⇒ メルマガを予約する(無料)     バックナンバーを参照する   ホームページへ戻る     おすすめのイタリア映画

  

              もっと知りたい! イタリアの言葉と文化   第35号

 

            L'Epifania e Befana(2)

      〜なぜベファーナが子供たちにお菓子を贈ることになったのか」                                                                     

                                               2010年2月1


-----------------------------------------------------------------------------

 はじめに

 すっかり発行が遅くなって、早くもcarnevale(男性名詞、「謝肉祭、カーニバル」)の季節になりました。今さら、主顕節やベファーナ(1月6日)について話すのは時節はずれなのですが、前号でお約束もしていましたので、簡単にご説明します。

 

             L'Epifania e Befana (2)

      〜なぜベファーナが子供たちにお菓子を贈ることになったのか

  カトリック教会では象徴的に、12月25日をイエス・キリストが誕生した日、1月6日を東方の三博士が幼子を訪れて貢物を捧げた日として、それぞれクリスマス(Natale)、主顕節(Epifania)として祝います。この両日は、イタリアでは国民の祝日でもあるため、学校や大学は、クリスマスの少し前から主顕節までがクリスマス休暇で休業となります。

 イエス・キリストの誕生場面をあしらったプレゼーペ(presepe。presepioとも言う)については、これまでも何度か(たとえば第34号)でも写真も挙げてご紹介しましたが、家庭や教会によっては、先の二つの祝日の意義を重視して、プレゼーペの模型のうち幼子のイエス・キリストの人形だけは12月25日が来るまで置かなかったり、東方の三博士やラクダの人形も1月6日の日になって初めて配置したりする場合があります。

           

    砂漠を旅する東方の三博士の一行   幼子イエス(左端)に歩み寄る一行     イエスに贈り物を捧げる三博士 

 (上の写真は、いずれもウンブリア州アメーリアの郊外にある聖母マリア修道院のpresepeを撮影したものです。)

 

 では、なぜこの日にベファーナが子供たちにお菓子を贈るという伝承が生まれたのでしょうか。諸説あるようですが、そのうち有力な説が前号でご紹介したウェブページの第2段落で語られています。

 ページのリンクはこちらです。

 labefana.com - storia

 http://www.labefana.com/2009/storiadellabefana.php

 

 第2段落を見てみましょう。

“Secondo la leggenda, i Re Magi, diretti a Betlemme per portare i doni a Gesu Bambino, non riuscendo a trovare la strada, chiesero informazioni ad una vecchia. Malgrado le loro insistenze affinche li seguisse per far visita al piccolo, la donna non usci di casa per accompagnarli. In seguito, pentitasi di non essere andata con loro, dopo aver preparato un cesto di dolci, usci di casa e si mise a cercarli, senza riuscirci. Cosi si fermo ad ogni casa che trovava lungo il cammino, donando dolciumi ai bambini che incontrava, nella speranza che uno di essi fosse il piccolo Gesu.”

「伝説によると、東方の三博士は幼子イエスに贈り物を運ぶためベツレヘムへと向かったが、道を見つけることができずに、一人の老婆に情報を尋ねた。三博士が幼子を訪れるのに同伴してほしいと何度も頼んだにも関わらず、老婆は三博士と共に旅をするために家から出ることをしなかった。その後、老婆は三博士と共に行かなかったことを悔やみ、菓子をつめたかごを用意してから、家を後にし、三博士を探し始めたが見つけることはできなかった。そこで、老婆は、道すがら見つけたすべての家に立ち寄り、子供たちの中の一人が幼子イエスであることを願いながら、出会った子供たちに菓子を与えた。」(石井訳)

 

 長い文章ではないので、前号では「目を通しておいてください」と簡単に書いていたのですが、読み直してみて、ジェルンディォや過去分詞を用いた従属節の多い、ひどく難しい構文であることに気がつきました。

 難しいことは置いておいて、よく使われる便利な表現だけご説明します。

 まずは冒頭のsecondo。皆さんがよくご存じなのはイタリア料理の二皿目、あるいは助数詞で「第2。2番目の。」を意味するsecondoだと思うのですが、冒頭のsecondoは前置詞で、「〜によると、〜の意見では」を意味し、英語のaccording to...にあたります。イタリア語では「〜だと思う」と自分の意見を述べるのに最も簡単な方法は、意見を述べる文の前にsecondo me「私によると、私の考えでは」という言葉を置くことです。たとえば、“Secondo me e meglio andare con l’autobus. ” 「(私の考えでは、バスで行った方がいい→)私は、バスで行った方がいいと思います。」といった使い方ができます。

 それから、文中に出てくる二つの動詞、uscireriuscireはどちらも日常生活でよく使う表現です。形は似ていますが意味はかなり違いますので注意してください。

 uscireは「出る、出かける」を意味し、通例uscire da casa「家を出る」、uscire dal bagno「トイレから出る」、uscire dalla citta「町を出る」のように、「どこから出るか」を表すのには、前置詞 daを用います。「家を出る」場合には、上のベファーナの文にもあるようにuscire di casaと前置詞diを用いることもありますので、注意してください。

 一方、riuscireの方は、元来語構成からしてri(再び)+uscire(出かける)なので、伊伊辞典を見ても第一義には「再び出かける」という意味がありますが、見かけることが圧倒的に多いのは、riuscire a +不定詞という形で「(いろいろ努力した結果)うまく〜することができる、〜することに成功する」を意味する用法です。

 この二つの動詞では、共通する語幹の部分(uscire)の活用形は常に同じです。たとえば、直接法現在で主語が「私は」の際の活用形は、それぞれesco、riescoです。例文を挙げると、

(1) Stasera esco con Maria. 「(私は)今晩マリーアと出かける。」

(2) Non riesco a dormire.  「(私は)眠ることができない。」

となります。

 話をもとに戻しましょう。そういう伝説のおかげで、イタリアの子供たちは1月6日の朝、靴下に袋づめされたお菓子をもらえるようになったわけです。また、BefanaEpifaniaという語はよく見てみると互いによく似ているのですが、それもそのはずで、もともと同じギリシア語の単語epiphaneiaを起源としているからです。

 先のページには続けて、ベファーナの起源は、ローマ時代のキリスト教以前の農業の伝統と関わっていて、老婆は去り行く古い年を象徴し、贈り物を与える習慣には、新しい年が恵み深いものとなるよう神々に祈る意味があったとあります。こうした異教の習慣がやがてキリスト教の伝統の中に取り入れられ、違った意味・内容を持つものとなったわけです。

 おわりに

 発行が大変遅くなってしまい、楽しみにしてくださっていた方には申しわけありません。1月6日に、子供たちのために、夫や友人たちとともに「ベファーナと東方の三博士」を主人公としたちょっとした劇を上演したので、その写真や映像を添えたかったというのが最大の理由です。撮影した友人が皆遠方に住んでいるため、「いつか訪れてコピーさせてもらおう」と思いつつ、機会を逸したまま2月に入ってしまいましたので、結局は写真と映像なしに執筆することとなりました。劇の台本は、夫が書いたベファーナの物語をもとにしているのですが、いつかまた、この劇や物語についても触れたいと思っています。

 では、また。次回は時期はずれにならないうちに、carnevaleについて書くつもりでいます。

  このメルマガの著作権は石井に帰属します。引用・転載を希望される方はご連絡ください。

  バックナンバーはこちらのホームページからご覧になれます。http://www.kitsunenomado.com

(HPでは、アポストロフィで代用せずに、イタリア語のアクセント記号つきの母音をそのまま使って表記しています。)

-----------------------------------------------------------------
メールマガジン 「もっと知りたい! イタリアの言葉と文化」

発行者      石井直子

登録・解除    http://www.mag2.com/m/0000280229.html

⇒ メルマガを予約する(無料)     バックナンバーを参照する   ホームページへ戻る     おすすめのイタリア映画