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                        もっと知りたい! イタリアの言葉と文化

               第3号 「色いろいろ」              2009年1月31日

 

 こんばんは。前回まで発音うんぬんについてご説明していたのですが、今回は少し脱線して、色を話題にしてみたいと思います。

 卒業論文の執筆に追われる中(それで、発行が遅くなりました。申し訳ありません)、ペルージャ外国人大学に通学していらっしゃった日本人の学生の方へのアンケート結果を整理していて、日本人には「外国語の学習には、単語の学習が大切だ」という意識がとても強いようだという結論に到達しました。「単語が大切」なのは言うまでもないのですが、「単語帳を丸暗記する」とか「辞書の重要語句を書き写す」のは、何もしないよりはいいとしても、努力に対応するだけの成果を得るのは難しいのです。

  たとえば、皆さんが自宅の電話番号や歴史の年号を覚えるとき、ただ数字の羅列では覚えにくいので、「仏法伝来ご参拝(538)」などと、語呂合わせで覚えられることが多いのではないかと思いますが、これは人間の脳そのものが、何か自分がすでに知っている知識に関連づけて整理すると記憶しやすいし、記憶に残りやすいということを、自分たちでも気がつかないうちに知っていて、できるだけ覚えられるようにしようとするからです。外国語の学習でもそれは同じこと。単に言葉を覚えるよりは、文脈の中で覚えたほうがいいし、文法や会話の本に多い、イタリア語でいうfrase isolata(文脈から切り離されている短文)よりも、まとまりのある短い文章やある程度の長さの会話のやりとり全体を繰り返し聞いたり、見たり、書き写したり、声に出したりした方が、文の構造や話の組み立て方を少しずつ身につけられるほかに、単語や表現も記憶に残りやすいのです。

  たとえば、単語を覚えるときに、関連のある分野の言葉を、自分のすでに持っている知識と関連させながら記憶するようにすると、脳の働きをうまく活用するわけですから、長い間記憶が継続するようになるはずです。というわけで、今日は「色」に関する話題をいろいろご提供したいと思います。それから、物事をよく覚えるには、「すでに自分が持っている知識と関連づけること」、「さまざまな感覚を総動員して(視覚・聴覚・味覚)覚えること」などのほかに、「自分自身が気づくこと、発見すること」が大切です。ですから、今日のメルマガは少し、クイズめいた内容になります。頭をよく働かせてくださいね。準備はよろしいですか?

 まずは、皆さんもよくご存じの童話の日本語での題名を当ててください。

1.Biancaneve e i settte nani

 
数字のsette と色を表す形容詞のbiancoが分かれば、あまり難しくないと思います。最後にあるnaniは数字の前の定冠詞からも分かると思うのですが、男性名詞 nano の複数形です。意味は何でしょう。日本語でも、「ナノ」とか「ナノテクノロジー」とかいう言葉を聞かれたことがおありでしょう。ギリシャ語に由来するこの言葉は、イタリア語では「極度に小さい」という意味の接頭語として使われたり、名詞としては、派生した意味として、(少し古いのですが、私が使用している伊伊辞典、“Lo Zingarelli 2003”, Zanichelliの定義によりますと)次のような用法もあります。

  “Uomo di piccolissima statura | Essere fantastico di piccola statura, personaggio mitico di favole e leggende europee, spec. nordiche. CONTR. Gigante”.

  対義語の「巨人」があるからすぐお分かりですね。nanoは「小人」です。ですから童話の題名はもうお分かりですね。「白雪姫と七人の小人」のイタリア語での題は、直訳で言うと「白雪と七人の小人」。Neve(雪)は女性名詞なので、形容詞biancoの語尾が-aになっています。傑作映画、La vita e bellaをご覧になった方は、この童話のタイトルにからんだなぞなぞを主人公が言っていたのを覚えていらっしゃるかもしれません。

2.te nero

  何のことだと思われますか。ちなみにteは重要単語で、語形が英語のteaに似ていますが、同じもの。「お茶」のことです。緑茶はイタリア語でもte verdeなのですが、なぜだか日本人が「紅茶」と呼ぶお茶は、イタリア人には「黒く」見えるみたいです。

  逆に、ワインについて、vino rosso(赤ワイン)と vino bianco(白ワイン)は、皆さんご存じだと思うのですが、私の義理の両親は「テーブルにある赤白のワインのどちらを飲みたいか」と私に聞くときに “Biano o nero?”と聞きます。先ほどの伊伊辞典を見るとvino nero vino rosso scuro (黒っぽい、濃い赤のワイン)だと説明してありますが、確かに巷で見かけるワインの色は赤よりも黒に近いような気がします。(巷のというのは、義理の両親が愛用しているワインは白も赤も自家製なので、赤ワインは本当に「赤い」、明るい「赤」だからです。)

3  “Rossa o bianca?”

 Pizzeriaでピザを注文するときに、ウェーターにこう聞かれることがあります。何のことだかお分かりですか。ピザの上に載っている具で「赤いもの」と「白いもの」と言ったら

 「Mozzarellaチーズだけで、pomodoro(トマト)のソースはいらない」、という人はBiancaと、トマトもほしい方はRossaと答えてください。形容詞の語尾が-aとなっているのは、省略されているけれども修飾されている名詞Pizzaが、女性名詞の単数形だからです。ちなみに、レストランでワインつきの定食を頼むと、ウェーターにBianco o rosso?と聞かれますが、ここで形容詞が-oで終わっているのは、言うまでもなく省略されているvinoが男性名詞の単数形だからです。

4
Morte bianca

  ここで、悲しい現実に触れなければいけません。イタリアでは昨年の末から、工場や作業現場の事故で命を落とす人が多いことが問題になっていますが、未然に防げたはずの安全対策が欠如しているために起こるこうした事故死をイタリア語ではmorte biancaと言います。今年になってからも、職場で命を落とす人が絶えない上に、イタリアでは、学校の校舎がいきなり崩壊して生徒が死亡したり、その際に「安全基準に合格していない」校舎が全国にいくつもあることが分かったりして大問題になっています。少しでも経費を安く上げるためと業者が安全に目を配らないことが最大の原因だと思いますが、それが単なる国の安全基準を守らないというだけのことにとどまらず、人命を軽視し、そうした事故死をもたらす原因になっていることに気づくべきだと思います。

5
bianconero

 これは何でしょう。サッカーファンの方はすぐ分かるかもしれません。“Lo Zingarelli 2003”の定義によりますと、[comp. di bianco e nero, i colori della squadra; 1940]サッカーチームのユニフォームの色を言うことで、サッカーチーム自体を指しているのです。

“agg.; anche s. m. (f. -a; pl. -i)
 * Che (o Chi) gioca nella squadra di calcio torinese della Juventus, dell'Udinese o dell'Ascoli o ne e  sostenitore.”

6imbiancare 

 
私と夫の住んでいるペルージャ郊外にあるアパートは冬の間湿気が室内にこもりやすいため、冬になるとできるだけ換気をしようと心がけてはいるものの、部屋の天井の隅に黒いカビが発生したりして “Dobbiamo imbiancare la stanza”(部屋の壁・天井を白く塗らなければいけない)ということになります。この言葉から私が連想するのは、古くなって壁の塗り替えを必要とする家なのですが(ペルージャの街中のアパートに住んでいた頃は、時々同居人と一緒に壁を塗り替える必要がありました)、辞書を見ると定義はもっと幅広く、用例の光景は詩的でさえあります。

定義:Far divenire bianco. 用例: la neve ha imbiancato le cime.

(雪が山々の峰を白く染めたとでも訳せるでしょうか。)

 単語“bianco”(白・白い)に、接頭辞のinと接尾辞のareをつけて、in + bianco + are → imbiancare(白くする) という動詞が派生されています。

 遅れた2週間分を取り返そうというつもりもあったのですが、何だか長くなってしまいました。アンケートにご協力していただき、ご親切な励ましをくださった方、本当にどうもありがとうございました。できるだけご期待に添えるよう、定期的にメールマガジンを発行できるように努力したいと思います。

  では、また。なお、このメルマガの発行の日づけはイタリア時間を基準にしています。

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発行者      石井直子
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