂取量は350gとされている。すると、「オクラ(100gあたり50mg)」よりも下位の作物で調理しなけれ
ばならない。そのような食生活には耐えられないように思える。また、上位の作物の栽培があってはならないことになる。)



【不可能を可能に:有機物の吸収が可能になった…非生分解性成分吸収説

今、「無機栄養説」に基づく栽培で食糧を得ています。無機栄養説だから『有機物』は吸収されません。

誘導栽培は、「無機栄養説」を『非生分解性成分吸収説』と読み替えることで、『有機物』が吸収される途
が拓けました。

「無機栄養説」という長く親しんだ見方とは異なる新しい状況です。植物は、無機物も有機物も吸収できる
ことになりました。

しかし、無機栄養説の下では、有機物の吸収を想定していません。想定していない有機物の吸収が実現した
としても、それがどのような作用、効果をもたらすかは、期待もしていないし、想定もしていないので、考
える手掛りがありません。有機物の吸収が良い事なのか、悪い事なのかがわかりません。しかし、無機栄養
説が定着する過程で「植物は成長に有機物の吸収を利用していない」ということを幾度となく科学的に確認
してきました。それ故、ある種の非生分解性有機物が吸収されることは、従来では不可能とされていたこと
が可能になった、ということができます。


【より良いものへ・1:美味しさの向上】

作物が根の吸収によって有機物を獲得するため、成長による糖度の低下が抑制され、糖度の高い作物体とな
ります。

高い糖度は、より美味しい食味を提供します。「遊離シュウ酸の低減」もエグミの除去であり、美味しさを
増進します。

作物の糖度が高いものは概して美味しいとされ、糖度は美味しさの一つの指標になっています。

なお、糖分は体内でエネルギー(ATP)を生み出す重要な成分で、多くの動物は糖度の高い植物を好んで食
べます。

作物の有機物の吸収は自己の光合成だけによる糖度の水準よりも高い糖度を実現できます。


【より良いものへ・2:収量の向上】

作物の有機物の獲得が、自らの光合成と有機物の吸収との2つの経路になり、有機物獲得量が増え、収量が
増します。

消費者には、「収量増」は見えないので、関心は薄いかもしれません。しかし、作物の収量が「1.9〜3.5
倍」になると、産地が激変します。

食糧の多くが近隣で生産できます。食の物流は無機物の物流に比べて格段に困難性が高く、高額な費用を要
します。消費地の近隣で食糧を生産するのが望ましいことです。

今、人類の食生活は「石油による長距離輸送」に依存しています。この石油は、50年程で枯渇するとされて
います。少なくとも、地中の石油の埋蔵量が日々増大しているという事実はありません。日々減少していま
す。石油の依存度が少ない生命の維持が何よりも重要な課題です。


【想定外・1:答えは身近にあった。有機物とカルシウム】

植物が有機物を吸収して成長を促進する事態は、従来想定していません。従って、誘導栽培による変化の全
ては、この想定外に含まれます。

1840年のリービッヒの提案以来、長きに亘って無機栄養説で植物を見ていました。有機物は吸収しないもの
と理解されていました。無機栄養説での主要な肥料はNPKであり、地球規模で局在した資源です。地球規模
の肥料供給網によって人々の食糧が確保されています。

処が、誘導栽培の新しい肥料の原料は有機物とカルシウムであり、何れも、身近に豊富にあります。

「増収と高品位化」の原料が、有機物とカルシウムで、直ぐ傍にありました。

NPKの地球規模の供給網とは余りにも違いすぎるところに炭素肥料(非生分解性有機物)がありました。

日本で言えば、郵便局よりも身近な所で、「有機物と石灰とを利用して炭素肥料を生産して、近隣の耕地に
施肥する
」というほど身近な処で新しい栽培の活動が行われるでしょう。


【想定外・2:健康的で美味しいものがむしろ安い】

誘導栽培は、健康的で美味しいものをより多く生産できます。食の流通も短くなります。適切な配慮の下で
実施すれば、収穫物の生産コストは今よりも安くなるでしょう。健康に良いものが、今よりも多く、安く生
産できるでしょう。「美味しいものが遥かに安い」というのは、今の社会の価値観とは反します。

誘導栽培は、一つの自然の理解の仕方を記したものであり、金銭的に「高い・安い」というような不自然な
事柄について触れることは好ましいことではないかもしれない。安く生産されても、高く販売されることも
あります。経済活動と言う不自然な過程については、自然の合理的な思考が適用されません。


【想定外・3:養水分の吸収の姿】

これまで、植物の養分吸収を統一的に解釈することはまだできません。その上で、現状をかなり的確に表現
するものとして、「無機栄養説」としていました。無機栄養説の下では、有機物は吸収されません。この理
解では、有機物を吸収する現象は触れることが出来なくなります。

誘導栽培では、様々な養分の吸収経路はあるものの、養液栽培の現実を勘案し、根の細胞膜における養分の
透過現象を「閾値を持った濃度拡散」と解釈し、水溶液の養分濃度が閾値に達すればその養分は吸収でき
る、と解釈しました。

そして、「無機栄養説」を『非生分解性成分吸収説』と読み替えて、非生分解性有機物が吸収対象となる途
を拓きました。この考えによって、ほとんど全ての有機物が非生分解性有機物の形態を経て植物に移行でき
ることになります。

このような養水分の吸収の理解は、「全てを統一的に解釈する」ということではありません。しかし、植物
を正常に育てるための解釈にはなります。何故なら、この理解で養液栽培が実用に供しているからです。植
物の養水分吸収の全てを統一的に解釈するものではなくても、植物を正常に育てるための理解としては適っ
ています。

即ち、慣行栽培よりも収量が1.9〜3.5倍になる、という前記特許発明の栽培例が「糞尿の生石灰分解の生成
物に水溶性の非生分解性有機物が多量に含まれている」ことによる有機物吸収の効果という解釈が可能とり
ました。


【社会的課題・1:放射能汚染】

先進国から後進国まで、「核の兵器や発電」による放射能汚染が広がっています。長い半減期の放射性物質
の汚染は10万年程度も続くといわれています。石油は約50年で枯渇し、化石燃料は約200年で全てが枯渇
し、永久に消滅すると見込まれています。10万年と言う長い期間に亘り、素手で立ち向かわなければならな
い時代が間もなく到来します。原爆の影響は損傷された遺伝子を介して末代までに引き継がれます。このよ
うな被害を避ける一つの術は、汚染されていない地域の食糧生産量を増やすことです。

誘導栽培は、前記特許発明の栽培例が余りにも慣行栽培より収量が多いので、その背後にある自然の摂理に
ついて推考し、想到した一つの解釈です。前記発明に従ってもよいし、誘導栽培の解釈に従ってもよいし、
何れであっても、耕地の生産性を高めることができれば、安全な食材を大量に生産できることになる。

汚染された地域に起因する被害は、その土地の居住者に止まらず、食材を介して安全な地域に住む人々まで
にも及ぶことがあります。


【社会的課題・2:普遍性】

栽培は、NPK肥料を必須とします。これは、地球規模で局在している資源であり、栽培は地球規模の肥料供
給網に支えられています。従って、「肥料」については遠い異国で生産されたものを購入して利用するもの
と受け止められてきました。

誘導栽培によって、その生産性を高めるには、有機物(糞尿、雑草、有機廃物)と石灰(石灰石)という殆
ど一番価値の低い資源が利用できる途が拓けました。今の栽培を飛躍的に高める新しい肥料の原料は、ほ
ぼ、世界中の耕作地の近所にあります。「新しい肥料は、夫々の地域で生産する」という新しい状況は、大
変好ましいことです。夫々の地域が、夫々の地域の食生活を安全で豊かなものとするために、地場の資源と
地域の努力で推進できます。他所の影響を全く受けることがありません。。


【社会的課題・3:エネルギー資源の枯渇】

単純に計算すると50年後に石油の枯渇を迎えます。石油の消滅によって、遠距離の交流はほぼ永久に途絶さ
れます。徒歩で行けない遠隔地は、月やアンドロメダ星雲よりも無縁な関係にみえます。月や星なら夜にな
れば見ることができます。電気・上下水道・交通・通信等のライフラインも止まり、殆どの社会活動が停止
します。医療すら停止することになるでしょう。止まるのは「物体」だけではなく、「組織」も立枯れま
す。最優先で確保されなければならないのは「食糧」です。今、日本のフードマイレージは、一人1日19ト
ン・kmとなっています。2.5kgの食事を7600kmの遠方から出前している勘定です。日々石油を食べて生
きているようにも見えます。世界中が食事のために膨大な物流を形成しています。石油の消滅で、世界中が
打撃を受けます。夫々の地域の食糧生産性を高め、石油に依存しない食生活を確立しなければならないので
しょう。30歳以下の人は、石油の枯渇の騒動を直接体験できる世代と見込まれます。

なお、付言すれば、人間の知恵で生み出した価値は、石油の枯渇で一瞬にして消えるでしょう。紙幣・貨
幣・貴金属・動産・不動産・名誉・功績・文化・芸術までも、その価値や評価までもが石油の枯渇と共に消
え去ります。

いままでの活動は、地下に埋もれた資源を取り出して価値を生み出し、地上に富を蓄積しているようにみえ
ます。その富の高さを競うために、逸早く、より多く地下の資源を取り出しています。ただ、自然の保存則
によって、取り出せば徐々に埋蔵量は減り、地下資源はやがて無くなります。資源が尽きた時、築き上げた
富も同時に消えることになります。


【社会的課題・4:主客転倒にも見える】

食料は供給側の意向によって全てが決定されて今日に至っています。

そして、その食糧生産が「GDPの僅か1.5%の農業のために、他の産業を犠牲にできない」と年若い政治家
に見下され、社会の片隅に追いやられています。食の産業に唯一お金を負担している消費者は、耕作者より
も更に外側に追い遣られています。

食の産業の唯一の顧客は、食糧を食べ尽くす消費者です。消費者以外は、「もっと利益になる生業があれば
逸早く転業する」という程度の人々です。絶対的に尊重されなければならない消費者が、最も無力な位置づ
けに置かれているのが今日の社会の姿です。

しかし、誘導栽培は、「遊離シュウ酸を低減させた作物を得る術」を見出しました。

同じ姿の野菜でも、その栽培の如何で遊離シュウ酸の度合に差が生まれることになりました。

幸い、誘導栽培は、耕地の生産性を1.9〜3.5倍に高めた栽培事例から想到した栽培で、同様に高い生産性と
なる栽培の術です。

消費者は、自らの健康の維持のために、今までの栽培のように遊離シュウ酸を低減させていない作物を敬遠
することができる情勢になりました。

健康に良い作物を作る耕作者は、より安価な生産コストで良品を生産できるでしょう。

 図表は、視点を変更すると、栽培の姿が大きく変わることを示しています。

 新しい肥料と栽培の位置付けを示しています。

 新しい栽培の収穫が、どのような位置付けにあるかを示しています。

 身近な資源を活用すると、今の慣行栽培を飛躍的に改善できることがわかります。

100」の項目で、「誘導栽培(有機金属栽培)まとめ」を付しています。

最初から、最末尾の「100」をご覧いただいても構いません。

植物が有機物を吸収する過程」については「第33〜35図」と後段で触れています。そちらをご覧ください。養分吸収の過程は、土耕栽培では見えない過程も有り、あまり関心を持たれない事柄とも言えます。従って、末尾の部分で紹介しています。

このHPでは、全体を短く区切り、各々、冒頭に図を示し、その図を説明する手順で構成されています。即ち、絵図によって説明のあらましが分かるようになっています。

このため、夫々は、絵図を一瞥するだけで、内容が把握できるようになっています。

更に、元の絵図の幅は、A4用紙の両側にそれぞれ18mmの余白を設けた程度の大きさとなっています。これを目安にすれば、紙に印刷した時の文字も読みやすい大きさになります。


このホームページで誘導栽培として述べていることの骨子を以下に示します。




目次 (各項目をクリックするとその項目に移動します)  

誘導栽培の概要

1.誘導栽培とは

2.異なる視野

3.炭素肥料

4.最少律による誘導栽培の理解

5.無機栄養説の限界

6.いろいろな栽培の物質流

7.誘導栽培だけの物質流

8.炭素肥料の2つの作用

9.カルシウムの多様な役割

10.栽培方法の推移

11.栽培の創造価値

12.何が何を生むのか

13.誘導栽培の施肥設計

14.栽培の意図

15.誘導栽培の栽培作業

16.最少律の別の解釈

17.何で何を手当するのか

18.誘導栽培の2つの化学反応

19.誘導栽培の作用の内訳

20.生態資源の未来への移転

21.制限要因の部位の違い

22.慣行栽培と誘導栽培の模式図の比較

23.栽培の構成と効果の概観

24.食物連鎖のピラミッド

25.エネルギーのあらまし

26.慣行栽培と誘導栽培の模式図

27.作物のシュウ酸含有量

28.誘導栽培の作用の概観

29.生態系の炭素循環図

30.主な資源の可採年数

31.主な物品のカロリー単価

32.生態系の2つの炭素循環と誘導栽培

33.植物の根の養水分吸収の概要

34.土耕栽培の根の養水分吸収と植物体内の水循環の概

35.植物が有機物を吸収する過程

100.誘導栽培(有機金属栽培)のまとめ