ミリタリー用語辞典




バーティゴ(Vertigo)
空間識失調。自分が水平飛行をしていると感じていても、実
際には旋回降下を行っているなど、飛行中に実際の飛行状態
と自分の感覚に違いが生じること。雲の中や薄暮〜夜間に生
じやすい。バーティゴがひどくなると、正しく表示している
計器が信じられなくなり自分の感覚に頼ってしまうため、事
故につながることもある。

バード・ストライク(Bird Strike)
鳥との衝突。離着陸時など飛行高度が低いときに特に発生し
、風防に衝突して風防を突き破ってパイロットに負傷させた
り、エンジンに吸い込まれてエンジン停止などに至らせるこ
とがある。飛行場とその周辺には鳥などの生物が多いが、効
果的な駆逐策はない。

ハードポイント(Hard Point)
主翼や胴体で部分的に構造が強化されている場所。通常は機
外搭載品を携行できるように強化されているもので、ハード
ポイントにパイロンなどを介して各種機外搭載品を取り付け
る。パイロンを固定装備している場合もあってパイロンと誤
解されるが、機外搭載ステーションの数は原則としてハード
ポイントの数である。

ハーネス(Harness)
1:塔乗員の拘束具。塔乗員を安全のために座席に固定する
  ための装具で、座席ベルトの類。
2:パラシューティストや空挺隊員の、パラシュートと身体
  を繋ぎ付けているストラップ。固定式になっているもの
  と切り離し可能型の2タイプがある。
3:輸送機の機内に搭載したパレット化貨物やコンテナを、
  貨物室内で動かないように貨物室床に固定しておくため
  のストラップ。保持ネットとは別物。

ハーム(HARM: High-Speed Anti-Radiation Missile)
高速対レーダー・ミサイル。アメリカのAGM−88のこと
。レーダーなどから発信されるIバンド(8〜10GHz)
以上の周波数を捉え、その発信源に向かう誘導方式による攻
撃ミサイル。超音速で飛翔する。射程は25km。

排気ガス温度(Exhaust Gas Temperature)
タービン・エンジンのタービン出口(排気部)のガス温度。
タービン入り口温度を間接的に推測するための、パラメータ
ーとして用いられる。これを示す計器がEGT計。

バイスタティック・レーダー(Bistatic Radar)
レーダーの送信機と受信機が個別のユニットに分けられてい
て、送信機と受信機の間に距離を置いたレーダーシステム。

ハイドロプレーニング(Hydroplaning)
濡れた路面を走行した場合、タイヤの走行速度がある一定以
上になったときにタイヤが水の流体圧力で浮き上がり、タイ
ヤと路面の間に水膜が発生してタイヤがその上を滑ってしま
う現象。ブレーキを使っても摩擦制動力がほとんど得られな
くなる。

ハイパーソニック・トランスポート
(HST: Hypersonic Transport Aircraft)

極超音速輸送機。将来の高速輸送機計画のことで、一般にハ
イパーソニック(極超音速)はマッハ5以上の速度を指すの
で、極超音速輸送機は超音速輸送機(SST)よりも高速の
マッハ5以上で巡航する機体の計画を意味する。

バイパス比(Bypass Ratio)
ターボファンなどのファン・エンジンにおいて、燃焼に使う
空気の重量とファンから直接吹き出す空気の重量の比率。初
期(1960年代)のファン・エンジンのバイパス比は1〜
1,3程度であったが、最近の大バイパス比ターボファンで
は8〜9に達するものもあり、燃焼室に送られる空気は全取
り入れ空気量の1/10程度になっている。戦闘機用ターボ
ファンはバイパス比が小さく、F100で0,7、F119で
は0.45である。

ハイレート・クライム(High-rate Climb)
高上昇率上昇。急上昇のこと。通常使用される上昇率よりも
大きな割合で上昇を行うことで、短時間で高高度まで上る必
要があるときに使用される。

パイロン(Pylon)
1:懸吊架。機外装備品を搭載するための機材で、ハードポ
  イントに取り付けて、そのパイロンに兵装や増槽などを
  装着する。また大型機で主翼下にエンジンを吊り下げ装
  備している場合、エンジンと主翼の間に付けられた支持
  構造部もパイロンと呼ぶ。
2:飛行場に設置された目標塔。
3:旋回または折り返し標識。エアレースのコース設定で旋
  回位置などを示すのに使われている塔。

バックタキシー(Back Taxi)
航空機が滑走路上を走行(誘導路を使用せずに)滑走路エン
ドまで行くこと。誘導路が使用できないような場合、離陸し
ようとする航空機が滑走路上を走行して、エンドで180度
ターンして離陸ポジションにつくことがある。タキシーバッ
クとは意味が違うので注意。

バッジ・システム
(BADGE System:Base Air Defense Ground Environ
ment System)

自動警戒管制組織。防空のための警戒管制組織で、指揮命令
航跡情報などを伝達する全国規模の指揮通信システム。航空
自衛隊の場合、24時間体制で領空とその周辺をレーダーで
監視し、不明機に対して識別を行い要撃戦闘機または地対空
誘導弾部隊に目標の割り当てを行う。

パッシブ探知(Passive Detection)
受動式探知。探知する機材から電波などは出さずに、センサ
ーが目標からの輻射(電波、赤外線など)を受信する探知方
式。レーダー警戒装置、赤外線誘導式兵器などがこの探知手
段を使用している。

パッチ(Patch)
ワッペンのこと。布などで作られた部隊や航空機などの装飾
品。

バフェッティング(Buffetting)
飛行中の航空機に起きる振動。失速状態に陥り始めたときに
それによって生じた渦を伴う気流が尾翼に当たって起きる場
合と、高速飛行時に衝撃波によって境界層の剥離が生じてそ
れによって起きる場合がある。

バブル・ウインドウ(Bubble Window)
張り出し窓。機体に付けられている窓が半球系などに膨らん
でいて、そこから乗り出して外を見るための監視用の窓。窓
が曲がっているので歪みはあるが、下方視界が開けて真下ま
で見ることができる。

馬力(HP: Horse PowerまたはPS: Pferde Starke)
エンジンの回転軸の回転出力を示す単位。1馬力は、メート
ル制馬力では75kg−m/s、ヤード・ポンド制馬力では
76kg−m/sで、メートル法を例に取ると75kgの重
さを1秒間に1m持ち上げる能力である。メートル法ではP
S、ヤード・ポンド法ではHPで表される。

馬力加重(Power Loading)
航空機の重量を搭載エンジンの馬力で割った値。通常は総重
量を最大出力で割る。この値が小さくなる(相対的にエンジ
ン出力が大きい)と、一般的に航空機の運動性は高くなる。

バリケード・スタンチョン(Barricade Stanchion)
バリケードを支える手柱のこと。これが転じて、航空ショー
などで展示機の回りに設置される囲いや、展示物と観客列の
境に置くフェンスなどを示す。

バルーニング(Ballooning)
航空機がふわふわと飛ぶ状態のこと。着陸直前の軽飛行機な
などによく見られる現象で、翼面荷重が小さいとき、無風や
、やや追い風の状態のとき、日差しの強いときなどに起き、
また低翼機の方が生じやすい。風船がふわふわと浮かぶ様か
ら名付けられた。

バルカン砲(Vulcan Gun)
口径20mm6砲身の機関砲で、砲身が回転しながら1門ず
つ弾薬を発射していくので発射率が高速になる。『バルカン
』は、開発したジェネラルエレクトリック(現ロッキード・
マーチン)の登録商標で、同社製以外の同様の方式、あるい
は同社製でも20mm以外の口径のものはガトリング式機関
砲とよばれる。

パルス・ドップラー・レーダー(Pulse Doppler Radar)
レーダーが受信した信号にパルス連続処理とドップラー処理
を加えるもので、ミキサーとバンドパス・フィルターを使用
して目標物からの反射以外のものを排除するレーダー。地上
や海面のクラッターなどを除去できる。ドップラー技術を使
用することで、目標の接近率を知ることもできる。

パワード・リフト(Powered Lift)
エンジンの出力(または推力)だけで全揚力を発生する方式
で、翼などの揚力面を使わずに物体を持ち上げること。航空
機の場合はほとんど総てが、超低速飛行あるいはホバリング
を行っている時がパワード・リフト状態にあると言える。な
お回転翼や境界層吹き出し制御により発生する揚力は、パワ
ード・リフトに含まれる。

ハンガー(Hangar)
格納庫のこと。地上にあって航空機を収容するための建造物
。修理用の建物や掩体なども広義のハンガーに入る。

ハンガー・アウト(Hangar Out)
航空機がその日の活動のために格納庫から引き出されること
。通常はトーイングなどによって行われ、航空機は自力走行
しない。

ハンガー・イン(Hangar In)
航空機を格納庫にしまうこと。通常は航空機による自力走行
では行われない。

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