小惑星探査衛星はやぶさ


著者・なん☆とうせい

この物語は一部ドキュメント形式ですが、

企業名以外は、個人名は偽名を使用しています。

もし問題があれば削除します。台詞の部分は想像で書いています。

尚、お分かりとは思いますが、この話に出てくる川越チーフマネージャーは、

そのまま川口チーフマネージャーの事です。堀江。水野。緒方なる人物は、

実際には存在しません。これは個人名は偽名を使用するという事で、勝手に

作り出した擬人像に過ぎない事をこの場で明記しておきます。

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 2006年1月23日未明…JAXA相模原コントロールセンターのサブモニターを、

いつもと同じように見つめている職員がいた。どうせ今日も何も来ないだろうと…

その職員の眼は、まるで宙に浮くかの要に、ただ惰性でモニターを見つめている

だけだった。ここ三ヶ月間の間、ずっと休みなくここの椅子に座り、来るはずもない

信号をひたすら待っていた。そう…ただひたすら…

『キュイ…キュキュキュ…』

 一瞬機械が壊れたのかと思ったが、よく耳を済ませて聴いてみたら…

「こ、これは…ビーコン信号…い、生きていたのか!?あいつはっ!」

『キュキュキュキュ…キュキュキュキュキュ…』

 職員の男は、設置されているパラボラアンテナを必死に左右に動かす。

間違いない…はやぶさだ。急なトラブルでイトカワからの離陸の後、機体の

液体燃料が漏れ、そのまま音信途絶していた衛星…

「生きている…まだ生きているんだ…まだ、終わっちゃいないんだっ!」


 そもそもはやぶさとは何なのか。それは2003年5月に、種子島内之浦宇宙

開発センターから、M-V5型ロケットで打ち上げられた衛星。

国際標識番号は『2003-019A』工学実験探査機MUSES-C。通称『はやぶさ』

月以外の天体に自力で航行し、その天体の表面からサンプルを回収して

復路を航行する、いわゆるリターン衛星。イオンエンジンを主とした動力を持ち、

自分の判断で行動。そして使命をまっとうして帰還すると言うすぐれた機能を持つ。

実はこのハヤブサに至るまでには、いくつもの案が出されては消え、そして

また消え…やっとの思いで立案が通った企画でもあった。

当時M-V型ロケットは、打ち上げに失敗するという事故を引き起こしたり、せっかく

打ち上げた衛星『飛翔』が、その使命をまっとうする事なく消え去ってしまう…

という汚点を被っていた。その為に一度はこの探査衛星の計画も流されてしまい、

数年後…もう一度トライするチャンスを与えられて、設計を煮詰めなおして出来た

立案でもあった。そして3年3ヶ月ぶりの打ち上げに備え、入念なテストが繰り返され、

満を持して打ち上げられた衛星でもある。だが…ここに来るまでの道のりも、そう

容易い物ではなかった。

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