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刺客列伝 〜荊軻〜 解説
「史記」列伝小説風化、一作目です。
結果として、荊軻は秦王暗殺に失敗しました。
荊軻は後に二通りの見方をされることになります。
一つは、テロリズムによって歴史の流れを止めようとした愚昧な理想主義者。
今一つは、己を信ずる者のために死を選んだ忠直な武人。
どちらも正しいと言えるでしょうが、それは荊軻が暗殺に失敗したからです。成功していれば、その正当性、あるいは不当性は、次の時代を制した覇者の手によって書き換えられていたでしょう。
秦王政は後に中華を統一し、自ら始皇帝を名乗ります。しかし、秦はその後十余年で滅亡の憂きを見ることになります。
始皇帝の天下統一は高名ですが、荊軻が出発直前に詠んだ詩もまた、多くの人々に知られていて、六朝宋の詩人陶淵明も詠じています。
曰く「風蕭々として易水寒し。壮士一たび去って復た還らず」と。
この作品を書いたのは、映画『始皇帝暗殺』が上映される一年ほど前です。映画は見ていませんが、いつか見てみたいものです。