パインアップル (ゴールドバレル)
Gold Barrel


 ゴールドバレルは、沖縄県の農業研究センター名護支所で開発された生食用パインアップルの品種である(写真1)。
 ゴールドバレルは、1989年にクリームパインにマクレガー ST-1 を交雑して育成された。

写真1:ゴールドバレルの果実

 ゴールドバレルは、沖縄本島北部では露地栽培において7月中下旬に収穫される早生品種であり、葉にトゲはなく、果実の形状は円筒形を呈し、小果の突出程度は平滑であり、夏実の大きさは1,400g程度と従来の生食用品種であるボゴール、ソフトタッチ、サマーゴールド等と比べると大玉である。
 また、ゴールドバレルの果皮色は橙黄色で、果肉色は黄色、食感は柔らかく果汁に富んでいる。果汁の糖度は約16度、酸度は0.5%程度と高糖低酸で食味が良い。

 ゴールドバレルは、どっしりとした外観と甘くてジューシーな果実品質の両面から、今後は贈答用に幅広く用いられる可能性を大いに秘めたパインアップルの品種であると考えられる。
 収穫時期がお中元シーズンであることも、本品種の需要を伸ばす要因になるかもしれない。

 しかし、ゴールドバレルには栽培上の大きな欠点がある。
 品種の特性上、苗となる冠芽、えい芽、吸芽の発生数が極端に少ないのである(図1、表1)。


 吸芽の発生数が少ない(0.5本/株)と云うことは、既存のパインアップル品種であれば、苗を定植後2年後に初収穫を迎え、収穫を2〜3年(回)繰り返した後に株の更新となるが(図2)、ゴールドバレルは収穫を1回終えると直ちに株の更新をしなければならないことになる(図3)。
 これは、株の経営的な寿命が極めて短く、経営的に不利な栽培サイクルを余儀なくされることを意味する。

図2:N67-10の夏植え栽培(4年2収)

図3:ゴールドバレルの夏植え栽培(3年1収)

 また、えい芽が少ない(平均0.9本/株)ことから更新時や畑の規模拡大時の苗が不足することが想定される。
 そこで、ゴールドバレルの苗づくりは、一般農家には馴染みの薄い「輪切り増殖法」が必要となる。

 つまり、ゴールドバレルは栽培効率の悪さ、種苗の増殖、確保の難しさから栽培面積や生産量が急激には増加しない品種と言える。
 そのため、ゴールドバレルは入手が困難な品種となることは必至であるが、その高い品質から一度は食べてみたいパインアップルである。



○参考文献
 ・「沖縄の果樹 パインアップル」.沖縄県農業協同組合.
 ・「早生で大果の生食用パインアップル新品種「ゴールドバレル」」.2007.出花幸之介・池宮秀和・高原利雄・金城鉄男・正田守幸・比嘉ひろの・粟国佳史・大城和久・仲宗根福則・比嘉正和・添盛浩・喜納兼二・岩本由美・新崎正雄・上地邦彦・井上裕嗣.平成17年度 果樹研究成果情報;p.13-14.果樹試験研究推進会議・(独)農業・食品産業技術総合研究機構・果樹研究所.



ホームへ
熱帯果樹リスト(五十音順)へ
熱帯果樹リスト(分類別)へ